BACK LIFT

今年結成10周年を迎えたBACK LIFTが11月15日にメジャー1stアルバム『Seeding』をリリースする。フルアルバムとしては通算4枚目となる今作にはバンドが更なる成長を遂げるための「種蒔き」を意味した『Seeding』と名付けられている。これまでも種を蒔き続けて3人はその都度芽を実らせては進化を重ねてきた。そんな彼らがメジャーというフィールドで蒔く種がどう実るか、とても楽しみだ。バンドの環境や状況の変化に戸惑いながらも前に進むことを覚悟したBACK LIFTの決意の種蒔き『Seeding』を完成させた3人に話を訊く。

 

Q.『BLANKS』は活動のフィールドを変えてのリリースでしたが。

KICHIKU:期待と未知のワクワクと戸惑いが同時にありましたね。バンドの環境が変わったのでこれまでとはやり方も違うじゃないですか。チームの連係の取り方とかも変わったので音楽じゃないところでの変化が大きかったですね。何をするにも以前の3倍くらいの時間がかかるので計算するスケジュールも3倍早くしないといけないし、色んなことが分かっていたにも関わらず想像を超えていましたね。
YU-PON:実際音楽的には大きく変ったことって無くて、それよりも環境の変化に対する戸惑いが大きかったですね。
HEAVIN:あとは周りからの見られ方が変わった気がします。やっぱり僕らにとってもメジャーデビューは大きなきっかけだし色んな人が関わってくれているのでそういう意識も変わりましたし。

 

Q.希望だったり戸惑いだったり、メジャーでの活動に対する気持ちは今作で決意として歌われている気がしました。前に進む覚悟というか。

KICHIKU:「バックリがメジャー?」って思ってる人ってお客さんにも仲間にもいると思うんですよ。でも俺らはメジャーに来たんだし、振り切ってやっていくしかないなと思って。じゃないとメジャーでやる意味がないんですよね。

 

Q.その決意は「Eight Mat Room」の最初のコーラスからバチバチに感じます。狼煙を上げるような雄叫びは覚悟でしかないなと。

KICHIKU:この曲はインディーズのラストシングル『CHOICE』を作る前からあったんですけど、その頃からバンドの環境が変わったタイミングでアルバムの1曲目にしたいと思っていて。シンプルなシンガロングで拳が突き挙がるような曲が作りたかったんですけど、バンドのハングリーさや反骨精神が出ている気がしますね。俺らはまだまだ現状に満足してる訳じゃないので、ここから壊しにいくぞってイメージの曲をアルバムの最初に持ってきたかったんです。

 

Q.そのハングリーさは「Hate」に繋がりますよね。

KICHIKU:これも実は「Eight Mat Room」と同じ時期に書いた曲なんですよ。この2曲は当時からセットで繋げて考えていました。
YU-PON:『BLANKS』のリリースタイミングでリード曲として収録しようって話もあったんですけど「Eight Mat Room」とセットで考えていたから今回まで寝かせたんですよ。

 

Q.この2曲からはバックリが懸けているものの大きさを感じますね。その流れで「Catch」を聴くとやっぱり「やっぱりね!」ってなるんですよ。

KICHIKU:あははは。確かに(笑)。

 

Q.この曲はバックリ史上一番キャッチーなんじゃないですか?

KICHIKU:ここまですこぶるキャッチーな曲は初めてですね。語弊があるかもしれないけど、こういう速くて跳ねるエイトビートが聴くのもやるのも苦手で。勿論こういうキャッチーな曲をやってるバンドに対するリスペクトはあるんですよ。ただ自分が出来やんかったから悔しかったんでしょうね。それで今回、俺らの持っていた概念を取っ払って思いっきりキャッチーなものに挑戦してみたんです。

 

Q.後半のシャッフルとかめちゃくちゃハッピーですよね。

HEAVIN:個人的にもシャッフルは大好きなんですよ。みんなでシンガロング出来る感じが良いなって。
KICHIKU:あれはHi-STANDARDの「MY HEART FEELS SO FREE」に教えてもらいました(笑)。
YU-PON:肩を組んでグルグル回りたいよね。
KICHIKU:そうそう。大草原でみんなで遊んでいるイメージ。

 

