ENTH

今や名古屋を代表するメロディックパンクバンドへと成長を遂げたENTHが結成7年目にして初のフルアルバム『HENT』を完成させた。昨年は「YON FES」「DEADPOP FESTiVAL」「HAZIKETE MAZARE FESTIVAL」「ポルノ超特急」「COMIN’KOBE」「FREEDOM NAGOYA」など大型フェスで暴れまくり、全国各地にその名を轟かせた彼ら。超待望のフルアルバム『HENT』は彼らを形成するあらゆる音楽を食べて食べて食べて食べて吐き出した和洋折衷の全12曲収録となっている。超名盤を完成させた飛ぶ鳥を落とす勢いのENTHにたっぷり話を訊く。

 

 

Q.初のフルアルバム、ぶっちぎりの名盤かと。

daipon:ありがとうございます。結成7年目にしてやっとフルアルバムを作ることが出来ました(笑)。なんでこれまでフルアルバムを出さなかったかって、とにかく曲が作れなくて(笑)。僕らのアルバムってギリギリまで曲を作るのでレーベルの人間でさえ未知数なんですよ。出てきたもので勝負するみたいな。

 

Q.でもバンドの状況を考えてもフルアルバムを出すのには今が絶好のタイミングですよね。

daipon:フルを出すなら今かなって僕らも思っていました。そもそも去年の3月にシングル『SOMEWHERE WE HOPE』を出したタイミングで本当はアルバムを出す予定だったんですよ。でもメンバーが抜けることになって今は違うなって。

 

Q.その「Somewhere We Hope」ですがシングルで聴くのとアルバムで聴くのとで聴こえ方が全然違いました。

Naoki:確かに違いますよね。

daipon:ライブでずっとやってきたからかもしれないですね。

Naoki:daiponの歌も録り直してるから今のENTHの「Somewhere We Hope」になっているんだと思います。

 

Q.この1年間で随分バンドを取り巻く環境も変わったのでは?

daipon:めちゃくちゃ変わりましたね。所謂「バンドマン」になれた気がします。今、生活の全てをバンドに注いでいるんですけど最初はそれが怖くて。前はみんな働きながらバンドをしていたので仕事と音楽のメリハリがあったんですよ。だから時間があり過ぎて逆に困るっていう(笑)。

Naoki:慣れるまで少し戸惑いましたね(笑)。

daipon:あと色んな人に注目してもらえるようになって、それは本当に有難いんですけど、ENTHっていうバンドのことは僕が誰よりも知ってるつもりなので若干大きく見られているんじゃないかなって。名前が先行してるというか。「ちょっとちょっと!」みたいな。

Naoki:そこにどう追いつくかっていうね(笑)。

 

Q.それだけ期待値が凄いってことですよね。

daipon:色んな人に「最近フェス出まくってるね」「調子良さそうだね」って言われることが多くて、本津は余裕の表情で「そうなんですよー」とか言いたいんですけど実際は全然なので。僕らは期待に応えるんじゃなくてみんなの期待を超えたいんです。そうなれるように頑張らなきゃなって思っています。

 

Q.takumi君はENTHに加入してから目まぐるしい日々なのではないですか?

takumi:そうですね。不安や焦りから少しモチベーションが下がってしまった時期もあったんですけど、そんなこと言ってる場合じゃないなって。ライブは楽しいし大きいステージに立つこともワクワクするんですけど曲がどんどん難しくなるのでドラムをもっと練習しないとなって思っています。

Naoki:確かにdaiponの曲は難しい(笑)。

 

Q.バンドがネクストステージに進んだことで、より強い技を身に付けないと戦えない場にいますからね。

daipon:そうなんですよ。本当に気合い入れて挑まないと負けてしまうので。それにバンドの知名度が上がった分、今回のアルバムは以前より沢山の人に聴いてもらえると思うんですよ。そういう人達にENTHのジャンルとかイメージを固めたくないので色んなことをしたいなと。

 

Q.確かにENTHの音楽性って良い意味でバラバラですからね。何でもありというか。

daipon:それが良いか悪いか分からないんですけど僕は色々やりたいタイプなんですよね。なので「ENTHってこういうバンドだよね」ってひとつのジャンルで括られるのが嫌なんです。例えばメジャーに行って音楽性が変わるバンドっているじゃないですか。それって売れる為だったり大衆的なことを意識したりって理由だと思うんですけど、ENTHはそういう為じゃなくて、いつもやりたいことを勝手にやってるだけなので変わったって言われることがないというか。かっこいいとこも見せたいし熱いとこも見せたいしバカみたいなこともやりたい。常に自由度は高くいたいんですよね。

