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cinema staffがメジャー移籍後初のフルアルバム「望郷」を完成させた。バンドが上京してからの2年半という生活のほぼ全てが入っているとメンバーが語るように、非常にドキュメント要素の高い作品になっている。限定生産シングル「西南西の虹」「小さな食卓」や、アルバムタイトル曲「望郷」など全13曲から成る今作は今のcinema staffの全てと言っても過言ではないだろう。アルバムについて、故郷について、三島想平に話を訊いた。(2YOU WEBでは三島による全曲解説も掲載!)

Q.アルバム完成おめでとうございます。名古屋の僕らとしては「望郷」というタイトルだけで泣けます(笑)。

三島:ありがとうございます、そう言って頂けて光栄です。「望郷」というキーワードは、「into the green」リリース時に行った恵比寿リキッドルームでのライブのタイトルを考えている時にフッと浮かんだ言葉だったんです。最終的にアルバムタイトルであったり曲の名前にも使うとは当初思っていませんでしたが、アルバムの大筋が出来ていくに当たって、「この言葉しかないな」という雰囲気になっていきましたね。単純に別に良いタイトルが思い浮かばなかったというのもありますが…。


Q.上京、メジャー移籍とこの2年半はcinema staffにとって濃い期間だったと思います。改めて振り返ってみてどうですか?

三島:なんだかんだであっという間でしたね。あんなにキツかったはずの上京直後の記憶が薄れていってるぐらいですから。2年半で音楽との向き合い方が決定的に変わりましたし、やりたいこととやれることのボーダーラインも分かったつもりです。特にここ1年ぐらいに起きたことは本当にバンドを前進させるファクターが多くて。バンドのセルフマネジメントの方法論というか…個人で出来ること、得意なことはメンバーそれぞれ理解して、格好をつけた言い方だとバンドが運命共同体として機能するようになったと思います。メジャーの環境で何が出来るかというのはまだ考えている途中ですが、なんとか今年中に見つけたいなと。


Q.cinema staffとして10作目になるわけですが、結成当初と今では曲作りや意識において、変化はありますか?

三島:ベーシックな曲作りの作業、方法論(三島が曲の根幹・歌詞・メロディを作り、バンドアレンジを全員でツメる)はそこまで大きく変わっていないのですが、意識自体は「聴かせる人ありき」という感覚に大きくシフトしていっていると思います。それは感覚を強要するということではなく、単純に「ここはぐっとくるでしょ」とか「ここは痺れるでしょ」とか、もの凄く抽象的な事ではあるのですが、それを自分だけの判断にしないというか。メンバーが客観的にジャッジしてもらいます。随分皆、僕のやる事をフラットに見るようになっていっていると思います。もちろん良い意味でですよ!(笑)。あとは現状バンド=生活という状況なので、はっきり言ってビジネス的にどういう立ち回りをすれば生きていけるか、というのは考えています。将来設計もそれぞれあると思ってますから、メンバーそれぞれ。


Q.上京前のcinema staffの作品はフィクション要素が強かったと思うのですが、上京後はまるでドキュメントのような印象があります。今作はまさにこの2年半が詰め込まれているように感じました。

三島:昔の作品はある意味存在自体がドキュメントというか…第一作とかまさに読んで字のごとくなんですが、やれることをギリギリやっただけだったというか…それがリアルな初期衝動だと言われれば否定はできませんが…(笑)。into the green以降の作品はもう、フィクション的なものだけでは書けなかったというか、毒素が体内からとにかく沢山出てきて、言わないと自分の中から毒が出ていかないというか、悪い言い方をすれば曲にあたらないと(笑)精神面で正常な状態でいられませんでしたからね。今はさすがにそこまでじゃないですが…。そういった意味ではものすごくリアルな足跡をリスナーの方にさらけ出しているかもしれませんね。申し訳ないことです(笑)


Q.今作のテーマに「許し、受け入れる」とありますが、どういう思いが込められているのですか?

