PICK UP INTERVIEW
WEB限定インタビュー


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FOO FIGHTERS

Q.今回、ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』から20年というタイミングでニュー・アルバムを制作し、ドキュメンタリー映画を発表するわけだけど、全部がつながっていてまるで大きなストーリーのようなんだけど。

デイヴ:その通りなんだ。今回新しいアルバムを作るに当たっていろいろ考え始めたのが、ちょうど1年前のゼム・クルックド・ヴァルチャーズでツアーを回ってる時なんだ。
ヴァルチャーズはスゴく楽しかったんだけど、同時にフー・ファイターズがスゴく恋しくなってね。これだけ長い間休みを取ったのも初めてだったしね。

フー・ファイターズっていうのは、俺たち5人とっては単なるバンド以上の存在なんだ。俺たちの生き様でもあるし、俺たちはファミリーでもある。そんなフー・ファイターズから長く離れているんだから、当然恋しくなるよね。
それでヴァルチャーズのツアーの間に、部屋に戻って座り、曲を書き始めたんだ。コンピューターに向かってデモを作り始めたわけだ。その時点で俺の中ではもうすでにフー・ファイターズのニュー・アルバムに対する心準備はできていた。それでフー・ファイターズのことを考えれば考えるほど、フー・ファイターズっていうのがどのように始まって今の5人になったのかについて改めて気づかされたんだ。
そこでブッチ・ヴィグと一緒にレコーディングをやることも考えた。ブッチとアルバムを作るのは実に20年振りになるんだよ。同じタイミングでパット・スメアもバンドに復帰した。それで自分の家のガレージでレコーディングしようと思ったんだ。しかもオープンリールの24トラックのテープを使ってのレコーディングだ。コンピューターは使わない。かつてみんながやってたようなレコーディング方法さ。楽器とテープだけで、コンピューターは全くなし。

それでさらに、バンドの歴史をテーマにしたドキュメンタリーを作ろうって考えたんだ。今まで俺たちはバンドの歴史のすべてを語ったことがないからね。けっこうプライベートなままにしておいたんだ。だけど、これを俺たちのハードコアなファンに見せるのも面白いと思ったんだ。その歴史を知ったら、何故俺たちがこういうアルバムを作るのかよくわかるだろ? 
その一方で、このアルバムのメイキングを撮影してまた別のドキュメンタリーを作るのもいいんじゃないかと思ったんだ。結局、その二つが合わさって一つの大きな映画、一つの大きなストーリーになった。
そのストーリーの始まりは20年前。俺とブッチはカリフォルニアで出会った。その時俺たちはニルヴァーナの『ネヴァーマインド』を制作していた。俺たちの人生をすっかり変えてしまったアルバムだよ。どんな風に人生を変えたのかは、説明するのが難しいくらい深いんだ。
一個人として見た場合、数百人の前でプレイしていたバンドが、いきなり何十万人もの前でプレイすることになったんだ。しかもたった1ヶ月でだよ! その上、バンド仲間であり友人だったカートをその死によって失った。その死が俺たち全員の人生に与えたインパクトは大きいなんてものじゃなかった。
そこで俺たちはまた新たにゼロから始めなきゃいけなかったんだ。それで俺はフー・ファイターズを新たなスタートとして選んだ。自分自身を癒すために音楽を選んだんだよ。
カートが死んですぐ後なんて、ラジオさえつけなかったよ。もう音楽なんて聴きたくなかった。音楽のことも考えたくなかった。ドラムもやりたくなかった。バンドもやりたくなかった。それで一人っきりになって考えてみたんだ。やっぱり一番好きなのは音楽だってことがわかったし、自分の絶望した気持ちを癒せるのは音楽しかないってわかったんだ。
そこから新たなスタートを切って俺自身が生き残るために始めた唯一のものがフー・ファイターズだった。フー・ファイターズはバンドになり、この16年間ずっと続けてきた。この16年間、辞めた人間もいれば、辞めてもらった人間もいれば、死んだ人間もいるし、結婚して子供ができた人間もいる。だけどバンドはプレイし続け、クラブでライヴをやり、ツアーを回り、フェスでヘッドラインをやり、アリーナでヘッドラインをやり、スタジアムでプレイするまでになった。
そう振り返ってみると、15年前に始めた小さなバンドが今はあの時とは違うものに成長しているし、周りの世界からの期待はスゴく大きなものになっている。だけど、俺たち自身は特に以前と何かが大きく変わったとは思えないんだ。スタジアムでプレイするようになっても、俺たちという人間はまるで変わっていない。俺たちの目的、インスピレーションは、俺たちが若かった時とまるで変わっていないんだ。
俺からすれば、周りの世界が変わっただけで、最も論理にかなったことを言えば、ハリウッドにある最新のハイテク機材で、周りのみんなが期待するようなアルバムを作るよりも、ガレージに戻って、アナログ・テープを使って、ブッチ・ヴィグを呼んで、ただ単にファッキン・グレイトと思えるものを作りたかったんだ。それで今回は今までで最高のロック・アルバムを作ることができた。だから、この流れのすべてがストーリーのようなんだ。しかも最高のエンディングが待っていた。
バンドはこの先も続くんだけど、現時点で、俺たちは自分たちの作りたいアルバムを形にできたっていうご褒美をもらえたね。


