BRAHMANの4人と、アメリカ出身のMARTIN、パーカッショニストKAKUEIからなるO.A.Uがアルバム『OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND』をリリースしてから早3年4ヶ月。アコースティック・バンドでありながら、所謂アコースティックの枠の中に納まらない自由な音楽性を見せたつけた。彼らの最新作『New Acoustic Tale』からは更なる自由な発想と、確固たる信念が見え隠れする。3年4ヶ月という期間は彼らにどんな変化をもたらしたのか?そして変わらぬものは何なのか?TOSHI-LOWに話を聞いた。

 

Q.フルアルバムとしては3年4ヶ月ぶり、ミニアルバムからでも2年ぶりということですが、何か気持ち的に変化はある?

TOSHI-LOW:どうなんだろ?まぁBRAHMANも時間かかるし…。もうそんなに経ったんだって感じ。

Q.前作では「難しいことよりもベーシックなことをやろうと思った」って言ってたけど、今回は何かテーマを決めて作ったのかな?

TOSHI-LOW:気持ち良ければいいかなっていう。何の制約もないし。それがもっと楽器的なものになるかと思ったら、意外と歌的なものになっているな、とは自分たちも終わってから気付いたというか。


Q.前はまだ自分たちの全体像が掴めてなかったと思うんだけど、今はどう?

TOSHI-LOW:やっと楽器に慣れてきたというか、こういうスタイルのバンドに慣れてきたように感じるね。バンドって変なもんで、バンドが出来る前…出来る前というか、3年以下だとバンドが「鳴らない」んだよね。やっとバンドが鳴りだしてきたというか。バンドとして奏でるものがやっとでてきているのかなぁと。


Q.今のO.A.UってTOSHI-LOW君にとって、どういう存在なの?

TOSHI-LOW:バンドにそんな分け隔てて考えてないし、O.A.Uも一つの表現としてとても面白いものだと思ってる。
やり始めた当初は「やんなきゃよかったな、面倒クセェし」とか思ってたけど(笑)。歌も静かに上手く歌えないし(笑)とか思ってたけど。やってくなりにちょっとずつ、BRAHMANだけでは見えないものが、これを通して見えるんだなってことが分かってきた。その、どっちが本当とかでもなくて、両極端なものがやっぱり好きなんじゃないかなぁっていう思いもあるし。
…やっぱりインタビューだと、こういう質問されるじゃない?BRAHMANなんですか?O.A.Uなんですか?みたいなさ。でも、そんなんさぁ…カラオケで歌うのも音楽だと思うし、フォークギターで一人でポロンとやるのも音楽だと思うし、バンドで奏でるのも音楽だと思ってるから。どれでもいいというか…。歌の根底なんてBRAHMANでもO.A.Uでも一緒だと思ってて。


Q.例えば、岐阜にSTAB 4 REASON / STAB 4 REASON AND THE STYLESがいるよね。

TOSHI-LOW:今はDUB 4 REASONもあるしね。

Q. 一個のバンドとしてやっても良いのかもしれないけど、あえて別のバンドとして活動してるでしょ。BRAHMANとO.A.Uもそうだと思うんだけど、「あえて分ける」っていうのは何故なんだろう?

TOSHI-LOW:どっちもスゲェ好きだけど、コリアの料理とイタリアンを一緒に出されてもっていう。別の日で良くない?みたいなさ(笑)。じゃあ、どっちが好きなんですか?って言われたら、別にそういうもんでもないし。食べたい気分じゃん?こっちが必要な人はこっちに集まればいいし、そっちが必要な時はそっちに集まればいいし。
ホントはもっと大きなコミューンでやれてれば分かりやすい話しなんだろうけど、いかんせんバンドのコミューンが小さいからさ。BRAHMANの4人が全部活動するっていう方法だし。そういう意味で言ったらSTAB 4 REASON / STAB 4 REASON AND THE STYLESなんて先駆者だと思うよ。実際THE STYLES観て「こういうことやりたい」ってヒントにしたっていう話もカメ君(STAB 4 REASON / STAB 4 REASON AND THE STYLESのギタリスト)にしたし。頭のどっかにずっとあって。
O.A.Uを始める時に「THE STYLESがあるから」ってことじゃなくて、「あれ?このやり方誰かがやってたな」と思ったら、それが「カメ君だ!」と思って。それで「いいんだ。間違ってない」って思ってさ。


Q.前にBRAHMANのインタビューで「人間的に成長するために」必要なことでもあるって言ってたけど、O.A.Uを続けることで何か糧になってきてる?