Q.みんなで遊ぶといえばバックリが毎年主催する「少年少女秘密基地」がテーマになった曲も今作にはありますよね。

KICHIKU:「KIDS PLAY HARD」ですね。あの曲はまさに「少年少女秘密基地」の曲です。

 

Q.この曲を聴くと「少年少女秘密基地」で会場にメンバーのパネルや輪投げが用意されていたり楽屋でミニ四駆の大会が行われている絵が浮かびます。そういう遊び場をテーマに作ったこの曲のビートが前のめってることが何より最高だなと。

YU-PON:アホっぽさありますよね(笑)。
KICHIKU:「少年少女秘密基地」は来てくれたみんなが子供みたいに遊べる日にしたいんですよ。そう思ったら自然とこういう曲になりましたね。この曲のベースラインのランニングも2年前に作りました。そう思うとあの頃、めっちゃ良い時期だったのかも(笑)。

 

Q.2年前に蒔いた種が実ったから『Seeding』なんですか?

KICHIKU:実らせたいのかも。自分達の音楽って誰もやってないような新しいものだと思っていて、でもそうやって道を切り開く為には時間がかかるんですよ。だからみんなの中に俺らの音楽の種を蒔いて気付いたら芽が出まくっている環境を作りたいなと思って名付けました。

 

Q.BACK LIFTの要素としてスカやレゲエを取り入れたナンバーはこれまでもありましたが「KIDS PLAY HARD」のような明るいスカではなく今作では「You’re A Fool」のようなダークなスカナンバーもあって。

KICHIKU:「KIDS PLAY HARD」のような曲は日本のバンドで例えるとSNAIL RAMPのようなイメージなんですけど「You’re A Fool」は初期のBACK DROP BOMBのようなイメージというか。あの感じが出したかったんですよね。

 

Q.この曲の歌詞は珍しくめちゃくちゃ怒ってますよね。

KICHIKU:あまりこういうことを歌詞にしたことはないんやけどこの曲はキレ狂ってますね(笑)。怒るってことは傷付いてるからじゃないですか。なのでいつもはその痛みを和らげるような視点で歌詞を書いているんですけど、優しいだけの奴ってヌルく見られるじゃないですか。俺はそこまでヌルくないぞってとこをこの曲で歌いたくて。
YU-PON:イントロからキレキレだもんね(笑)。
KICHIKU:「ふざけんなよ」って思いながら歌詞を書いてますからね。めっちゃキレてます(笑)。

 

Q.これだけキレた次の曲で猫派か犬派か聞かれても(笑)。

KICHIKU:あははは。「Cat or Dog」は最初は若干重たそうなニュアンスを出しておいていきなり軽快に転調する遊びを試した曲で。メジャーコードからマイナーコードに変わる流れとか、みんなで遊びながら作ったんですよ。だから真面目な歌詞を乗せてもなって(笑)。YU-PON:スタジオでも3人で爆笑しながら作ったもんね(笑)。

 

Q.バックリってシリアスなテーマの曲が多いじゃないですか。でもその中でこういう遊びの曲があるのはメロディックパンクの醍醐味ですよね。

KICHIKU:そうなんですよ。こうやってふざけられるのってパンクロックの特権なんですよね。歌モノでいきなり猫派か犬派かって曲を歌ったら「どうした?」ってなりますから(笑)。そこはパンクロックの醍醐味かなと。

 

Q.「From Country」のイントロのポップパンク感も良いですね。

KICHIKU:あのイントロは珍しくYU-PONが考えたんですよ。
YU-PON:色々合わせたけどしっくりこなくてイントロだけ中々出来なくて。最後の最後に深夜のスタジオで出てきたのがこのイントロで。僕のルーツにあるポップパンクを落とし込めたので思い入れも強いですね。
KICHIKU:頭で疾走感を出しつつケツにマイナー調を入れるだけで哀愁になるんですよね。でもこの曲の哀愁はキラキラ寄りの哀愁なんですよ。

 

Q.歌詞で歌っているような家族に対する思いがそうさせたのかも。

KICHIKU:ホンマにそう思う。フルアルバムを出すタイミングで家族に対する曲を歌いたかったんですけど、この曲が出来たときにドンピシャやなって。それでアルバムの最後に歌詞を書いたのが「From Country」なんです。

 