 

Q.「ムーンレイカー」と「Let it die(t)~まこっつ走れ~」が同じバンドの曲とは思えないですからね(笑)。

daipon:あははは。普通だったら有り得ないですよね。でもそれがENTHなんです。

 

Q.今作の『HENT』というタイトルはENTHのアナグラムですか?

daipon:そうですね。

takumi:あ、今気付いた(笑)。

daipon:パンチのあるアルバムが出来たので最初はセルフタイトルでいこうと思ったんですよ。でもアナグラムなら今後もパターンが出来るなって(笑)。それでセルフタイトルは来たるタイミングに取っておくことにしたんです。これぞENTHというアルバムが出来たら付けるんじゃないかな。

 

Q.これぞENTHと言えば「HAHA」はENTHの色んな要素が盛り込まれていますよね。めちゃくちゃ攻めてるなと。

daipon:こういうライブで盛り上がるENTHらしいリフや攻撃的なメロディの曲って最近あまりやってなかったですからね。やっぱり攻撃的なメロディックパンクはENTHの必殺技のひとつなのでこういう曲も大事だなって。

Naoki:「HAHA」は曲名にまつわる秘話があるんですよ。これ、やばいですよ?

 

Q.どういうことですか?

daipon:この曲はRAD SEVENっていうライブハウスで曲を作りながらボイスメモで記録用に録音していたんですけど僕ら以外誰もいないのに「ハーハー」って声が入っていて。

takumi:しかもめっちゃ至近距離で。あと、ちょうどそのときスネアがめっちゃ重くなって。

daipon:そうそう。

Naoki:takumiが「僕、これ霊的な何かだと思う!」とか言い出すから最初は「またまた」って言ってたんだけど後からボイスメモを聞いたら知らない声が入っていて。

daipon:その後、みんなで車で確認したんだけどやっぱり入っているんですよ。

 

Q.その声はCDに入れなかったのですか?

daipon:いや、入れようかって話になったんですよ。でもちょっと縁起悪いかなって。この曲は歌詞の内容がヘイターに対して思っていることを歌っているんですけど、いかにもなタイトルだと面白くないから「HAHA」にしたんです。名付け親は…「ハーハー」って言っていた声の主です(笑)。

 

Q.今回のアルバムは「ムーンレイカー」や「NO FATE」のようなメロディ押しの日本語曲が増えると思っていたのですが、意外とそうでもなかったことに驚きました。

Naoki:僕も日本語の曲が増えると思っていました。

daipon:そういう曲を増やした方が良いのかなって意識はしたんですよ。でも全然出てこなくて。僕、そういうコントロールが出来ないんですよ。日本語の曲を作らなきゃって思えば思うほど出てこなくなるんです。あとはそういう流れにちょっと逆らいたい気持ちもあって。「NO FATE」を発表したときに周りに「こっちにいくんだ」って言われたんですけどだったら今回は初期ENTHのようなバッチバッチのメロディックをやってやろうっていう。でも何周かしてるからちゃんと今のENTHの音になっていると思います。

 

Q.「SUMMER」や「LOVE ME MORE」は西海岸のハッピーさとENTHらしいリフのドッキングがかっこいいです。

daipon:レーベルから「楽しくてハッピーな曲が欲しい」ってよく言われるんですけど「出来ねえよー」「バカヤロー」とか言いながらリフから展開させていって作った曲ですね(笑)。

 

Q.「SUMMER」の歌詞は夏の楽しさがめちゃくちゃ出ていて。

daipon:ENTHってシーズンっぽい曲がなかったんですけど、レーベルから「夏っぽい曲ないの?」って言われて「出来ねえよー」「バカヤロー」とか言いながら(笑)。

takumi:「夏と言えばビールと○○でしょ?」って。

Naoki:あははは。書けないでしょ(笑)。

 

Q.そして隠れた名曲「ひじき」ですが、口笛の感じとかちょっと泣けますよね。。

Naoki:あの口笛、めっちゃ耳に残りますよね。

daipon:この曲は家でアコギを弾いていいるときに「ひじき」ってワードが自然と出てきたんですよ。ひじきっていうのはNaokiの飼ってる猫なんですけど。最初はボーナストラックのつもりでちょけて作ったんですけどまさかの本採用になりました(笑)。

 

