PICK UP INTERVIEW
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BRAHMAN

「ANTINOMY」から約5年、BRAHMAN待望の新作「超克」が完成した。震災以降、価値観が変わったと語るミュージシャンは多い。その中でもBRAHMANの変化は様々な部分に表れており、ライブでのMCを解禁することで自らが被災地で見たもの、聞いたことを伝えたり、被災地への支援活動を積極的に行うなど、継続して動き続けている。震災後にリリースしたシングル「霹靂」、「露命」に続き完成したアルバムには「超克」と名付けられている。カヴァーを除いた収録曲全曲が日本語で歌われた力強い作品だ。自分の信念を貫くこと、己を越えること。この国で1日1日を生き抜いていくために必要なのはこういう音楽だ。

TOSHI-LOW:柴山君、Tシャツ(7SECONDS)と帽子(NUKEY PIKES)が最高です。


Q.え?あ、ありがとうございます(笑)。

TOSHI-LOW:最高です。これもちゃんと載せてくださいね。じゃあインタビュー始めましょうか。


Q.よろしくお願いします。実に5年振りのアルバムですが、この期間に日本は大きく変わりました。

TOSHI-LOW:うん。


Q.あの日以降、BRAHMANが…というかTOSHI-LOWさんがどんどん丸裸になっていく印象がまずあって。

TOSHI-LOW:そうだと思います。でもそれが嫌だって人もいると思うんですよ。でも自分の中でどっちが悔いがないかなって思ったとき、嘘ぶいて格好つけるより今は丸裸の俺の中身を見て「くだらねえな」とか「嫌いだな」って思う人はそれで構わないって思えるんですよ。そういう覚悟は出来ているし。


Q.ライブにも表れていますよね。これまでのBRAHMANのライブは物凄い熱量でひたすら楽曲をぶつけてくる印象があって。でも今は熱量も倍増しつつ、しっかりMCでも伝えていますよね。

TOSHI-LOW:伝えるってことに関しては、今までも伝えようとは思ってたんですよ。勿論MCはなかったですけど。今までは誤解も含めて全て受けとめるスタイルだったんですよね。それに対して言い訳もしないし。でも3月11日以降は、誤解を与えるくらいだったら自分がちゃんと主張したり言うべきことを言ってあとは各自で解釈してもらったほうが自分でもすっきりするかなって思ったんです。


Q.回り道している時間も勿体ないくらい緊迫した状況というか。

TOSHI-LOW:うん。そのときはそう思っていましたね。この先昔みたいなスタイルに戻るかもしれないし。でも今は本当に回り道している場合じゃないなって思っていますね。


Q.震災直後、多くのバンドが直面したと思うのですが、音楽活動そのものを不謹慎だと訴えるムードがありました。そんな中、活動を止めなかったBRAHMANはどう感じていましたか?

TOSHI-LOW:イベント側が中止の決断をしてライブがとんだことは俺達もあって。バンドの意思としてはやりたかったですけど。でも楽しんでダンスしてハッピーだぜっていうことだけが音楽じゃなくて、勿論自分を解放するのも音楽だけど、自分に向き合うのにだって音楽が必要だと思うし、今こうやって音楽に携わっている人って、雑誌作る人にしてもデザインする人にしても、やっぱりみんなどこか音楽に救われたりとか自分にしかわからない苦しい経験を音楽と一緒に乗り越えた人が多いと思うんですよね。そういうものとして俺は音楽と付き合ってきたから、あのときに音楽を不謹慎って言ってる人を見て何だこいつらって思ったし、音楽ってそんなに不謹慎じゃねえよって凄く思ったんですよ。変な話、一番悲しいときでも、例えば葬式の後だって音楽聴くんですよ。自分を慰めてくれるその曲を。そんなときに不謹慎とか言ってる奴のほうが不謹慎だろって。


Q.音楽が必要かどうかは他人じゃなく自分が決めれば良いと僕は思いました。

TOSHI-LOW:うん。勿論全員が音楽をやってるわけじゃないし、必要じゃない人にとっては本当に必要じゃないと思うんですよ。そういう人は音楽を娯楽として受け取っていた人達だと思うし。だから彼らが音楽が不謹慎だっていうのは仕方ないと思うんです。でも音楽やってる方の口からも不謹慎って言葉が出たときは信じられなかった。


Q.音楽の何を信じてバンドをやってきたんだと。

TOSHI-LOW:そうそう。凄く違和感を感じましたね。だからそういう人達はお金儲けのために音楽をやってたのか、ただのストレス開放のためにやってたんだろうなって感じました。俺は自分がやってきたそうじゃない音楽を信じているから。


Q.TOSHI-LOWさんが最初に被災地に行かれたのはいつ頃ですか?

