04 Limited Sazabys

04 Limited Sazabysが2018年に放つアルバム『SOIL』は彼らの足跡そのものであり更に先をも感じさせるこれまでとこれからが詰め込まれた作品だ。今年10周年を迎えた彼らはアリーナツアー、YON FES開催、大型フェス出演、TV番組出演など活動の規模を拡大させながらも「裏10th Anniversary Live」と題した小箱でのライブハウスツアーも開催するなどバンドの原点にも立ち返りながら邁進してきた。そんなフォーリミが作り上げた今作は、様々な経験を重ねてきた今だからこその持ちうる武器をフル装備した全12曲が収録されている。ずっと物語を追いかけてきた4人に自然と物語が付いてくるようになった今だからこその自然体なアルバム『SOIL』を完成させた04 Limited Sazabysに話を訊く。


Q.フォーリミの作品はずっと物語が付随していたし活動と作品がリンクしていたけど、今回のアルバムはそういった物語性よりもっとフラットな作品だなと。

GEN:まさにその通りで、僕たちってこれまで作品ごとにストーリーが有りすぎるくらい有ったんですけど、10周年を迎えたし武道館やアリーナツアーも経験したし一旦ここで純粋に自分達がどんな音楽をやりたいかを今の僕達の状態で再確認したいなと思ったんです。なので今回のアルバムは正直広げるイメージとか、届かせるっていう意識より、これまでで一番自由で普段着な04 Limited Sazabysを見せたいなと。

Q.とにかく4人が楽しそう。
GEN:そこを再確認したかったんです。3年前にメジャーデビューして、勿論仕事としての責任はあるしプロ意識もあるんですけど、このままいくと根本的な部分を見失いそうだなって。それで良い意味で気を抜いて楽しんでやってみようと思ったんです。

Q.乗り越えなきゃいけないものを倒していくストーリーは重要だったけど、今のフォーリミはそこを抜けた感覚があるんじゃないかなと。
GEN:僕は正直ありますね。駆け上がっていくスピード感に振り落とされそうな時期もあったし、クリアしなきゃいけないことがどんどん出てくる状況に精神的にも負けないように戦ってきたけど、今は何かを乗り越えようって感覚じゃなくて、もっとシンプルに何をやりたいかを自問自答して、それを自信満々に鳴らすことがかっこいいと思っているので。
KOUHEI:バンドのモードや考え方がアリーナを経て変わったんですよ。ある意味吹っ切れたというか。それはきっとアリーナツアーが完全にソールドアウトしなかったことも理由のひとつだと思うんです。たぶんソールドアウトしていたらこういう作品にならなかった気がするしバンドのモードとしてもドームとか、更に大きな会場を目指していた気がするんです。だけどアリーナツアーに来てくれたお客さんが心から満たされてくれているのが伝わったから「俺たちはこれで良いんだ」って思えるようになったんです。それは俺達のことを好きでいてくれる人がこんなにも沢山いることが分かったからだと思います。

Q.今回のアルバムはそういうファンを喚起させる作品ですよね。まずはCDを再生した瞬間に飛び込んでくる「message」の高揚感が凄い。
RYU-TA:あれは俺も上がる(笑)。

Q.ショートチューンのメロディックパンクを英語で今のフォーリミがやるのがこんなに興奮するなんて。
GEN:今回のアルバムは僕達がこの10年間で手に入れた武器を全部使いたくて。バンドを始めた頃のように英語で歌うのも僕らだし、RYU-TAが歌うことだって僕らだし、シンプルなパワーポップも高速2ビートも、勿論メロディックパンクも僕らなんですよね。その全部をこのアルバムで思いっきり鳴らしてやろうって。

Q.その上で新しい挑戦もしているのが素晴らしい。「Utopia」と「Alien」のチューニングとか斬新でした。
RYU-TA:この2曲は初めてチューニングをドロップDにしました。そこはかなり攻めた部分なのでライブでどうなるか楽しみですね。僕もがっつり歌っていますし。
GEN:メジャーデビューや『CAVU』の頃の僕のモードとしてあまりアングラなかっこよさを出し過ぎるよりもっと広く聴いてもらいたいと思って作っていったので今はそこも解放されてRYU-TAにもがっつり歌ってもらいました。

Q.「Alien」のブリッジの重さも新しいですよね。だけどどう聴いてもフォーリミなのが面白い。まるで宇宙戦争みたいな展開もフォーリミらしいなと。
GEN:そこは意識しましたね。SFっぽい感じにしたくて。ただ重くてシリアスなものじゃなくて、そこにファンタジーな要素やかわいい要素を入れることで自分達らしさみたいなものが表現出来たんじゃないかな。

Q.かわいさでいえば「Kitchen」ですよ。
GEN:これ、めちゃくちゃかわいいですよね。この曲は家で過ごす深夜の僕の生活感がそのまま出てます。今まで意識的に猫って言葉を歌詞に使わなかったんですけど、家での僕を歌うには猫を出すしかなかったのでそこも解禁しました(笑)。

