asian kunfu generation
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山田貴洋(Ba、Vo)  後藤正文( Vo、Gt)  伊地知潔(Dr) 喜多建介(Gt、Vo)

ASIAN KUNG-FU GENERATION

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)が2年8ヶ月振りに放つニューアルバム「Wonder Future」がとんでもない。何がとんでもないってまず誰が聴いても一瞬で解るほど音が図太い。分厚い。ここまで書いて馬鹿みたいな感想だなって我ながら思うのだが、それは今作を聴いて頂ければ理解してもらえるはず。アメリカ・ロサンゼルスにあるフー・ファイターズのプライベートスタジオ「Studio 606」にてレコーディングされた全11曲収録のアルバムはアジカンがアジカンのままラウド&ヘヴィ化した新章の幕開けといえるだろう。とりあえず僕もこの原稿を書き上げたらギターをフルテンで鳴らします。それくらい衝動を掻き立てられるアルバムを完成させたアジカンのゴッチ&伊地知に鼻息荒めのインタビューを決行。

 

 

Q.アルバム最高です。

後藤:ありがとうございます。

 

Q.フー・ファイターズのスタジオ「Studio606」でレコーディングされていることも作用しているとは思うのですが、今作はアジカン史上最も骨太なサウンドに仕上がっていて。

後藤:音が太いですよね。

 

Q.極太です。

後藤:あははは。最初みんなでヘヴィでラウドなものを作ろうって盛り上がったところから始まって。それで何とかしてデイヴ・グロールにプロデュースしてもらえないかって動いていたんだけど、フー・ファイターズのツアーと重なって駄目で。でも「ロスのスタジオを使っていいよ」ってことになったんですよ。報告したとき、みんな嬉しさを噛みしめてた(笑)。

 

Q.ヘヴィなサウンドに辿り着いたのは何がきっかけだったのですか?

伊地知:単純に4人の好みとして円が重なったんですよね。それに最近そういうバンドが少なくなってきている気がして。日本だけじゃなくて世界で考えてもお洒落な音楽が流行っているし、そっちの方が最先端の音を模索してるイメージがあるんだけど、アジカンでそれを追求出来るかっていったら無理だろうし。そういう中で今何をやるのが面白いかを考えたら人口の減っているヘヴィでラウドなものかなって。そっちの方が自分達も楽しんで作れる気がしたんですよね。

 

Q.ロックが多様化し、繊細なものや難解な音楽が一昔前に比べ市民権を得てきた中でアジカンがロックの王道に立ち返ったことは逆に斬新でしたし無条件で音に身体が反応して興奮しました。アルバムを聴いてガッツポーズしちゃいましたから。M-1「Easter/復活祭」をシングルで初めて聴いたときに感じた予感は本物だったなって。

伊地知:でしょう?音が絡みあっていくのって楽しいし、ギミックに頼らずに枝葉が出来ていくのって面白いと思うんですよ。僕も好きだし。それに今回のアルバムのような音ってやり方を間違えたらダサくなるんですよね。シンプルが故に。だからみんなやらないんだと思う。僕らも色んなことやってきた今だからこそやれるのかもしれないし。シンプルなロックは難しいからね。

 

Q.オーセンティックなものほど難しいのですね。今回のアルバムは全編通して基本的には8ビートですよね。ここにも凄くロマンを感じたんです。図太いギターと8ビートから何故か僕は楽器を初めて持った頃の4人のアジカン少年の顔が想像出来たんですよ。

後藤:ああ、それ嬉しいですね。潔、どんな顔してたの?