Q.今回ブッチ・ウィグを起用したいきさつは? 彼との仕事はどのようなものだった?

デイヴ:ブッチとは昨年の『グレイテスト・ヒッツ』で新曲2曲を一緒に制作したのがきっかけだったね。俺たちは別にブッチが世界最高のロック・プロデューサーだから起用したわけじゃない。ただ単にブッチと一緒にやりたかっただけなんだ。フー・ファイターズでは一緒にやったことがなかったし、もし2曲だけやって上手くいったら次のアルバムでもやりたいなって思ったんだ。
俺とブッチっていうのは、音楽よりもさらに深いところで繋がっているんだ。『ネヴァーマインド』の成功によって、俺たちの人生は全く違う方向に向いてしまった。あの時以来、俺たち二人にはまるで磁石のような繋がりがあるんだ。そんな繋がりは他にはない。ニルヴァーナと一緒に仕事をして理解していた人間はそんなにいないからね。「(スメルズ・ライク)ティーン・スピリット」のような曲をプロデュースすることがどういうことなのか理解している人間は一人しかいないんだ。そこの部分で俺はブッチと特別に繋がっている。
それともう一つ、俺たちはカートの死によって特別に繋がってるんだ。俺たちがハグする時、そこには「ハロー」っていう挨拶の意味もあるんだけれど、もう一つ、「俺たちは生き残ったんだ」っていう意味、「大切な友人を失ってしまった」っていう意味もあるんだ。だから、俺たちの繋がりは音楽だけじゃない。
それで今回、ブッチと一緒にアルバムを作るってなった時も、このアルバムがどういうものになるのかハッキリわかっていたよ。ブッチはラウドでスイートなロックのレコードを作るキングだからね。ブッチはバンドのエッジを引き出し、その音楽、そのアイデンティティ、そのバンドの中からたった一つのことを見出すんだ。それは核となるエネルギーなんだ。その他はすべて削ぎ落とされる。それで核となるものを10倍もの大きさに引き出す。それで曲も強力になるし、スゴくシンプルなものになる。バンドがやってることの最もベーシックなヴァージョンさ。それこそが今回俺たちが求めていたものなんだ。だから、俺はブッチに向けてロックな曲を書いてたことになるね(笑)。
俺たちは同じ方向性を向いてるんだよ。ラモーンズ、AC/DC、モーターヘッドが好きなんだけど、同時にビージーズやアバも好きだっていう(笑)。それでこの二つの要素を合わせて新しいものを作りたかったんだ。『ネヴァーマインド』とか、ソニック・ユースの『ダーティ』みたいなアルバムを作りたかったんだ。それが俺たちの狙いだった。
ブッチはそんな俺たちに対して、まるで音楽の警察みたいだったね。俺が「この曲はどう?」って持っていくと、ブッチは「いや、これはヘヴィすぎる」って言う。俺はもう「Shit!」だよ。次に別の曲を持っていくと、「うーん。これもヘヴィだけど、メロディをスイートにするとイケるね」とか言うのさ。彼はどの曲に対しても「基準」っていうものを持ってるんだ。それで俺はスゴく助けられたね。
それに、テープで録ってコンピューターを使わないことで、やることが限られていた。トラックだって24しかない。だから1曲にギターを20本入れるなんてことはできない。せいぜい3〜4本さ。俺、パット、クリスでもう3本で、あと1本だけオーバーダビングって感じさ。それで曲もシンプルになったし、パワフルにもなったと思うんだ。


Q.やれることが限られてた分、方向性も絞られていったのでは?