TOSHI-LOW:まだねぇ、そんな糧かどうかって分かる年頃でもないので。歳は取ってきてるけど、まだそういうのは分からないというかね。もしかしたらもっと何年も経った時に、もっと響いてきたり、こういう表現があって良かったのかなって思うのかもしれないし…とは思う。どうなんだろ?…あんまり瞬発的にやって、分かってもらえるものではないと思ってるしね、特にO.A.Uは。


Q.アルバムタイトルの『New Acoustic Tale』にはどんな意味があるの?

TOSHI-LOW:特に意味はないよ。全然触れなくてもいいと思う(笑)。…まぁオフレコだけど「***************」をもじってる。


Q.ああ!!なるほど!これはオフなの!?

TOSHI-LOW:あんま面白くないじゃん!?


Q.いや、絶対面白いって。

TOSHI-LOW:(笑)まぁ気付く人だけ気付いたらいいんじゃない?ホントはさ「New」じゃなくて「Neo Acoustic Tale」にしたかったんだけどさ、そうすると「ネオアコ」になっちゃうから、どうしよう?ってなってさ。じゃあ「New Acoustic Tale」でいいやと思って。


Q.やっぱり面白いと思うよ。だって、あの時のあの空気って、すごい新鮮で時代が動くっていう感じがあったし。

TOSHI-LOW:ね、動く感じがあってね。カッコ良かったな…タイトルもカッコ良かったしね。あの頃のイベントってみんな面白かったから。「異形の王国」とかさ。何か面白かったなぁあの辺の時代。


Q.そういう「新しい何か」を提示したいっていう気持ちもあったりするの?

TOSHI-LOW:でも、提示したいとか、引っ張りたいとか、シーンを作りたいとかって全くなくて。地元も、あるようで今東京住んでるから地元意識もないし。何かを頑張って変えたいっていうのは…よく考えたらバンドやってて一回も思ったことねぇなって。それよりも、自分が影響受けたものとか、90年代頭ぐらいにあったものっていうのは、どうやっても超えられないぐらい好きだし、今でもボロボロ出てくる。
あの頃観てたバンドのライブをいまだかつて俺は一回も超えてないと思ってる。憧れもあるしね。でも、それはそのままでいいのかなって思ってて。俺が今さらニューキー(NUKEY PIKES)のすごさを伝えようとしても無理だしね。


Q.確かにその場で感じないと無理だろうね。

TOSHI-LOW:ただ俺らは、あの匂いのところにいることができた世代でさ。俺らの世代って良かったんじゃないかなって思うんだよね。下手すりゃ前のバンドブームから見てるじゃない、中学の頃とかさぁ。そこから今までの日本で起きてるバンドの流れって、ほとんど見てるじゃん。特にパンク以降のって。それってすごい面白いよね。
まぁ、そんなこと言ったらTAYLOWさん(the原爆オナニーズ)なんて全部見てるけどね(笑)。シド・ヴィシャス見たことあるんだしね。「居たよ」つって(笑)。


Q.この作品で伝えたいことってなんだろう?

TOSHI-LOW:とにかく聴いてもらいたくて。ジャンル・レスみたいなのが軽く「何でもかんでもごちゃ混ぜにすればいいよ」みたいな雰囲気になってきたじゃない?俺たちが言ってた頃のミクスチャーと何か違うっていうかさ。あん時のミクスチャーっていうのは主義主張がある中で、もう一個ジャンルを飛び越えた面白さがあったと思うんだけど…今はもう完全に…。
デス声を使ってる主義主張もなく、音的に派手だからそうしてるようなさ。あんまり意味もないっていうか。


Q.サイコビリーとハードコアが好きで…とかではないってことかな。

TOSHI-LOW:そうそう。そうではないよね。だから、そういう意味のジャンル・レスとかボーダ・レスではない…。どっかに音楽のルーツとか主義主張がある。それは前には出してないだけであって、音楽を聴いてる人には感じると思うので、そういう人には是非聴いてもらいたい。アコースティックだけでどんだけ出来るんだっていうのは実際やってみてもいるし。そういう面白さに気付く人たちもいると思う。商店街の中で一人でポロンとやるのがアコースティックなんだ、っていうのではないと俺は思ってるから。結構面白いっていうか。
音楽から離れてる人にも、もう一回音楽を持ってもらいたいなっていうのもある。最近、再結成とか多いじゃん?俺、再結成とか腹立ってたんだよね。何だよ、辞めてたくせにさぁ、いきなりノコノコでてきてさぁ、コークヘッドがさぁ(爆笑)とか思ってたけど…。でもさぁ、やっぱりやってくれるのってうれしくてね。横であん時の曲を…この人ハゲたなぁなんて思いながらさぁ(笑)。でも、やっぱりカッコ良くて。もし続けられるんだったら、ずっと…音楽というものをちゃんと自分の傍らに置いて、あと自分の生活をするっていうスタイルでさ。