Q.「Galapagos」は曲の冒頭と途中のガヤが凄く気になりました。かなりの怒号が飛び交っているような気がしますがあれは何を言っているのですか?
GEN:2YOUだから具体的に言いますけど(笑)、実はご飯を食べに行ったときに僕の頼んだものに食べてはいけない異物が混入していたことがあって。だけどそれにイラついたことをSNSとかでみんなに向けて書いちゃったりする人ってダサいじゃないですか。でもそれだと怒りの落とし所が見つからなくて、ここで言ってみようと(笑)謝罪文をHIROKAZに叫んでもらって、それに対して僕は「謝ってもらいたい訳じゃないんですけど」って言ってるんです。キレるのも嫌だし、イライラするのも精神衛生上良くないので、曲でディスってみようと思って(笑)。それが曲中のガヤですね。

Q.この曲がGEN君の感情の墓場になっていると(笑)。ちなみに冒頭のガヤは?
GEN:あれは名古屋の人にはお馴染みの鎌倉ハムのCMのパロディです。

Q.まぁ1本、まぁ1本!
GEN:たいがいにしとかないかんよ!

Q.今晩のおかずがわやになってまう!
GEN:あははは。やっぱり名古屋の人は知ってる(笑)。これ、RYU-TAに言ってもらってるんだけど、あのCM自体、うちのチームは誰も知らなかったんですよ。

Q.名古屋ではめちゃくちゃ有名なんですけどね(笑)。この曲は怒っているんだけど、怒りを怒りとしてそのままぶつけていないのがフォーリミらしいですよね。ザ・ビートルズっぽいコーラスワークの楽しさとか。
GEN:あのコーラス、僕的にはザ・ビーチボーイズなんですよ。

Q.「memory lane」のコーラスとかもそうですよね。この曲からは2000年以降の海外のポップパンクっぽさとパワーポップっぽさを感じました。キュンキュンする感じとか。
GEN:徹底的に胸キュンな曲にしたかったんです。ジャンルの違う人と話していると僕が色んな音楽を知ってるから「分かってるね」ってよく言われるんですけど、こういうパワーポップっぽいのも好きだし「Galapagos」はGARLIC BOYSを意識してたりするので「フォーリミ、分かってるんだ」って知らしめたいですね(笑)。

Q.その「分かってる感」は細かいアレンジやメンバーのバックボーンからも感じますし、何よりHi-STANDARDがツアーやAIR JAMに誘う時点で証明されていますよね。ハードコアやパンクの人達からの支持が厚いのも頷けますし。
GEN:そういうカルチャーに対しての敬意を僕らも持っていますから。ポーズじゃなくて真剣に好きなので。
RYU-TA:そういうシーンの人達に分かってもらえたり期待してもらえることは凄く嬉しいですね。

Q.YON FES開催もですけど、今回のツアーの面子を見てもフォーリミがシーンをフックアップしようとしていることがよく伝わるんですよ。そこがオーバーグラウンド、アンダーグランド問わず愛される所以なんだと思います。
GEN:有名無名問わず、ライブがかっこいいバンド、純粋に良い音を鳴らしてるバンドに声を掛けたんですけど、それはアリーナツアーを回って感じたことが大きくて。

Q.と言うと?
GEN:アリーナって、もう何か飛び越えてるじゃないですか。でもそれってライブハウスに直結して繋がっていない気がしたんです。僕は普段から色んなライブに行くし現場で色んな人に会うんですけどみんなに「ライブハウスを盛り上げて欲しい」って言われることが多くて。自分達の活動が、自分達を育ててくれた人に返せる活動をしないと意味がないんですよね。だからこそバンドを広げることよりライブハウスの人やライブに来てくれる人に刺さる作品やツアーを作りたいんです。

Q.「裏10th Anniversary Live」もフォーリミが大切にしてきたライブハウスシーンを知ってもらうきっかけになりましたよね。初めてあのキャパのライブハウスに行った人もいるでしょうし。
RYU-TA:僕らがきっかけでライブハウスに足を運んでくれる人が増えたら嬉しいですね。 GEN:あと単純にめちゃくちゃ楽しかったですね。やっていて凄く興奮しました。大きい会場でやるときは興奮しながらも頭の中は意外と冷静だったりするんですけど小さいライブハウスでは何も考えないで純粋にライブを楽しんでやれたし、あの距離感も久し振りで嬉しかったです。

Q.唾のかかる距離ですからね。
HIROKAZ:単純に懐かしい気持ちになりましたね。特に栄R.A.Dに関してはめちゃくちゃ出てたので。天井の低さも楽屋の感じも全てが懐かしかったです。R.A.Dの匂いとか(笑)。
KOUHEI:逆に僕は凄く冷静でしたね。ドラムを叩いていて、お客さんから見える範囲が狭すぎるからモーションで魅せるんじゃなくて音で聴かせることを意識したので、ひとりで音ゲーをやってるような感覚でした(笑)。それくらい周りが何も見えないライブハウスでやるのが久し振り過ぎて。
GEN:RYU-TAはどう?
RYU-TA:最高だった。
GEN:RYU-TAはメンバーの中でも一番R.A.Dに行ってるしね。
RYU-TA:R.A.Dで働いていたこともあるから、そういうのも含めて懐かしかった。普通にブッキングしてましたからね(笑)。
GEN:大きい会場の楽しさも勿論あるし、ライブハウスにこびりついている色んなものを感じられる小箱でしか味わえない面白さもあるので僕らは両方やっていきたいですね。