デイヴ:過去2枚のアルバムでは、俺たちはいろんな楽器を使って実験的なことをやってみた。広げられることはできるだけ広げてやってみた。まあ、だからこそ俺たちは今もずっとバンドとして続いてるんだろうな。
俺たちは毎回同じようなサウンドのアルバムを作るようなバンドじゃない。どのアルバムでも新しい方向性で、完成度を上げていくという方法を取ってきた。
ファースト・アルバムでも「Big Me」みたいなのが3曲、それから2曲ポップなのがあって、「Weenie Beenie」はミニストリーみたいな曲だ。2ndアルバムもそんな感じで、「See You」もあれば、「Wind Up」や「Enough Space」みたいなクレイジーな曲もある。どのアルバムでもそうやっていろんな側面を見せようとしている。
例えば、ラモーンズ、AC/DCのようなバンドは大好きなんだけど、俺たちがそういうバンドになることはないと思うんだ。俺はそこからさらに広げていきたいタイプだからね。
過去2枚のアルバム、特に『イン・ユア・オナー』のアコースティック・サイドや『エコーズ、サイレンス、ペイシェンス・アンド・グレイス』では、俺たちはあっちこっちに伸びていくゴムみたいな存在だった。だけど今回のアルバムではもうシンプルに解き放って、それがどう返ってくるのか見ている感じさ。
今回の俺たちはフー・ファイターズの最もシンプルなスタイルで基本に戻っている。頭にガツンと来る4分半の曲をかますロック・バンドなんだ。


Q.今回ギターの鳴りがスゴく良く、3本のギターのアンサンブルも聴きどころなんだけど、ギター・サウンドのこだわりについて聞かせて。

デイヴ:そこは今回スゴくこだわったところさ。面白いのは、俺、クリス、パットの3人は全く違うスタイルのギタリストだってことなんだ。俺はリズム・ギターで、ドラムみたいにギターを弾く。曲を作る時、リフは低い音の弦を使って、キックドラムとスネアみたいに弾く。最も低い音の弦がビートを作り、それが曲のリズムになり、曲のメロディになるんだけど、それは同時にコードを鳴らしている。高い音の弦はシンバルだね。それで全体をドラムのように見立てている。
クリスはスゴく基本的なギターを弾く。クリスはスケールもセオリーもよく知っているし、音楽をどう読めばいいのかを心得ているんだ。だから、スゴく考え抜かれたギターを弾く。メロディックにも弾くし、パワフルにも弾く。バンドで一番のギター・プレイヤーだよ。何か難しいところが出てくると、「クリス、弾いてよ」ってなる(笑)。
パットは一本の太い音で鳴らす。だからパットが弾くギターの音はスゴくラウドなんだ。この3人のギターが合わさってこのアルバムのサウンドになってるんだ。だけど3人が同じようなプレイをしていたらこうはならない。だから、3人のギターの構成はスゴく考え抜いたよ。誰が、どこで、何故弾いてるのかを考えておかなきゃいけない。
最初は俺だけのギターで、そこにクリスが加わり、最後にパットが加わってでっかい音になる、そういう構成の時は常に3人全員が弾いていないことも多い。面白いのは、パットのギターを聴いてると、1997年のフー・ファイターズを彷彿とさせるところなんだ。で、クリスのギターを聴いてると、2003年のフー・ファイターズを思い出す。それで今のサウンドを聴くと、この16年間のフー・ファイターズって感じがするんだ。


Q.今回、ガレージで録ろうと思ったきっかけは?

