PICK UP INTERVIEW
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Ken Yokoyama

前作『Four』の発売が2010年3月10日。それからちょうど一年後あの大震災があった。沢山の人の人生や価値観に大きな影響を与えたと思う。多くのパンクバンドたちは被災地へと走り物資を届け、音楽を届け、勇気を届けた。Ken Yokoyamaは先頭に立って行動している一人だ。被災地でのフリーライブ「We’re Fuckin’ One」をはじめ、AIR JAMの復活、Hi-STANDARDの再始動…etcどれも被災地の皆さんを勇気付けたことだろう。そんな経験を経て彼が辿り着いた答えは「愛」だった。5thアルバム『Best Whishes』は「愛」に溢れている。上記のように多忙で、しかも曲が書けなくなるという状態の中製作されたアルバムとはとても思えない。今まで以上に横山健剥き出しの楽曲も、前向きでストレートで力強い歌詞も、全てが素晴らしい。照れながら「やっぱ愛でしょ!」と語る43歳のパンクスKen Yokoyama。彼の思いを受け止めてほしい。

Q.まずはここに大きな意味があると思うのですが、タイトルにはどんな思いが込められていますか?

Ken:「Best Wishes」っていうのは英語で手紙を書く時の締めの言葉だったりするのね。「敬具」みたいな。人によっては“Thanks”だったり“Cheers”だったりするんだけど、“Best Wishes”っていうのはそんなに形式ばった言い方じゃなくて。そこから取ったのね。まぁWish(希望)って言葉が入ってるからっていうのもあったんだけど。で、何で手紙っていう発想になったかっていうと、アルバムのタイトルどうしよう?ってMinamiちゃんと話してた時に、Minamiちゃんが「今回の曲って、歌詞とか世界観が今までにない感じだけど、これってKenさんにとって何なの?」って聞いてきたの。「うーん、メッセージボードかな」って。昔よく駅にあった伝言板みたいな。不特定多数の人も目にできるけど、伝わる人にしか伝わらないような…そんなような内容なんじゃないかな。でも、メッセージボードって最近ないじゃない。だったらやっぱり手紙なんじゃないかなって。じゃあ手紙の最後に書く言葉をタイトルにしようかっていう発想で。だからアートワークも全部そういう感じになってる。


Q.M-1「We Are Fuckin’ One」ですが、被災地で行っているフリーライブのタイトルであり、一番大きなメッセージだと思います。これを曲にしたというのはどういう心境から?

Ken:やっぱりそのメッセージをタイトルにした曲をやりたいなぁ…ってなんとなく思ってたのかな。色んな事をその場だけで流すんじゃなく、曲にして更にその意味を強くしたりとか、皆がその言葉に深い思い入れを持てるようなことをしたかったんだと思う。


Q.確かに被災地でのフリーライブを毎日やるわけにもいかないし、より強い思いを伝えるには曲にして収録した方が分かりやすいですよね。

Ken:ツアーには来れない人もいるかもしれないけど、曲にすることでもっとスッと入ってくるかもしれないしね。そういう意味でも言葉を死なせたくなかったし。


Q.“パンクロックの魅力は拒絶性 でもそれはほんの一部”という歌詞がありますね。

Ken:結構大きな話になっちゃうんだけど、俺はPUNKの何が好きかって、拒絶性がすごく好きで。簡単に仲間にならないぞとか、そういうのが好きでその世界に入っていったんだけどさ。そんな気持ちを特化して作ったのが一個前の「Four」だったのね。ずぅっとそういう気持ちで…何て言うのかな、仲間でありながらも戦い続けてるっていうか…パンクスだったら感覚的に分かってもらえると思うんだけど、いつも一人でしょう?いつも仲間と一緒だけど、いつも一人じゃない?そういうのが結局拒絶性だと思うのね。そういうのを持ってるヤツがパンクスだってずっと思ってた。けど震災以降…そのパンクスだった、孤独だった連中がさ、みんな人道的にすごく動いたよね。それですごく…今までの「拒絶性が好きなんだよ」っていう一言で済ませていいのかなって。


Q.なるほど、でもやっぱりその拒絶性を理解しているからこそのUNITYだったりすると思うんですよね。

Ken:その通り!それはまさしくそうで。最初からUNITYではいけないんだよね。拒絶性…一人になった時の責任とか、寂しさとか、逆に一人になったことの大切さとか、そういうことを全部理解上でUNITYしてかなきゃならない。


