PICK UP INTERVIEW
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THE STARBEMS
BEAT CRUSADERS散開後、ヒダカトオル改め日高央が様々なプロジェクトを経て始動したTHE STARBEMS。2013年4月に発表されたデビューシングル「FUTURE PRIMITIVE e.p.」はバンドのポテンシャルの高さと予想の真逆をいくサウンドで一気にその名を轟かせることになった。そして早くも届いたデビューアルバム「SAD MARATHON WITH VOMITING BLOOD」は更にパンクを突き詰め、ハードコアのアティチュードを詰め込んだ衝撃作となっている。アルバムについて、バンドについて、THE STARBEMSの中枢を担う日高央と越川和磨に話を訊く。

Q.「FUTURE PRIMITIVE e.p.」で提示したTHE STARBEMSのラウド感やパンク感が更に全方向に放たれたアルバムですね。

日高:パンク生誕から約40年の今「じゃあ何がパンクなのか?」って冷静に考えたときに、俺達が思うパンクのイメージ…って主に俺と西君(越川)だけど、そのパンク感はほぼ全部入れることが出来たんじゃないかと。

越川:凄く尖ったアルバムになりましたね。エッジーな感じになってるかと。

日高:BPMに関わらず尖ってるよね。最近のメタルコアとかBPMが速くなかったりするでしょ。だから逆に俺達は2ビートをメインにしつつ、速いだけじゃないぞって部分も出しつつ。8ビート3割、2ビート7割ぐらいかな。


Q.メンバーの年齢差もあるのでバンド間でのパンク感も様々だと思うのですが、その辺りの擦り合わはどうでしたか?

日高:それは今でもやってる(笑)。

越川:昨日もちょうどディスチャージの話で…。

日高:そうそう。ドラムの高地に「ディスチャージの様ないなたいおかずを入れてくれ」って言ったら「BiSチャージですか?」って返事が返ってきて(笑)。それは俺が楽曲提供したアイドルだろって。(一同爆笑)

越川:そういう感じなんで(笑)。まあみんなそれぞれ得意分野はあるんですよ。高地は2000年代の西海岸のメロコアだったり。

日高:Hi-STANDARD、NOFX以降のパンクだよね。ゴスケ(後藤)はパンクというよりエモに寄ってるし。


Q.では若いメンバーから教わる事も…。

日高:全く無い(笑)。

越川:即答(笑)。

日高:たまにゴスケが凄くマニアックなフランスのコミックメタルとかブラックメタルのちょっとオモロ版みたいなのを教えてくれるけど、別にいいかなっていう。(一同爆笑)

越川:だからパンク生誕からの流れを聴いていたのは結局俺と日高さんだけなのでイメージをメンバーに落とし込んでいくんですよ。「こういうバンドがいてだな!」って話をして。


Q.メンバーは日高先生と西先生にしごかれている訳ですね(笑)。

日高:授業料取りたいよね(笑)。高地からは特に(笑)。

越川:日高さんとはパンク以外でも「70年代のロックみたいに」とか「ここは80年代のニューウエーブっぽく」とか「90年代のソニックユース的なノイズを」って話がすんなり出来るので曲のイメージを共有出来るんですよ。それを他のメンバーに教えていくんです。


Q.そうやってメンバーが理解して表現したものを今度はリスナーが受け取って掘り下げていったら面白いですよね。ファミリーツリーがはっきり見えるバンドだと思いますし。

日高:年寄りの老婆心的なね(笑)。別に誰かをディスる意味じゃなく、例えばtoe以降のインストエモを聴く人ってたぶんバトルズは好きだろうけど、遡っていくとソニックユースが出てくるみたいなファミリーツリーが中々出てこないんじゃないかなって。そこを音像で砕けたらいいなっていうのは確かにあったかも。スイサイダル・テンデンシーズからリンプ・ビズキットを経由してONE OK ROCKみたいな終着点でもいいだろうし。そういうファミリーツリーってバンドやってる人間には面白いから。