デイヴ:このアルバムは自宅のガレージで録ったんだ。それは文字通りガレージで、スタジオなんかじゃない。中には車が1台、子供の自転車が2台と冷蔵庫。それだけなんだ。
で、俺たちはガレージから車を出して、そこに機材とドラムセットを入れた。それで録ったら、本当にガレージのドラムセットの音がするんだよ。俺にとってはそれがスゴくリアルでね。
俺は以前はハイテックの機材で完璧なサウンドを作るスタジオでやったことがある。だけど、完璧なサウンドなんてものはないんだよ。アリーナで演奏しても完璧なサウンドにはならないし、クラブで演奏しても完璧なサウンドにはならないし、地下で演奏したって完璧なサウンドなんかにはならない。
そこで考えたのは、今俺たちがやっているサウンドにキャラクターを出そうってことだったんだ。他のどのアルバムとも違うサウンドにしたかったし、他のどのスタジオとも違うサウンドにしたかった。他のロック・バンドのアルバムと似たようなサウンドなんて絶対イヤだった。それに加えて、テープで録ったらデジタルで演奏を調整することなんてできない。そこがやっぱり最も強く感じるところなんだよね。

最近音楽を聴いていると思うんだけど、ロックンロールなんだからさ、人間味がないとダメだと思うんだ。聴き手が完璧なサウンドを求める必要ってないと思うんだ。だって完璧にはなれないんだからさ。自分たちが演奏していることだけで充分なはずなんだよ。
歌ってる時に多少キーが外れたとしても、充分なんだよ。リアルなことを歌っていて、意味のある歌詞を歌っていれば、それで充分伝わるはずなんだ。ドラマーなら、少しスピードを上げたり下げたりするのもOKなんだよ。
最近の完璧を目指すやり方が音楽のいろんな良い部分を壊してしまったと思うんだ。もちろんある種の音楽にとってはそれが美学になってると思うよ。ダンス・ミュージックとかトランス、レディー・ガガとか、あと……


Q.ブラック・アイド・ピーズ?

デイヴ:そうそう(笑)。だけど俺にとっては人間がプレイしている音楽には思えないんだよね。キャッチーな曲だとは思うけど、コンピューターで作るんなら、何でバンドをやってるんだ?って思う。ライヴでもバックアップにコンピューターが入ってる。それがライヴの一部だとは理解できるよ。だけど俺にしてみれば、俺のロックンロールは違うんだと言いたいね。完璧なのが美しいとは思えないよ。
だけど、テープに録るとなったら、演奏者自身が良い音にしようとスゴく努力するだろ。コンピューターで調整できないんだから、良い演奏をしないといけない。今回俺にとって一番重要だったのは、完璧な演奏じゃない。ちゃんとフー・ファイターズのサウンドになっているってことだったんだ。ドラムはテイラーのサウンドになってて、ヴォーカルは俺らしく、って感じでね。それが今回は上手く出せたと思う。

この前、LAでもロンドンでもクラブでライヴをやったんだけど、クラブに登場して「ヘイ、みんな新しいアルバム聴きたいか?」って言って、そこでニュー・アルバムの曲を最初から最後までプレイしたんだ。それでラストの曲で「これが新しいアルバムなんだ」って言う。で、その後2時間は昔の曲をやるんだけど。
でも新曲をライヴで演奏すると、まるでアルバムと同じ音なんだ。その音こそが俺たちだからなんだ。コンピューターが俺の声やドラムの音を良くしてくれたわけじゃないし、ループもない。音そのものが俺たちだからなんだよ。
他のバンドもそういう風にやればいいのにって思うよ。それがロックンロールのカムバックになるし、ロックンロールがライヴになる。ミュージシャンであることを信じていいんだよ。「この人、ヤバいな」って思うだろ。それだけでもうカッコいいじゃん。


Q.でもそういうレコーディング方法はやっぱりデイヴの中にあるロックの美学を形にしたものだと思う。

デイヴ:過去50年間、どういう曲が人の人生を変えたか考えてみるといいよ。エルヴィス・プレスリーの「ハウンド・ドッグ」、リトル・リチャード、ビートルズの「ヘルプ」とか「レット・イット・ビー」、レッド・ツェッペリンの「コミュニケーション・ブレイクダウン」、エアロスミスの「バック・イン・ザ・サドル」、ジョン・レノンの「イマジン」、俺たちの「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」……この中で完璧なサウンドにしようと思って作られたものは一つもないんだ。だけどこういう曲が世界を変えたんだ。

