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the chef cooks me
the chef cooks meが約3年振りとなるアルバム「回転体」を完成させた。パンク、HIP-HOPなどのストリートミュージックをまとったポップミュージックのひとつの到達点ともいえる間違いなくバンド史上、いやポップス史上、最高傑作だ。結成から10年、度重なるメンバーチェンジ、レーベル移籍など、バンドは様々な困難を乗り越えながらも音楽への愛と敬意をもって突き進んできた。だからこそ生まれたストーリーがアルバムには詰め込まれている。バンドの転期ともいえる後藤正文氏(ASIAN KUNG-FU GENERATION)との出会いも大きいだろう。the chef cooks meの音楽は僕らの音楽だ。このアルバムが僕や君の街で鳴ることを想像するだけでワクワクが止まらない。

Q.アルバム本当に待ってました。

下村:お待たせしました(笑)。ゴッチさんという大きな整体師を迎えたことで無事完成しました(笑)。


Q.今作は「日常」を歌っていますよね。

下村:震災以前は音楽をやることやライブをやることが当たり前になってた部分があったと思うんです。でもそれは当たり前のことではなく、一緒にやってくれる仲間や見てくれる人がいて初めてやれるわけじゃないですか。大事にすべきものって、凄く身近で、単純で、だからこそ忘れ易かったりするんですけど、そこに気付くことが出来たから馬鹿正直に日常を歌ってみようと思いました。


Q.そこに至るまでには色んな壁を乗り越えてきたと思うのですが。

下村:そうですね。特にメンバーの脱退が続いたので…。僕ら2008年にメジャーデビューしたんですけど異例の半年で契約解消になり。それでベースのタカミーが脱退して、そこからちょっと迷走したというか…。今思うと必要な旅だったんですけど…。メンバーが変わってお客さんが離れていくのも感じていましたし、会社と離れて自分達でやることの大変さも痛感していた時期だったんですけど、そうこうしているうちにギターのyossieも辞めて。その後、onsaの亮君がギターで入ってくれたんだけど4ヶ月で辞めて、ベースのhiromeeeeeeもkan!!!も立て続けに辞めていき…。なんかずっと僕が悪いのかなって思ってました。メンバーが辞めるのも自分の宰領のなさや器の小ささなんじゃないかって。そういうネガティブな気持ちはライブにも出るし、普段の生活にも出るし。でも意味のないことはひとつもなかったって今は思えるんですよね。遠回りしたとは思いますけど。


Q.そういう経験を経たからこそ、自主レーベル「flashic kitchen」を立ち上げてリリースした「Joy&sorrow&tears&smiles」は温度を感じる作品でしたし、ホーン隊やコーラスを迎えたthe chef cooks me BANDはアイディアと多幸感に満ちていました。

下村:半ば意地になってたというか、怒りや憤りがメンバーや僕を動かしてた部分はあったんですよ。「音楽を続けることってこんなに面倒臭いことだっけ?」っていう疑問をカウンターアイディアで解消したかったんです。自主レーベルで音源を作ることも、サポートメンバーを迎えて大所帯でやることも、単純な欲求としてやりたいことをどんどん剥き出しにしていった結果やれたことっていう。自分達の目の前で応援してくれている人の目の前でやりたいなって凄く思うようになったんです。そのほうがワクワクしますし。


Q.それは今作「回転体」に繋がりますね。

下村:そうですね。誰からも相手にされなくなったと思いながら、それでもバンドを続けてきたんですけど、やっと芽が出て実がなりました。


Q.この作品に「回転体」と名付けたのは?

下村:バンドを続けること、音楽をすることの原理って回転という言葉に当てはまるなってふと思ったんです。それでなんとなく「回転体」って言葉を辞書で調べたら、平面を軸を中心に360度回転させることで出来る立体を総称して回転体ということを知って。それを実際に確かめるのは物じゃなくて想像力だと思うんですよね。音楽でも何でも、想像力を掻き立てるもののほうが面白いと思うんです。だからこのアルバムも答えをそのまま出すのではなくて、聴いてくれた人の何かヒントになってくれたら嬉しいなって。誰かのためになるってそういうことだと思っているので。それに「回転体」って言葉には想像次第で色んなことを重ね合わすことが出来ると思うんですよ。それでこのアルバムに「回転体」と名付けました。


Q.今作では歌うことであったり、生きていくことであったり、それぞれの楽曲に色んなテーマがありますが、今の話を聞いてどの曲も回転体という言葉がリンクすると思いました。

下村:そう感じてもらえたら嬉しいですね。


Q.M-1「流転する世界」はバンドの決意表明のようにも感じました。あと曲の展開がポール・マッカートニーみたいで凄く面白いです。

下村:同じ展開を繰り返さない曲をやってみたかったんです。歌詞に関しても曲の展開やハーモニーが呼んでくれたというか。全部を説明しちゃうと美味しくなくなるのでこの辺にしておきますけど(笑)。結構難しいことをしているんですけど、難しくないように聴かせることが出来たのはゴッチさんの交通整理のお陰です(笑)。


Q.M-3「適当な闇」は人生みたいな曲だなって思いました。アコースティックギターと歌で静かに始まるのは生まれてきたことを、色んな音が入ってくるのは人との出会いを、曲中で音の重なりがピークを迎えるときは家族や仲間に囲まれていることを、そして最後、またアコースティックギターと歌だけになって人生を全うするという。勝手に想像したストーリーとリンクさせて聴くことで個人的にも大切な曲になりました。