Q.自由奔放でありながらもしっかりと芯があるように感じるのは、そういう気持ちが込められてるからなんだろうね。

TOSHI-LOW:感じてもらえなかったら分かんないけど(笑)、そうだったらいいなぁとは思うよね。やっぱり芯なんて作ろうと思って作れるもんじゃないからさ。「何とか主義」みたいなの挙げちゃえばバンド的には太さみたいなものが出るだろうし、そのカッコ良さも知ってるけどね。
俺たちみたいな雑食の人たちっていうのは、色んなものを食べながら吟味してって、好きなものを残してって、最終的にどうなるのか?みたいなものだと思ってるしさ。


Q.もちろんアイリッシュの色もあるし、アコースティックなんだけど、根っこにはやっぱりパンクを感じるんだけど。

TOSHI-LOW:結構そういうの大事っていうか。俺たちが、葉加瀬太郎みたいなことやってもつまんないと思うし。いくらバイオリンがセットにあるからって、いきなりニューエイジみたいなことやってもね。スーパーのBGMみたいになっちゃう(笑)。


Q.アコースティックなんだけど、エレキを使ってるよりも刺激が強いかもしれないね。

TOSHI-LOW:余計と人間の中身が見えてくると思うしね、爆音で出来ない分。聴いてるほうも、何を聴くのっていったら空気感みたいなものを聴くんだろうし。やっぱり街中で歌ってるコピーレベルだとしたら、それがそのまま出ると思うし、もし訴えるものがなければさ。
結局、聴く側だと思うんだよね、決めるのは。やってる側がどんなこと発信しても、聴く側がどう受け取るかっていうさ。「これは高くて美味しいんですよ」って言っても「まずくて安っぽい」って思われたらそれまでだし。それはもちろん受け止めるけど、一口食ってもらいたいなっていうのはある。


Q. BRAHMANから入ってO.A.Uにハマっていくっていうのもありそうだね。

TOSHI-LOW:俺、逆がほしくて。むしろO.A.Uだけ好きとか、BRAHMANは嫌いとかね(笑)。それでも全然良くて。


Q.個人的に6曲目の「The World」がすごい好きなんだけど、あれなんてBRAHMANが好きな人が聴いたら絶対好きになると思うよ。

TOSHI-LOW:そうなんだよね。俺たちもああいう感じの曲ばっかりやるのも可能だったんだけど、やっぱりちょっと抑えたかったというか、あの(アルバムの)感じにしたかった。何かPoguesチルドレンの子達がPoguesっぽい曲ばっかりやってしまうとさ、ちょっとつまんないじゃん。やってることはすごくカッコ良いんだけど、飽きてきちゃう。結局ほしいのは、もっとそれ以上のオリジナリティだし、絶対に必要になってくるからさ。


Q.そういう意味で言うと5曲目の「UKIGUSA」なんかはアイリッシュっぽくもあり、そこに乗る歌は叙情的で日本的で独創的じゃない?

TOSHI-LOW:日本っぽいよね。良いにつけ悪いにつけ俺の手癖が出てるからね(笑)。手癖、歌癖はどうしても出るよね。


Q.本当に全曲素晴らしい出来で、トータル52分があっという間に終わっちゃうっていう。

TOSHI-LOW:そう思ってもらえたらうれしいな。1回聴いてどよんとなってほしいわけじゃないからさ。適当にずっと流しててほしいっていうのがあって。


Q.リリースツアーが決まってるじゃない。どんなライブにしたいと思ってる?

