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Gotch
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのGotchこと後藤正文が初のソロ・アルバム「Can't Be Forever Young」を発表。ソロ・シングルとして「LOST」「The Long Goodbye」「Wonderland / 不思議の国」とアナログ盤7インチをリリースしてきたゴッチが放つ待望のアルバムはアナログ盤2枚組&バックアップCDでRECORD STORE DAYである4月19日にリリースされた。昨年10周年を迎えたアジカンだけでなく、レーベル「only in dreams」の主宰、ニュースペーパー「THE FUTURE TIMES」の発行、音楽フェス「NANO-MUGEN FES.」の主催など、多岐にわたる活動で知られる彼がソロではどのような音楽を聴かせてくれるのか。ゴッチ、満を持して2YOU MAGAZINE初登場です。

Q.昨年アジカン10周年を迎えて、今のバンドの状態はどうですか?

後藤:凄く楽しいですよ。バンドって上手くいったりいかなかったり色んな時期があると思うんですけど、最近のアジカンは10年経って物凄くヘルシーな感じがあって。バンド内のコミュニケーションも上手く取れていると思います。今はアジカンとして「次、何をやろうかな」って考えているところです。


Q.この10年間でアジカンとして表現したい音楽って変わりましたか?

後藤:特にやりたい音楽が変わったわけじゃないんですけど、その時々で興味を持っている音楽が違うしその時々のトレンドもあるので変わり続けていくものだと思っています。でもバンドってそのメンバーで何が出来るかだと僕は思っているので4人で面白いことをしたいっていう部分は何も変わってないですね。


Q.なるほど。ではバンドとソロではどのように楽曲の区別をしているのですか?

後藤:たぶん今回のソロの曲もバンドに持っていったらメンバーそれぞれが自分らしさをねじ込んでくるので、仕上がったらどの曲も「アジカンだね」ってアレンジになると思う。でも自分の中での区別としてソロは日常的なフィーリングでやるようにしているかな。逆にアジカンの曲は多少気合いを入れて作っています(笑)。良い意味でソロは何でも良いので(笑)。


Q.曲作りの段階で分けているのですか?

後藤:ヴァースコーラスが出来た段階でどっちに持っていったほうが面白いかなって考えるんですよ。アジカンとしてバシッと歌詞を書いて大きなレコード会社から出した方が面白いなって思ったらバンドに持っていくし。まあ…勘ですね(笑)。


Q.アジカンがシーンに与えた影響のひとつとしてインディーズマナーをメジャーというフィールドに持ち込んだことが挙げられると思うのですが、今回のソロはその要素を含んでいる気がしました。

後藤:基本的にアジカンというバンドは僕がUSインディーのマナーをバンドに持ち込むというトライアルが続いていたんですけど、それを今回自分のソロに持ち出した感覚ですよね。これからアジカンはどんどんロックバンドというものに立ち戻っていく歩みになっていくだろうし、ヒップホップやフォーキーな要素はソロでやろうかなと。それが結果的にお互いをヘルシーにしたんだと思います。


Q.ゴッチさんはTwitterで「バンドは自分の全てではない」と発言されていましたが、それはソロとの比較からだったのでしょうか?

後藤:アジカンも間違いなく僕の一面だし、10年間物凄い熱量でやってきたことなのでバンドにいる自分を無視するわけにはいかないんですけど、ソロは自分の名前でやっているわけなので、より自分ですよね。でもどっちも意味があるしどっちも自分ですよ。


Q.ソロを始めたことで良いバランスが取れているのかもしれませんね。

後藤:そうですね。音楽にまつわる状況もこの10年で随分変わったじゃないですか。インターネットでの楽曲の発表の仕方もだけど、ツール自体もかなり発達しましたよね。ストリーミング再生の音質も良くなったし、今は自分で録音してすぐに音楽を発表出来る時代だと思うんです。昨日(3月10日)もサウンドクラウドで「Route 6」っていうソロの曲をUPしたんです。今のインディーの皮膚感覚だとサウンドクラウドにUPすることがリスナーへのアピールだと思うし。でもバンドだと、すぐにそうはできないですからね。だから今回ソロを始めたことで、両輪あるとうまく進んでいく時代なのかなって認識しました。


Q.今作はレコードでのリリースですが、そこも含め、ゴッチさんは媒体の在り方を様々な視点から提示していますよね。

後藤:実体としてある物の可能性を感じていて。音楽の情報ってよっぽど引っかかるキーワードがないと入ってこないし、インターネットだけじゃ既に好きな人にしか届かないというか、拡がらない気がして。僕はフリーペーパーが好きなんですけど、例えば2YOU MAGAZINEをペラペラめくるだけで色んなバンド名が目に入ってくるじゃないですか。紙だとこういう出会いが不意に訪れるんですよね。そういうアクシデントが起きるのって画面の外に出てきている物だと思う。物のほうが情報として強いっていう。


Q.インターネットの長所としてスピード感があると思うのですが、興味がある人が検索しないと情報自体に辿りつけない部分もありますからね。

後藤:そうなんですよ。関連でリンクが貼ってあってもクリックしないと思うんですよね。WEBに載ってるインタビューが面白くてもYouTubeで検索して聴くかっていったら埋め込んでないと聴かないだろうし。今みたいに情報を全部入れて便利にするとみんな何もしなくなるんですよね。だからCDやレコードをどれだけの人が買うかは分からないけど、僕らが情報として面白いものを提示していくことがありえない出会いを生む気がしているんです。


