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明日、照らす

明日、照らすが2年5ヶ月振りとなるアルバム「あなた」を発表する。80年代のフォークと90年代のポップパンクからの影響を体現した独自の世界観と、観る者を一気に引き込む真っ直ぐで嘘偽りのないライブで地元名古屋を中心に、全国で熱烈な支持を受ける彼ら。日々の出来事が綴られた「素晴らしい日々」「それから」に続く今作「あなた」は、沢山の出会いが反映された作品であると同時に、まるでごく親しい人に宛てて書いた手紙のようなパーソナルな作品となっている。「明日、照らすを全うしたい」数々の経験を積むことで意識が大きく変わったという彼らに、ニューアルバム「あなた」について話を訊く。

Q.2年5ヶ月振りのアルバムですが、その期間に出会った人との時間や経験が如実に表れたアルバムですね。

村上:そうですね。今回のアルバムを作るにあたって、変な表現かもしれないですけど、僕個人の意識として明日、照らすをやりたいと思ったんです。今までは「自分がどういう人間か知って欲しい」っていう、あくまで自分ありきで曲を作っていた部分があるんですけど、色んな経験をしたり色んな人に出会う中で、明日、照らすを全うしたいって思うようになったんです。それが何なのかはっきりは分かりませんけど、明日、照らすらしさみたいなものを、誰よりも僕が大事にしようと思ったのは大きいかもしれません。


Q.村上君は明日、照らすの他にもさよなら三角、さよならパリスで歌っていますが、そこの差別化も以前よりはっきりしているのでは?

村上:はい。単純に色々やりたいっていうのもあるんですけど、それだけじゃなくて。僕は所謂「明日、照らす」みたいな人間じゃないんですよ。勿論自分のひとつの要素ではあるんですけど、実際はたぶんもっと嫌な奴だし、自分のことを大事にしている部分だって凄くあるんです。だから明日、照らすの村上友哉のイメージが少しずつ自分とズレているように感じ始めたんです。このままだと良い奴になるというか、自分が自分じゃなくなるような気がしたんです。それで明日、照らすとは違うことをやろうと思ったのがさよなら三角でありさよならパリスなんですよね。


Q.どれかひとつでも欠けたら駄目なんでしょうね。

村上:はい。でも結局は明日、照らすのためにやっている部分はあるんですよ。今の僕を形成したのは間違いなく明日、照らすなので。あと、単純に伴と一緒にやっているのも大きいです。明日、照らすの作業は僕が作った原形を伴が清書することで成り立つので、伴が「これは違う」って言ったら明日、照らすではやれないんですよね。そうなったときに「くそ!やってやる!」っていう気持ちがさよなら三角やさよならパリスのモチベーションに繋がります(笑)。


Q.では無事明日、照らすとして日の目を見ることになった今作「あなた」ですが(笑)、今までとは制作の仕方自体が違うようですが。

村上:違いますね。今までは思ったことや経験してきたことを曲にしてCDにする作業だったんですけど、今回は初めてアルバムのために曲を作る作業から始めました。もしかしたらそれが普通なのかもしれないんですけど、僕からすると逆転しましたね。伴から「来週までに2曲作ろうか」とかレーベルから「今何曲あるの?」とか言われるんですけど、1週間2週間じゃ曲にするような出来事は起きないんですよ。なので、曲を書くのではなく手紙を書こうと思ったんです。これまでの思い出にメロディーをつけるというか。そういう気持ちで色んな人に書いた手紙の総称が「あなた」だったんです。


Q.その「あなた」には具体的な対象はいるのですか?

村上:いますね。どの曲も特定の人がいます。最近凄く思うんですけど、曲を書いたり文章を書くことって僕にとってセラピーなんですよ。思い出を曲にしたり文章にすることで頑張って生きていけるというか。その「あなた」はもう会えなくなった人もいるし、今でもよく会う人もいるんですけど、辛かった出来事も曲にすることで救われたりするんですよ。まさにセラピーですね。


Q.なるほど。では曲についても聞きたいのですが、今作は村上君のルーツであるポップパンクをJ-POPに変換してアウトプットしている印象があります。

村上:そう解釈してもらえたら嬉しいですね。今回は全部の曲に元ネタがあるというか、イメージがしっかりあって、自分が今まで聴いてきたものを楽曲に反映させたかったんですよね。だから僕らのルーツが何なのか探って聴いてもらえたら嬉しいし、そういう音楽の聴き方が僕は好きなので自分達の作品でそういうものが作れたら単純に嬉しいです。

伴:色とろどりな感じはありますね。幅は出せたと思っています。


Q.歌詞に固有名が沢山出てくるのもルーツを辿る役割を果たしていますよね。

村上:それは結構狙ってやってる部分はありますね。僕は歌詞を書くうえで、どれだけ引っかかってくれるかが重要だと思っているんです。だから固有名詞は昔からよく出しますね。


Q.M-2「僕のコートニー・ラブについて」はまさにですよね。この曲には「コートニー・ラブって誰だろう?」っていうところから、グランジやカルチャーに至るまでのヒントが散りばめられていてガイドとしても面白いですね。

村上:そこなんですよ。そういう単語ひとつひとつに引っかかってもらえれば嬉しいし、音楽を聴くのが楽しくなると思うんですよね。あと例えばM-1「16歳だった」 では「ケヴィン・スミスにレイチェル・リー・クック」って歌詞が出てきて、そのあとに「フレンズ&マイラブ」と続くんですけど、ケヴィン・スミスは友達を大事にした映画を撮っていて、レイチェルは恋人役で出てくるんですよね。そういうガイドも入れたりしているので気になった名前が出てきたら調べてくれたら嬉しいです。


Q.あと明日、照らすといえば恋愛の曲も多いですよね。2人の恋愛観はどうですか?