下村:…ちょっと鳥肌が立っちゃいました。今のストーリーで完璧です。そうやって人生に当てはめて聴いてもらえることが僕の喜びなので。凄く嬉しいです。


Q.M-4「パスカル&エレクトス」はthe chef cooks me BAND名義で7インチでリリースされていた曲ですね。

下村:あの7インチがゴッチさんとの出会いのきっかけでした。昔、僕らの音源をゴッチさんに送ったことがあるんですけど、わざわざメールでレビューしてくれたんですよ。そこには褒めてくれる部分と、「もうちょっと頑張って」みたいな部分の両方書いてあって(笑)。それからしばらくして大阪のFLAKE RECORDSから「Pascal & Electus」の7インチを出して、それをゴッチさんが聴いてくれて、FLAKE RECORDSのDAWAさんに「レーベル決まってないなら俺出したいなあ」って言ってくれてたみたいで。それでDAWAさんから「ゴッさんがシェフ出したい言うとったでー」って連絡を貰い、真に受けてすぐゴッチさんに電話しました(笑)。


Q.「Joy&sorrow&tears&smiles」の次に発表された7インチがこういうキラキラしたポップな曲だったのも面白いなって思いました。あとホーンやコーラスのゴージャスさの裏で鳴る中期ビートルズっぽいギターがかっこいいです。

下村:あははは。完全に「TAXMAN」ですよね(笑)。「Joy&sorrow&tears&smiles」はメンバーが3人になって、このまま何もしなかったら解散するんじゃないかってとこまでバンドがきていて。それでとにかく3人で作れる音源を作ったアルバムでした。あの作品でアコースティックの可能性も感じたし、今まで足して足してだったのが、音数が少なくても曲の良さで勝負出来るんじゃないかって思ったんですよ。それくらい挑戦したアルバムだったんです。でも、やっぱり先は見えないままで。今だから言えることなんですけど、もう音楽を辞めようと思ってましたからね。それで今度はずっとやりたかったホーン隊やコーラスを入れて昔の曲をやってみたんです。それがthe chef cooks me BANDなんですけど、これが本当に楽しくて。その追い風もあって、もう一度ロックンロールをやってみようって作った曲なんです。


Q.だから今のシェフには「Joy&sorrow&tears&smiles」で提示したような楽曲と「パスカル&エレクトス」のような楽曲の2本の柱があるんですよね。少ない音数で伝えるという面ではM-6「うつくしいひと」の歌の伝わり方は物凄いですよ。

下村:ありがとうございます。別にアンチテーゼを唱えるわけじゃなくて、僕はテンションが高い音楽も好きだけど、それだけになっちゃってる音楽を聴くともっと細々したとこに色んな音楽があって然るべきだと思うんですよね。楽曲の構成、ハーモニー、ヒューマンパワーでみんなで力を合わせて良い音楽を演奏したときにしか感じることの出来ない高揚感や感動を担っていこうぜっていう思いは正直あります。


Q.そのヒューマンパワーはM-6「環状線は僕らをのせて」に集約されていますよね。

下村:ゴッチさんにラップをお願いしたら、レーベルメイトの岩崎愛ちゃんも参加してくれることになって。それをゴッチさんがTwitterで呟いたら磯部さん(HUSKING BEE)がノリで「俺もやりたい」って言ってくれて(笑)。


Q.2011年以降にシモリョー君(下村)が一緒に音楽をやってきた人達ばかりですよね。

下村:そうですね(笑)。まだまだ一緒にやりたい仲間はいっぱいいるんですけど、パーソナルな部分込みでここ1年くらい助けてくれたこの3人に参加してもらいました。


Q.M-10「song of sick」はシモリョー君から音楽へのラブレターのような曲ですね。

下村:震災以降、何をすれば良いのか僕なりに考えた結果、逆に物凄くポジティブなことを歌いたいって思ったんです。僕が唯一誇れるのは音楽が好きってことだけなので、それを馬鹿みたいに恥ずかしい歌詞でストレートに書きました。まさに音楽への愛情表現です。


Q.そしてアルバム最後のM-11「まちに」はシモリョー君がずっと歌ってきたことですよね。

下村:ようやく上手いことまとまりました(笑)。結局僕は街男だし、街っていうワードを使いたがるんです(笑)。今まで同じことを違う角度から歌ってきたんですけど、その集大成がやっと出来ました。


Q.昔からシモリョー君の歌を聴いてる人はグッとくると思いますよ。全然変わってないなって(笑)。

下村:あははは。本質は何にも変わってないですからね(笑)。しばらく表に出なかったから色んなとこで復活とか再始動って言ってもらえるのも嬉しいんですけど、ずっと見てもらってる人に変わらないなって言って貰えるのは本当に嬉しいですね。10年やってきて、色んな別れがあったけど、それでも続けてきたらまた色んな人に巡り合えました。僕らの音楽や活動が「めげないでやってきたらこうなるんだよ」っていう誰かのヒントになったら嬉しいですね。僕も人を信じる大切さを再確認しましたから。これをきっかけにもっともっと良い音楽を作って、それを共有して、音楽をポジティブに語れるような動きを起こしていけたら最高です。


the chef cooks me:
下村亮介(シモリョー) ( Vocal, Keyboards, Percussion )
佐藤ニーチェ( Guitar )
イイジマタクヤ( Drums )


【HPアドレス】
www.thechefcooksme.co.uk/

アルバムジャケット

the chef cooks me
NEW ALBUM
回転体
ODCP-004

NOW ON SALE

2,300円
【初回プレス限定特典】「24bit/48kHz 高音質WAVダウンロード・コード」封入

Live Schedule

2013年9月7日(土) 下北沢ERA
2013年9月8日(日) 下北沢ERA
2013年9月16日(月・祝) 銭湯 [浪速温泉]ふろフェス
2013年9月21日(土) 横浜FAD
2013年9月22日(日) 福島アウトライン
2013年11月17日(日)千葉県千葉市緑区横田ファーム

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