TOSHI-LOW:正直まだ見えてない。何を求められてるか分かんないし、自分たちが何を求めてるのかも分かんないし。ホントはねぇ、トークとかすればいいんだろうけど、そういうの面倒くさい(笑)。俺は面倒くさいから、任せちゃってるから。
一番良いのはお酒飲んで、「久しぶり〜」なんてしゃべってる横で俺たちが歌ってるっていうね。パブ・ロック的なのにロックじゃない感じ(笑)。堅苦しく聴かれると困るっていうかね。バイオリンってパブリックイメージが堅いからさ。あれ、実際はフィドルだし、もっとバスキング的な要素だし、なんかこう大道芸の傍らみたいな感じでいいというか(笑)。
だから、小さい子供とか連れてきてもらっても全然かまわないし、曲の途中の静かなところでワーッとか泣かれちゃってもかまわないし。最近うるさいじゃん、何歳以下の人は入れませんとかさ。そういうのすごい嫌で。そりゃホントは色々あるんだろうけどさ、子供抱えて来ちゃったらさ、そのまま一緒に入れてさ、耳がおかしくならない程度のところで、一緒に楽しめたらいいじゃんっていうのがさ。
そういうことが、BRAHMANなんかよりも全然できるバンドだと思ってるし。おじいちゃんが来たっていいしね。夕食ついでに来てもらえたら、ぐらいのノリでいいっていうかさ。そういう風にもどんどんしていきたい。そうするとBRAHMANでやってることと、すごく対照的に見えてしまうかもしれないけど、根底は一緒なんだよね。俺の中の根底は変わってないから。表現方法が違うだけ。


Q.なるほど、だからこそ違うバンドとしてやる必要があるんだろうね。

TOSHI-LOW:そうなんだよね。いきなりあのモッシュの中におじいちゃんやおばあちゃん連れてこれないじゃん。小さい子供連れてこれないじゃん。そういうのじゃないじゃんっていうさ。


Q.ある種、最近ネット上ですぐに話題になる「ダイブ論」なんか超越したところなのかもね。

TOSHI-LOW:そうそう。ダイブなんかね、どうでもいいよね。どうでもいいっていうのは、したきゃすればいいし、誰に規制されるものでもないし、追い出されようが何しようがしたいヤツはすればいいしっていうね。ただ、当たり前だけど、この曲でダイブするの?っていう曲でダイブしたら馬鹿だよね。ダイブに合う曲と合わない曲っていうのはあるからね。


Q.ステージから見てカッコ良くやってほしいし。

TOSHI-LOW:そうなの、そうなの。カッコ良い客なんか常にカッコ良くやるから。サラっといいところに来て、どんなに禁止されていようが、パっと飛んでパっと消えていくからね。で、絶対捕まんないもん。そういう風にみんなやればいいのにって思う。もっとスマートにやればいいのにってね。


Q.BRAHMANもO.A.Uも根底は一緒だけど、表現が違うから楽しみ方も違ってくるっていうだけなんだね。

TOSHI-LOW:音が違えば楽しみ方って基本的にちょっとずつ違うよね。楽しむっていう意識は一緒でも、目を瞑って一人でダンスをするのが楽しい音楽もあればさ、みんなで分かち合ってオーってやるのが楽しい音楽もある。でもそれってやっぱり、音楽が持ってるものだと思うし。楽しみ方なんて自由なんだけれども、やっぱそこは受け手の人もスマートっていうかカッコ良くいてもらいたいよね。


Q. TOSHI-LOW君自身もO.A.UとBRAHMANとでは楽しみ方が違うんだろうね。

TOSHI-LOW:そうだね、違うだろうね。でも、どっちも楽しいよ。何か悪食みたいな…カキ氷に何かけてもいいけどさ「ソース?」って思うとさぁ(笑)。いや、何かけてもいいんだよ!?別にいいんだよ!好きにしてくれればいいんだけどさぁ…ソースかけちゃうかぁ…みたいなさ。まぁ俺は食べないけどね(笑)。


Q.この作品を聴いてライブに来るであろう、名古屋のみんなにメッセージをお願いします!

TOSHI-LOW:是非、黒に聴いてもらいたい(笑)。黒(NOT REBOUNDのDr)に、まず届けたい。届くと良いな、聴いて…届くかなぁっていう(笑)。だから当日ね、一番後ろに黒がフっといるっていうのを思い浮かべながら(爆笑)、名古屋は頑張ります。



OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND official site
http://www.tc-tc.com/overgroundacousticunderground/

OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND MySpace
http://www.myspace.com/overgroundacousticunderground

 

2nd Album
New Acoustic Tale

11/25 ON SALE

TFCC-86315
¥2,940(税込み)

 

New Acoustic Tale tour

1.24 [sun] 名古屋 BOTTOM LINE

open17:00 / start 18:00 前売り:¥3,500(+1Drink)
Info:JAIL HOUSE tel:052-936-6041

 



 

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