Q.この話に通ずる部分として、やっぱり「Four」があったからこそ、この1曲が大きな意味をもつと思います。

Ken:確かに。


Q.M-2「You And I、Against The World」。震災前と震災後の心境の変化がよく表れていると思います。

Ken:この曲の歌詞を書く時の発想として、原発問題のことが大きく関わってて。色んな発信をしていくと、意外と話が通じねぇんだなって感じてさ。分かるでしょ?それと同時に怖くなるわけ。世界の中のちっぽけな日本にもものすごい沢山の人がいるんだって実感したり。でも…またパンクスの話になっちゃうけど、ずっと俺たちは戦ってきたわけでさ、いろんな場面でそれぞれが。それぞれがそれぞれの場所でそれぞれの戦い方をしてきた。で、今こうやって国難があって…地震があって放射能の問題があって…「色んな人がいるけど発信することを恐れちゃいけないよ」っていう歌なの。発信して意見が合うんだったらさ、もうパンクスだろうと何だろうと、世の中を変えていくためには別々の場所で一緒に戦おうぜ!っていう内容の歌で。それは別に放射能に限った話じゃなく、何のことについても言えること。10/14の名古屋のライブでも、この曲やる前に「ずっと今までパンクスが歌ってきたことを、またこの場で改めて歌うわけだ」って言ったんだけど、温度は違えどみんなずっと分かってたことだし分かってることなんだよね。


Q.今の話の中にある「意外と話が通じねぇんだな、意外と世の中には色んな人がいるんだな」っていうのがM-10「Good Bye For A While」に繋がっていくのかなって感じました。特にネットで発信するとものすごく沢山の考え方にぶつかることが多いですし。少し疲れてしまうのも分かります。

Ken:ネットの歌じゃないんだけどね。ネットの話をすると、ネットはネットの中の出来事で終わらせることもできるけど、やっぱり色んな人の素の部分が文字として並列で飛び込んでくるからすごくショックだよね。でもだからって、それで発信をやめられるわけがないし、黙ってられるわけがない。けど…ちょっと疲れた時の歌かな10曲目は(笑)。


Q.それでも「戻ってくるから」って言ってますしね(笑)。逆にホッとしましたよ、あの歌詞読んで。ちゃんと休んでるんだって(笑)。

Ken:(笑)あ、寝てるんだやっぱりみたいなね(大爆笑)。


Q.M-3「Soul Survivors」。鎮魂歌であり、残された側の決意であり、愛と優しさに満ちた歌だと思います。

Ken:被災された方へっていうのももちろんあるんだけど、個人的に2年前に兄が亡くなって。そことどう関わってるか分からないけど、その微妙なところがあるかな。例えば被災して身内を亡くされた方の気持ちを代弁してるつもりもあるし、俺が兄貴に対して歌ってるつもりもあるし。自分の経験を通して、生きることと死ぬことについて歌った歌だよね。


Q.被災して亡くなった方の中にもHi-STANDARDやKen Yokoyamaのファンだった人も大勢いると思います。その遺族の方々がこの曲を聴いたら本当にうれしいと思います。

Ken:そういう人たちにはそうやって受け止めてもらいたいし、俺がそういう場で歌う機会があれば、そういう気持ちで歌ってあげたい。


Q.M-4「Not A Day Goes By」。ここでまさかのLEATHERFACEのカバー!僕はLEATHERFACE大好きなんでうれしいですけど、何故今だったのでしょう?

Ken:何故今かって言われると分かんない。何で今なんだろうな?タイトルにすごく惹かれたっていうのはあるかな。フランキー(LEATHERFACEのVo)がどんなニュアンスで書いた曲なのかは分からないし抽象的ではあるけど、ラブソングなんだろうなって気はする。でも、「Not A Day Goes By=日は過ぎ去らない」っていう言葉がものすごく象徴的に俺の中に入ってきて。太陽が昇って沈めば暦の上では一日は終わる。でも誰かの中ではずっとその一日を引きずったままなのかなって。日は変わってカレンダーは捲れていくけど、ずっとその日が終わらない人がいるっていうイメージなの。そのイメージと震災が凄く重なっちゃって。それでこの曲を選んだの。


