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怒髪天
結成30周年アニバーサリーイヤーであった2014年はまさに怒髪天の年だった。1月の武道館ワンマンライブ「怒髪天結成30周年記念日本武道館公演“ほんと、どうもね。”」は見事ソールドアウト、己の道を突き進んできた怒髪天というロックバンドが成し得たロマンの結晶そのもののようなライブだった。武道館公演を大成功に収めた彼らは間髪容れず47都道府県ツアー「怒髪天、おかげさまで30周年。47都道府県勝手にお礼参りツアー“いやあ、なんも、おかえしだって。”」を開催。更に30周年記念ベスト盤「問答無用セレクション"金賞"」をリリースするなど全国各地にしっかりお礼参り。4月には「紅盤」こと「男呼盛"紅"」をリリース、11月には「紅盤」と対を成す「白盤」こと「歌乃誉"白"」をリリースした。そして2015年1月30日からは東名阪札のワンマンツアー「怒髪天 2015年新春TOUR "紅白利き歌合戦"」の開催も決定している。30周年アニバーサリー・イヤーを経てもなお走り続ける怒髪天。シュッシュポッポ、汽笛を鳴らし、これからも道なき道を切り拓いていくだろう。

Q.2014年は怒髪天にとって激動の年でしたね。

増子:とことんやったよ。武道館から始まって47都道府県ツアーもやったでしょ。年間70本くらいライブやったからね。怒涛だったよ。本当に濃厚な1年だったし、公私共々会いたいと思う人やお礼を言いたい人にちゃんと会えたからさ。バンドの30周年としては最高だったと思うよ。


Q.もしかしたら語弊があるかもしれないですけど、怒髪天のような所謂土着感のあるバンドが武道館でライブをすることやソールドアウトさせることに凄くロマンを感じたんですよ。

増子:俺もそう思うよ。俺達が武道館でライブをすることって、勿論自分達のお祝いのためでもあったんだけど、地道に頑張ってきた同世代のバンドや後輩のバンドに「続けていれば何かあるよ」っていうロマンを体現してみせたかったんだよね。バンドってさ、フェスや音楽番組に呼ばれたりタイアップがないと何かを成すことが出来ないんじゃねえかって思いがちだと思うんだけど、そんなことは絶対にないんだよ。俺達は30年かかったけど、ヒット曲なんかなくてもやり続ければ何でもやれるってことを実証したかったんだよね。だから多少無理してでもやろうかって。


Q.構想自体はいつ頃からあったのですか?

増子:2年ぐらい前かな。「30周年をどうするか?」って話になって。でも正直武道館なんて無理だと思ってた。それまで28年やってきてZepp Tokyoを売り切るぐらいだから、まあ3000人弱ぐらいでしょ。そこから2年間で3倍以上お客さんを増やすなんて無理だろって。でも30周年でやらないと次はないと思ったんだよね。「じゃあやっとくか」って。それで「赤字になって借金したらまた働いて返せばいいじゃん」って。だから最初からソールドアウト出来るなんて思ってなかったよ。でもやるからには後悔したくないから2013年は丸々武道館に向けてプロモーションもして。濃かったね。休んでる暇なかった。まあ休んでも仕方ないよ。やれるうちにやっておかなきゃ。


Q.増子さんが武道館のステージから同世代のバンドの名前を呼び「お前らもやれよ」とメッセージを投げかけていたのが印象的でした。それは2015年7月11日に開催されるSAの野音ワンマンの応援プロジェクト「SAコムレイズかかってこん會」にも繋がっていて。

増子:応援してもらった分、応援し返したいんだよね。みんなそれぞれに可能性があるし、それに賭けてみて欲しくて。バンドってミラクル起きるから。やっぱりバンドは最高だよ。あと47都道府県ツアーを回ってみて思ったんだけど、バンドが出来る1番の恩返しは解散しないことだと思うね。バンドが活動休止や解散すると寂しいもんね。がっくりきちゃうよ。活動休止して良いことなんてそうそう無いよ。


Q.かつて怒髪天の活動を止めたことのある増子さんが自ら感じたことですか?

