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怒髪天

結成28年、JAPANESE R&E(リズム&演歌)を掲げ、今やお茶の間も巻き込んで日本中に旋風を巻き起こす怒髪天から約2年振りのアルバム「Tabbey Road」が届いた。2011年はライブハウスツアー「LIVE LIFE LINE TOUR」、大編成でのホールツアー「LIVE ALIVE TOUR 2011 "GOLDEN MUSIC HOUR"」を開催し、日本人の底力を最高のエンターテイメントで全国に魅せつけてきた怒髪天。激動の2011年を経て完成した今作には「歩き続ける限り道は続く」という強いメッセージや、日本を支える「おっさん」を称える賛歌など全10曲収録。日々、生きていく中で感じる喜怒哀楽を一緒に歌ってくれる怒髪天の音楽は、僕のあなたの日本の音楽だ。日本に怒髪天がいてくれて本当に良かった。

Q.2011年は日本人にとって忘れてはいけない年になりました。何かを表現する、発信する立場として増子さんは何を考えました?

増子:正直さ、震災があった直後はバンドなんかやってる場合じゃないなって思ってた。何がどうなるか全く状況もわからなかったしね。あの日以降、やっぱり音楽に対する考え方も変わったよ。震災直後は音楽なんて何の役にもたたねぇと思ってたからね。


Q.それでも怒髪天はすぐに音楽で行動しましたよね。

増子:そうだね。3月20日に広島で急遽ライブをやることになったんだよ。それで音を鳴らした瞬間に鳥肌が立った。そのとき音楽で何が出来るか改めて考えたんだよ。俺らは音楽をやるしかねぇって思った。あと、音楽で悲しい出来事や辛い思い出を消すことは出来ないけど、音楽で楽しい思い出をひとつ増やすことは出来るんだよ。そう考えたよね。


Q.無料配信された「ニッポン ラブ ファイターズ」は日本人のパワーを爆発させたような曲でした。

増子:ありがとう。実際に東北に仲間もいるし、福島でテレビのレギュラー番組もやっていたから仕事仲間もいるけど、彼らに「大丈夫か?」なんて軽はずみに言えないよな。「頑張れ」なんてもってのほかだよ。大丈夫なわけないし、みんな頑張ってるんだからさ。東北の仲間が頑張っているときに俺らが歌うことは応援歌じゃなくて「俺もやるぞ!」ってことだと思うんだよね。震災後、曲を作れなくなったミュージシャンもいたと思うんだよ。でもそれは誰に向けて歌うかっていうリアリティーがないからなんだよな。でもさ、言ったらパンクバンドなんて、より明確な敵が出来たわけじゃん。愛情に関しても、仲間に関しても、震災前より思うことは沢山あるわけじゃん。俺達がへこたれている場合じゃないんだよね。


Q.2011年は色んな形でツアーも行ってきました。まず震災直後の「LIVE LIFE LINE TOUR」はどんなツアーでした?

増子:日本全体が不安定な中で行ったツアーだったけど、やってみた結果ツアーは人に会いに行くんだってことがよく分かった。生存確認じゃないけどさ、そういう要素が強いってことがわかったツアーだったね。俺らにとっても本当に大事なツアーだった。一生忘れないと思うよ。これからどうなるかわからない中で、少なからず音楽が役に立つことを実感したツアーだったね。


Q.秋には大編成での「怒髪天&THE JOE-NETS」としてホールツアーもありました。

増子:あれは楽しかったね。さっきの話じゃないけどさ、音楽で辛い過去は消せないけど楽しい思い出は作れるんだよ。だからとにかくエンターテイメントに特化した楽しい思い出を作りたくてやったツアーだった。13人もメンバーがいるし、スタッフも多いから滅茶苦茶大変だったけど(笑)。でもどうしても今やっておきたかった。毎日嫌なニュースばかりでしょ。だからひとつでも楽しいことが多いほうがいいんだよ。本当にやって良かったよ。


