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RAINBOW
空想世界と現実世界、どちらにも存在してどちらにも存在しないフィクションでノンフィクションな物語。ストーリーテラーはRAINBOW、中心人物はTWO FOUR若杉厚介。彼を中心にTWO FOURは勿論、アコースティックトロニカバンド「数秒にも満たない」、アングラヒーロー的存在の「猫町」がサウンドワークを担当、全てのアートワークをライブペインティングで話題の「近藤 康平」が担当している。この総勢8名がRAINBOWだ。誰も想像し得ないサウンドスケープは音の魔法に掛かっており、1曲72分という、まるで日常と非日常を繰り返すような音のうねりに包まれる時間を体感して欲しい。このプロジェクトの発起人である若杉に語ってもらった。

Q.楽曲の構想はいつ頃からあったのですか?

若杉:2年半前から作り始めました。震災直後の3月18日に茜谷さん(i GO)と共同で色んなアーティストを集めてオールナイトでチャリティーライブをやったんですけど、それから自分の中でずっと葛藤していたことがあって。バンドマンとして、一個人として、音楽を作る人間として、多方面から考えたときに自分に何が出来るか、夢も希望もないんだけど、僕らみたいに売れてないバンドマンが音楽でメッセージを発することに何の意味があるのかっていう話になって。ただ欲求として「こんなことをやりたい」「あんな風になりたい」っていう、押し殺してた部分が震災前にはあったことに気が付いたんです。それでシンプルに自分がやりたいことを、社会の一部として認めた上でやりきろうと思ったんです。音楽が誰かを救うなんておこがましいけど、単純にやりたい音楽をやることなら出来る。そう思ったときに24-two four-時代にやっていた「レインボー アフター レインフォール」を今の解釈でやりたいと思ったんです。それで2012年に、そのときTWO FOURはメンバーが脱退して亜希ちゃん(石井亜希)が入って3人体制になっていたんですけど、その時の自分なりの解釈で「みらいについて」というアルバムに「Rainbow after rainfall」を収録したんです。それがこの物語の始まりですね。


Q.24-two four-時代から特別な曲だったのですか?

若杉:曲の作り方みたいな話になるんですけど、当時の僕らはスタジオにネタを持ち寄ってセッションして、そこで生まれた楽曲に僕が歌詞を乗せていたんですけど、この曲はそう言う意味でバンドのグルーヴの完成形みたいな曲だったんです。凄く思い出深いですね。


Q.その曲を今回のような形で掘り下げようと思ったのは理由があるのですか?

若杉:もう一回構築しようと思ったときに、最初はメンバーが違うからやれないなって思ったんです。それならタイトルだけ残して作り直せば良いんじゃないかって。


Q.72分という長編ですが、大きく3章に別れていますよね。

若杉:はい。第1章に当たる部分を制作するにあたって、どういう表現で成立させようか迷っていてONE BY ONE RECORDSの柴山さんに相談したら「ザ・ビートルズのAbbey Roadのメドレーのような表現はどう?」ってアドバイスをもらって。そこに凄く共感したんです。それで、セクションとして色んな曲が組曲のように繋がって1曲になる手法を取り入れたんです。その段階で「Rainbow after rainfall」は一旦完結したんですけど、世界観が終わりきれなかったというか、欲求として、続きを見たいっていう感情が生まれたんです。それで3年間かけて曲を温めながら完結させようと思ったのです。


Q.今回TWO FOUR名義ではなくRAINBOWと名乗っているのは?

若杉:第1章は3人時代のTWO FOURと数秒にも満たないの合作だったんです。第2章は配信でリリースしたんですけど、そのタイミングで猫町が加入して。それで第3章が出来て72分の楽曲が出来上がり、どういう形でリリースするか色んな方面から考えていたときに、猫町から「これは若杉&○○って名前で出したら?」って提案があって。だけど僕はフロントマンっていう立ち位置ではあるけどロックヒーローになりたい訳じゃないので自分の名前だけ打ち出すのは違うなと。でも確かにこの曲はTWO FOURと猫町と数秒にも満たないが集まって初めて成立すると思ったので、安易だけど曲名から「RAINBOW」と名乗ることにしたんです。


Q.ライブペインティングパフォーマーとして活動する近藤康平さんもメンバーとして参加されているんですよね。

若杉:康平くんとは古い仲なんですけど、「みらいについて」から僕らのジャケットを描いてもらっていて。彼の持つ世界観にシンパシーを感じているんです。今回も出来上がった曲を流しながらライブぺイントしてもらったんです。なのでジャケットの絵も72分で完結してるんですよね。曲の世界観は何も伝えず聴いてもらったインスピレーションで描いてもらったら僕の思い描いた世界観そのものでびっくりしました。


Q.楽曲はどのように構成されているのですか?