増子:そう。俺らも辞めるつもりで活動を止めたからね。怒髪天はたまたま良い方向に向いたけど、応援してくれる人がいて、夢を乗せて活動してるなら活動は止めないほうが良いと思う。


Q.活動再開以降の怒髪天は止まることを知らないほど走り続けていますしね。しかもその勢いは武道館以降、更に加速して。まずは47都道府県ツアー、3枚組ベストアルバムといったお礼参りがあり。

増子:まさにお礼参りだよな。これまで行ったことのない土地にもやっと行けたからね。「ありがとう」って声が届く距離で言えて良かったよ。各地で「待ってたよ」って言ってもらえて感慨深かった。


Q.4月には「紅盤」こと「男呼盛"紅"」がリリース、そして11月には今作「白盤」こと「歌乃誉"白"」がリリースと。アグレッシブな印象「紅盤」に対して「白盤」は歌ものに寄せた作品ですよね。対象的な2枚だなって。

増子:そこは最初から意識していた。もともと1枚のアルバムとして出すつもりだったんだけど、それだとツアーで新曲を12曲やることになる。せっかく30周年なのに古い曲がやれないのは嫌だから2枚に分けたんだよね。「紅盤」がハードなものだったから「白盤」は歌ものに寄せたんだよ。両方あっての怒髪天だと思う。


Q.M-1「ひともしごろ」はまずストリングスにびっくりしました。

増子:違うCDを入れたと思ったでしょ(笑)。ロックにストリングスを入れる発想は俺にはなかったんだけどプロデューサーの上田(健司)さんに曲を聴いてもらったら「曲を最大限に活かすためにストリングスを入れたい」って。やってみたら凄かったよ。物凄く壮大になった。今まで過去を振り返ることなんてなかったんだけど、30周年をきっかけに振り返ることが多くて。「ひともしごろ」っていうのは火が灯す頃、つまり夕方なんだけど、俺も48歳になって人生夕方になってきて、たまには振り返るのも良いなって。


Q.歌詞にもこれまで怒髪天が歌ってきたテーマが散りばめられていますよね。

増子:今までの総括というかさ、色んな曲のキーワードをちょっとずつ入れていったんだよ。30周年記念曲みたいな。ずっと前しか見てなかったから自分達の今までを振り返る良い機会になったと思う。


Q.M-2「バカディ・ガッタ!」は世の中を嘆きながらもコミカルに聴かせる怒髪天の真骨頂ともいえる曲ですね。

増子:「バカディ・ガッタ!」は「馬鹿で良かった」なんだけど、馬鹿で良かったって思っているってことは馬鹿じゃないんだよ。馬鹿にならなきゃやってられないってことだから。こういうテーマの歌詞をコミカルに聴かせることでコントラストがつくでしょ。そこは意識しているかな。


Q.坂さんのコーラスも最高ですね。

増子:坂さんに「自分が思う一番かっこいい声で言ってくれ」って言ったんだけど、まああの程度だよ(笑)。頭に入れることで「BE MY BABY」っぽくなったけどね(笑)。


Q.生きていく弱さと強さを歌ったM-3「どっこいサバイバー」も怒髪天がずっと歌ってきたテーマでもありますよね。

増子:昔からのテーマだね。人間って弱いけどしぶといんだよ。どれだけ悩んでいても一晩寝たら次の日はけろっと起きるわけで。結局は生きてるんだからやるしかねえだろって。そういう生き物として備わったしたたかさを自覚しようっていう曲なんだよね。そりゃ色々あると思うけどさ、人間は割としぶといんだよ。それが一番言いたいことだから。