Q.BEAT CRUSADERSとも毛皮のマリーズとも違うアプローチだけど中身は一緒であって。

日高:そうそう。だって西君のギターを聴いてロックンロールを感じない人がいたら、その人はそんなにマリーズを好きじゃなかったのかなって思うし。俺にしてもBEAT CRUSADERS的なポップの匂いをTHE STARBEMSから感じとれないのであれば、ただお面で楽しげにしてる様子が好きだったのかなって。だから音までちゃんと聴いて好きになってくれていた人にはTHE STARBEMSもちゃんと伝わるだろうなっていう自信はあるよね。


Q.予想は裏切ってるけど期待は全然裏切ってないんですよね。各メンバーのこれまでの経歴がエッセンスとして入っていますし。

日高:Fed MUSICやLOCAL SOUND STYLE的な色は少し薄いかもしれないけど、本人のプレイ的にそれが全然無いかっていったらそんな事も無いし。BEAT CRUSADERSや毛皮のマリーズを期待してる人が良い意味で淘汰されたのはあるかもだけど……「ビークルはやらないんですね、分かりました」みたいな。どうしてもヒダカトオルBAND SETでやってるときはBEAT CRUSADERSを期待させちゃってたし、その分誤解も与えてたと思うから。ヒダカトオルBAND SETで音源作ってたらきっとBEAT CRUSADERSっぽい作品になってただろうし。勿論ゼロからの作業は楽じゃないけど、別に嫌じゃないっていう。俺、性癖はSだけど仕事的にはMだから(笑)。ワーキングM(笑)。西君は?

越川:僕は性癖もMです(笑)。

日高:そしてハードゲイ(笑)。

越川:はい、ハードゲイです。(一同爆笑)

日高:西君、2YOUはこういうの載せるからね(笑)。

越川:ちょっと待って下さい、嘘です。(一同爆笑)


Q.載せておきます(笑)。では歌詞についても聞きたいのですが、ここまでメッセージ性の強い歌詞は日高さんのキャリアで初めてですよね。

日高:うん。BEAT CRUSADERSはそもそもお面っていうフィクションからスタートしている訳だし、せち辛さを歌うよりも虚像を歌う面白さがあったと思うの。「こういう世界があったら面白い」っていう小説を書いているイメージに近いというか。あの頃に比べて今は「こういう世界はしんどくないか?」っていうブログを書いてるイメージに近いかも。


Q.今は歌うべきことや、メッセージを向ける対象が明確にあるんだろうなって印象も受けました。

日高:ネットであたふたしちゃう人は敵が定まってないと思うんだよね。例えば、反原発を唱える人を揶揄する人みたいな図式があったりするけど、そもそも原発が問題なわけで賛否する人が問題じゃないでしょ。原発を許した政府と、その政府を選んだ俺達っていう双方の不理解が出発点なわけで。昔のパンクってセックス・ピストルズにしても、ザ・クラッシュにしても仮想敵が分かって歌ってたと思うんだよね。ザ・ブルーハーツもそうだし。でもそれ以降は仮想敵が曖昧なものになっちゃって。でも「仮想敵はこの人です」って俺なりの提示をすることは可能だけど立場によって正解が違うって意味ではバンドとしてやれることって微力なのかもしれない。それはアルバムを作って改めて思ったかな。


Q.答えはないかもしれませんが関心を持たせるっことは出来ますよね。THE STARBEMSが歌っていることで考えるきっかけになった若いリスナーもいるはず。

日高:そうだね。少なくともうちのドラム以外には届いてると思う(笑)。なんせディスチャージが届いてなかったから(笑)。でもそういうきっかけになっていたら嬉しいけどね。