人間的な要素を取り除くことが曲をより良くできるなんて、一体どこの誰が証明できるって言うんだ? 俺には全く意味がわからないよ。これがどれだけ音楽を殺しているのか? 
良い音楽を作るためにテープを使えとは言わないよ。ゼム・クルックド・ヴァルチャーズでアルバムを作った時は、プロトゥールスを使っている。だけど、テープレコーダーの機能として使ったんだ。録って、落として、それで終わり。
いい例があるから聞かせようか。ヴァクチャーズのレコーディングで、スタジオでレッド・ツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズがベースを弾いてるのを聴いていたんだ。1テイクを録ってみんなで聴いてみた。俺はベースを聴いてて、「ああ、ここでピッキングできていない。ここは少し遅れてる」って思ってた。それでそのテイクを聴き終わった時に、ジョン・ポール・ジョーンズが「俺としては問題ないよ」って言うのさ。俺は「Oh, shit!」だよ。ちょっとしたミスは残ってたのにさ。
だけどそこで気づいたのが、俺の大好きなオールタイム・フェイバリットのロックのレコードは、どれもちょっとしたミスは入ってるんだよ。
いいかい。ジョン・ポール・ジョーンズはファッキン天才だ。彼が問題なければ、他のヤツらにだって問題はないのさ。それでその後完成したアルバムを聴いてみても、そのミスには気がつかないのさ。それ自体が曲の一部になっているからね。


Q.クリス・ノヴォゼリックが「I Should Have Known」で参加しているけれど、そのいきさつは? この曲はデイヴにとってもスペシャルな曲だと思うんだけど、どのような気持ちが込められている?

デイヴ:クリスとは会った時から仲が良くて、ずっと友達なんだ。ずっとお互いに電話もかけていたし、毎年のように会っている。頻繁に会うこともあれば、しばらく会わないこともあるけどね。
ニルヴァーナが巨大な存在になった時、どれだけ人生がクレイジーになったのかを知っているのは、今となっては俺と彼の二人だけになってしまった。
それで今回ブッチとレコーディングをやることになって、俺とクリスとブッチでリユニオンをやるのにちょうどいい理由ができたと思ったんだ。これは個人的なリユニオンであって、音楽的なことは二の次なんだ。クリスに「ブッチとアルバムを作るから参加してくれないか?」って聞いたら、すぐに「もちろんさ」って答えてくれたよ。どんな曲をやるのかなんてクリスは気にもしなかったよ。俺だって気にしないしね。ただ俺はこの二人と一緒に音楽をやりたかっただけなんだ。しかも20年振りのことなんだ。
三人でミキシング卓の前で楽器を手にして曲を録る……こんなの、もう二度とないことだと思ってたよ。これは音楽以上に美しいことだって思うんだ。スゴく個人的なことだし、しかも曲を録り終えたら素晴らしいものになった。もうこれはご褒美みたいなものだよ。
だけどやっぱり重要なのは、何日間か俺たちみんなが昔を思い出して、ともに笑い、楽しかったことを語り合ったっていうことなんだ。昔のダークな部分については話さなかったよ。話したのはニルヴァーナ時代の楽しかったことばかりさ。だってニルヴァーナでやってたことの大部分は楽しかったんだからさ。

