「ヤバT」ことヤバイTシャツ屋さんが『We love Tank-top』『Galaxy of the Tank-top 』に続くタンクトップ・サーガ第3弾『Tank-top Festival in JAPAN』をリリース。もはや彼らのアイデンティティともいえる「タンクトップ」というワード。そのちょっと笑ってしまう言葉から何故かヤバTのアティチュードやバンドとしての在り方などを汲み取ってしまうのはヤバTの手中に落ちているからなのだろうか。いや、その圧倒的な追求新と絶対的な音楽愛をちょっとだけこじらせて吐き出した楽曲群からはそのパブリックイメージの奥にある3人の真意を感じることが出来るし、センスに溢れる着眼点やテーマの切り取り方はもはや芸術の域まで達しているだろう。Tシャツ屋さん?コミックバンド?なんていう凝り固まったイメージを払拭する素晴らしいアルバムを完成させたヤバイTシャツ屋さんに話を訊く。
Q.アルバム3枚目にして、いよいよタンクトップがヤバTのアイデンティティみたいになってきましたね。
こやま:良い風に言うとそうですね(笑)。
Q.ここまでタンクトップに拘る理由って何かあるのですか?
こやま:拘りは特にないです(笑)。もうタンクトップの呪縛から逃れられなくなっているんですよ。でも、それならそれで貫いてやろうかなと。だから次のアルバムもタイトルには絶対タンクトップという言葉を付けますね。
Q.「Tank-top Festival 2019」の中で「タンクトップのプライド」という言葉が出てきますけど、刷り込まれているのか、もはやかっこ良く聴こえてきますからね。
こやま:あははは。それ、めっちゃ嬉しい。
Q.他のバンドがタンクトップとか歌ったら「ちょけてるのかな」って思うかもしれませんが、ヤバTの歌詞にタンクトップが出てくると孫悟空がかめはめ波を撃ったときみたいな必殺技感があるんですよね。
こやま:なんかね、いつの間にか崇高なものになってきてますよね。
もりもと:きっとみんな麻痺してるんでしょうね(笑)。
こやま:うん。何周もしてないとそこまでいけないですから。
Q.「Tank-top Festival 2019」とか、タンクトップという言葉が隠れ蓑になっているけど歌っていることはバンドの在り方がしっかりと歌われていてグッときますから。
こやま:ヤバTのストーリーや過去の曲を知らずにこの曲だけパッと聴くとふざけてると思うかもしれないけど、僕らを知ってくれてる人やライブに来てくれている人が聴いたらグッとくる曲やと思うんですよね。
Q.バンド名やミュージックビデオのインパクトからコミックバンドだと思っている人も多いと思うんですよ。だけどどの曲もグッとくるポイントがあって。
こやま:そこを感じてくれるようになると、顧客です(笑)。
Q.でもアルバムを3枚作ってきて、そこもかなり浸透してきたのでは?
こやま:そうですね。僕らを知ってくれてる人が増えて、伝えたいことが伝えたいように伝わってきていることは実感しています。前は思うように伝わらない葛藤がありましたから。
Q.それこそ「小ボケにマジレスするボーイ&ガール」じゃないですけど。
しばた:まずバンド名から突っ込まれることが多かったですからね。バンドだけじゃなくて私生活でもSNSでも小ボケにマジレスしてくる人っているじゃないですか。
Q.小ボケにマジレスしていたらヤバTの存在自体に総ツッコミしないといけなくなりますからね。
こやま:本当にそうなんですよ。
Q.こやまさんの笑いって…って音楽ですけど(笑)、誰も傷付けないのも素晴らしいですよね。
もりもと:そこは昔からこやまさんも言ってますね。
こやま:角を立たせたくないんですよ。直接的に何かを否定はしたくないです。バンド名や歌っているテーマから尖っていると思われることが多いですけど最大限に棘を隠して言いたいことを言ってるつもりなので。
もりもと:でも棘だけでいったら今回のアルバムはこれまでで一番尖っているかも。
しばた:確かに。
もりもと:こやまさんの言いたいことをストンと言ってる印象が強いですね。
Q.「小ボケにマジレスするボーイ&ガール」とか「鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック」とか。
こやま:まさに。あと「ゆとりロック」も言いたいことをダラダラ言ってますね。
Q.「ゆとりロック」のような曲でアルバムが終わるのも新鮮でした。
こやま:これまではどうしても最後にちょっとふざけちゃってましたからね。
Q.そうなんですよ。だから聴きながら何処でふざけてくるかなって思ったらそのまま終わるっていう裏切り方があって(笑)。
こやま:あははは。そこは挑戦でもありましたね。NHKの「テンゴちゃん」という番組に出演しているんですけど、僕らゆとり世代としてキャスティングしてもらっていると思うんですよ。それで、ゆとり世代を勝手に代表する訳じゃないですけど、等身大の気持ちで書いてみたのが「ゆとりロック」なんです。ダラダラしてるイメージが強いかもしれないけど心では熱いものを持っていることを歌いたかったんです。
Q.「かわE」のようなラブソングをヤバTがヤバTらしさを失わないまま歌うのもグッときました。この曲は映画『ニセコイ』の主題歌ですが、恋愛映画の曲をタイアップで書くのって難しくなかったですか?
