ポタリが3ndフルアルバム『ポタリの3』を完成させた。前作『ポタリの2』で見せたポテンシャルが見事に開花した4人が新しいドアを開くことで辿り着いた今作には同期の導入やメンバー個々のスキルアップによるブラッシュアップされた全12曲が収録されている。ワンマンツアーを経てバンドとしてどうあるべきかしっかりと向き合ったことでよりバンドがバンドがなった印象も受ける。持ち前のポップさはそのままに、ロックバンドとしてのダイナミズムもしっかり加わった今のポタリが詰め込まれた『ポタリの3』についてメンバーにじっくり語ってもらった。
Q.今作『ポタリの3』はバンドの更なる可能性を押し上げるポテーンシャルの高い作品だなと。
鈴木:ありがとうございます!
中西:いつもはレコーディングとツアーをぎっしり詰め込んでいるんですけど、『ポタリの2』のツアーが終わってから2カ月くらい時間が空いたのでじっくり準備することが出来たのも大きいかもしれません。
Q.シングル「MONSTER」を聴いたときに「可能性のモンスター」という歌詞が頭に残っていて。『ポタリの2』はある意味ポタリのひとつの到達点のようなアルバムだったじゃないですか。でもまだまだポタリには先があることを「MONSTER」で感じたんです。そのとき感じた期待値を今作でしっかり超えてきたのでガッツポーズしちゃいました。
中西:嬉しいです。今回のアルバムを作るにあたってまず頭にあったのは『ポタリの2』でやれなかったことに挑戦しようってことだったんですよ。
Q.「可能性のモンスター」は4人の中にいてそれが飛び出してきたからこそ新しいポタリに進化しているんじゃないかなと。
鈴木:ポタリってずっとポップでキャッチーなものを追求してきたんですけど、『ポタリの2』を作ったことでロックな部分も突き詰めてみたいと思って。「MONSTER」のような攻めた曲もポタリとしてかっこよくやれるってことをもっともっと追求したくなったんです。だけど歌詞の世界はポジティブでいたいなって。それがポタリらしさだと思うので。
Q.ポタリがポタリのまま新しいフェーズに突入しようとしているのはアルバム冒頭の「途切れた呼吸」から強く感じます。「新しい私は始まってる」という歌詞が真っ直ぐ刺さりました。
鈴木:そうやって強く言い切れるきっかけをくれたのはやっぱり「MONSTER」が出来たことなんですよ。ああいうロックな曲で前向きなメッセージを歌えたことが私にとっては本当に大きかったので。でも「新しい私」に辿り着くために、そのきっかけとして過去の自分達の作品を振り返ったり、そのせいで迷ったりしたこともあって。
Q.過去の作品と向き合ったことでどんな迷いがあったのですか?