Q.「ひじき」のような遊び心は「”TH”」の歌詞にも表れていますよね。

daipon:この曲のきっかけになったのはANDREWさん(FUCK YOU HEROES、 FULLSCRATCH、BBQ CHICKENS、RISE)やU-tanさん(GOOD4NOTHING)がENTHの「TH」の読み方を「エンスゥ」って読むのにハマッてて(笑)。「THのTシャツ作ろうや」とか、そういう愛のあるいじり方をしてくれていて。それで「TH」の曲を作ろうかなって(笑)。

 

Q.「Dont forget ”TH”」っていう歌詞を聴いてTHに何かエモいエピソードがあるんだと思っていたら…。

daipon:あははは。意味はないです(笑)。

 

Q.あと個人的には「SUPER HAPPY TIME」のリフが凄く好きなんですけど。

daipon:あのリフ、良いですよね。僕らの曲ってメロディやコードから作ることって殆どなくて、Naokiが持ってくるリフだったり、そういうウワモノから作ることが多いんですよ。全体像とか何もない中で作り始めるので何が出来るか自分達でも楽しみですね。

Naoki:バラバラで作ったリフとリフをくっつけてひとつの曲にすることもありますし。

 

Q.なるほど。そういう意味では「HANGOVER」とかもそうですよね。全く異なる曲が接合されてひとつの曲になっている。「ここどこやここどこや」の展開とか驚きしかない(笑)。

daipon:直感でくっつけるので「なんで?」って展開になったりします(笑)。「ここどこやここどこや」の歌詞はこの曲の中で最初に浮かんだフレーズなんです。

 

Q.そもそも「ここどこや」って何なんですか?(笑)。

daipon:僕、Coccoのベストアルバムを買ったんですけど家の中で失くしまして。

 

Q.まさか…。

Daipon:「Coccoどこや~Coccoどこや~」って歌いながら探していて。それがそのまま歌詞になりました(笑)。

Naoki:それがボイスメモに残っているんですよ。(一同笑)

 

Q.しかしENTHって本当に掴めないですよね。『Get Started Toghether』の頃と同じバンドとは思えないです。

Naoki:あの頃は真面目でしたからね(笑)。

daipon:自分でも何が本当の自分かもはや分からない(笑)。でも間違いなくコントロールは出来てないです(笑)。でもENTHのこれまでの曲を振り返ると、そのときの生活が反映されているんですよ。悩んでるときは曲も悩んでるし、遊んでるときは曲は遊んでいる。今、バンドしかやっていないんですけど、楽しくなかったらバンドなんて続かないと思っていて。だからテーマはいかに楽しむかなんです。それが形になったのが今回のアルバムかなと。だからストイックに楽しもうと思っています。楽しいを突き詰めるのが今のENTHなので。

アーティスト名:ENTH

タイトル:HENT

¥2130(+税)

RCTR-1060

7月12日発売

 

メンバー

daipon(Vo,Ba)

Naoki(Gt,Cho)

takumi(Dr.Cho)

 

LIVE

DOHENTAI TOUR 2017ツアーゲスト第一弾発表!

7/21(金)@千葉県 千葉LOOK

7/26(水)@熊本県 熊本Django

7/28(金)@鹿児島県 鹿児島SR HALL

7/29(土)@宮崎県 宮崎SR BOX nano

8/1(火)@長崎県 長崎Studio Do!

8/3(木)@広島県 広島CAVE-BE

8/4(金)@岡山県 岡山CRAZYMAMA 2nd Room

8/8(火)@大阪府 大阪BRONZE

8/9(水)@愛知県 名古屋R.A.D

8/13(日)@東京都 新宿ACB HALL

8/15(火)@栃木県 宇都宮HEAVEN’S ROCK

8/16(水)@埼玉県 熊谷HEAVEN’S ROCK

8/18(金)@茨城県 水戸LIGHT HOUSE

8/25(金)@兵庫県 神戸太陽と虎

8/30(水)@宮城県 仙台MACANA

8/31(木)@岩手県 the five morioka

9/2(土)@北海道 札幌COLONY

9/3(日)@北海道 苫小牧ELL CUBE

9/5(火)@青森県 八戸ROXX

9/6(水)@秋田県 秋田Club SWINDLE

9/8(金)@新潟県 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE

9/9(土)@石川県 金沢vanvan V4

9/15(金)@神奈川県 F.A.D YOKOHAMA

9/22(金)@岐阜県 岐阜ANTS

9/23(土)@長野県 松本ALECX

9/24(日)@富山県 富山Soul Power

9/29(金)@京都府 京都MUSE

9/30(土)@高知県 高知X-pt.

10/1(日)@愛媛県 松山Double-u studio

10/6(金)@香川県 高松DIME

and more…

 

 

http://enth-nagoya.com/