Q.フォーリミが辿ってきた10年間を思いながらこのアルバムを聴くとこれまで歌ってきたことやキーワードがアルバム全体に散りばめられていますよね。例えば「Milestone」は歌いだしから「monolith」を連想させたり。
GEN:まさに「Milestone」は「monolith」の続編なんですよ。「monolith」を作ったときはなりたい自分に届いていないことが悔しくてそこで戦っていく覚悟を歌った曲だったんですけど、あれから4年経って、「monolith」で届かなかったものに届くようになった今、そこで満足しないで満たされてしまったら終わりだと思うから当時の感覚を失いたくなくて作ったのが「Milestone」なんです。当時は誰にも見つけてもらえない悔しさがあったんですよ。でも今はある程度見つけてもらったからこそ、あの頃の感覚を大事にしていたいと思っています。今は今でプレッシャーもあるんですよ。でもそこに負けてんじゃねえよっていう。

Q.「Password」にも今の状況だからこその葛藤が描かれていますよね。
GEN:やっぱり「monolith」の頃に比べると尖ってないけど大丈夫なの?って思う時があって。そういう自分自身の不安と戦っている曲ですね。でもそれはきっと人間としての成長だと思うんです。アーティストとしてはどうなんだろうと考えてみても、過去にどん底まで病んだり怒ったり尖った経験があるからチャンネルとしては持っているなと。だったら自分はあの頃より負けてないという決断に至りました。

Q.尖り方が変わっただけなんじゃないですか。だってこのタイミングでアルバムの1曲目に「message」を持ってくることだってある意味尖っていると思いますよ。アウトプットの仕方が変わっただけで根っこにはちゃんと尖ったフォーリミがいる気がします。
GEN:きっと色んな人に愛されるようになったからなんだと思いますね。前は全方位に尖っていたけど今は局所的に尖っているんだと思う。周りに沢山の人がいて凄く幸せだからこそ、その人達の為にも自分達の為にも本気でやっているし、その上で熱く尖っていきたいですね。

Q.凄く自然体になった気がします。人間らしくなったというか。
GEN:周りから「背伸びしなくても良い」って言ってもらえることが増えて何かから解き放たれた感じがあるんですよね。だから曲も自由に書けるようになりましたし。前はメジャーに合う曲、武道館に合う曲ってストーリーが先行していたけど今はあまりそういうことも考えないで曲を書けているので。

Q.今はフォーリミがやることに後からちゃんとストーリーが付いてきてると思います。
GEN:ありがとうございます。今は大きな規模で遊べるようになってきたので僕達が何をやったらみんながワクワクするかを考えていて。支えてくれる人やライブハウスのみんなや応援してくれるみんなの期待を裏切らない面白いことをどんどん考えていきたいですね。

04 Limited Sazabys
タイトル:SOIL
2018.10.10 Release
04 Limited Sazabys
3rd Full Album『SOIL』

■初回盤【CD+DVD】
COZP-1474~5 / ¥3,500+tax

■通常盤【CD】
COCP-40494 / ¥2,700+tax

『SOIL tour 2018』
10月24日(水) 千葉LOOK
10月26日(金) 高崎 club FLEEZ
10月27日(土) HEAVEN’S ROCK Kumagaya
10月29日(月) 水戸LIGHT HOUSE
10月30日(火) HEAVEN’S ROCK Utsunomiya
11月07日(水) 長野JUNKBOX
11月10日(土) 浜松窓枠
11月11日(日) 岐阜CLUB-G
11月17日(土) 旭川CASINO DRIVE
11月18日(日) 帯広MEGA STONE
11月21日(水) 高松festhalle
11月23日(金) 高知CARAVANSARAY
11月28日(水) 金沢Eight Hall
11月29日(木) 京都MUSE
12月01日(土) 和歌山SHELTER
12月02日(日) 神戸太陽と虎
12月05日(水) 秋田club SWINDLE
12月06日(木) 盛岡club change WAVE
12月10日(月) 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
12月11日(火) 周南RISING HALL
12月13日(木) 鹿児島CAPARVO HALL
12月15日(土) 宮崎WEATHER KING
12月16日(日) 熊本B.9 V1

『SOIL tour 2019~one man series~』
1月06日(日) Zepp Sapporo
1月11日(金) 新潟LOTS
1月12日(土) 新潟LOTS
1月15日(火) Zepp Tokyo
1月16日(水) Zepp Tokyo
1月25日(金) Zepp Fukuoka
2月03日(日) BLUE LIVE HIROSHIMA
2月08日(金) 仙台PIT
2月11日(月・祝) 松山市総合コミュニティーセンター
2月13日(水) Zepp Osaka Bayside
2月14日(木) Zepp Osaka Bayside
2月20日(水) Zepp Nagoya
2月21日(木) Zepp Nagoya

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