村上:恋愛観ですか?どうなんですかねえ。確かに曲には僕の恋愛観は出ていると思いますね。伴はどう?

伴:僕は恋愛観はないし、よく分かりません。

村上:ほら、誰よりも僕を理解してない人間が横にいるんですよ(笑)。僕と伴は恋愛観というか価値観が違いますからね。よく一緒にバンドやってるなって思いますよ。10年くらい付かず離れずやってますけど(笑)。

伴:フフフ。


Q.では伴君は思い入れのある曲はあったりしますか?

村上:そういうの聞きましょう。

伴:「16歳だった」、M-4「モンロースマイル」、M-7「東京サーモグラフィー」、M-10「xoxo」は最後のほうに出来た曲なんですけど、出来て良かったです。

村上:それはなんで出来て良かったの?

伴:分からん。

村上:インタビューにならないじゃん(笑)。


Q.アルバムを作ることを意識して作った曲なので、それぞれの曲に立ち位置があるのかもしれないですね。

伴:そういうことです。こういう曲があったら良いなって思って出来た曲なので。

村上:僕からすると「こういう曲が欲しいから書いて」って簡単に言いやがってって思ってましたけどね(笑)。


Q.アルバムを締めくくる「xoxo」はまさに今の明日、照らすを象徴するような曲ですよね。

村上:確かに。この曲は僕らの音楽を聴いてくれている人がいるから生まれた曲ですね。本当に明日、照らすは変わったと自分でも思いますからね。


Q.「明日、照らすに救われました」という声もよく耳にしますが、まさか自分が音楽をやることでそういう声をもらうようになるなんてバンドを始めた頃は思いもしなかったですよね?

村上:思いもしなかったですね。僕の好きなface to faceっていうバンドのTrever Keithが「自分のために始めたバンドなのに、ファンからあなたの曲で死ぬのを辞めたとか、救われたって言われるのが信じられない。バンドをやってきて良かった」ってドキュメントで言ってるのを見て、全世界共通なんだなって思ったんですよ。明日、照らすだって僕と伴が何もやることがなくて、何か面白いことないかなって始めたバンドですからね。はっきり言って音楽で誰かを救いたい気持ちはないんですよ。それはやる側のエゴだから。でも誰かのためになったら良いなって、人として思うようになったから、「xoxo」のような曲が生まれたり、今作のようなアルバムになったんだと思います。


Q.照らされているのは村上君と伴君のほうかもしれないですね。

村上:もう本当にそうなんですよ。生きていて良かったって思えますからね。僕、音楽が無いと生きていけないって人は基本的に信用していないんです。そういう人に限ってBOOKOFFに250円コーナーを作るんですよ。でも音楽があって生きていて良かったって、明日、照らすをやっていて思えるようになったんです。


Q.存在する意味や居場所をいつも応援してくれる人達が作ってくれたんでしょうね。

村上:だって普通に生きていたら人から感謝されることってあまりないじゃないですか。それが人前に立って歌って感謝してもらえるなんて、本当に不思議ですよね。誰かのためにやってるわけじゃなくて、ただ音楽が好きで、誰もがも持っている「俺はこんなもんじゃない」っていうずっと消えない気持ちを音楽にぶつけていただけでしたから。いつも人生に疑問を持ってたし。だから、そういう人間はバンドをやるべきだと思いますよ。本当に。


Q.まさにセラピーですね。

村上:まさに。ライブをやっていて目の前で泣いてくれている人がいたり、初めて会った人に手紙を貰ったりすると辛い経験がやっと思い出になるというか。あと、意外と味方いるんだなって思いましたね(笑)。昔は「i GOだ?竹内電気だ?」って思っていましたから(笑)。壁を作っていたし、凝り固まっていたんですよね。でも周りを見たらみんな一緒に歌ってくれていることに気付いたんです。それって僕らの視野が狭かっただけなんですよね。それで考え方が変わったんです。僕らを必要としてくれている人が聴きたいって思ってくれる音楽を伴と一緒に作っていきたいんです。それが僕が明日、照らすをやりたいっていうことなんです。

 

明日、照らす:
村上友哉(Vo、Gt)伴佳典(Ba)

【HPアドレス】
http://asstellus.com/

アルバムジャケット

明日、照らす
NEW ALBUM
あなた
OBOCD-016

2013/1/16 ON SALE

2100円

『あなた』リリースツアー

2/11(月祝)今池HUCK FINN(ワンマン)
2/16(土)松山サロンキティー
2/17(日)徳島CROWBER
2/23(土)仙台JUNK BOX
3.3.Sun.神戸 BLUEPORT
3/9(土)福岡 UTERO
3/24(日)下北沢BASEMENT BAR
4/13(土)上越EARTH
4/20(土)十三FANDANGO
4/21(日)新栄CLUB ROCK'N'ROLL(ワンマン)

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