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GEZAN

 

活動休止中のGEZANのニューアルバム『NEVER END ROLL』がとても美しい。8月31日の代官山のUNITでのライブをもって脱退したシャーク安江がメンバーとして参加する最後の音源となった今作はメンバー脱退や活動休止が決まる以前に作られた楽曲で構成されているのだが不思議とドキュメント要素を強く感じる作品であり、今のGEZANを象徴するアルバムになっている。さらにこのアルバムからは希望を強く感じることが出来る。これまでのアルバムではなく、これからのアルバムなのだ。それは歌詞にも音にもアートワークにも現れている。赤が青になりまた新しい赤になる。GEZANのロールは止まらないのだ。今、このタイミングでどうしても話が訊きたかった。待ち合わせの駅には喫茶店がなく、自転車で現れたマヒトゥ・ザ・ピーポーと町を歩きながらやっとみつけたお店は喫茶店というより親戚のおばちゃんの家のようだった。2016年8月31日。これはあの日から数日経ったある日の会話の記録だ。

 

Q.今回のアルバムの全てが美し過ぎて『NEVER END ROLL』っていうタイトルを見ただけで既に感極まっている自分がいるのですが、アルバムの内容もタイトルも凄く今のGEZANを象徴していますよね。

マヒト:そうですね。アルバムの中でも「エンドロール」は今回のドキュメントが起きる前の段階で作った曲だったし年明けにはライブでやっていたんですけど、でも今回のことを象徴しているような曲なんですよ、不思議と。でもそれを全否定してでも前に進めていかなきゃいけないって気持ちがあって。だから『NEVER END ROLL』ってある意味皮肉だと思うんですよ。アルバムとして13曲並べたものにその13曲すら超えたところで響く言葉っていうか、これからのGEZANの為の言葉みたいな。ちょっとおまじないに近いというか。

 

Q.うまく伝わるか分からないんですけど、アルバムがこのタイトルを背負ったことでバンドのメンバーになった感覚があって。うまく言えないですけど。

マヒト:ああ。シャークが脱退してライブが出来ない今、自分達が動けない分、このアルバムがメンバーとなって、俺たちの足となって活動してくれてるんですよ。それが引き寄せてくれる縁にも期待してますし。だからおまじないっていうか、祈りに近いのかな。今、GEZANは動けないけど、このアルバムが旅をして、俺たちのこれからを繋いでくれたらドラマとしても綺麗ですよね。そういう綺麗なことが起きて欲しいな。

 

Q.ドキュメント性の強いアルバムだと思うのですが、曲はシャーク君の脱退や活動休止が決まる以前からあるものですよね?

マヒト:そうですね。「エンドロール」だけ年明けに作ったけど、あとの曲は全部2015年にはやってたので。シャークの脱退の話が具体的に出たのが今年の6月だったので、半年前には出来ていました。でも今回のドキュメントを曲から感じるってことは、音楽が色んなものを予言しちゃってるのかなって。そんな大袈裟なものじゃないかもしれないし、目の前のドキュメントくらいしか拾えてないけど、音楽って先をいくんだなって気持ちが俺はあって。曲が出来て歌ってきて、こういうドキュメントが起きた後で歌詞を見直すと急に響きがフィットして重くなったりする。感情では理解してなくても自然と出ているのかなって思うことはありますね。

 

Q.今回のドキュメントに衝撃を受けた人たちの声はSNS上でも見掛けたのですが、その中で発表された『NEVER END ROLL』は救いだと思うんですよ。いや、断言出来るかも。救いでしかない。

マヒト:このアルバムが形として出来上がったときに自分達が一番励まされましたからね。自分達もあのドキュメントに引っ張られないように、選択の全てを正解にしたいと思っていて。その為にやるべきことは何だろうってぼんやり思っていたんです。自分でアルバムを聴いて思ったんですけど、ここで終わったらダサいじゃないですか。全然ここで終わりじゃない。そういう、後に退けない状況を自分達で作れたのは嬉しいですね。引っ張られ方によっては自分の中でネガティブに持っていくことも出来るんですけど、そうならない状況をアルバムで作れたのは、まさに救いですよね。

 

Q.だからこのアルバムはGEZANが続いていくことを宣言するアルバムなんですよね。

マヒト:うん。まさにその通りです。

 

Q.既にメンバー募集も始まっていて、アルバムでもバンドは前に進むことを明言している。その中で敢えて活動休止という言葉を使ったのはどういう意味があるのですか?

マヒト:一回終わりを実感することが必要だと思ったんです。それが分からないともう一回始めることが出来ないと思った。色んなバンドのスタイルがあるから他人の考え方を否定するつもりは全くないんですけど、自分はなあなあにシフトしていくことがどうしても出来なくて。いつの間にかドラムが変わっているってことはしたくなかった。こんな言葉を用意したってシャークがもういないことを3人でスタジオに入ったりメンバー募集を始めてやっと実感したくらいなので。だから活動休止という言葉を使ったのは外に対してじゃなく、今の起きているドキュメントを自分達が理解する為に必要だったんです。

 

Q.自分自身を今のドキュメントに向き合わせるための活動休止だと。

マヒト:うん。でも正直、活動休止って言葉が重過ぎて、その言葉に引っ張られそうになったし、思ったよりみんながネガティブに受け止めることも知ったんですよ。解散と同じくらい思い響きなんだなって。でも、それくらい大きなことだから。ちゃんと終わらせて始めないと。じゃないと次のドラムがシャークに勝てる訳ないから。そこに向き合って始めないと絶対に勝てない。それは今までのGEZANに対するリスペクトで言えることなんですけど。

 