TOSHI-LOW:最初に行ったのは福島との県境にある茨城県っていう俺の地元に、支援とかじゃなくて個人的に行ったんですよ。それが3号機が爆発した日の朝で。被災した友達の赤ちゃんを迎えに行ったんですよ。1号機は既に爆発した後だったんで誰も行ってくれないんだって友達の旦那さんから聞いて「じゃあ俺行くよ」って。自分の命を軽く見ている訳じゃないですけど、避難していく人が多い中、そこに向かっていくっていうことで自分も試されましたよね。そういう場を与えてもらったことで腹が括れたというか。


Q.現地でTOSHI-LOWさんが実際に見て感じたことを教えて欲しいです。

TOSHI-LOW:避難所から仕事に行ってる人の姿を見て、もう始まっているんだなって思いました。沢山の人が亡くなってしまったけど、生き延びた人に対して、俺は何か繋いでいかなきゃって強く思ったし、1回来ただけじゃ自分に嘘をつくことになるなって思って、そこから支援活動に切り替わりましたね。でね、それでも「善」とか「偽善」って話は出てくるんですよ。「正しい」とか「間違ってる」とか。俺はそんなことどうでも良いと思ってるんです。そんなのは時代が変わればすぐに変わっちまうし、10年前の常識が非常識だったりするじゃないですか。政治が変わったら「この前までは良かった」のに「今回はこうだ」とか、そんなのばっかりじゃないですか。そんな価値観とか常識とか、俺はどうでもいい。それより自分が大事に思っているもの…。さっきの音楽の話じゃないですけど、そういうものを自分の中で大事にすることだと思うんですよね。俺は仲間と音楽が大事だから、仲間と音楽を通じて支援活動をしているだけの話なんですよ。


Q.そういうことってパンクやハードコアが教えてくれたことだと僕は思います。

TOSHI-LOW:俺もそう思います。震災以降、俺はジャパコアばっかり聴いてますし。「反戦」とか「反核」っていうメッセージを福島が爆発するずっと前から訴えてきた人がいっぱいいて、それが圧倒的にマイノリティであっても負けないっていう姿勢がハードコアにはあって。俺、ハードコア聴いて号泣しましたからね。


Q.分かります。ハードコアがハードコアである意味を震災以降は物凄く感じるというか。

TOSHI-LOW:そうそう。何でハードコアがこの強い姿勢でいるか改めて教わったんですよ。それまで耳とか頭で聴いてたものが初めて身体で聴くようになったし。


Q.戦う存在もはっきりしていますからね。他人ではなく自分との戦いっていう。それは今回のアルバムタイトルの「超克」にも強く表れていますよね。

TOSHI-LOW:うん。仰る通りですね。最終的には己なので。でも己に勝つためにもどこかで色んなものとも戦わなきゃいけないと俺は思うんですよ。さっきの外野の声ともそうだし、色んなことを言う奴は言うんで。ただ自分が好きなものがあれば大丈夫なんですよ。絶対。要はみんなそこまで好きなものがないから勝手に踏み込んでくるんだと思うんですよ。でも俺らはバンドが好きだからブレようがないんです。俺らを好きでいてくれる人が流行り廃りでふるいにかけられて少なくなったとしても今残っているものや、今感じて来てくれる人に凄く心強さを感じているし。


Q.そこに動かされる人は国や行政じゃなくてバンドを信じている人なのかもしれないですね。

TOSHI-LOW:うん。というか、国とか行政を信用してない人でしょうね。国も行政もいざってときに役に立たないし、弱い立場の人達から切り捨てられて社会が成り立っていることを知っているから。ほら、名古屋だったら九狼吽が被災地にすぐに金持って行ったじゃない。パッと見と全然違う人達が動いているのはそういう所を頼りにしてないし、痛みが分かるからだと思うんですよ。あれから2年経ったって、被災地がどうなんだ、福島がどうなんだってときに、後の後の後回しでしょ。なのに国や社会にすがろうとか、強い国作りとか、自分達が切り捨てられることを何も分かってないとしか思えないんですよね。強い国を作るために弱い人が泣かなきゃいけないなんてありえない。下手したら国が国を守るために他の国を先制攻撃しなきゃいけないとかさ、勿論戦争が全く無いと思うほど平和ボケしてないけどそこに人種差別な思想が入ったりするのが全く好きじゃないから。