伊地知:そういう振り?(笑)

後藤:あ、その顔だ。ポラに収めて2YOU MAGAZINEでプレゼントしようよ。

伊地知:しないよ(笑)。でもやっぱり僕は90年代の洋楽が血になっているんですよ。あの頃って8ビートが主流だったから。今だったら4つ打ちとかリンキンパークのようなハーフのリズムだったり、スクリーモみたいな速い2ビートの方が主流で、一番やらないのが8ビートだと思うんですよ。今回は敢えてそこに挑戦するっていう。前だったら「8ビートははないでしょ」って言ってたと思うし。でも原点回帰っていうより僕らとしては新しいものを作っている感覚かな。フー・ファイターズのアルバムを聴いて「かっこいい!」ってところから始まっているので。

 

Q.今作はキーワードとしてフー・ファイターズは大きいのですね。

後藤:迷ったときに確かめるのはフー・ファイターズが基準でしたね。それはサウンドだけじゃなくて、例えばデイヴ・グロールが曲中で「ア゛ー!」ってシャウトするのも音楽的な意味は全然分からないんだけど、とにかく凄いエネルギーだけは感じるじゃないですか。あの「ア゛ー!」が凄すぎて、ギターを足すときも「そのギターはア゛ー!を超えてるか?」みたいなことを言ってましたから(笑)。

 

Q.M-3「Winner and Loser/勝者と敗者」ではゴッチさんの最高の「ア゛ー!」も聴けますよね。

後藤:あの「ア゛ー!」はロスで絶対録りたかった「ア゛ー!」でしたからね。レコーディングが全部終わってから最後に入れたんですよ。入れるところがこの曲しかなかったんですけど(笑)。

 

Q.この曲のギターソロでワウを踏んだ後に来るゴッチさんの「ア゛ー!」までの数秒にロックの全てが集約されている気がします。ちょっと笑えるくらいに。

後藤:もう本当にその通りで(笑)。ちょっと笑えるじゃないですか。そういうのが好きなんですよね。ロックってメッセージも大事だけど、それだけじゃなくてクスッとしちゃう要素が必要だなって思うんです。

 

Q.「これこれ!」みたいな感覚がアルバムの最初から最後まで続いたんですよ。ギターのバッキングの重ね方とかツボでしたから。

後藤:ギターの音、良いでしょ?録り音が良かったからギターをダブらせたんだけど、バッキングを重ねると頭悪く聴こえるじゃないですか(笑)。でも、今回は知的にやってもしょうがないなって。

 

Q.このダブルからはギター少年感を感じます。

後藤:そうそう。僕の中の少年性っていうか、ロックキッズを呼び起こしたんですよね。そいつが「ダブルにしろ!よし音圧だ!」って騒ぐから(笑)。こういうギターって意味なく気持ち良いいんですよね。何なら意味なんて後から付いてくるし。

 

Q.僕が中学生だったら間違いなくギター始めます。ザ・ブルーハーツを初めて聴いたときの「俺にもやれるかも」って感覚に近いというか。

後藤:どんどんやって欲しいですね。そんなに難しくないから。

伊地知:アルバムを聴いて中学生が楽器屋に走ってくれたら嬉しいですね。そして同世代にはニヤッとして欲しい(笑)。ゴッチの歌詞があるから他3人は演奏面でアホになってもいいかなって。オープンハンドのフルショットで叩いてもOKみたいな。そういう意味で音楽を思いっきり楽しんだ作品になったかと。あとは「ゴッチさん歌詞お願いします」みたいな(笑)。

後藤:歌詞もさ、言葉が乗っていれば何かしらのメッセージが付いてきちゃうから大丈夫。今回はそれよりサウンドとして解放されているかどうかが大事だと思う。「気持ち良い」とか「楽しい」とか、音楽の大きな魅力のひとつだと思うしね。

 

Q.2015年の日本に生きる以上、社会に目を背けて生きることの方が困難だと思うんです。前作「ランドマーク」でも、勿論今作でもそういう面は歌詞に反映されていますし。でも今回のアルバムは「ギターの音が厚い!」とか「気持ち良い!」とか「バンドって最高!」っていう気持ちが前に出ている。それが聴いていて凄く嬉しかったんです。

後藤:社会に目を向ければ、深刻さは常に横たわってるじゃないですか。それとこれとは別な気もするし、勿論繋がってる部分もある。でも、曲を作っているときやレコーディング中はそこまで考えなくてもいいのかなっていう気持ちも芽生えていて。だってさ、曲作りが終って生活に戻ったら否応なく社会と繋がっていかなきゃ生きていけないわけじゃない。楽しむときは楽しめばいいし、選挙に行くときは行くんだよ。そこはバラバラでもいいんじゃないかな。僕は基本的に、作品の中に政治性はない方がいいと思ってるので。