Q.重ねてきた時間がありますからね。

マヒト:ありきたりな表現ですけど失くして気付くものって本当にあって。だから今回のことでGEZANが自分にとってどんな存在だったか改めて思い知りました。それはこれから新メンバーが決まって新しいGEZANになったときにまた思い知るだろうし。でも俺たちは会社員じゃないからすぐに結果を出さないといけない訳じゃない。新メンバーが決まってスタジオに入ったときに噛み合っても噛み合わなくても、その全てを楽しみたい。バンドが進んでいるんだったら前でも後ろでも、どっちに進んでも良いんですよ。また始めたら良いんだから。

 

Q.今回のアルバムはGEZANが新しいGEZANになっていく過程が形となっているのかも。

マヒト:確かにそうかも。このアルバムで何か大きなことを表現したというよりは、ここからまた始まるって空気感を形に残すことが精一杯だったのかもしれない。というか、それ以上望んでいないです。

 

Q.前に進んでいるからこそ、今回のアルバムはずっとGEZANを象徴してきた赤じゃなく青のイメージなのかもしれないですね。

マヒト:うん。やっぱり今までのGEZANの、シャークがいたGEZANのアルバムとして出すなら赤色にすべきなのかもしれないですけど、それは音が望んでなかったんですよね。頭の中でこねくり回すんじゃなくて、今のテンションで自然に音を出したら凄く希望を持っていたので、これまでの感覚というよりはこれからの音だと思ったんです。だからって今後、赤じゃなく青でいくって訳でもなくて。ただ今回のアルバムは驚くほど綺麗な青だったんですよね。これまでじゃなく、これからの音を、これまでのメンバーで作る。ゼロとイチの間のアルバムだと思います。

 

Q.それは音にも出ていますよね。音が前に出ようとしている。

マヒト:そうなんですよ。歌詞にはドキュメントが乗ってるのに音は違うとこで鳴っているのが音楽っぽいなって思って。ただのドキュメンタリーだったら切迫感や寂しさに寄っていくんだろうけど、アルバムの録音をしていても、シャークと最後のスタジオに入っていても、音楽が前に来たがるんです。そこが本当に面白いなって自分でも思いました。シャークとの最後のライブで泣くことが出来たら楽だったのかもしれないけど、俺は泣けなかったんですよ。いつも何も変わらなかったんです。あの日、ちゃんと完走することが出来たらGEZANは完成していたのかもしれないけど、それが出来なかったから続けていくしかないんですよね。続けるって言葉は綺麗だけど、着地出来なかった曖昧さがあるから。

 

Q.着地していたらGEZANは終わっていたのかもしれないですね。いや、終わらせることが出来たのかも。

マヒト:そう思います。

 

Q.終わらせることが出来たら『NEVER END ROLL』は真っ赤なアルバムだったと思うし、そもそもこのタイトルになってないですよね。でも終わらせることが出来なかった3人が青を赤に塗りつぶしていくのが僕は凄く楽しみですよ。

マヒト:俺も楽しみです。あとは自分達を信じて素直にやるだけですよね。

 

Q.音楽的にもバンド的にもどんどん丸裸になっていきますよね。

マヒト:自分でもそう思います。本当は前に出したいけど後ろに引っ込めていた感情って、そっちに真実があると思うんですよ。そこを歌うのって自分にとっては挑戦で。でもそこを自分は信じたくて、そういう感覚で選んだ言葉や集まった言葉は、丸裸ですよね。凄くピュアだと思う。

 

Q.ピュアだし美しいですよ。そのピュアネスがアルバムとなって旅していると思うと全てが美しいです。

マヒト:自分達にとってひとつのお守りみたいなアルバムだし、最初にも話しましたけど今はこのアルバムだけがGEZANというものを背負って動き回っているので。円盤が持っている可能性で縁が繋がっていったら良いなって思う。まさに祈りですよね。祈りとか言うと重いですけど。

 

Q.ここまで向き合うことは次に進むためのハードルも上げることになる。でも絶対に必要なことでもありますよね。

マヒト:自分たちでハードルは随分上げたと思うし、アルバムを作りながら自分で自分の首を絞めることになるのは想像していたんです。次の動きをするときに足かせになりえるなって。でも最大限を形にすることに真摯にやって、その上で次に裏切るのが一番クールなので。じゃないと次のアクションを起こしたときに真っ直ぐ向き合えないですよね。なあなあには出来なかった。

 

Q.だから活動休止を選択した訳で。

マヒト:今でも正解かは分からないですけどね。少なくても得があったとは思ってないから。でもそれくらいやらないと馬鹿なんで分からないんですよ。「俺たち、活動休止らしいぞ」「マジかよー」みたいな(笑)。

 

Q.自分たちにGEZANが活動休止した事実を突きつけて突き動かす必要があったと。

マヒト:それ、子供がやることですよね(笑)。でもそれしか進み方が分からなかった。たぶん色んな正解があるし不正解があって、じゃあ何が正解かって、結局自分で自分を誇りに思えるかどうかだと思うんですよ。それは音楽だけじゃなくて、文字を残すことも、生活をすることも、全部一緒だと思うんです。何かに合わせるんじゃなくて「俺は間違ってない

ってどれだけクールにいえるかだと思う。だからもし下手なドラムが入っても強がりじゃなく心から間違ってないって言える状況を作っていきたいですよね。マインドが間違っていなければ出てくる結果は絶対に間違ってないはず。GEZANでそれを証明していくしかないと思っています。

 

 

アーティスト:GEZAN

タイトル:NEVER END ROLL

2016年9月22日発売

価格:2,160円(税込)

JSGM-018

 

 

HP

http://gezan.net/

 

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