こやま:めちゃくちゃ難しかったです。たぶん今まで一番苦戦しました。ラブコメ映画の主題歌やから絶対恋愛のことを歌わなきゃいけないじゃないですか。そんな中で最初に作ったラブコメ映画の主題歌としては100点だけどヤバTとしては0点みたいな曲で。
もりもと:僕らが演奏してる姿が全く想像出来ない曲だったんですよ。
こやま:それで作り直す過程で「かわE越してかわFやんけ」ってフレーズを思い付いたんですよ。これなら愛とか恋って言葉を使わないでラブソングか歌えるなって。
Q.発明ですよね。ラブソングでありながらヤバTの曲でしかない。
こやま:結果、うまいこと逃げれたなって(笑)。
しばた:そもそも私はラブソングだとも思ってなくて、ヤバTの曲やなって印象でしかないかも。
もりもと:こやまさんが何かを曲にするのってタイミングと経験やと思うから、今後こやまさんが大恋愛を経験したらストレートなラブソングが出来るかもしれませんけどね。
こやま:大恋愛する可能性だって全然あるからな。
しばた:そこはこやまさん次第やな。
もりもと:めっちゃサムいの出来そう。(一同笑)
Q.「君はクプアス」も捉え方によってはラブソングじゃないですか。ただクプアスが何か分からなくて調べたら猿の顔を輪切りにしたみたいな果物が出てきて。
こやま:あははは!嫌な表現!
しばた:こわ!
Q.クプアスって言葉が鬱陶しいくらい出てくるから頭に残っていたんですけど、昨日スーパーで買い物をしていたらクプアスのジュースを見つけて。「これだ!」ってなりました。
こやま:時代、きてるな。テレビでクプアス特集とかされたらこの曲が使われるんやろうし。
しばた:そこはちゃんと流してもらわんとな。
Q.この曲のハーモニカが泣けるんですよ。あと「大人の事情」のトランペットとか。
もりもと:どっちも僕ですね。
Q.わ、それ聞いて余計泣けます。
もりもと:なんでですか(笑)。中学の頃、吹奏楽部で練習しました。レコーディングは難しかったけど良いものが録れたと思います。
Q.「大人の事情」は文字通り大人の事情でアルバムに収録出来なかった曲があったことを逆手に取った曲だと思うのですが、これはガチですか?
こやま:ガチですね。
Q.ヤバTはいつかこういうことが起きるんじゃないかと思っていました(笑)。
こやま:あははは。まあ、詳しくはCDを聴いて下さい(笑)。
Q.個人的には「かかとローラー」が好きなんですが、こういう一瞬の出来事や物事に着眼点を置いて広げていくのはヤバTの真骨頂ですね。
こやま:どんなことでも広げて曲にするのは得意な方やと思います。「DQNの車のミラーのところによくぶら下がってる大麻の形したやつ」とかもそうですし。「君はクプアス」も。ちょっとしたきっかけがあれば何でも曲に出来ますね。
Q.そういうネタをめちゃくちゃ良いメロディで歌うのが本当に面白いなと。
もりもと:エモいメロディーにしょうもない歌詞を乗せるの、こやまさんは本当に上手なんですよ。
こやま:ファンやん!
もりもと:この曲でいえば最後に社会に切り込んでいくようなメッセージがあるのも面白いし、ミドルテンポの中にこやま節が詰まっているのも良いですよね。
こやま:ファンやん!
Q.あははは。でも今作でまた新たな層に広がりそうですよね。「かわE」きっかけで知る人も多そうですし。
しばた:ヤバTって名前で聴かへん人もいると思うけど、そういう人にこそ聴いてもらいたいですね。聴いてもらったら見え方が変わってくると思うし。
こやま:今でも「しゃっ! しゃっ!の人達やろ」って人も沢山いるやろうし。
しばた:「ハッピーウェディング前ソング」は知ってるけどそれがヤバTの曲だと一致してない人も多いやろうし。そういう人にも「かわE」をきっかけに知ってもらえたら嬉しい。
こやま:それだけ「かわE」がこれまでにないくらい聴かれているんですよ。アルバムも手に取ってもらえたら嬉しいですね。名前で判断しないで聴いてくれたら。
Q.天下一武道会でヤムチャとシェンが戦ったの覚えていますか?見た目がただのオジサンだったシェンを舐めてかかったヤムチャは一瞬で負けてしまうんですよ。確かにシェンは見た目はオジサンなんですけど、実は中に入っているのは神様で。
もりもと:うわ!凄い!