Q.そして待望のアルバム「Tabbey Road」ですが、間違いなく過去最高傑作ですよね。

増子:俺もそう思うよ。今回のアルバムは、怒髪天としての自己表現は度外視して、みんなで歌える歌を歌いたかったんだよ。あの状況でツアーをまわって、みんなで合唱したときにさ、「俺達には仲間がいる」って思うわけよ。一緒にシンガロングすることで力強い気持ちになれるんだよね。今回はそれを際限なしに入れていこうって思った。全曲シンガロングでもいいやって思ったくらい、とにかくみんなで歌いたかった。だから今作には分かり易くてシンプルで覚えやすい歌が多いんだよ。


Q.子供からお年寄りまでわかる歌詞ですもんね。

増子:そうそう。それはやっぱり去年のツアーで学んだよね。「LIVE福島」で子供もお年寄りもライブを見に来てくれたんだよ。俺達の音楽は限定された者に向けてる音楽じゃないからね。俺と同じ時代に生きている人間全員に聴いて欲しいと思って音楽やっているから。


Q.今回のアルバムからは大人になることのかっこよさも感じます。「ドント・トラスト・オーバー30」へのアンチテーゼというか、大人になることの楽しさや大人のかっこよさが詰め込まれていますよね。

増子:本当そうなんだよ。何がリアルかって、俺の場合は46歳の俺からの目線がリアルなわけでさ。俺達が出来ることってさ、若い奴らに背中を見せるしかないじゃん。先にすっ転んでみせて「ここ痛てえから気をつけろよ」ってことしか出来ないんだよ。やってみせるってことだよな。俺らの先輩は「大人ってかっこいいな」って憧れさせてくれたけど、それとは違う面で「大人も悪くないな」って思わせてやるのが俺の役目かな。普通に生活することがどれだけ素晴らしいかってことも教えてやりたいんだよ。若い奴らにさ、大人になることを期待してて欲しいんだよね。日々暮らしていくことの喜び、人間として暮らしていく喜びを楽しみにしてて欲しい。それを俺は歌っているんだよ。


Q.増子さんの歌が生活に根付いているのも納得します。

増子:それがパンクだと俺は思うしね。それが音楽であってほしいよね。


Q.M-1「押忍讃歌」は所謂「おっさん」の価値観を覆すような曲ですよね。

増子:そうだね。日本を支えているのも家庭を支えているのもおっさんなんだよ。なのにおっさんが大事にされないのが当たり前な風潮ってあるじゃない。そこへのアンチテーゼだよね。「おっさんはもっと胸張っていいんじゃないの?」って思う。日々戦ってんのよ、おっさんは。俺はかっこいいと思うよ。守るべきものを守るために戦ってるんだもん。美しいよ。


Q.M-2「もっと…」とM-4「ホトトギス」は自分を奮い立たせるような曲ですよね。

増子:この2曲は所謂DO IT YOURSELFだよね。一番そこに乗っ取っていると思う。「ホトトギス」は所謂「パンク」なんだよ。「自分でやるぞ!」っていうさ。それを武将モチーフっていう日本でしかありえないテーマで書いた曲。「泣かぬなら自分で泣こうホトトギス」って歌詞があるんだけど、俺が中学生の頃に考えた言葉なんだよ。日本のパンクの世界観って、それくらい日本的であって然るべきだと思っているんだよね。


Q.M-3「歩きつづけるかぎり」はアルバムタイトルの「Tabbey Road」にも繋がっていると思うのですが。

増子:その通り。この曲がアルバムの核になっているからね。歩いていく先に何があるかはわかならいし、「君の夢は叶うよ」なんて無責任なことは言えない。でも20年以上バンドやってきて歩き続けてきた俺達が言えることはさ、歩くのを辞めない限り道はあるってことなんだよな。道があるっていう事実さえあれば歩いていけるんだよ。