若杉:僕は本を書いたことがある訳ではないので、あくまでも音楽的な段階を踏んでストーリーを展開しました。最初から物語の全貌があった訳ではなくて、少しずつ曲が構成されていく中で次の展開が出来ていく感じでした。ただ1本の大きな筋として「時間軸」というキーワードはありました。夜が朝になり、昼が来て、途中パラレル的な空間にぶっ飛びながらもまた夜になるという時間を表現するのがこの曲の大きなテーマなんです。


Q.なるほど。楽曲の中で展開される物語は現実と非現実、フィクションとノンフィクションが同居しているように感じたのですが。

若杉:僕の個人的な捉え方かもしれませんが、音楽の歌詞に持たせるメッセージってファンタジー要素が強ければ強いほど嫌われがちだと思っていて。でもどこか現実じゃないものを表現することで、より現実が現実として浮き立つのが音楽の素晴らしさなのかなって思うようになったんです。そういう意味でもこの曲は誰かを救う曲じゃないし大義名分のある曲じゃなくて、イマジネーションの中にある世界を歌った曲なんですよ。そこを色んな方面から捉えてもらう面白さはあると思うんですけど、それ以上でも以下でもないと思っています。


Q.では楽曲を紐解いていきたいのですが、第1章で歌われているのは?

若杉:物語の始まりは希望に満ちた主人公の旅立ちから始まります。対象の相手に会いにいくという、物語の中で確信めいた自信に溢れている章ですね。


Q.セクションごとに聴いていくと主人公と相手の対話とも捉えられますね。

若杉:そうですね。物語を構成する中で、何人称かに膨らませたかったんです。求めあう2人の両面からみる物語にしたかったので。


Q.1章では希望に満ちていた主人公が2章では現実を突き付けられている

若杉:ある種の絶望ですね。辿り着いた先に「君がいない」という絶望から2章は始まります。絶望、無力感、八方塞がりからのスタート。その袋小路の中に小さい扉を見つけるんですけど、表現として「鼠のメトロ」というキャラクターが登場します。そいつに引っ張られるように導かれて想像し得ない世界に進んで行くっていう。


Q.その先にあるのが3章の世界だと。

若杉:そうですね。想像し得ない世界は、自分の求めていない世界なんです。そこは何も存在しない真っ白な空間で。その絶望より深い、身体すら動かせないような無力感と脱力感の中で主人公は救いのファンファーレを聴くんです。何もない空間だからこそ、イメージすれば自分の思い通りの世界が作れるんです。


Q.ジョン・レノンの「イマジン」とリンクしますね。

若杉:その通りです。「イマジン」であったりザ・ブルーハーツの「1000のバイオリン」であったり。


Q.この物語の結末はどこに向かうのでしょうか?

若杉:最初とは違う世界の中で主人公と相手はようやく巡り会うんですけど、運命の中というか、結びつきが生まれるのが3章で。最終的にはこの物語に登場する「みんな」が眠った後にもう一回ストーリーを始めるんです。世界観としては1章から3章への流れがあって、3章からまた1章に繋がるんです。


Q.つまり「再生」もテーマにあるということですか?

若杉:はい。再生するってことは、元通りにならないけど新しい形で始まることだと思うんです。これは「あまちゃん」からヒントをもらったんですけど、前に進むことは出来ると思うんですよね。それはこの曲で表現したかった一部でもあります。


Q.この曲が完成したことで今後の音楽制作に与える影響はありますか?

若杉:正直、まだこの曲について考えてる段階なんですよね。まだ過程の中というか。だけど何かものを作る立場としてのスタートラインには立てたと思います。ひとつのものを作り続ける辛さも知りましたし。これを引き連れて死ぬまで音楽をやりたいですね。それが音楽人だと思うんです。僕はそこに気付いたんです。この曲がどうこうっていうより、生きている限り、終わりはなさそうだなって思いました。


photo by ヤオタケシ


【HPアドレス】
http://rainbow-after-rainfall.tumblr.com/

アルバムジャケット

RAINBOW
NEW ALBUM
Rainbow after rainfall
ljrcd-003

2014.3.12 ON SALE

¥1,575(tax in)

TWO FOUR
日本のセントラルシティー、名古屋ストリート発TWO FOUR。メンバー脱退、加入の繰り返しからより強固になった彼らのグルーヴは10周年を迎える今が最強である。ブルース、ヒップホップ、カントリー、サーフ、アンビエントなどを独自に昇華した彼らのサウンドは必踊の価値あり。
http://www.24twofour.co.uk/

数秒にも満たない
日本在住のアコースティック・トロニカバンド。ミニマル、アンビエント、実験音楽から影響を受けた繊細かつ壮大なサウンドスケープを作り出す。
http://subyoooo.tumblr.com

猫町
東京生まれ、名古屋spazio rita在住。2005年ひとりぼっちで猫町を結成。TWOFOURでは雰囲気担当。アルバム「unrest」をPowershovel Audioより発売中。
http://www.powershovelaudio.jp/album/nekomachi/

近藤 康平
ライブペインティング、展示活動を中心に、CDジャケット、書籍装丁、舞台美術、服飾などの分野で活動をおこなっている。服飾においてはファッションブランド「ACID GALLERY」の2013年s/sコレクションより絵が採用されている。
http://kondokohei.net

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