Q.何が面白いって、Hi-STANDARD時代にどうしても前座がやりたくて、レコード会社に電話までした経緯のある LEATHERFACEのカバーを、今Ken Yokoyamaがやるっていうのが。

Ken:バンドとしてはSNUFFが基本のような気がするけど、LEATHERFACEっていっつも忘れられない存在としてあるんだよ。フランキーは全然そんな気はないだろうけど、俺を変えてくれた、俺にチャンスを与えてくれたバンドだしね。…ちなみにさ、ここ最近何本も取材受けてるけど誰もカバーだって気付かないのよ(笑)。


Q.M-5「This Is Your Land」。前にコラムで「桜が好きになった。右翼的な意味ではなく日本がどんどん好きになる」みたいなことを書いてたじゃないですか。震災や原発問題を受けてその気持ちが大きくなったのかなって思ったのですが。

Ken:そうそう、まさにそうで。骨の髄から日本人なんだなっていうのを最近すごく痛感するのね。米が好きでさぁ、季節の変化が好きで、神社が好きで、仏像が好きで…やっぱり日本人だなって年々思わされてるのよ。そこに地震があって、原発問題があってさ。で、国でさぁ悲しい分断がたくさん起きてる時に「政府じゃなくて土地でしょ」って思ったりしたの。コラムにも書いたんだけど、被災地の盛岡で去年ライブやった時に大きい日の丸の旗が振られてて。それで自分の中で合点がいってしまって。何故今日の丸なのか、この土地でこの音楽の場で日の丸なのか…そういうことを全部歌いたくなっちゃってさ。


Q.そういうのって他の国では当たり前の光景だったりするじゃないですか。昔Bodyjarが来日した時に観に行ったんですけど、オーストラリア人がオーストラリアの大きな旗を振りながら楽しんでましたよ。

Ken:そういうことなのよ!そういうのに対するアレルギーっていうのが日本はあるでしょ。実際今でも拭えない人は拭えないと思うよ。やっぱり俺は日本人でさ、この土地で生きて戦ってるわけじゃない?被災地に行くとよく分かるんだけど、行政が何もしてくれないのよ。それでもその土地にこだわって生きてる人達をいっぱい見てさ。そういう人たちにものすごくケツ蹴りあげられてる。で、自分の中での日の丸だの、日本っていう国だの、愛国心だの…そういうことに対してこの一年半でどんどん明確になっていった。昔から感覚として持ってたものが言語化できた感じだね。


Q.M-6「Ricky Punks V」。ついに第3部まで来ましたね。まさか3部までいくとは思ってなかったですけど(笑)。

Ken:俺もまさかVまでいくとは思ってなかったけどね(笑)。


Q.Hi-STANDARD時代も含めて、健君自身が今日までパンクシーンを通じて体験してきたことが全て込められてると感じます。Rickyは健君自身なんじゃないですか?

Ken:そうなのよ。元々曲を書き始めた時は、RickyT、RickyUって書いてきて、次に何をやらせようかなって考えてさ。じゃあ俺たちの身近な奴らが震災後にどうやって動いたのかストーリーを作って、それをみんなに知らせてあげようと思ったの、みんな意外と具体的な風景としては知らないだろうから。で、書いてたら実は俺だったっていうね(笑)。この曲の最初の方で歌ってるパンクシーン云々のところね、日本のロックシーンの中で「あいつらロックじゃねぇよ」とかさ、言ってた自分そのものなんじゃないかなって。皮肉で書いてたつもりが自分自身だったっていうね(笑)。出来あがったところで自分でもビックリしたから。


Q.この歌詞の内容だとさすがにWはないだろうなと(笑)。

Ken:もう次やるとしたら人を刺しちゃうだろうね(一同大爆笑)。


Q.楽曲的にもアイリッシュの匂いのするPOP PUNKで素晴らしい!