Q.「Youth」ではバックリや仲間達が名古屋のシーンで切磋琢磨していたあの日々を思い出しグッときました。これは特定のバンドに対するメッセージも込められていますよね。

KICHIKU:完全に。最初は「I LOVE YOU DEAR MY FRIENDS」ってタイトルだったんですよ。それくらい直接的なメッセージを込めています。あの頃はホンマにみんな常に一緒にいて、その中でみんなが俺を弄って「ふざけんなよ」って俺が突っ込むっていう、あのじゃれあいがめちゃくちゃ楽しかったんですよね。なのに打ち上げでは真面目に夢を語るみたいな。そういう日々を回想して書いた曲ですね。気付いたらここ3年でどのバンドも環境が変わり過ぎてますけど、あの青春の思い出は今でも力になっているし、今から俺らの番やと思ってるので「Youth」は今歌っておきたかったんですよ。

 

Q.今作には「Sign」と「Search」の再録も収録されていますが、「Sigh」は初めて全編日本語になった曲でしたよね。

KICHIKU:ボーナストラックを除いたら初めての日本語でしたね。あの曲が出来て俺らの幅は確実に広がったので思い入れの強い曲です。「Search」もライブで感情がめちゃくちゃ乗る曲なのでこれからも俺らの武器になってくれると思っています。

 

Q.「everything to me」のようなロックバラードもバックリの重要な武器だと思います。

KICHIKU:「GREEN GARDEN」とか「Tender song」みたいな曲をしばらく作ってないなって。ああいう曲を待っていてくれる人も沢山いるので、自分のバンド人生や生活をスローなバラードで歌いました。
YU-PON:メロディもコーラスも良いよね。
KICHIKU:Cメロのコーラスは夕方にドラマの再放送で流れているエンディングのイメージなんですよ(笑)。若い頃のキムタクや堤真一さんのドラマで流れていそうな感じにしたかったんです。自分の中で癒し効果があって。

 

Q.KICHIKUの低くてかすれた歌のトーンも良いですよね。エロさがある。

KICHIKU:そう、エロさを出していきたいんですよね。同世代のヴォーカリストでもSUPER BEAVERの渋谷君とかONE OK ROCKのTaka君とかエロさがあるじゃないですか。若い奴やったらSIX LOUNGEのユウモリとか。みんなめっちゃ強いんですよ(笑)。

 

Q.同世代のシーンは確かにめちゃくちゃ面白いし強いですね。

KICHIKU:凄いことになってますから。その中で焦って飲み込まれやんようにしていかないとなって。でも置いてけぼりを食らってるのも面白くないからバックリらしさを磨いて勝負したいですね。自分の武器をもっともっと強くしていかないと。

 

Q.その為の種蒔きだと。

KICHIKU:オセロで黒がどんどん多くなってきたけど時間をかけて白にしていく感じというか。白にひっくり返したいですね。ここからガンガン蒔いていきます。

 

アーティスト名:BACK LIFT
タイトル:Seeding
発売日:11月15日
品番:VICL-64864
価格:¥2,600(+税)

 

“Seeding Your Country” Tour 2017-2018

2017年11月24日(金)千葉県 千葉LOOK
2017年11月25日(土)岐阜県 yanagase ants
2017年11月26日(日)三重県 MUSIC SPACE 鈴鹿ANSWER
2017年11月30日(木)京都府 KYOTO MUSE
2017年12月1日(金)静岡県 Shizuoka UMBER
2017年12月3日(日)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
2017年12月4日(月)茨城県 mito LIGHT HOUSE
2017年12月9日(土)岩手県 the five morioka
2017年12月10日(日)青森県 八戸LIVE HOUSE FOR ME
2017年12月15日(金)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2017年12月16日(土)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE太陽と虎
2017年12月17日(日)愛媛県 Double-u studio
2018年1月5日(金)宮城県 enn 2nd
2018年1月6日(土)栃木県 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
2018年1月8日(月・祝)石川県 vanvanV4
2018年1月13日(土)北海道 BESSIE HALL
2018年1月14日(日)北海道 苫小牧ELLCUBE
2018年1月19日(金)福岡県 Queblick
2018年1月20日(土)大分県 club SPOT
2018年1月21日(日)広島県 CAVE-BE

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