Five State Drive

名古屋発SKA PUNKバンド、Five State Driveが1st mini album『We’ll be the Next』をTHE NINTH APOLLOよりリリースした。2013年の結成以来、地元名古屋のライブハウスを中心にコンスタントに活動を続け、これまでに4枚のデモ音源のリリース、大型フェス「FREEEDOM NAGOYA」出演など着実にステップアップしてきた彼ら。Five State Driveの集大成であり、スタートでもある今作『We’ll be the Next』には彼らが愛してやまないSKA PUNK、カルチャー、シーンに対する愛と敬意が詰め込まれており、随所から感じる90年代リスペクトを2019年のものとしてアウトプットしている姿勢には無条件で興奮する。彼らのようなバンドの登場を待っていた。シーンの台風の目となるであろうFive State DriveのMontero、Yoshikiにインタビュー。

 

 

Q.まずは結成の経緯から聞かせて下さい。

Yoshiki:前のベースに誘われてSKA PUNKをやることになって、まずギターのHoraを誘ったんですよ。それでHoraの友達だったMonteroに歌ってもらうことになって。それが21歳の頃です。当時はまだ全然学生の遊びのノリでしたけど(笑)。

Montero:当時僕はラーメン屋の店長をしていたんですけど、Horaからバンドに誘われて入りました。それまでは銀杏BOYZや9mm Parabellum BulletやHEY-SMITHのコピーバンドをやってたくらいだったんですけど。

 

Q.結構バラバラですね。ルーツはどういう音楽なんですか?

Montero:僕は中学からパンクを聴いていて、高校生の頃はSHANKのライブによく行ってました。就職してFive State DriveをやるようになってからYoshikiの影響で聴く幅も拡がっていきましたね。

Yoshiki:僕は地元が金沢なんですけど、バンドがツアーで中々来ない街なんですよ。だからシーンとかとは無縁の環境で生きていたんですけど、そんな中で先輩がFat Wreck ChordsやEpitaphのバンドや90年代のパンクを教えてくれて。その影響は大きいですね。

 

Q.確かにNO FUN AT ALLやMILLENCOLINのようなメロディックの中にSKA要素を取り入れたような印象を受けました。

Yoshiki:それKEMURIの津田さんにも言われました!

 

Q.あとTHE SUICIDE MACHINES感もありますよね。

Yoshiki:SKA PUNKバンドを組むときに地元の先輩に「絶対に聴いておけ」って教えてもらったのがTHE SUICIDE MACHINESだったので、めちゃくちゃ聴きました。完全にルーツですね。あとはMIGHTY MIGHTY BOSSTONESとREEL BIG FISHも。

 

Q.Five State Driveはこの6年間で4枚のデモをリリースしていますが、バンドにとって転機となった時期ってありますか?

Montero:2年くらい前にHoraとYoshikiが留学して半年くらい活動を休止したことがあるんですけど、帰ってきたくらいからバンドを真剣にやるようになった気がします。ライブも良い感じに仕上がっていって。

Yoshiki:Horaの人生設計の中で留学することは絶対だったみたいで。そこに僕も便乗して留学したんですけど、色んな経験をする中で結果的にバンドをやるために大学を辞めたので、やっぱりあの頃が転機だったと思いますね。

 

Q.その時期くらいからライブハウスで名前を本当によく見るようになりました。

Yoshiki:ちょうどその頃から大きいステージにも立たせてもらうようになりました。今回のアルバムの最後に収録している「Theme of FSD」では初めてパンパンのライブハウスでライブしたときのライブ音源も入れているんですよ。

 

Q.THE NINTH APOLLOからのリリースも念願だったのではないですか?名古屋のバンドとしても久し振りのTHE NINTH APOLLOリリースだと思いますが。

Montero:縁ですね。

Yoshiki:旭さん(THE NINTH APOLLO)は結構昔から僕達のことをチェックしてくれていて。2014年くらいかな。一昨年の10月に声を掛けて頂いて今回のリリースに繋がったんですけど、THE NINTH APOLLOからリリース出来たことは本当に嬉しいです。

 

Q.流通盤1枚目として本当に完璧な作品だなと。Five State Driveらしさが詰め込まれていますよね。もうタイトルからして最高です。これはハイスタのオマージュですか?