Q.国じゃなくて人と人の話ですからね。

TOSHI-LOW:うん。俺はそう思っています。


Q.あと今回の事が起きてジャンルの垣根を越えて様々なバンドがディスカッションして繋がっていくのを見て、信じられるバンドが増えました。

TOSHI-LOW:自分も強く見えるものだけが強いと思っていましたからね。だけど支援活動をしていると凄く弱っちく見えてたバンドマンが声をかけてくれたり、逆に強そうにみえてたが逃げ狂ってたりするのをみて、自分の目も曇ってたなって思いましたね。


Q.たぶんやり方はそれぞれだと思うんですよ。でも同じゴールを見ていればやり方は違えど目的地は一緒だと思うんです。

TOSHI-LOW:うん。だから俺は右でも左でもなく真っ直ぐだから。弱いものいじめも嫌いだし、強い者が弱い者に勝つなんて当たり前すぎてそんなものにロマンは感じないし。どんな強大な者とも真っ直ぐ戦いたいし、真っ直ぐ風穴を開けてやりたい。俺が見てるのは前だけですよ。


Q.ではアルバムの話も訊きたいのですが、今作はハードコアの強さと優しさが同居している作品だと感じました。

TOSHI-LOW:はい。でもハードコアだけじゃなくて、パンクもスキンズもサイコビリーも、俺達が好きで聴いてきた音楽は強くて優しかったからそれが出ているんだと思います。まあ自分の経験上のものしか出てこないですよね。いきなりラップは出てこない(笑)。


Q.あと今作はカヴァー曲を除いて全曲日本語ですよね。それは伝えたいことが明確にあるからなのでしょうか?

TOSHI-LOW:ああ、それはちょっと違って、俺は英語の曲も好きだし、そもそも音楽を言語で良い悪いの判断をしないんですよ。ただ自分が日本語で歌詞を書くのが難しいと思って避けていた部分があるとしたら、そこから逃げたくなかったっていうのはあるし、あとやっぱり日本に住んでいることや自分が日本人と呼ばれる人種だってことからも逃げたくなかったんです。


Q.あとは日本語を叫ぶことで自分に言い聞かせているように感じました。例えばM-1「初期衝動」では「人間、人間、人間、人間」と繰り返し叫ぶフレーズがありますよね。これは1回叫ぶごとに覚醒している印象を受けました。

TOSHI-LOW:何であんなに言い切るかっていうと、啖呵を切ったなら、後はその切った啖呵に負けない自分を作っていくだけだと思うんですよ。それを自分にも言ってるし、外にも言ってるし、そうやって鍛え上げていくものなんじゃないかなって思いますね。その裏には弱さもあると思うし。


Q.強さも弱さもひっくるめて人間らしさだと。

TOSHI-LOW:うん。そうなんですけど、弱さを売りに出来るほど豊かな時代ではないんですよね。人を助けるにも人と戦っていくのにも、強さが必要な時代だと思います。だからといって強さでねじ伏せようとかマッチョな強さを言ってるんじゃなくて、自分の本当の強さ、自分の好きなものを貫いていくという、国とか情勢とか経済とかに左右されない本当の自分っていうものを鍛え上げていきたいですよね。


Q.町のガキ大将って弱いものいじめをしないし、好きなものをしっかり持ってたりしますよね。

TOSHI-LOW:なるほど。でも本当はそうですよね。俺も大勢のいじめとかに加担したことないですもん。俺の周りの奴もそうなんじゃないかなあ。陰湿にネットで何か書くとかさ、その程度でスッキリすれば別にいいけど全然スッキリしないですもんね。あれ、これアルバムの話ですよね?(笑)。


Q.はい(笑)。じゃあ話を戻しますが、今作はメンバー全員が物凄く歌っていますよね。全員の意思が声になって出ている印象を受けました。

TOSHI-LOW:はい。言ってみれば俺の声も楽器だし、みんなの声も楽器だし、ベースもギターもドラムも楽器だし、だけど全てが俺達の体現化するメロディーでもあればリズムでもあれば思想でもあるんですよね。


Q.それは4人全員で支援活動をされたことも大きいかもしれないですよね。

TOSHI-LOW:それは大きいですね。男4人いたら考え方の違いとかあるかもしれないですけど見てる風景が一緒なので細かい差異は考えないでもっと大きなもので動けるというか。それが自然と曲に反映されているのかもしれないです。