 

Q.今作の歌詞は政治的な思想を取っ払ったところで時代を俯瞰して歌っていますもんね。警告はしているけどあくまでも「考えるのは君だよ」っていう。

後藤:うん。別に誰かの何かをコントロールしたいわけじゃないから。どう感じるかは受け手次第だし、それで良いと思っているので。音楽で自分の思想を知ってもらうとかそういうことじゃないんですよ。何かプラスの作用はあって欲しいと思いますけどね。聴いた人の心持ちが明るくなったり、生きていくエネルギーになったり。音楽ってそういうものだから。そのバランスって難しいんですけどね。でも、アジカンでやれることとThe Future Timesでやれることをちゃんと分けたほうがいいのかなって。いきなりアジカンが森林保全の歌とか歌ったら変でしょ(笑)。

 

Q.分けたとしても必ず何処かで繋がっていますしね。

後藤:そうなんですよね。だから自分の中で思ってることって常にマグマみたいに溜まっているけど、火口はひとつじゃなくて良いんです。色んなやり方や伝え方があるわけで。例えば潔はインストバンドをやっているけど、両親に感謝の気持ちを伝えたいんだったら歌詞があったほうが良い。でも「音楽で楽しもうぜ」ってときに言葉が邪魔することもある。伝えたいこと、表現の仕方、フォーマットによって立ち上がってくる効果は違うんですよね。それを上手に使い分ければいいんですよ。

 

Q.なるほど。ではアルバム内容についても訊きたいのですが、何度も言いますが「EASTER/復活祭」が本当に素晴らしいです。ラウドさも重厚感もワンコードで突っ切る感じも全てがかっこいい。

後藤:この曲は凄く褒められるんですよ。久々に色んな人に褒められたから手応えは感じています(笑)。

 

Q.「復活祭」というのも的を射ていますよね。

後藤:荒々しいのに復活祭っていうのも面白いかなって。うつむきがちな時代にみんながもう一度息を吹き返すような曲を作りたかったんです。でも「頑張れ」って言うのは得意じゃないからサウンドで奮い立ってくれたら嬉しい。

 

Q.確かに歌詞は辛辣な言葉が並んでいますよね。それが何なのかは明確に言ってないからこそ想像させるし、その上で自分が何をどう感じるかだと思おうんです。何をしたっていいし、どう動いても良い。そうやって最終的な判断をリスナーに委ねることでグッとアルバムに引き込ませている。

後藤:本当によく聴いてくれていますね。ありがとうございます。嬉しいな。そうやって伝わっていたら凄く嬉しいですよ。

 

Q.「Easter/復活祭」やM-2「Little Lennon/小さなレノン」から感じる中期ザ・ビートルズに通するサイケ感はある種のサブリミナル効果もあって、上手くいえないんですけど解き放たれた感覚を覚えました。

後藤:元々そういう音像が好きなのでどうにか入れ込みたいなって。ともすれば殺伐としかねないマイナー進行の曲に、こういうサイケっぽい音が入るとカラフルになるじゃないですか。そこは結構意識していますね。

 

Q.M-4「Caterpillar/芋虫」はアジカン流パワーポップが炸裂しておりますが、この音がフー・ファイターズのスタジオで録音されたことにもロマンを感じてしまいます。タイムスリップしてアジカン少年に「フー・ファイターズのスタジオでレコーディングしてるよ」って教えてあげたい。

後藤:気絶するでしょうね。ああでも真面目にやらなくなっちゃうかも(笑)。本当に夢がありますよね。今回は会えなかったけど凄いことだなと。

 

Q.このアルバムの役割というか意義みたいなものを僕は勝手に感じたのですが、今作でアジカンが改めてメジャーというフィールドに夢を見せてくれたなって思います。

後藤:それはありますね。メジャーに対するイメージというか誤解ってあると思うんですよ。でもレコード会社から何かを制限されたことはないし、ソニーあってのデイヴ・グロールだと思うし。でも、メジャーとかインディーじゃなくて人で決まると思うんですよ。やりたいことを実現させる為にもそこは大事かと。志を持っていれば何処でやってもブレないと思いますね。

 

Q.今回のアルバムは確実にバンドマンの熱を上げたと思うんです。音楽シーンを考えたときのアジカンの役割みたいなものって考えたりしますか?