鈴木:過去に色んな人に評価して頂いた曲には何処か安心感があって。その安心感から振り返っていたりしたんですけど、そうじゃなくて、その過去を含めて新しい自分にならなきゃなって。それが今回の制作の中で出せたひとつの答えですね。
Q.そうやって全部を背負って次にいこうとしている意識は「途切れた呼吸」のメンバー個々のアレンジからビシビシ伝わります。
中西:今回、プロデューサーの江口さん(江口亮)にかなりアドバイスをもらっていて、バンドとして次にいきたいことを相談したら「まだ出来るまだ出来る」って厳しめにみてくれて。そうやって自分の限界を更新することがメンバー4人とも出来たんじゃないかなって思いますね。今までだったらOKにしていたことも「まだいける」って厳しめにジャッジして、家に帰ってからもコンポから流してみて吟味するっていう作業を繰り返しやったんです。
Q.その結果、元の限界値を超えた作品が出来たと。今回同期を取り入れているのもバンドの可能性をまた広げることに繋がると思いました。
内田:これまでは4人でライブで表現出来ることに拘っていたんですけど、音源は音源としてかっこいいものを作ることを追求しようと思って同期を導入しました。ライブで表現出来なくても楽曲が良くなるなら間違いじゃないと思えるようになって。
Q.ピアノがメインの「遠い君」もそうですよね。
内田:そうですね。抜くことを覚えたというか。
Q.引く部分と足す部分のバランスが秀逸なんですよ。「遠い君」はギターのフィードバックからの印象的なリフ、一気に音数が減ってベースで引っ張っていく感じ、跳ねるドラム、同期の入り方と、アレンジの強弱や曲の構築の仕方がめちゃくちゃかっこいい。曲が始まった瞬間の衝撃がとにかく凄かったです。
中西:江口さんと音で喧嘩じゃないですけど、意見の出し合いをめちゃくちゃしまして。とにかく始まりからパンチのある感じにしたかったので、江口さんの持っているエフェクターを色々試して、その中で一番衝撃のあるものを曲の頭に持ってきたんです。始まった瞬間に「この曲やばい!」って思わせたかったので。そういう意味では大正解でしたね。
Q.そういう新しいポタリが沢山ある中で「bestie」は原点回帰というか、これまでのポタリらしさが爆発していますよね。最初のコーラスの入り方とか「てっててー」を彷彿とさせますし。
鈴木:ああ!確かに!
Q.「てっててー」をブラッシュアップしたイメージなんですよね。このコーラスを聴いた瞬間に確かめたくなって『コネクトピース』を久し振りに聴きましたから。そしたら「てっててー」の勢いを持ったまま格段とレベルが上がってるなって。
茄子川:聴き方が凄い(笑)。
鈴木:この曲は茄子川が曲の種を持ってきたんですけど、歌詞も初めて茄子川が書いているんですよ。
Q.この曲を書くにあたってイメージしたものってありますか?
茄子川:さっき「てっててー」の話がありましたけど、自分の中でも原点回帰はひとつのテーマとしてありました。『ポタリの2』のツアーが終わって少し時間が出来たときに、色んなライブを観に行ったり自分が楽しいと思うことを優先的にやってみたんですよ。武道館で最前列でライブを観たり。そうやって色んな人のライブを観て何が楽しかったか考えたらみんなで一緒に歌うことが私はめちゃくちゃ楽しかったことが分かって。なのでみんなで歌えるキャッチーな曲を作ろうと思ったんです。
内田:確かに最近はライブで聴いていきなりみんなで歌えるような曲は少なくなってきてたもんね。
茄子川:そこをアルバムに落とし込めたらなって。
Q.凄くピンポイントですけどギターソロ直前のスネアの音が凄く好きです。
中西:あそこ、めっちゃくちゃかっこいいですよね。
茄子川:嬉しい。あそこは良い音で録れるように試行錯誤しました。
Q.そういう拘りは、拘った分だけちゃんと音に現れているなと。それと楽曲として「あじさい」の空気感も新鮮でした。歌の表情とか物凄いなと。こんなポタリもあったんだって。
内田:この曲は私が書いたんですけど、ナツの好きなように歌ってもらったのに仮歌が届いた時点で私のイメージに凄く近くて驚きました。歌の表情が本当に良いんですよ。
Q.それはバンドがよりひとつになってきている証拠かもしれませんね。言葉を交わさなくてもちゃんと全員が曲のイメージを共有している。