Q.イメージで判断しちゃいけないってことですよね。
もりもと:これ、神様がバンド側ってことですよね?
Q.そう、ヤバTが神様です。
こやま:なんすか、その過激派みたいな言い方(笑)。
もりもと:ヤバイTシャツ屋さんという名前に隠された…神様!
こやま:でも確かにその方がインパクトあるよな。油断してたらめっちゃ強いみたいな。
Q.実際僕が初めてヤバTのライブを観たときがそうだったんですよ。サーキットイベントで主催の方に「絶対にヤバTは観た方が良い」って言われて「絶対見ない」って思ってたんですよ。
こやま:あははは。
もりもと:それが今やここまでの理解者に(笑)。
Q.それでしぶしぶ観たんですけど、案の定、帰りには物販でCDを買って帰るという。
こやま:めっちゃ嬉しい。そういう人にどんどん聴いて欲しいし観て欲しい。あとシングルしか聴かない人にアルバムの曲も聴いてもらいたい。
しばた:全部リードにしたいくらいやもんね。
こやま:どの曲もめっちゃカロリー使って作ってますからね。
Q.出会い方で印象がかなり違うと思うんですけど、結果どの曲も楽しませるのがヤバTですよね。
こやま:「かわE」で知ってくれた人がライブに来てくれたら事故りそう(笑)。でもそういう人をとことん盛り上げるのが目標でもあるので。
しばた:そういう人が結果的に「Tank-top Festival 2019」とか「リセットマラソン」みたいな曲を好きになってくれたら最高やな。
もりもと:もりもと君が一番かっこいいって言ってくれたり。
Q.「鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック」のミュージックビデオでもりもと君に恋する人が…。
こやま:いないでしょ!あんなん、ネガキャンでしかない(笑)。
もりもと: あれはやりすぎ(笑)。もっと小出しやと思っていたら出来上がりを見てびっくりしました。編集に携わってなかったので。
しばた:携わっていてアレやったら問題やろ。(一同笑)
Q.副音声での小ネタに何度も笑いました。ヤバTのミュージックビデオってそういう小ネタを探すのも面白いんですよ。そしてその奥にある真面目な部分や音楽愛をバチバチに感じたときにヤバTから抜け出せなくなるんですよね。
こやま:それはもう完全にタンクトップの呪縛から逃れられなくなっていますね。
リリース情報
アーティスト名:ヤバイTシャツ屋さん
タイトル:Tank-top Festival in JAPAN
初回盤【CD+DVD】※スリーブケース付
UMCK-9980 ¥3,580(+税)
通常盤【CD】※スリーブケース付
UMCK-1613
¥2,580(+税)
ヤバイTシャツ屋さん “Tank-top Festival in JAPAN” TOUR 2019
2019年1月27日(日)北海道 Zepp Sapporo
2019年2月1日(金)大阪 Zepp Osaka Bayside
2019年2月2日(土)大阪 Zepp Osaka Bayside
2019年2月10日(日)宮城 チームスマイル・仙台PIT
2019年2月16日(土)福岡 Zepp Fukuoka
2019年2月17日(日)愛知 Zepp Nagoya
2019年2月22日(金)東京 Zepp Tokyo
2019年2月23日(土)東京 Zepp Tokyo
2019年3月9日(土)香川 高松festhalle
2019年3月10日(日)高知 CARAVAN SARY
2019年3月12日(火)岡山 YEBISU YA PRO
2019年3月13日(水)鳥取 米子 AZTiC laughs
2019年3月19日(火)兵庫 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2019年3月21日(木・祝)広島 BLUE LIVE HIROSHIMA
2019年3月23日(土)鹿児島 CAPARVO HALL
2019年3月24日(日)熊本 熊本B.9 V1
2019年4月7日(日)岩手 Club Change WAVE
2019年4月8日(月)福島 HIPSHOT JAPAN
2019年4月10日(水)栃木 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
2019年4月11日(木)群馬 高崎clubFLEEZ
2019年4月13日(土)長野 NAGANO CLUB JUNK BOX
2019年4月15日(月)新潟 NIIGATA LOTS
2019年4月16日(火)石川 金沢EIGHT HALL
ヤバイTシャツ屋さん “Tank-top Festival in JAPAN” TOUR 2019 〜追加ワンマン公演〜
2019年5月7日(火)東京Zepp Tokyo
2019年5月9日(木)愛知Zepp Nagoya
2019年5月14日(火)大阪Zepp Osaka Bayside
ヤバイTシャツ屋さん “Tank-top Festival in JAPAN” TOUR 2019 in サンリオピューロランド
2019年6月8日(土)サンリオピューロランド 1F エンターテイメントホール
2019年6月9日(日)サンリオピューロランド 1F エンターテイメントホール