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THE STARBEMS
日高央率いるTHE STARBEMSが2ndアルバム「VANISHING CITY」を完成させた。8月15日に寺尾順平(Ba)が脱退するも、止まってはいられないと間髪容れずにリリースされる今作は、ラウドな部分はよりラウドに、ポップな部分はよりポップにブラッシュアップした作品となっている。耳をつんざくようなシャウトと「日高節」ともいえるグッドメロディーを併せ持つ日高のヴォーカルは表現力を増し、共鳴するように演奏やアレンジも強固に。THE STARBEMSとしてのスタイルを確立した彼らの最高傑作。日高、越川 和磨に話を訊いた。

Q.1年4ヶ月振りのアルバムですが、結成当時は「日高さんや西さん(越川)が新しく始めたバンド」という捉え方をしている人が多かったと思うんですけどそのイメージは随分変わってきた印象があります。

日高:そうだね。ビークル(BEAT CRUSADERS)の常連も随分お減りになられたかも。うるさいのが嫌な人も多いだろうし。その代わり男の子のお客さんが増えたかな。

越川:バンドのスタンスが確立したんだと思いますね。僕らって何処でも誰とでもやれるじゃないですか。ASPARAGUSともLOSTともやれるし、kamomekamomeともやれる。それは自分でも面白いなと。色んなバンドが受け入れてくれるのは有難いですね。


Q.THE STARBEMSというバンドに対する自身の向き合い方も変わったのでは?

日高:それこそkamomekamomeと一緒にやったときに向君(kamomekamome)がMCで「前のバンドと比べられることはあるけど、そこにも感謝してライブしてる」って言っていて。俺はそれが腑に落ちたんだよね。THE STARBEMSを組んだ頃はビークル感を出さないようにムキになってたし比べられることを恐れていた。でも今は比べられても良いし、むしろビークルきっかけでTHE STARBEMSを聴いてくれる人もいるわけだからそこには感謝していて。だから以前の「怒り」から、笑いながら怒る感じになったっていう。だから向君の言葉は目から鱗でしたね。

越川:僕は音楽のスタンスを考えるきっかけがあって。宮古のPOWER STOCKでみんなが「頑張ろうぜ」って言う中、THA BLUE HERBだけ「お前らそんなもんじゃないだろ。地元のみんなが立ちあがってやれよ」って言っていたんですよ。なるほどなって思いました。震災や社会への憤りはみんな共通項としてあるんだけど、アウトプットの仕方は人によって違うんだな、こういうスタンスもあるんだなって思ったんです。3年間、色々やってきてまた気付かされましたね。僕らはこれからも全力で演奏していくしかないんだけど、その上でスタンスや伝え方は変わってきてるかもしれません。


Q.今回のアルバムは「ULTRA RENEGADES E.P.」で感じた90年代のオールドスクール感を引き継ぎつつも更に90年代を突き詰めた印象を受けました。

日高:確かに90年代っぽさはありますね。でもぶっちゃけ前ベースの寺尾がレコーディングの1ヶ月前くらいに脱退したから最初はコンセプトとかテーマとか言ってる場合じゃなくて。でも間が開くのは嫌だったから強行突破したんだよ。


Q.そのスピードに安心感はありました。

日高:寺尾ファンには申し訳ないけどね。まあ全国に3人くらいだから影響はないか(笑)。


Q. 音の面で「SAD MARATHON WITH VOMITING BLOOD」は作り込まれたイメージがあったのですが今作は音が剥き出しの印象を受けました。

日高:ベースが変わって音の位置が変わったからかも。サポートの潤(山下潤一郎)のセッティングを普段よりヘヴィーにしてもらったんですよ。スリップノットと同じセッティングのアンプでベースを下に潜らせたんです。それで歌やギターが剥き出しになったんだと思う。


Q.更に、ラウドな部分はよりラウドに、ポップな部分はよりポップになっていますよね。日高節ともいえるメロディーも随所に感じます。

日高:以前はビークルを連想させるようなメロディーを自分の中でNGにしていて。でも今はビークルっぽいって言われてもOKなので。それはkamomekamomeのお陰なんだけど。あと今回はボーカルやコーラスを重ねるのも辞めたの。大人数で歌うと厚みは出るんだけど届く距離が短いというか、剣先が尖らないんですよ。ゴスケ(後藤 裕亮)と篤(菊池 篤)と俺の2、3人で叫んだ方が刺さりが良いというか。それで録り方も意図的に変えたんです。そういう意味の剥き出し感はあると思う。