Ken:ここ数年結構Poguesを聴いてて、それの影響なんだろうなって気がする。


Q.M-7「Everybody’s Fighting」。ものすごく分かりやすいメッセージ。

Ken:ホントは日常的に強く思ってるわけではないんだけど、メッセージとしてはそう思ってる連中もいっぱいてさ。俺の中にもそういう気持ちもあるし。大人になると色々と物分かりよくなっちゃうじゃない。俺はできるけど、お前が出来ない理由も分かるよ…みたいな。そこをちょっと排除して、思いっきし言ってみた。


Q.M-8「Sold My Soul To Rock’n Roll」。若者たちに横山健の信じるものを伝えようとしてるのかなと思いました。

Ken:これもやっぱり前は言えなかったんだけどね。震災後に色んな情報が溢れすぎて、価値観も多様化しすぎて、何を信じればいいんだか分かんなくなった、と思うのね。もしかしたら震災前なんて頼るものなんてなくても生きてこれたぐらい平和ボケしてたのかもしれないけど、今は正確な情報とか正確な理念がないと、相当生きるの難しいと思うの。俺は幸いにして自分の哲学をちゃんと持ってるから、ちゃんと自分の脚で立ててると自分では思ってるのね。「何で横山さんはそんなにブレない哲学をお持ちなんですか?」って言われたら「俺は15の時にロックンロールに魂を売ったからですよ」っていう歌。ロックンロールって哲学だと思うよ。音だけで済ますこともできるし、生きることすべてを学ぶこともできるから。


Q.人生を学ぶこともできるし、人生が決まっちゃうほど大きな衝撃を受けることもありますよね。

Ken:そうそう、俺は決まっちゃった人だから。それを「15の時に魂を売った」っていう言葉に置き換えてる。俺はロックンロールから全てを学んで…改めて考えてみたんだけど、学校で教わったことなんて本当に少ないなって思って。何だろう、もう算数ぐらい(笑)。あとは世の中に出て学んだことの方がよっぽど多いわ。礼儀だって楽器だってそうだけど、ホントに俺がどれだけロックンロールに形作られたか。


Q.ここで“music”ではなく“Rock’n Roll”というワードだったことに大きな意味があると思います。

Ken:そう!だってやっぱロックンロールでしょ。ロックンロールは全部教えてくれるもん。


Q.楽曲もLOOK OUT系を彷彿させるサーフでPOPでロックンロールなPUNKがカッコイイですよね。

Ken:ファルセット聴いてもらえれば分かると思うけどBeach Boysの影響と、LOOK OUT勢、EAST BAYのバンドがやってそうなノリだね。ロックンロールに教わったっていう歌詞で、曲調がBeach Boysっぽいっていうのがまた良くない?


Q.そうなんですよ。何か今回、曲と歌詞のリンク具合がすごいんですよね。

Ken:今回ほとんどの曲はタイトルから始まったんだよね。で、曲を思いついて、この曲はこのタイトルを活かせそうだってなったら、その曲をGOするって感じだったのね。ある程度歌詞のイメージがある状態で曲を作った。だから今回はテーマに凄く曲調を引きずられた、引っ張られたって感じかな。


Q.M-9「I Can’t Be There」。もちろん震災の被害にあった人たちに向けて歌われていると思うのですが、同じぐらい自分に向けて歌われているのだろうと感じました。

Ken:無力感っていうのは凄くあったよね。震災直後の無力感も織り込んだかな。東京でもものすごく揺れてさ。すごかったよホントに。もうアトラクションみたいだった。「エライことになる」って思った。でも東北の方はもっとダメージ受けててさ。その日のうちに映像で津波に飲まれていく車とかを見るわけじゃない。みんな怖かったと思うの、東北の人をはじめとしてさ。俺も怖かったし、きっと名古屋に住んでる人達も怖かったと思う。揺れてはいないけど九州の人たちだって「日本どうなっちゃうんだろう」って怖かったと思う。不安に思ってて、それでも人間って一人なわけじゃない?孤独なわけじゃない?例えばその場で揺れを一緒に体験したとしてもその人の感じることって一つでしょ。その人にしか感じられないことでしょ。心底同化してあげられないことの悔しさというか…そういうのがあるよね。


Q.そうですね。どうやったって目の前に来る津波の恐怖は完全には理解できないですよね。

Ken:みんな孤独なのよ。そこに対しても歌ってるかな、「I Can’t Be There」って。不可能、分かってあげることは不可能なんだけど、せめて一緒にいてあげたい…いられなくてごめんねっていうか。若い時はそんな発想なかったんだけど、子供が出来たりとかするとさ。


Q.REC後のことですし、関係はないと分かっていますけど、NUFNのTONYにも届くといいですね。

Ken:そうだね。そういった意味ではさ、時代を超えてみんなに対して言える感情ではあるよね 。ホントにさ、色んな人の世話になってるから。自分一人の力でここまで来たわけじゃないから。忘れられないよね、忘れたくても。