Q.それってアジカンがNANO-MUGEN.でやってきたことにも繋がりますよね。

後藤:アジカンを聴いてくれる人は邦楽ロックを好きな人が多いと思うんですけど、音楽を細分化したくなくて。色んなことを越境して衝突が起きないと何もワクワクすることって生まれないと思っていて。音楽だけじゃなくて何でもそうだと思うんですけど、世の中の面白いものって何かと何かが混ざり合ったときに生まれると思うんです。ロックンロールもジャズもスカもレゲエもそうやって生まれたわけですし。そういう衝突から生まれるエネルギーって物凄いと思うんですよ。自分の好きなものだけを追求していくことも探究に繋がると思うしそれぞれの場所が濃くなるので素晴らしいことだとは思うんですけど、でもそれが交わったらもっと面白いことが起きるだろうなって。


Q.カルチャーとカルチャーが交わったときに新しいカルチャーが生まれるということは、震災後にゴッチさんがパンクシーンやハードコアシーンと繋がって生まれたことでも証明していますよね。

後藤:やっている音楽が違っても同じような感覚を持っている人がいて、そういう人達と根っこの部分で繋がれたのは嬉しかったですね。色んな人に会って話して感動したし、どこか安心した部分もあるんですよ。ともすれば「おっかない人」ってイメージで終わっていたかもしれないわけで。向こうからしたら「眼鏡のしょぼい奴」って思われて終わりだったかもしれないし(笑)。でも音楽を通して色んなことを考えているのが伝わったし、批判を厭わず前に出ていくパンクスの姿に物凄く勇気付けられたんですよね。かっこいい不良はこういう人なんだなって。変なラベリングが剥がれて、本当にかっこいい人、面白い人が分かるようになったのが大きいですね。哀しみややるせなさの中でああいう出会いがあったことが救いだし希望だなって。TOSHI-LOWさん(BRAHMAN)がこの前のライブで「この3年は、ここから先に何をやるかの準備期間。だからまだまだこれからだ」ってMCをしていて、僕、凄く感動しちゃって。本当にそうだと思うし、そういう人達と繋がれたことは意味があるし、音楽とは関係ないとこでも繋がっていきたいと思っています。


Q.「THE FUTURE TIMES」でも音楽だけでなく色んな分野の人と繋がりながらリスナーに様々なことを考えるきっかけを提示されていますよね。

後藤:震災当初、色んな場所で色んな無力感ってあったと思うんですよ。実際僕も途方に暮れたというか、被災地に繋がりがなかったので物資を持って行くとなっても行き先がなくて。それで義援金を幾ら寄付とか…、銀行のデジタルパネルで押してはきたけど、何か違うなって思ったんです。もっと他に何か出来ないかなって。それで僕は行動を社会に寄付したら良いと思ったんですね。僕は腕っ節がないからボランティアに行っても邪魔になると思うし。それで僕が考えていることだったり、復興への意識だったり、そういうものを拡げるものを作りたいなと。


Q.それでニュースペーパーという方法を思い付いたと。

後藤:色々考えているときにロックの起源に行き着いて。ロックやポップミュージックって中世の荘園で宗教の歌ではなく世俗の歌を歌い始めた吟遊詩人から始まっているんですよ。そういう人達が街々を歩きながら「どこそこで戦さが始まった」とか「どこそこではこんなことが流行っている」とかを語り伝えるという、まさにニュースペーパーのような役目を果たしていたんです。そこからヒントを得て。


Q.ミュージシャンがニュースペーパーになりうることを体現したわけですね。

後藤:先祖返りというか。元々芸能の民はそういう要素があったと思うんですよね。琵琶法師とかそうだったし。レコードが始まるずっと前の話ですけど、レコードされるようになってからも時代の気分みたいなのをロックや歌謡曲は言い表していると思うんです。曲を聴くとどんな時代か分かるし、ロックもパンクもヒップホップも、音楽全般が映し出す世相ってあると思うんですよ。


Q.そういう意味では今回のソロも2014年を生きるゴッチさんの心情がよく表れた作品ですよね。

後藤:震災以降、生きるということや死ぬということを仰々しい言葉じゃなくて日々の言葉で書いてみたい気持ちがあって。生きるとか死ぬって言ってる割には変な歌が入っていますけど(笑)。例えば恋とかも生きることに密接に関わっていると思うんですけど、誰かをものにしたいとか、あれが欲しいこれが欲しいとか、やれ悲しい寂しいとか、そういった色んな感情もいつか平等に損なわれるんですよ。そんなことを3年前に僕たちはがっつり目の前に突き付けられたわけで。それを思い知っても尚、生きることが愛しいんですよね。正直クソだなって思うようなことや関わりたくなくて逃れてきちゃったこととも向き合って、自分の人生を整えていきたいしより良くしていきたい。どうせ死ぬんだったら友達、恋人、家族と楽しく過ごしたいし、でも無邪気に笑っているだけじゃなく、どこかで戦わなきゃいけないこともある。だったら全方位でやろうよっていう、そんなアルバムになった気がしています。


【HPアドレス】
http://www.onlyindreams.com
http://www.asiankung-fu.com

アルバムジャケット

Gotch
NEW ALBUM
Can’t Be Forever Young
WRAC1001

NOW ON SALE

【12inch LP (アナログ2枚組)+同内容を収録したバックアップCD付】
ODJP-001  ¥3,600(税抜)+税
【通常版CD】
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Gotch Tour 2014「Can't Be Forever Young」

5月16日 (金) 東京・代官山UNIT (追加公演)
5月21日(水)大阪・梅田CLUB QUATTRO
5月22日(木)広島CLUB QUATTRO
5月24日(土)福岡BEAT STATION
5月29日(木)北海道・札幌PENNY LANE24
6月3日(火)石川・金沢EIGHT HALL
6月4日(水)愛知・名古屋CLUB QUATTRO
6月6日(金)宮城・仙台CLUB JUNK BOX
6月11日(水)東京・渋谷CLUB QUATTRO
6月12日(木)東京・渋谷CLUB QUATTRO

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