Q.M-1「Working Youths」はTHE STARBEMSとしての覚悟を感じる決意表明のような曲ですよね。

日高:俺の中のオイ・スキンズ感ですね。誤解を恐れずに言うとTHE BLUE HEARTSみたいなことを歌おうと思って。俺と青春パンクって縁がないと思うでしょ?でもガガガSPとかLD&Kの頃から知り合いだったりするし、何気にビークルでGOING STEADYとも対バンしてるし。MONGOL800もデビューから見てるから。敢えて避けていたけど、俺が青春パンクをしたらこうなるんだっていうのをやってみようと。そこにオイやスキンズを被せてみたっていう。どっちにも怒られそうだけど(笑)。


Q.歌詞のメッセージは「未来は僕らの手の中」に通じるものがありますもんね。

日高:そういうこと。ブルーハーツのメッセージや青春パンクのひたむき感を46歳のおっさんが歌った曲です(笑)。


Q.M-2「Sublime」のシャウトとメロディーのバランス、ファスト感、ブレイクダウンビートといった色んな要素がドラマティックに展開されていくスタイルはTHE STARBEMSらしさ全開ですよね。

日高:寺尾が脱退することになった原因の曲ですね(笑)。寺尾は横ノリのグルーヴが得意なベーシストだったから縦ノリのプレイに悩んでいて。それでJUN GRAYさんや今サポートしてくれている潤に相談した結果、基礎練習が必要だって話になって。でもそれって1年以上かかることだから、一旦バンドを離れて本当にベースをやりたいかどうか考えるって脱退したんですよ。そういう意味でも年齢への挑戦の曲だなと。46歳でこれを作ってるのが俺的には面白いと思うんだけどね。


Q.なるほど。デジタルっぽさも感じたのですがあれはギターですか?

日高:あの演出は西君のギターだよね?シーケンス入れてないし。

越川:そうですね。ビットクラッシャーっぽい音で同じフレーズを続けています。

日高:ゴスケは何をやってるの?

越川:あいつは何もしていません。(一同爆笑)


Q.M-3「Let Lights Shine」M-6「Pitfalls」はシングルとは別ヴァージョンで収録されていますが。

日高:この2曲はどうしても西君が録り直したいと。

越川:アルバムとしてのバランスを取りたくて。アメリカで録ったときよりも上手くなっているだろうという目論見もあり。

日高:アメリカ録音はコンプの感じも生々しくて好きなんだけどアルバムで他の曲と並べると音が軽く感じちゃって。アメリカレコーディングは突貫工事だったので。でもあのシングルはそれが良かったんだよね。まだ持っていない人はお買い求め下さい。(一同爆笑)


Q.「Pitfalls」は西さんのギターが炸裂していますね。イントロもソロも本当にかっこいい。

越川:これも実はアメリカで納得がいってなかった部分で。機材を持っていけなかったし、エンジニアにもニュアンスでしか伝えれなくて。それで録り直したんです。


Q.M-4「Vanishing City」とM-5「The Midnight Sun」の歌詞はヒーローが立ち上がっていくイメージがあります。

日高:THE STARBEMSの元ネタはウルトラセブンなんだけど、歌詞もウルトラセブンっぽいエピソードにしようと思っていて。それがこの2曲にハマったんですよね。さっき90年代のオールドスクール感って話があったけど、90年代の終わりくらいにニュースクールが始まるんですよね。ニューヨークハードコアではない、当時ラップメタルやラップコアって呼ばれたような。


Q.koRnやLimp Bizkitのような。

日高:そうそう。koRnの衝撃って凄かったじゃん。ジョナサンのルックスが怪獣みたいだったし。あのニュースクール感は逆に今、誰もやってないなって。バウンシーな弾んでる感じがありつつ歌が始まるとラウドになる、あのメリハリをやりたかった。この2曲は90年代後半のイメージを21世紀に再構築出来たかと。


Q.M-7「Sweet Nothing Blues」は日高さんが意識的に封印していた部分を解放している印象を受けました。

日高:ビークルエモ感ね。一番日高節が出ているかと。弾き語りでも歌えそうだし。この曲のイントロは最初もっとソフトだったんだけど、リムショットの優しさがあざとく感じて変えました。


Q.歌詞は一見ラブソングですが、よく聞くと日高さんの覚悟を歌っていて。

日高:過去との決別だね。でも確かにラブソングに聴こえて良いくらいの気持ちで書いた曲で。ビークルの「LOVE DISCHORD」の続きの物語というか。ヒーロー物に恋愛エピソードの回が少しあったりするでしょ?諸星弾とアンヌ隊員のゴチャゴチャとか(笑)。あんな感じ。


Q.M-8「Dinosaur Boy」に登場する少年を主人公にした映画を観てみたいです。

日高:確かに映画っぽいね。これはダイナソーJr.っぽい曲にしようと思って作りました。最初は2ビートのアレンジを試したんだけど、そのままダイナソーJr.にしようって。以前だったら絶対にボツにしてましたね。こういう曲があることでラウドとのメリハリがつくと思うし。


Q.THE STARBEMSのファンが「この曲、雰囲気が違う」って思ったときにダイナソーJr.に辿りつけるようなヒントもちゃんと曲名にあって。

日高:その通り。2YOUにだけ言うけど間奏のラップはポール・サイモンだからね。この曲には非ハードコア要素を入れようと思って。


Q.それが出来るのはバンドの幅が広がった証拠ですよね。

日高:うん、それは凄くある。


Q.打って変わってM-9「Vengeance Sea」は悪い曲ですね(笑)。

日高:サグいです(笑)。こういうオールドパンクによくある手法のリズムってあまりやってなかったなって。この曲はギターのノイズに面白い仕掛けがあるんだよね?