Q.1曲目から10曲目までの歌詞が、M-11「Save Us」の歌詞に繋がっていってるんじゃないかなって。結局愛なんだろ?って。

Ken:さすが!まさにそうなのよ。色々言うけどさ…震災後にホントに認識したのは愛しかないよねっていう。色んな愛の形があるけど、ちょっと人のことを思いやるとか、ちょっと今までしてこなかったことを人のためにするとか、そういった愛のつもり、俺が気が付いたのは。


Q.“ニヒリストになった”なんて歌詞も出てきますけど、僕は健君って、所謂ツンデレな人だと思ってます(笑)。今までは結構ツンな部分が出てましたけど…。

Ken:今回デレを出した!(一同爆笑)ここさ(猛爆)って書いといて!(一同爆笑)


Q.今まで表現してきた「愛」とは違う、隣人愛的な愛を歌うのって初めてですよね。

Ken:今までも発想はあったのかもしれないけど、歌えなかったよね。うん、やっぱり愛でしょ、愛がないと乗り越えられないもん。でもさ、やっぱ愛でしょ!なんて新興宗教チックじゃない?だから「頭がおかしくなったなんて笑わないでくれよ」って(笑)。照れもあるんだよ(笑)。


Q.M-12「If You Love Me(Really Love Me)」が楽曲的にも歌詞的にもラストに相応しすぎます。

Ken:これ実はカバーソングなのよ。「愛の讃歌」って曲知ってる?あの曲なの。あれって原曲はフランス語のシャンソンなのね。日本語バージョンもあるけど、英語バージョンがあって、それのカバーをしたんだ。エディット・ピアフっていうシャンソンの人が書いた、俺らが生まれる前からある愛の形というか、疑いのない愛、盲目的な愛、そういうのを見て聞いて育ってきてるわけじゃない、俺たちって。だからすごく安心するのよね。自分でその曲を一番最後に置いたっていうことはさ、新しい自分の中に生まれた価値観でガーッとアルバムを攻めておいて、一番最後に自分自身が安心する歌で締めたかったんだと思う。


Q.そして今回は「隠しトラックなし」なわけですが、遊び心よりも強いメッセージを重視した作品と捉えて間違いないですか?

Ken:うん、そういうことなんだと思う。やろうと思えば何かできたはずなんだけど、何かそういう…何て言うのかな「おまけ」を付けたくなかったのかな。大体ね、色んな作品にシークレット・トラックが入ってて、そこでおふざけを披露してるんだけど、今回はそういう感じでは全然なかった。


Q.そういうことも含めて、今までとは少し趣の違う作品なのかなって思います。

Ken:自分の感触的には…自分のキャリアを振り返ると、1stアルバム(『The Cost Of My Freedom』)って異質なアルバムって言われてるでしょう。確かに異質だよね、だって完全に一人で作った楽曲を友達と一緒に鳴らして、ツアーが出来るかどうかも分かんない中で作ったアルバムだから。2枚目から4枚目ってバンドと一緒に作っていって、バンドと一緒に成長してきたけど、今回やっと1stの良いところを、やっとバンドで出せたっていう気がする。俺、横山健個人のアルバムでもあるし、ものすごくバンドアルバムでもあるし…1stの良いところを今に置き換えて作ることが出来た感じがするから、今までと趣が違うと感じるんじゃないかなぁ。1stの時って、あんまり将来のことを考えずに「今あるベストを」っていう気持ちだった。例えばその1枚でソロの作品は終わっちゃったとしよう。それでも「俺こんなの作ったんだよね」って思えるぐらい出し切ろうって思ってて。今回も結構、楽曲にしても詩の内容にしても、すごくあの時の温度に近かったかな。


Q.それってもう一度Hi-STANDARDをやったことと何か関係ありますか?