後藤:役割ね。どうだろうなあ。僕は勝手にみんな仲間だと思っているんですよ。有名無名問わず。今の発言は佐野元春さんに影響されていますけど(笑)。でも本当にそう思っているので、そういうところに何か役に立てたら良いなとは思っていますけどね。

伊地知:僕達だけ評価されるよりシーン全体が盛り上がって欲しいですからね。

後藤:そうだね。音楽好きな人が増えたり、仲間の作っている音楽が色んなところに届く世の中になったら嬉しいですね。僕は音楽好きをリスペクトしているので。

 

Q.そういう部分も含めて今作は復活の狼煙を上げたことでネクストドアが開いたアルバムなんだと思います。

後藤:みんなでやれば良くなるから。諦めずにCDやレコードを月に3枚買う人を増やしていくためにも面白い音楽を作り続けていきたい。そういう意味では楽しんでもらえるアルバムが出来たと思います。常に新しい感動が芽生えるようなバンドでいたいですね。

 

Q.もしかしたらそれがアジカンの役割なのかもしれないですね。

後藤:うん。そうかもしれないですね。

 

 

バンド名:ASIAN KUNG-FU GENERATION

タイトル:Wonder Future

発売日:2015年5月27日(水)

 

初回生産限定盤【CD+DVD】

価格:3700円(+税)

DVD収録内容01. Easter / 復活祭 (Music Clip)

02. Standard / スタンダード(Music Clip)

03. Recording Documentary @ Studio 606 & Rock Falcon Studio

通常盤【CD】

価格:2913円(+税)

 

完全生産限定盤【アナログ盤】

価格:3500円(+税)

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour2015「Wonder Future

 

7月5日(日) 埼玉 戸田市文化会館

7月8日(水) 群馬 ベイシア文化ホール

7月11日(土) 栃木 宇都宮市文化会館

7月18日(土) 神奈川 横浜アリーナ

7月22日(水) 北海道 旭川市民文化会館

7月24日(金) 北海道 札幌市民ホール

7月28日(火) 愛媛 松山市民会館・大ホール

7月29日(水) 香川 サンポートホール高松・大ホール

8月24日(月) 神奈川 鎌倉芸術館大ホール

8月25日(火) 神奈川 鎌倉芸術館大ホール

8月29日(土) 石川 本多の森ホール

8月30日(日) 新潟 新潟県民会館

9月2日(水) 埼玉 大宮ソニックシティ 大ホール

9月5日(土) 静岡 アクトシティ浜松

9月6日(日) 静岡 富士市文化会館(ロゼシアター)

9月11日(金) 岩手 大船渡リアスホール

9月13日(日) 福島 いわきアリオス

9月18日(金) 鹿児島 鹿児島市民文化ホール第一

9月20日(日) 福岡 福岡サンパレス ホテル&ホール

9月22日(火) 広島 上野学園ホール

9月23日(水) 岡山 倉敷市民会館

9月25日(金) 兵庫 神戸国際会館 こくさいホール

10月2日(金) 岐阜 長良川国際会議場

10月4日(日) 愛知 名古屋国際会議場センチュリーホール

10月9日(金) 大阪 オリックス劇場

10月10日(土) 大阪 オリックス劇場

10月12日(月) 宮城 仙台サンプラザホール

10月15日(木) 東京 東京国際フォーラム ホールA

10月16日(金) 東京 東京国際フォーラム ホールA

10月24日(土) 沖縄 沖縄市民会館大ホール

 

 

www.asiankung-fu.com/

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