中西:「ランダムウォーク」も私が書いた曲に愛子が歌詞を載せたんですけど、歌詞が出来たときにイメージの共有が出来ていたんだなって思いました。この曲はどうしても愛子に歌詞を書いてもらいたかったんですよ。
内田:歌詞の頭で何かキーワードがあって言葉でノレるような歌詞っていうイメージを詠美から言われていたんですけど、詠美の言ってることと楽曲が一致していたのでスッと書けました。こうやって自分以外のメンバーが作った曲に歌詞を載せるにあたってギシギシする感じがなく書けたのは自分の中でも印象的なことですね。
Q.ラスサビに向かっていく中での曲の展開も面白い曲ですよね。
茄子川:想像していなかった展開だったので自分達でもかっこいいなって思います。
内田:クールで静かなかっこよさがありますよね。ベースは難しかったですけど(笑)。
Q.これは新しいポタリの引き出しだなと。あと、曲の作り方が4人とも違うし、そこにしっかりした個性があるので、まるでザ・ビートルズみたいだなと。そこがぶつかり合って認め合ってひとつの音楽になるみたいな。
内田:それめっちゃ嬉しい。
茄子川:クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」観ました?あのクラスのバンドでも音について言い合うんだなって思ったら私達と一緒なんじゃないかなって。
Q.一緒ですよ。ザ・ビートルズの映画「LET IT BE」も同じですからね。最後の最後まで全員が妥協しないで音でぶつかり合っている。
鈴木:だから私達ももっともっと追求出来ると思うんですよね。これまではアレンジ決めをするタイミングで私は別の曲にとりかかっていたりしたんですけど、今回はメンバーが曲に肉付けしていく過程も一緒にいたんですよ。そうやって曲が出来上がる工程を一緒に決めていけたのも大きかったと思います。
Q.良いですね。今のポタリのライブが凄く観たいです。「限りなく赤」とかはライブが浮かびます。
中西:この曲はライブで盛り上がるような激しい曲を作ろうと思って書いた曲なんですよ。
Q.全体的に疾走感のある展開ですが2番のリズムの変わり方とかただただ興奮しました。
中西:そこでびっくりさせてやろうと思って(笑)。実験的ではあったんですけどチャレンジしてみて良かったです。
Q.歌詞も攻めてるなと。
中西:身近にこういう恋愛をしている子がいて、。普段は妄想で書くことが多いんですけど、この曲はその子に憑依したつもりで書きました。私は自分のことは知られたくないので歌詞に書けないんですけど誰か主人公はいて欲しいので憑依しながら楽しんで書くことが出来ましたね。
鈴木:私も主人公になりきって歌ってますね。怒りと切なさのバランスを取りながら主人公の気持ちを大事に歌いたいなと。
Q.「君のままで」のような応援歌はポタリが歌うことでその効果がより増す気がします。
鈴木:「君のままで」は分かり易く誰かの背中を押す応援歌になったらいいなよ思って作りました。大事な人にどういう言葉を投げかけたらいいかなって思って書いていたらメンバーの顔が浮かんできて(笑)。
内田:ナツは悲しいことがあっても不機嫌にならないで前を向ける人なんですよ。そういう人だから書ける歌詞だなって思いました。ナツは誰かを元気にするパワーを持っている人だから、これからもこういうこういう曲を書いて欲しいし、それがポタリのひとつの筋になるんじゃないかなって思いますね。
鈴木:嬉しいなあ。
中西:ナツは私が持ってないものを持っているので。ナツの放つ言葉って私には凄く眩しく感じるんですよ。そういう言葉と歌の力で色んなものをこじ開けてくれるなって思っています。
茄子川:「MUSIC」くらいから変わったなって思いますね。
鈴木:さっき詠美が「眩しい」って言ってくれたけど、自分の弱さとか駄目な部分も書いていきたいなと思っていて。聴いてくれる人も弱い部分とか持っていると思うんですけど、そういうところも許せるような曲を作っていきたいと思っています。