俺は何年間もフー・ファイターズを自分たちのバンドとして確立しようと頑張ってきた。だけど、同時にニルヴァーナのこともスゴく考えていたんだよ。もしニルヴァーナがなかったら今の自分もないなってことも考えてた。この二つのバンドは、自分の中でスゴくデリケートなバランスなんだ。
自分の人生の中でニルヴァーナにいた数年間に対しては偉大なるリスペクトをしているし、自分がニルヴァーナから授かったものを今ではすべてを理解し、感謝している。一方で、フー・ファイターズのこともリスペクトしている。フー・ファイターズはニルヴァーナではないし、俺たち自身だからね。俺はこの二つのバランスを考えてるんだ。
それで今回、ブッチにプロデュースをお願いして、クリスに参加してもらったわけだから、一度にたくさんのことを抱えすぎることになった(笑)。俺の中で影に潜んでいた部分をたくさん持ち込んでしまったわけだから。でもそれで良かったんだと思う。俺には向き合う必要があったんだから。それでこのアルバムはそこに大きな意味があるんだ。
歌詞にしても、レコーディングに入る前には書いていなくて、レコーディングが始まってから書き始めた。俺たちがレコーディング中に話したことが歌詞に大きな影響を与えているよ。それは、時の経過だね。過去を見つめ直すこと、生き残ること、生と死、再生した感覚、また新たなスタートを切ること、歳を重ねること……いろんなことが「時」と関わっているんだ。だから俺はそういうものすべてに向き合って、乗り越えなきゃいけなかったんだと思う。

『グレイテスト・ヒッツ』を出した時、みんなに言われたよ。「もうこれでおしまい? もうバンドは終わるの?」って。俺としてはバンドの終わりだとは思わなかったけれど、一つの章の終わりだとは思った。バンドの歴史の第一章の終わりだよ。それで今が新しい章の始まりなんだ。生まれ変わって、新たに始まる感じなんだ。
いろんなことをすべて置いて、自分たちが全く新しい人間になったような気分なんだ。だけど、そういうことすべては一周して元に戻った感じなんだ。一つの円のようにね。だから今は16年前に戻ったような気持ちなんだ。汗だくの観客を前に3時間ぶっ通しで演奏していた俺たちさ。

今回、最もシンプルな形でアルバムを作ることができたことは誇りに思っている。これって俺たちがかつてやっていたやり方だしね。俺とクリスとブッチの繋がりもこれまで以上に強いものになった。良いストーリーには良いエンディングが待っていたって感じに見えるけれど、これってほんの第一章の終わりでしかないんだ。


Q.音楽以外で今最も興味を持っていることを聞きたいんだけど。

デイヴ:正直に言うと、俺の人生には二つのことしかないんだ。家族と音楽。それだけさ。それ以外にはあまりないね。音楽をやってツアーに出る。これが俺にとっての最優先事項で、これが俺のやりたいことのすべてさ。
俺の身体が問題なければ、毎晩だってライヴをやりたい。今は声が枯れてるけど、昨日3時間叫びっぱなしだったからね(笑)。それで家に帰れば、俺にはもう家族しかない。子供が二人いるし、母親も姉も妻の家族もみんなが近くに住んでいるんだ。
重要なのは、この二つがそれぞれお互いを強くしているところなんだ。俺は音楽をやって人生が美しいものになった。音楽のおかげで俺は幸せになれるし、満たされた気持ちになれる。だけど家族と子供がいなかったら、ここまで幸せにはならなかったんじゃないかな。以前は射撃をやったり、何かモノを集めてたりしたけど、大したものじゃない。だから人生は二つだけなんだ。
フー・ファイターズはフルタイムの仕事で俺がボスなわけだから、こいつを動かしていかないといけない。ライヴ、インタビュー、ビデオの編集、ミーティング、ブッキング……すべて好きでやってるんだ。俺はスゴい幸せ者だよ。


Q.ドキュメンタリー映画でも、ガレージでデイヴがギターを弾いてる時に娘さんが話しかけてたシーンも微笑ましかったしね。

デイヴ:(笑)自宅のガレージでレコーディングをやったのは、それも一つの理由なんだ。家族の元を離れたくなかったからね。だから家でアルバムを作れたのは最高だったよ。音楽も家族も愛しているからね。毎日同じ場所で人生で最も大切な二つのことをできたのは完璧だったよ。

 

アルバムタイトル

FOO FIGHTERS
NEW ALBUM
Wasting Light
SICP-3072

NOW ON SALE

\2520(税込) ※国内盤ボーナストラック収録
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誰にも鳴らせない、究極のロックがここにある。

1.Bridge Burning
2.Rope
3.Dear Rosemary
4.White Limo
5.Arlandria
6.These Days
7.Back And Forth
8.A Matter Of Time
9.Miss The Misery
10.I Should Have Known
11.Walk

【HPアドレス】
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