Ken:いや、自分では関係ないつもりだけど…。もしHi-STANDARDで新曲を作ったってなったら、それと対比してこっちはもっとパーソナルなものをってなってたかもしれないけど、そういうのがあるわけじゃないから…やっぱあんまり(関係)ないのかなぁ。まぁでも何が作用してるかっていうのは分かんないからねぇ。


Q.このアルバム、個人的には今までで一番好きです。LEATHERFACEのカバーも含め、楽曲的にも健君の素がものすごく出てるというか、素直な感じがします。

Ken:実は楽曲的な部分で言うと余裕がなかったっていうのがあって、実は。何でかっていうと、震災以降曲が全然書けなくなって、どっから手を付けていいのか分かんなくなったのよ。どんな曲がいいのかな?って…例えばこうメタリックなものをやりたいのかなとか、アコースティックにいきたいのかな…とかさ。色々自分の中で音楽的にグシャーっと迷って。で、「分かった!曲調なんていいから、まず自分の言いたいことを並べてみよう」と思って、タイトルから書き始めたのね。で、それに合った音楽性をタイトルの下に付けた感じだから、引き出しの中から「これと、これと」ってやってるような音楽的な余裕はそんなになかったと思うのね。


Q.だからこそシンプルで健君の素の部分…というか、90年代のEpitaphだったりFATだったりLOOK OUTだったり、一番熱のあった頃のメロディックの匂いをすごく感じたんですよね。たぶん染み付いてるところなんでしょうね。

Ken:今日も思ったんだけど、俺にとってPUNKといえばもう90年代で止まってるんだと思うんだよね。それ以降の音源ってあんまり聴かないもん。前も話したけどさ、ほらHELL CATの新譜は結構チェックするって。で、確かあの時はCivetの話をしたと思うけど…こう良いとは思うんだけど、染み付くってところまではなかなかいかないんだよね。で、何聴くか?っていうとやっぱり昔のNOFX聴いたり…今日なんてVANDALS聴いたし(笑)。結局あの頃のあの辺りってなっちゃうんだよね。


Q.もう熱量が全然違いましたからね。海外と日本があそこまでリンクした動きを見せたのって初めてだったんじゃないですかね。Hi-STANDARDもBYONDSもNUKEY PIKESも海外のバンドに負けてなかった。

Ken:そうだね。だからさ、LEATHERFACEのカバーっていうのも人からは意外って思われるかもしれないけど、自分にとってはものすごく自然なことなんだよね。


Q.このアルバムを聴く人たち、そして健君を信じて行動する人たちにメッセージをお願いします。

Ken:俺のこと信じて追っかけてくれてる人がいるから俺はやれてる。まず凄く感謝の気持ちがあるし、そういう人たちが今回のアルバム聴いてどう思うのかなっていうのは凄く気になる。「今まで信じてついてきたのに何だよ!」って思われたら嫌だけど、そこは俺も自分の直感にしたがって作ったアルバムだから、受け止められる人は受け止めてほしい。今後も…どうやったら期待通りにできるのかは分かんないけど、なるべく信じてくれる人を裏切らずにやってきたいなって思うから、長い目で見てやってください。

 

Ken Yokoyama:
Ken Yokoyama(Vo&Gt)…<Ken Band> Hidenori Minami(Gt)、Jun Gray(B)、Matchan(Dr)

【HPアドレス】
http://www.pizzaofdeath.com

アルバムジャケット

Ken Yokoyama
NEW ALBUM
Best Wishes
PZCA-59

2012/11/21 ON SALE

発売元 PIZZA OF DEATH RECORDS

LIVE SCHEDULE

12/1(sat) 札幌 KLUB COUNTER ACTION        
12/7(fri) 長野 CLUB JUNK BOX        
12/8(sat) 新潟 LOTS        
12/10(mon) 秋田 SWINDLE        
12/11(tue) 青森 Quarter        
12/13(thu) 盛岡 Club Change WAVE        
12/14(fri) 仙台 Rensa        
12/16(sun) 石巻 BLUE RESISTANCE        
12/17(mon) 大船渡 FREAKS        
12/19(wed) 宮古 KLUB COUNTER ACTION        
12/20(thu) 八戸 ROXX        
1/11(fri) 宇都宮 HEAVEN'S ROCK VJ-2        
1/15(tue) 清水 ark        
1/16(wed) 名古屋 Diamond Hall
1/18(fri) 大阪 なんばHATCH
1/19(sat) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
1/21(mon) 広島 Cave-Be
1/22(tue) 松江 canova
1/24(thu) 長崎 DRUM Be-7
1/25(fri) 福岡 DRUM LOGOS
1/27(sun) 鹿児島 CAPARVO HALL
1/28(mon) 熊本 DRUM Be-9
1/30(wed) 大分 DRUM Be-0
2/2(sat) 高松 DIME
2/3(sun) 京都 MUSE
2/7(thu) 東京 ZEPP TOKYO

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