Yoshiki:完全にハイスタです(笑)。めちゃくちゃ影響受けているんですよ。これは「Who’ll Be The Next」に対する僕らのアンサーです。

 

Q.その気持ちは「Anthem」にも溢れていますよね。とにかくライブハウスに行きたくなります。

Yoshiki:大きいフェスにも出たいけど僕らのステージは小さなライブハウスのステージなんですよ。地方のシーンも含めて。そういう気持ちを「Anthem」には込めました。

Montero:この曲は歌から始まるんですけど、そういう曲が今までなかったのでアルバムの1曲目に持ってきました。

 

Q.「OFF THE WALL」のギターリフで涙腺で緩みました。こういうメロウなリフも武器のひとつですよね。

Yoshiki:「OFF THE WALL」はCATCH ALL RECORDSのコンピ『MAXIMUM ROCK’N’ROLL2』にも収録していた曲なんですけど、その時とはリフを変えているんですよ。メロウな感じに振り切って作ったリフなのでそう言ってもらえると嬉しいです。

 

Q.SKAパートから昇り詰めていくようなギターの流れも気持ち良いです。

Yoshiki:あのアイデアはヤマダ電機ですね(笑)。ヤマダ電機の曲に聴こえません?

 

Q.そう言われたらもうヤマダ電機にしか聴こえません(笑)。そういうちょっとふざけている感じはNOFXっぽさもあって最高ですけど(笑)。

Yoshiki:まさに、そういうイメージですね。SUM41とか。

 

Q.そういう面もありながら「Donʼt Let Me Down」や「F**K YOU」のように怒りが根底にある曲もあって。

Yoshiki:そこがパンクの本質だと思っているので。「Donʼt Let Me Down」は反体制をテーマにしている曲ですし。

 

Q.「F**K YOU」はもう少し個人的な怒りがテーマになっていると思うのですが、曲自体は明るいアプローチなのも面白いです。

Montero:明るいメロディに悪口を乗せてみました(笑)。この曲は「もうお前とは会いたくねえ」って奴に対する気持ちをぶつけています。

 

Q.具体的な相手がいるのですか?

Montero:いるけど控えます(笑)。

Yoshiki:昔の上司でしょ?

Montero:そう、金髪のヤンキーの先輩が嫌過ぎて。って控えてない(笑)。

 

Q.あははは。少し話を戻しますが「Donʼt Let Me Down」の一瞬のベースソロからギターソロに繋がってオクターブ下がって歌に入る畳みかけが本当にかっこいいと思ったのですが、ああいう小技が凄く多いですよね。

Yoshiki:たぶん色んな音楽が好きなので、色んな場所から色んな影響を受けているんだと思います。「Donʼt Let Me Down」に関しては和のテイストも入れてみたり。

 

Q.海外のバンドからの影響が大きそうですが、日本のバンドからも影響は受けています?

Yoshiki:ロックを聴き出したのは幼稚園の頃に聴いたハイロウズがきっかけで、中学でエルレやハイスタ、高校でF.I.Bをどっぷり聴いていました。PIZZA OF DEATHの存在は僕の中で大きいですね。

 

Q.Five State DriveのライブはF.I.Bのライブに通じるものがありますよね。

Yoshiki:それ、めっちゃ嬉しいです。

 

Q.ザ、SKAソングな「Mancheese」も最高ですが、「Mancheese」ってどういう意味なんですか?

Yoshiki:これはオフレコですね(笑)。

Montero:まあ、ヤーマンみたいなものだと思ってもらえれば(笑)。

 

Q.なるほど(笑)。この流れでSublimeの「Santeria」のカヴァーがくるのも素晴らしい。

Yoshiki:「Santeria」は1stデモにも収録しているんですけど、本当に昔からずっとやっている曲なんですよ。レーベルからは「デビュー作でカヴァーを入れるのはどうかな」って意見もあったんですけど、自分達の育ったカルチャーを提示したかったので、今作に入れることにしました。

 

Q.途中でNOFXの「Linoleum」のリフが登場するのもニヤリとしました。

Montero:やっぱそこですよね!