Q.「サタデーナイト」には「涙を許そう」という歌詞がありますが、男の子だから泣いちゃ駄目ってイメージの刷り込みがある中で泣いてもいいんだなって、そこを許してくれるんだなっていう、優しさと温かさを感じました。「bestie」でも「弱さ受け入れる勇気」という言葉に救われましたし。泣くことや弱さを受け入れることって男の子だから駄目だと思っていた時期もあるんですけど、そこを認めることで強くなれるかもしれないなって。
鈴木:横でマネージャーが泣きそうになってる(笑)。
中西:凄く良い話。
茄子川:今日くらい泣いてもいいんですよ(笑)。
内田:大人になると中々泣けないですよね、男の子だから。
茄子川:だけどたまには男の子でも泣けばいいんですよ。
Q.「永遠」から「サタデーナイト」の流れとか完全に泣けますからね。「永遠」は家族、恋人、身近な人、色んな人に当てはめて聴ける大きな意味でのラブソングだなと。
鈴木:恋愛のバラードを書きたいと思って「永遠」を書いたんですけど、私はずっとバンドばかりやっているので恋愛の歌を書くのが苦手で。でもこの曲はやっぱり恋愛のバラードにしたかったから書き始めたんですけど、さっきの「君のままで」じゃないですけど、結局思い浮かぶ顔はメンバーなんですよ。私は結局そこなんだなって。何パターンも歌詞を書いてチェックしてもらうんですけど、恋愛を想像して書いても上手くいかないのがメンバーを想像して書くとOKが出るんです。どれだけメンバーが大事なんだって(笑)。
Q.そこはリアリティなんでしょうね。だからこそ聴く人も自分の大事な人の顔を思い浮かべ易いのかも。
鈴木:「永遠」ってタイトルの通り、ずっと続いていく大きな愛の形を曲に出来たと思うので嫌なことや不安に思うことも乗り越えていける大事な人を想像して聴いて欲しいです。
Q.今回のアルバムって凄く自分の生き方、生活とリンクすることが多いので、そこを見つめ直すきっかけになる作品だなって思うんですよ。
茄子川:え、凄い。このアルバムのテーマを決めるときに「生活の中で感じたことを曲にしたいよね」って話をみんなでしたんですよ。ビビりました。
中西:そうやってメンバー個々が自分自身や生活と向き合いながらも最終的には4人でひとつのものになるということを掲げていたので、その為にはどういう自分になるべきかを考えたんですよね。
Q.そうやって全員が自分の中の可能性のモンスターを呼び起こしたことで出来上がったアルバムなのでめちゃくちゃ強く感じるのかもしれないですね。アルバムの曲を早くライブで聴きたいです。
鈴木:私達も早くライブがしたいです。今回のアルバムは同期も入れているのでライブはライブでまたイメージを練り直すことになると思うけど、そこも含めてめちゃくちゃ楽しみです。
内田:ライブで活きるロックチューンも沢山あるし楽しみですね。「君のままで」とか「サタデーナイト」がライブでどうなるかはまだ想像出来ないですけど(笑)。
Q.確かに「サタデーナイト」はライブでどうなるか楽しみですね。
内田:可能性が広がり過ぎた曲なので(笑)。でも楽しんでもらえるように仕上げたいです。
鈴木:音源とライブで同じことをしなきゃいけない訳じゃないですからね。ライブはライブでどうなるか楽しみにしていて欲しいです。まだまだもっといけるので!
リリース情報
タイトル:ポタリの3
TRISE-0031/¥2,500(税込)
2019年2月6日発売
¥2,500(tax in) TRISE-0025
『ポタリing TOUR 2019 ~あなたのbestie“参”上!~TOUR』
■対バン編
2月15日(金) 神奈川・横浜BAYSIS
2月17日(日) 富山・富山SoulPower
2月23日(土) 福島・郡山PEAK ACTION
2月24日(日) 宮城・仙台FLYING SON
2月25日(月) 新潟・新潟GOLDEN PIGS BLACK
3月03日(日) 静岡・静岡UMBER
3月05日(火) 広島・広島セカンドクラッチ
3月06日(水) 福岡・福岡Queblick
3月07日(木) 山口・周南rise
『ポタリ東名阪ワンマンツアー2019』
3月16日(土) 東京・渋谷TSUTAYA O-Crest
3月23日(土) 大阪・心斎橋PANGEA
3月30日(土) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
http://potali.jp