三島:アルバムまでのリリースの過程は僕が決めた訳ではなかったのですが「into the green」「SALVAGE YOU」「小さな食卓/西南西の虹」そして「望郷」というリリースの流れがなんとなく自分にとって必要なプロセスだなと考えていたのです。正直にいうと、というかこれを言わないともう全部フィルターがかかったようなインタビューになってしまうと思うので明かしますけど、一昨年の夏から冬にかけて心療内科に通っていて、薬も飲んでいまして、物凄く精神が不安定だったのですね。その時に考えたのは、逆にこの状況、物凄く不安定な状況を何かに残せないかと…。まあそれが僕の場合楽曲だったわけですが、その精神不安のあてつけのように20曲とかどどどっと書きまして、そんなある意味、バンドを私的利用してしまった自分とその状況を許せるようになるまでの過程を自分で日記のように振り返ることに出来るものにしたい、と思ったわけなのです。先に挙げた4曲の中はそれぞれ「許しのプロセス」の中の(これは自論も含めているので学説的なことではないです)「怒り」「抑圧」「自己解放」「受容」に当たるんです。ここまできて、やっと僕は2011年を乗り越えたと、「受容することが出来ている!」と自分を誉めることが出来ています(笑)。その感覚が、色々なものに置き換えられて、リスナーの皆さまも感じられるといいなあと。本気で思ってます。「SALVAGE YOU」の「救い」というテーマからも繋がってきているものです。


Q.先行で発表されていたシングル「西南西の虹」「小さな食卓」をアルバムの中で聴くとまた印象が違って、対極にあるようなこの2曲の要素がM-1「望郷」に集約されているような印象も受けました。

三島:ありがとうございます。「望郷」は確かに最近の我々を象徴するような、集約しているような曲だと思いますし、シンプルですが、集大成的な曲に出来たと自負していますから…。嬉しいです。シングルに関しては両方再録で、完全に録音し直しています。大変でした(笑)。


Q.13曲とフルボリュームですがどれか1曲でも欠けたらこの作品は成り立たないほど全曲から4人の生活、活動、状況、感情を感じます。

三島:構想段階では、とにかくフルボリュームというか、おつりゼロの満塁ホームランというか、ブッチャーズ(bloodthirsty butchers)でいう、kocoronoが作りたかったんです。金字塔が作りたかった。現状の自分の全てを集約させたものが作りたかった。感情を余すことなく入れたかった。それで曲のアイデアをストックをほぼゼロにする位全部を詰め込んだんです。胃もたれするような長い作品ですが、どれが欠けてもこの作品は成立しなかったというのは同意です。もうしばらく長尺の作品は作りたくありません(笑)。


Q.改めてどういう作品になったか聞かせて下さい。

三島:この作品を持って、これが自分の仕事だよ、と胸を張って言えるようなものには
できたんじゃないかと思います。まだまだやるつもりですが、もしかして今、のっぴきならない事情でバンドを辞めなくてはいけなくなっても、この作品を完成させられたことで、一定の誇りを保てると思います(笑)。


Q.バンドの状況が変わっていく中で故郷に対する気持ちの変化はありますか?

三島:自分の立場でどうしたら地元に貢献できるのかということを具体的に考えるようになりました。自分ひとりで出来ること、バンドで出来ること。諸々ですが。最終的に戻らなければならない、という謎の使命感は増すばかりです(笑)。


Q.最後にリスナーへのメッセージをお願いします。

三島:この作品が皆さまの足を一歩でも、1ミリでも前に進ませることができるきっかけになるとしたら、僕は本当に自分がものづくりをする人間で良かったと思えます。是非この作品を聴いて、感想をお寄せ下さいませ。そして今後の展望も少しずつですが考えています。すぐではないかもしれませんが、加速度的に面白くなっていくcinema staffにご期待あれ!

 

cinema staff三島想平によるアルバム「望郷」全曲解説

M-1「望郷」
この曲が出来ていなかったら、全く違うテイストのアルバムになっていたでしょう。最初から僕の脳内で全て完成していたタイプの曲ですが、完成までには時間を要しました。自信を持って故郷に持って帰ることができる、誇り高い曲。

M-2「世紀の発見」
僕はsteins:gateというゲーム/アニメが聖地巡礼をするほど大好きなのですが、この作品のヒロインに捧げる曲です(笑)。分かる人にはすぐ分かる歌詞なのではないでしょうか。完成してから展開が大きく変わったり、紆余曲折ありましたが、2曲目にふさわしく、突き抜ける爽快感があると思います。推し曲候補に挙がったこともありました。

