不完全密室殺人 舟橋孝裕-COLUMN-
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不完全密室殺人

不完全密室殺人/JONNY/
パイプカツトマミヰズ - 舟橋孝裕(Ba)

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2012年09月
2012年05月

-September 2012
Woooops!!
気がつけば随分と間が空いてしまいましたね。2YOU編集部の皆様、WEB担当者様、申し訳ないです。
更新をサボッていた間何をしていたかというと、そうですね、前回の「コラムのグルメ 今池 〜深夜営業のラーメン屋編」でも触れた大丸ラーメンが閉店するというのでそれに心を砕いておりました。まっこと、申し訳ありません。
さて、それでは早速第二回「栄 〜24時間営業(?)の本格うどん屋編」です。


1.
一体、この辺りの「住人」はいつ眠っているのだろう?
道端にたむろする若者、曲がり角で沈んだ目つきで辺りを眺める外国人の女性etc.、皆が皆夜の住人ばかりだ。率直に言ってしまえば、夜の仕事の人間と外国人、そしてバンドマンがうろついている界隈であると言っていいだろう。どこか猥雑で、そして活気に満ちている。路地を数本挟んだ向こうは閑静な住宅街だったりするのだが、この小路は数十メートルの決まった区間、人が絶えるという事がほとんどない。
夜の匂い、だなあ嫌いじゃないなあ。
思わず深呼吸する。口から吐き出した息が白い。今夜は殊更に寒かった。連れ合いがいないので、尚更かもしれない。不慣れな路地の一人歩きが、そしてそおを行き交う人々が体から発散する活力とのギャップがコートの隙間から差し込んでくる寒さと一緒に僕を苛む。
ああ、早く暖かいものが食べたいなあ…。
自然と歩調も早くなる。
この辺りだと、聞いたのだが…。
果たして、目的の店はすぐに見つかった。その小路の帯びる猥雑さを兼ね備えた活気、雰囲気からすればちょっと異質に映ってしまう程の、どこか格式を感じさせるホテルの一階にその店は居を構えていた。
店の前に設置されている身の丈以上もあるサンプル展示棚、その中を眺める。成程、噂通りの分量らしい。
ほぼ24時間営業で、中身を何玉に変更してもお値段据え置きのうどん屋がある、と聞いたのは友人からだった。僕が深夜に大量の麺類を食らう事を好むと知っての事だろう、「是非行ってみるといい」と場所を教えてくれた。
それで、寒い冬の夜にぶらりと行ってみたというわけだ。

2.
入店するとこれまた品の良い雰囲気に一瞬驚かされる。
上品にまとめあげられた内装、キビキビと、しかし静かに動き回る店のスタッフ達。しかし幾つか設置されているテーブル席に座っている客達の雰囲気というのはこの時間のこの街そのままで、そのギャップがこの店の独自性を醸し出している。
どうやら、夜の仕事明けの人間達もここを利用するらしい。
成程ね、って事は悪くないって事か…。
その街で働く人間が寄り付かないっていう事は、その飲食店が優れていないと言っているようなものだ。メニュー表を手に取りながら少しずつ高まってくる期待を楽しむ。
メニューにざっと目を通すと、一番リーズナブルなきつねうどん(500円)からクリームシチューうどんや鍋焼きうどんまでうどんの種類は様々で、また、飲みに来る人間も少なくないのだろう、酒の肴も多く用意してあるらしかった。
とりあえず、うどん、だな…ズルズルッと啜れば食道も胃袋もあったまるってもんだ。さて、何にしたもんか…。
さてきつねうどんかそれとも肉うどんか、と悩む僕の視界の中で、ホスト風の男性が同僚と思しき男性と会話に興じながらカレーうどんを啜るのが映った。
…カレーうどんか。
いいね。
何でも、サラリーマンが昼飯時に入店したそば、うどん屋で先客がカレーうどんを食べていた場合、そのサラリーマンもカレーうどんを食べる可能性が極めて高いそうだ。
カレーうどんは、連鎖する。
初回からカレーうどんっていうのもなあと思われる向きもおられるかもしれないが、なあに、今やカレーうどんはうどん屋のスタンダードメニューですよっ、と。
「すいません、カレーうどんを下さい」
「はい、何玉にされますか?」
「え…じゃあ、4玉で」
「かしこまりました」
しまったな、メニューを眺めるのに必死で何玉食べるかじっくり考える余裕がなかったぞ…。一体どうなる事やら。

3.
「おまたせしました、カレーうどん4玉です」
…洗面器。まっ先にそう思った。僕の眼前には僕の顔面がすっぽり入りそうな大きさの丼と、その中に並々と注がれたカレー汁(粘度は高め)、そしてその中を泳ぐうどん4玉が屹然と存在していた。何て存在感だろう。
しーまったなあ、喰えるかなあ。
早くもビクビクすくみあがってきた胃袋に檄を飛ばし、早速うどんをすする。
ズッ、ズルッ、ズルズルッ
…お、旨い…。
そのカレーうどんは所謂「お蕎麦屋さんのカレー」的な味わいではあれども多層的で重厚、そして中に入っている肉片も気持ち程度のものではなくしっかりと存在感のあるもので食べ応えがあり、うどんのゆで加減も絶妙で実に旨いものだった。
ズズッ ズッ モグッ モグモグ
それにしても…
ズズッ
カレーうどんっていうのは良くも悪くも曖昧な食べ物だな…
ズズズ
粘度のあるカレー汁の影響でうどんの持ち上がりが悪く、啜ってるっていう感覚が希薄だ…
ジュルッ ジュルッ
でもまぎれもなくうどん、なんだよなあ。この曖昧模糊とした感じが愛されるのかもしれない。
ズズズッ
それにしてもこの店の客層っていうのは、凄いな。皆一体いつ寝てるのだろう…。
ズズズッ
飲んだ後に食べるにしては、この店のこの値段据置システムっていうのはどうにも…
ズズッズズ ブスッ
いたずらに量を増やしてしまいがちになるな…
ゴッ ズズッ
何だか酷く、酷く現実味がないな…

4.
食べ終える頃にはすっかり体も温まっており、むしろ汗ばむ程だった。カレーうどんが熱かったのではない。発刊は、大量のカレーうどんを食べるというある種のスポーツに起因していた。寒暖の差が、心地良い。
僕はまた一人とぼとぼと歩きだした。
それにしても。
それにしても、この時間にああいう本格的なうどんを、この街で食べられるっていうのは嬉しいサプライズだな。どれもこれも組み合わせるにしては意外過ぎて何だか狐に騙されたような気分だ。
勿論、カレーうどんの、飲食物の中ではとりわけ曖昧模糊とした存在感もそれに一役買っているには違いなかった。


所属バンドの近況:
不完全密室殺人:2006年から続けてきた不完全密室殺人ですが、先日解散致しました(詳細はhttp://funahashiiiiiii.blog.fc2.com/blog-entry-1537.html)。
JONNY:10月2日に新宿JAMで自主企画を行う他、この秋は名古屋以外の地域での公演が多めです。詳しくはhttp://www.jonny-web.com/まで。
パイプカツトマミヰズ:つい先日、マイペースなこのバンドにしては珍しいく3連戦を終えまして、色々と得るものがありました。今後も色々と、仕掛けます。now & then records(http://nowandthenrecords.net/)という福岡のネットレーベルにて音源の取り扱いが始まりました。是非お買い求め下さい!
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