Q.あと今作は80年代、90年代のハードコアを2013年にBRAHMANがまとっているような作品だなって思いました。

TOSHI-LOW:まとっているというか、好きなものからは勉強するし、でも同じメロディー、同じコード、同じリズムを使っても同じものにはならないんですよね。だからそこに自分なりの解釈を加えることが必要なんですよ。ただの足し算じゃ伝わらないっていう。要は何であの時代のハードコアが15年、20年経っても色褪せないかを考えて、今から20年経ったときも自分達の音楽が色褪せないで訴えられるような音楽を作れないと駄目だと思いますね。


Q.でも20年経ってNUKEY PIKESを聴いたときと、今BRAHMANを聴く感覚は近いというか、存在意義という意味では同じものを感じます。

TOSHI-LOW:いやいや、おこがましいです(笑)。勿論、一瞬一瞬ステージに懸けるって意味では誰が来てもいも引くつもりはないですよ。でも今まで観た先輩のライブを自分達が越えれたのは1回も無いです。俺が観てきたバンド達はもっともっと凄かったから。だから逆に今でも追っかけているし、頑張れるんですよね。その人達が今いようがいまいが、影はずっと追っていますね。


Q.例えばGAUZEと一緒にやるときなど感じることは多そうですね。

TOSHI-LOW:多いですねえ。しかもこの間は消毒GIGに呼んでもらったんですよ。GAUZEのSHINさんの手書きで「ジャンルは違っても本物だと認める奴と消毒GIGをしたい」って書いた企画書をもらって。俺、震えたもん。まさか消毒GIGに呼んでもらえるなんて思ってもなかったし、ましてや自分達のことを本物だなんて思ってないですから。でも本当に誇りに思いますね。


Q.同じように今BRAHMANに憧れている若いバンドがBRAHMANの企画に呼ばれる日もあるかもしれないですもんね。

TOSHI-LOW:全然ありますよ。一緒にやった上でダセェなって思ってもらっても良いし(笑)。ただひとつ、やっぱり願ってもないことはこないから、願うなら強く願うことですよね。俺達もそうだったし。


Q.今回のツアーは名古屋の対バンが九狼吽なのも最高です。

TOSHI-LOW:さっき言ってたハードコアを今体現しているバンドだと思いますね。言ってることも筋通ってるし、震災後もすぐに被災地に行ってるでしょ。あれが「心」と「強さ」ですよ。赤いモヒカンの奴がそういう動きをしているわけで。だから先入観とかに惑わされちゃ駄目なんですよ。震災から学ぶことは本当に多かったですね。


Q.はい。では最後になりますが今回のアルバムからは生きていく強さと希望をとても感じました。今一番聴きたかったのはこういうアルバムです。

TOSHI-LOW:ありがとうございます。絶望も希望もありますけど、ほんの1%でも希望が勝てばやっていけると俺は思っていて。要は最後の1歩をどっちが踏みだすかなんですよね。


BRAHMAN:
TOSHI-LOW(Vo)  KOHKI(Gt)  MAKOTO(Ba)  RONZI(Dr)


【HPアドレス】
http://www.brahman-tc.com/

アルバムジャケット

BRAHMAN
NEW ALBUM
超克

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Tour 相克

3/12(火)東京 Shibuya-AX
3/18(月)山形 ミュージック昭和セッション
3/20(水)盛岡 Club Change WAVE
3/22(金)秋田 Club SWINDLE
3/23(土)青森 Quarter
3/25(月)仙台 Rensa
3/26(火)郡山 Hip-Shot Japan
3/29(金)水戸 LIGHT HOUSE
4/5(金)清水 SOUND SHOWER ark
4/7(日)長野 CLUB JUNK BOX
4/10(水)名古屋 ZEPP Nagoya
4/12(金)岐阜 club-G
4/18(木)横浜 BLITZ
4/20(土)金沢 EIGHT HALL
4/21(日)新潟 LOTS
4/23(火)高崎 club FLEEZ
5/1(水)大阪 ZEPP Namba
5/3(金)神戸 WYNTERLAND
5/5(日)徳島 club GRINDHOUSE
5/6(月)高松 MONSTER
5/8(水)高知 X-pt.
5/10(金)松山 SALONKITTY
5/12(日)京都 KYOTO MUSE
5/17(金)札幌 ZEPP Sapporo
5/24(金)広島 CLUB QUATTRO
5/26(日)米子 AZTiC laughs
5/28(火)岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
5/30(木)宮崎 SR BOX
5/31(金)鹿児島 CAPARVO HALL
6/2(日)福岡 ZEPP Fukuoka

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