M-3「西南西の虹」
シングルver.よりBPMが2上がり、ギターアレンジも少々変わっていて、より疾走感のある再録になっていると思います。

M-4「時計台」
あなたの前に道はなくて、あなたの後に道が出来る、という歌詞があるのですが、これは僕が実際幼少時に母に言われた金言で、今も座右の銘にしているぐらい好きな言葉です。流れて行く時間と実際に感じる時間との違いを書いた、お気に入りの曲。12弦ギターが全編入っています。難しかった。

M-5「日記」
僕は最後までこの曲を入れるのは反対でしたが、メンバーに押し切られ(笑)。一番しんどい時期に書いてそのまま放置してあった辛辣なメッセージソング。全編入っている、遠くから聞こえるような、シューゲイズなギターがいい味出しています。

M-6「待合室」
スタジオワークの合間にインスピレーションだけでぱぱっと作った曲。得意分野です。あまり意味は無いですが歌詞のリズム感は大好きなポイントです。かわいい。

M-7「いたちごっこ」
もともとはかなり展開も複雑でプログレッシブな曲だったのが方針転換、シンプルかつ重いダンスチューンに。ベースは実は、あれをずっと同じテンポで弾き続けるのが物凄く難しいです。オーバーダビング無し、シンプルでキレキレ。

M-8「あのスポットライトを私達だけのものにして」
最も気に入っている曲です。美しい白痴の女性の恋とミュージカル。イントロのギターフレーズは思いついた時に天才だと思いました。最初のピアノは思いつき、スタジオにあったグランドピアノを使用。

M-9「夏の終わりとカクテル光線」
野球が大好きなのに野球を題材にした曲を描いたことが無かったので、この機会だと思い
具体的な高校球児のイメージを元に製作した曲です。歌詞は無茶苦茶時間がかかりましたが、最後のフレーズが出来た時に勝ったと思いました。もともとはすべてバンドアレンジだったのを、プリプロを経てアコースティックアレンジにしています。

M-10「蜘蛛の巣」
今作三島の叫びが聴けるのはこの曲のみ。クリック無し一発ドカン。

M-11「革命の翌日」
我々の「想像力」という曲のアンサーソングです。革命を志した彼女がどうなったのかが分かります。男らしいどかどかした曲。間奏の辻のギターソロが粘り気のある象徴的なフレーズになりました。

M-12「小さな食卓」
シングルver.より随分引き算して、よりライブアレンジに近いものになっています。

M-13「溶けない氷」
メインのギターフレーズはシーケンス感、ピアノのイメージで作りました。チェロを入れようと思ったのは完全に思いつきだったのですが、高橋淳子さんの柔軟な対応で室内楽の様な、最高のアレンジになったと思います。最後は長いです、トランス状態になります。

アルバムジャケット
【初回盤】

photo
【通常盤】

cinema staff
NEW ALBUM
望郷

2013/05/22発売

【CD+DVD】初回盤 3500円 PCCA-03822
【CD】通常盤 2500円 PCCA-03823

cinema staff「僕たちの秘法」tour

2013年5月28日(火)千葉県 千葉LOOK
2013年5月30日(木)神奈川県 横浜LIZARD
2013年6月1日(土)岐阜県 岐阜ants
2013年6月5日(水)石川県 金沢vanvan V4
2013年6月6日(木)新潟県 新潟CLUB RIVERST
2013年6月9日(日)京都府 京都GATTACA
2013年6月11日(火)兵庫県 神戸太陽と虎
2013年6月13日(木)広島県 広島ナミキジャンクション
2013年6月14日(金)香川県 高松DIME
2013年6月16日(日)徳島県 徳島CROWBAR
2013年6月19日(水)静岡県 静岡UMBER
2013年6月22日(土)北海道 札幌SPIRITUAL LOUNGE
2013年6月23日(日)北海道 札幌KLUB COUNTER ACTION
2013年6月29日(土)熊本県 熊本NAVARO

cinema staff「僕たちの秘法」tour
ワンマンライブ

2013年6月30日(日)福岡県 福岡graf
2013年7月2日(火)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
2013年7月4日(木)宮城県 仙台MACANA
2013年7月7日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
2013年7月11日(木)東京都 渋谷CLUB QUATTRO

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