Q.THE STARBEMSは感動を煽るのではなく現実を歌っているので、その先に何をしたらいいかを考えるきっかけになるんだと思います。

日高:極端な話、起きてしまったサッド・ストーリーを基に感動させる歌を作ることは意外と簡単だと思うの。1分間でわかる深イイ話があるくらいだから。でもやすい感動にはしたくないだよね。例えばモンゴル800が凄かったのは感動させようとしてないからだと思うし。だからお涙ちょうだいではなく、ちゃんとその先を考えられることを俺は歌っているつもりです。俺達がパンクでもらった感動ってそういう表面的なことじゃないし……。パンクは心意気だから。この前もタワーレコードのイベントでSAのNAOKIさんのUSTREAMにアナーキーの仲野茂さんと藤沼伸一さんと俺達で出させてもらったんだけど、良い意味で茂さんは適当だし、NAOKIさんは「日高、南回帰線歌え」って無茶振りしてくるし、なんかあの感じが凄く良くて。ああやって一緒に秘密基地を作ってる感じってパンクの楽しさだよね。NAOKIさんなんて近所のガキ大将みたいだし。あれ、きっとNAOKIさん40代くらいの人が観てるから「南回帰線」を歌ったら喜んでくれることもわかってやってるからね。まさに心意気。


Q.その心意気は日高さんからも凄く感じます。

日高:やっぱり先輩から教わったことは繋いでいきたいよね。吉村さん(bloodthirsty butchers)の遺志も俺達なりに継いでいきたいと思っているし。吉村さんに頼まれたわけじゃないから地獄から怒られちゃうかもしれないけど。でも吉村さんに「お前になんか頼んでない」って言われてもやりたいから。そういう老婆心だったり音楽ジャイアニズムの集大成が俺のパンクなので。世話を焼いたり焼かれたりって、パンクの心意気だと思うんだよね。そういう意味では今日(6月5日)も残りのメンバーが関東のタワーレコード33店舗全店に挨拶に行くっていう余計なおせっかいをしてるけど(笑)。それを笑いながらやれるのもこのバンドの強みかなって。そういうバンドで良かったなと。あと、俺が行かされなくて良かったなと(笑)。西君もさっき行ったんだよね?

越川:俺は本社に行ってきました。

日高;本社対応ね(笑)。そういうプロのミュージシャンとしての商売っ気も忘れてないぞ、と(笑)。それがパンクじゃないって言われたらスイマセーン。(一同爆笑)


Q.アハハハ。では最後に、アルバムを完成させてTHE STARBEMSはどういうバンドになったと思いますか?

日高:まだまだ未知数なバンドかな。聴いてくれた人の反応を見る限り、思ったよりポップに受け止められた印象はあるんだけど。でもこのアルバムでバンドの表札は出来たので、これから家の中をどう模様替えしようかなって感じです。

越川:俺達は組み立てのバンドだと思うので今回のツアーを終えたときに何を思うか楽しみですね。あとこのアルバムでTHE STARBEMSのフォーマットは出来たと思うけど、メッセージも音もすぐに変わっちゃう可能性はあると思うんですよ。それは自分達でも楽しみであり怖くもあり。

日高:良い意味でそこは臨機応変にやりたいね。絶対にこれっていう楔を打つより、そこにテントなのかボートなのか引っかかるものは何でもいいので、その都度リスナー含めてみんなで楽しんでいけたらなって。出来上がった土台の上に、砂の城なのか、レゴブロックなのか、はたまた嘔吐物なのか、なにが来るのかお楽しみに。その前にもしかしたらメンバーの誰かいなくなってるかもしれないし(笑)。

越川:それはやってみないと分からないですね(笑)。

日高:結果、俺がいないみたいな。(一同爆笑)


【HPアドレス】
http://www.thestarbems.com/

アルバムジャケット
【初回盤】

アルバムジャケット
【通常盤】

THE STARBEMS
NEW ALBUM
SAD MARATHON WITH VOMITING BLOOD

NOW ON SALE

初回盤【CD+DVD】
DFCL-2008-09 3,200円(税込)
通常盤【CD】
DFCL-2010 2,800円(税込)

THE STARBEMS 1st album release tour “SAD MARATHON 2013″

7/8(月)千葉LOOK
7/10(水)福島OUT LINE
7/11(木)仙台MACANA
7/13(土)福岡CB
7/14(日)岡山IMAGE
7/15(月)清水SOUND SHOWER ark
7/18(木)名古屋アポロシアター
7/19(金)大阪 十三ファンダンゴ
7/23(火)渋谷CLUB QUATTRO

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