Q.M-4「人生○×絵かきうた」は奥野真哉さん(ソウル・フラワー・ユニオン)のピアノが素晴らしいです。

増子:スリリングだよね。昭和歌謡とかジャズ歌謡みたいなものを作りたかったんだよ。奥野とは今まで何度か一緒にやってきたけど、同世代だし聴いてきたものが一緒だから安心して任せられるんだよね。


Q.この曲では人生に置いて○の選択も×の選択もひとつのゴールに向かっていることが歌われていて。

増子:全部必要な選択なんだよね。絵描き歌と一緒だよ。途中経過じゃ何を描いているか分からないっていう。最後何が出来上がるか楽しみにするしかないんだよね。


Q.M-5「明日の唄」のセルフカヴァーは怒髪天の提唱するR&E(リズム&演歌)の由縁となったような曲だと思うのですが。

増子:演歌の心をロックで鳴らすきっかけの歌だからね。「明日の唄」は1995年にリリースした「痛快!ビッグハート維新’95」ってアルバムに収録した曲なんだけど色んな事情があって再発出来ないのよ。でも30周年を振り返るときにどうしても外せなくて再録したんだよ。20代半ばに作った曲だけど今やってもしっくりくるっていう。


Q. 再録ってアレンジがガラッと変わることが多いじゃないですか。でもこの曲はアレンジもキーも一緒だからこそ時を経てきたことをより感じ易いと思いました。

増子:俺、アレンジが変わるの嫌なんだよね。出来るだけそのままやりたい。大事な歌だからみんなに聴いて欲しかったんだよ。しかしこの曲、濃すぎるよね。まさに男のロック。1995年にこれやってたんだもん。世間ではオアシスが流行っているときに怒髪天はこれやってるんだよ。よくぞ辿り着いたと思うよ(笑)。


Q.M-6「ジャガイモ機関車」は走り続けるバンド、つまり怒髪天そのもののような曲ですね。

増子:まさに。俺達、東京に出てきて随分経つけど東京の人間にはなれなかったんだよ。やっぱり北海道のジャガイモなんだよな。泥だらけで形も悪いけど、転がりながら走ってきたジャガイモなんだよ。それが誇りだし原動力でもあるから。あとおっさんが必至になってシュッシュポッポ言ってるのもさ、それだけで哀愁あるでしょ。ストリングスからシュッシュポッポまで何かが欠けても駄目なんだよね。


Q.その降り幅が怒髪天なんですよね。

増子:本当そう思うよ。凄く良いのが出来たと思う。よりシンプルにより伝わり易く、より楽しく出来たから。


Q.このアルバムにしろ、活動の仕方にしろ、仲間や後輩バンドの道標になるものだと思うんですよ。

増子:その可能性はあるかもね。


Q.増子さんはそういう使命感を感じることってありますか?

増子:昔はなかったよ。でもぶっちゃけ今はあるね。背中を見せなきゃなって思うもん。バンドって続けるとどうなるか、それを見せてやろうって思っている。背負わなきゃいけないものもあるし、もはや自分達だけの問題じゃなくなってるんだよね。その為にこれからも良い曲を作って良いライブをする。30周年っていう祭が終わって、また小石を積んでく作業に戻るわけよ。それが面白くてずっとバンドをやっているんだよね。毎年お祭りじゃ疲れるよ。さっきも言ったけど最大の恩返しはバンドが解散しないことだから。30年やってきてさ、良い部分も改善しなきゃいけない部分も見えたんだよね。これだけやってきても気付くことがある。だからバンドは面白いよね。


怒髪天:
増子直純(Vo)
上原子友康(Gt)
清水泰次(Ba)
坂詰克彦(Ds)

【HPアドレス】
http://dohatsuten.jp/


【白】


【紅】

アルバムジャケット
【金賞】



怒髪天

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2015年新春TOUR "紅白利き歌合戦"

2015年1月30日(金)北海道・札幌市民ホール
2015年2月11日(水・祝)名古屋・ZEPP NAGOYA
2015年2月14日(土)大阪・なんばHatch
2015年2月21日(土)東京・ZEPP TOKYO

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