Yoshiki:この曲をバンドマンに聴かせるとみんなそこを突っ込んでくれるんですよ(笑)。あと、Street Manifestoが「Linoleum」を逆にレゲエカヴァーしていて「こういうアプローチの仕方もあったんだ」って思ったら、そっちのバージョンをQUICKDEADがカヴァーしたり。なんかそういうカルチャーを大事にしたいんですよね。

 

Q.カルチャーという意味では、Five State Driveはカラオケ店でのスタジオライブ企画も行っていますよね。「Hotbox Battlefield」はまさにあの熱気が歌われているなと。

Yoshiki:「まねきねこ」っていうカラオケ屋で企画をしたんですけど、スタジオの安い機材で楽器は生音、灼熱の中でスタジオライブをしたんです。アメリカのシーンを見るとNEW FOUND GLORYが教会でライブをしていたり、ライブハウスだけじゃなく自由な環境でライブをしていて。あのわちゃわちゃした空気を作りたくて僕らは空調も効いていないようなカラオケ屋でライブをしたんですけど、そのテーマ曲として作ったのが「Hotbox Battlefield」です。

 

Q.「生」というライブビデオでFRUITYが96年に高円寺のスタジオでスタジオライブしているビデオがあるんですけど、当時めちゃくちゃ憧れたんですよ。Five State DriveのスタジオライブはFRUITYのあのライブを彷彿とさせられました。

Yoshiki:TNXのマレーシアツアーで、普通の家にギュウギュウに人が入ってやってるライブの映像を観たんですけど、それが本当にやばくて。自分達でもそういうライブがやりたくて去年実現させたんですよ。またやりたいですね。

 

Q.アルバムを占める「Theme of FSD」はもう全部詰め込まれているなと。

Montero:ライブでも鉄板の曲ですね。

Yoshiki:タイトルのまま、僕らのテーマ曲です。5年前くらいからやっている、10分くらいで出来た僕らの集大成です。

 

Q.そしてCDを買った人だけが楽しめるボーナストラックも収録されていますが、これもカルチャーですよね。こういう仕掛けはCDを買う楽しみのひとつでもあると思いますし。

Montero:これまでのデモでもずっとやってきたので、流通盤でも絶対やりたかったし、これからも恒例にしていきたいですね。

 

Q.流通盤が出て、またバンドの状況も変わると思うのですが、今Five State Driveがやってみたいことってありますか?

Montero:自分達主催のフェスはいつかやりたいですね。

Yoshiki:横浜の「PUNKAFOOLIC!BAYSIDE CRASH」ってフェスが大好きで。海沿いでトラックのウィング車でライブをするんですけど、あの空気が最高で。あれをいつか名古屋でやりたいですね。

 

Q.Five State Driveは同世代だけでなく、THE STARBEMSやNOT REBOUNDを自主企画に呼んだりと、面白い企画の打ち出し方をしていますよね。

Yoshiki:そういう架け橋になれたらなって思ってるんですよ。あと、90年代のテーマとしてDIYがあったと思うんですけど、今のバンドって裏方に頼り過ぎだと思っていて。それって全然かっこ良くないじゃないですか。そういう部分も含めて、今の時代の中でどうやってあの頃のかっこ良さを追求出来るかは凄く考えています。

 

Q.Five State Driveは活動スタイルも楽曲スタイルも90年代だけど、ちゃんと2019年なんですよ。最新の今を叩きつける温故知新スタイルだなと。

Yoshiki:ありがとうございます。懐かしいけど最新って良いですね。僕らを入り口に同世代や若い世代が色々知ってくれたら嬉しいし、上の世代には「今こんなバンドがいるんだ」って思ってもらえたら嬉しいです。


Five State Drive
タイトル:We’ll be the Next
2019年6月19日発売
1500円(+税)
TNAD-0118

LIVE
6/28 上前津club Zion <ツアー初日>

7/14 神戸太陽と虎
7/21 豊橋club KNOT
7/27 千葉LOOK
7/28 横浜F.A.D

8/4 柳ヶ瀬ants
8/17 水戸LIGHT HOUSE
8/18 八王子RIPS
8/25 京都MUSE
8/31 心斎橋BRONZE

9/1 岡山CRAZY MAMA 2nd ROOM
9/8 金沢vanvanV4
9/28 高知ri:ver
9/29 高松RIZIN’

10/12 苫小牧ELLCUBE
10/13 札幌KLUB COUNTER ACTION
10/26 大分club SPOT
10/27 福岡Queblick

11/16 尾道BxB
11/17 出雲APOLLO

12/7 仙台FLYING SON
12/8 秩父ladderladder
12/14 松本ALECX
12/15 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE

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