越川:この曲は僕のギターを入れる前の段階で成立していたから、僕はナイン・インチ・ネイルズみたいなノイズが鳴っている感じを出そうと思って。それでギターのケーブルをドラムの高地のケツにぶち込んだときの音を全部入れました(笑)。

日高:ケーブルの先を触っているとビリビりするでしょ。それをアナルから体内に注入して、高知のおしりの穴から発せられた電磁波がノイズとなって曲に表れています(笑)。

越川:今までの僕じゃ出来なかった手法です。(一同爆笑)


Q.そのまま書いておきます(笑)。この曲の歌詞は確かにサグいんですけど、最後に立ちあがるためのヒントもあって。

日高:そう。付き離しているわけじゃないっていうね。甘やかさないぞっていう。


Q.日高さんのSっぷりが発揮していますね(笑)。

日高:あははは。歌っていても気持ち良いからね(笑)。


Q.M-10「Everybody Needs Somebody」はMISFITSを彷彿とさせるコーラスが新鮮でした。

日高:こういうコーラスは禁じ手にしてたんですよ。そこに頼っちゃ駄目だなって。でもムキにならずにやってみたんです。このアイディアはゴスケなんだけど、リスナーに近いゴスケが気持ちいいのなら聴いてくれる人にとっても気持ち良いのかと。俺や西君はリスナーとしては捻くれ過ぎてるから(笑)。


Q.M-11「Burning Heart」も90年代後半の匂いがするのですが、焼き直しではなくしっかり今っぽさを感じます。

日高:機材を変えたり、ドラムも生音とサンプリング音をミックスしていたり、録り音もモダンな感じなのでキッズにも楽しんでもらえるかと。


Q.THE STARBEMS史上、最もファストなナンバーM-12「Pig Ministry」はとにかく凄まじかったです。

日高:この曲はミニストリーのインダストリアル感とピッグ・デストロイヤーのグラインド感を合わせた曲なのでタイトルもそこから付けて。グラインドとインダストリアルを融合したグラインダストリアルですね。そんな言葉ないけど(笑)。


Q.そしてアルバムのラストを飾るM-13「Evening Star / Morning Star」。

日高:これはスタジオで合わせてる段階で篤が「アルバムの最後っぽい」って言っていたんだけど、実は俺もそう思っていて。歌詞はウルトラセブンの最終回を歌っています。諸星弾が自分がウルトラセブンであることを告げて戦った後に星に帰るエピソードなんだけど、最後に「明けの明星とともに横に光ってる星が僕だ」みたいなことを言うのね。そういうおセンチなナンバーです。そして寺尾もいなくなるという(笑)。

越川:明けの明星になったんですね(笑)。

日高:色んなことがシンクロしちゃった不思議な曲です(笑)。


Q.今作を聴いて、THE STARBEMSはラウドな面を含めてポップを打ち出したんだと思いました。耳触りが良いものがポップだとは限らないじゃないですか。そこを体現していると思うんです。

日高:ポップって時代を反映するものだと思っていて。俺の中では今堂々とハードコアをやるのがポップなんだよね。誰とも被らず、その人にしか出来ないことをやるのがポップだと思う。それはビークルの頃から変わってないかな。

越川:日高さんの膿が出たんだと思います。結成時はビークルっぽさを出すことにタブー感があったけど、日高さんの声で日高さんの曲を歌えば日高さんでしかない訳で。そこにTHE STARBEMSらしさをはめていくのが今回のテーマで。それが出来たからネクストもあると思っているし。制限がなくなって、これからTHE STARBEMSはもっと色んなことが出来ると思いますよ。

日高:そうだね、リミッターは外れたかな。


THE STARBEMS:
日高 央(Vo)
越川 和磨(Gt)
菊池 篤(Gt)
高地 広明(Dr)
後藤 裕亮(Gt)

【HPアドレス】
http://www.thestarbems.com/

アルバムジャケット

THE STARBEMS
NEW ALBUM
VANISHING CITY
TKCA-74158

NOW ON SALE

¥2,778(+税)

VANISHING CITY TOUR 2014

11/28(FRI) 大阪 梅田Shangri-La
11/29/(SAT) 名古屋 池下CLUB UPSET
12/10(WED) 東京 渋谷TSUTAYA O-WEST

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