Q.諦めない限り道はあると。

増子:叶うかどうかわからないし、辛いこともあると思うよ。でも諦めないで歩き続ける限り道はあるんだよ。それを歌いたかったね。結局旅なんてのはさ、目的地に着くことよりも過程のほうが盛り上がるでしょ。それが人生だと思うんだよね。


Q.M-5「ナンバーワン・カレー」は誰もが実家の食卓を思い出しますよね。

増子:2011年は故郷についても考えさせられたね。自分の故郷が同じ状況になったとき、俺は何が出来るだろうなって考えた。そうやって故郷を思うときに、土地だけじゃなくて人にも嗅覚にも味覚にも故郷を感じると思ったんだよね。その中で「カレー」っていうのは故郷の最大公約数だと思ったんだ。仕事で失敗したりして家にトボトボ帰るときにさ、どこかの家からカレーの匂いがしてきたら何とも言えない気持ちになるんだよ。「ああ、遠くまで来たんだな」っていう。それで母ちゃんのカレーが食べたいなって思うわけ。だからある意味、故郷の代名詞だよね、カレーって。食べ物の粋超えていると思うよ。


Q.音楽にもそういう要素はありますよね。

増子:あるね。音楽を聴いてもその頃の気持ちが蘇るからね。きっと音楽に記憶が刻み込まれているからだと思うよ。


Q.M-8「そのともしびをてがかりに」には凄く勇気をもらいました。多かれ少なかれ、みんな日々生きていく中で悩みや悔しさを抱えていると思うんですよ。そういう人達の背中を押してくれるのが怒髪天なんだと思いました。

増子:そう感じてもらえたら凄く嬉しいよ。拳の中に握られているものっていうのはさ、決意だったり握り潰したい悔しさだったり、色んなものがあると思う。その拳を握って生きる姿こそが美しいんだよ。そういう拳を俺達は探して歩いているんだよ。そういう人間に出会いたくて歩いているんだよね。


Q.そういう人達を「俺達の仲間」って歌ってくれることが凄く嬉しいです。

増子:仲間だよな。昔はさ、仲間って言葉はあまり使いたくなかったんだよ。でもさ、どう考えてもお客さんは仲間なんだよね。それはツアーで本当に実感するよ。ライブはお客さんが来てくれて始めて出来るわけだしさ。これはもう仲間だよ。


Q.そんなライブに来てくれる人へのメッセージが詰まったのがM-10「YO・SHI・I・KU・ZO・!」。増子さんのMCがそのまま歌詞になったような曲ですよね。

増子:俺ら「セバナ・セ・バーナ」っていうグッバイソングがあって「また会おうぜ!」ってなるんだけど、オープニングのウェルカムソングがなかったから「よく来たな!」って曲を作りたかったんだよね。とにかくライブでみんなに会いたいんだよ。伝えたいものを持ってさ、遠いところからみんなに会いに来てさ、みんなも俺達に会いに来てくれるじゃん。愛だよな。それをしっかり伝えたかった。アルバムの最後にこの曲を入れたのは聴いてくれた人がそのままライブに来てくれることも考えたんだよ。早くツアーでみんなに会いたいよ。


Q.どういうツアーになりそうですか?

増子:とにかく楽しいツアーにしたい。まだまだ不安だと思うんだ。長い戦いは始まったばかりだし、たぶん俺らが生きている間には終わらんよ。その中でも力強く、自分に仲間がいることを確かめあって、一緒に歌ってさ、明日からの活力になるように全力を尽くそうと思っているよ。

 

怒髪天:
坂詰克彦(Dr)
増子直純(Vo)
清水泰次(Ba)
上原子友康(Gt)

【HPアドレス】
http://dohatsuten.jp/

アルバムタイトル

怒髪天
NEW ALBUM
Tabbey Road
TECI-1326

NOW ON SALE

¥2,800(税込)

LIVE SCHEDULE

2012年7月13日(金)
中京大学文化市民会館プルニエホール
ワンマンライブ
2012年7月14日(土)名古屋HUCK FINN
ワンマンライブ

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