Loading the page...

my letter

 

京都が生んだアートパンクバンドmy letterのニューアルバム『僕のミュージックマシーン』が素晴らしい。2014年の1stアルバム『my letter』リリース以降、ドラマーの脱退やメンバー全員の京都からの移住などを経て現在サポートメンバーを含む5人編成で活動する彼ら。生活環境の変化はあったものの音楽に対する捉え方、音楽との向き合い方は一貫しており、今作「僕のミュージックマシーン」からは彼らと音楽の関係性が歌われた全11曲が収録されている。USインディー直系サウンドと文学的で叙情的なキヌガサの歌詞世界が重なることで生まれる心地良い違和感が彼らがアートパンクバンドと評されるひとつの所以であり、洋楽邦楽ファン問わず多くの音楽ファンを虜にしている。今回2YOUではキヌガサと音楽の距離感を探るべくインタビューを執行。彼と話しながら音楽を辞めざるを得なかった人達の顔が浮かんだ。音楽を続けることは特別なことであり特別なことではない。これからもあなたの音楽が続きますように。

 

Q.1stアルバムから約2年半振りのリリースとなりますが。

キヌガサ:この期間に住む地が変わったりメンバーの脱退があり2年半くらいかかってしまいました。僕が東京、メンバーもそれぞれ福井、富山に引っ越したんですよ。今回のアルバムのネタは1stを出した半年後くらいにはあったんですけど、そこから色んなことが重なって形になるまで2年くらいかかっていますね(笑)。

 

Q.生活環境が変わったことでバンドのやり方も変わりました?

キヌガサ:活動拠点は今でも京都なんですよ。スタジオも京都で入っていて。変わったことといえば1stがライブでやってきたものを形にしたことに対して今回のアルバムは音源ベースで制作したので曲を作る作業が変わりました。録音しながらアレンジを詰めていく作業だったので。

 

Q.前作は結成から7年間の集大成のような作品でしたもんね。今作は全て新曲なのですか?

キヌガサ:「明日になれば」だけデモに入っている曲の再録なんですけどあとは全て新曲ですね。

 

Q.今作の青写真は何かあったのでしょうか?

キヌガサ:精神面の話をするとフラットでキャッチーなものを作りたいと思いました。耳障りの良い音楽を作ろうと。尚且つ何か引っ掛かりになるようなものも入れたくて。なので完成形のイメージとしてフラットに聴いて良い音楽にプラスアルファで音楽的に自分達が好きな要素を入れることでした。それは昔から変わってないですね。

 

Q.イメージする音像はどのようなものでした?

キヌガサ:音自体のイメージはザ・ゾンビーズの「ODESSEY AND ORACLE」やザ・ユナイテッドステイツ・オブ・アメリカのような賑やかなアプローチですね。良い音楽が鳴っているけどちょっとガチャガチャしているような。ソフトロックやサイケデリックな感じというか。

 

Q.そういう音のイメージの擦り合わせはメンバー間でするのですか?

キヌガサ:しません(笑)。そこは僕の独断ですね。勿論お伺いはたてますけど(笑)。

 

Q.キヌガサ君の音楽の原体験はどのようなものなのですか?

キヌガサ:中学2年生の頃に聴いたHi-STANDARDとSNAIL RAMPです。SNAIL RAMPが「MIND YOUR STEP」を出した頃でたまたま夜中のテレビで見たんですよ。でもバンド名も歌詞も英語だったから誰の曲なのか分からなくて。その後、友達が貸してくれたCDの中にたまたまSNAIL RAMP があって「これだ!」って(笑)。そこからHi-STANDARDを知ってどんどん掘っていく中でTHE BLUE HEARTSまで遡りました。それがきっかけで日本語のバンドを聴くようになり、高校の頃はINU、村八分、頭脳警察のようなバンドを聴いていました。

 

Q.高校生でそこにたどり着くのは中々凄いですね。

キヌガサ:でも地元のTSUTAYAにはそういうバンドが置いてなくて(笑)。なので4枚1000円で借りられるCDの中から近そうなものを毎週借りていました。ザ・クラッシュ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ドアーズ、スマッシング・パンプキンズなどバンド名で判断して聴いていましたね。なのでINUや村八分と同時進行で洋楽を聴いていました。

 

Q.その影響はmy letterに落とし込まれていますよね。洋楽的なアプローチと文学的な歌詞っていう。

キヌガサ:それは凄くあると思います。音楽はザ・ローリング・ストーンズでメッセージは日本語っていう僕が村八分の好きなとこもそこなので。英語の疾走感も好きなんですけど日本語のメッセージ性は大事にしたいですね。

 

Q.キヌガサ君の歌は何を歌っているか、何を伝えたいかを言葉ひとつひとつを受け止めながら聴く楽しみ方と、日本語だけどある意味洋楽的な「音」として聴く楽しみ方の両方出来る歌だと思っていて。

キヌガサ:ああ、そこは結構考えていますね。自分が好きな昔の音楽だったり洋楽ってパッと聴いて歌詞の意味は分からないじゃないですか。メッセージ性や歌詞じゃなくてまず曲の雰囲気が好きっていう。その後に何を歌っているかは読み物として歌詞カードを読むみたいな。そういう聴き方をしてきたので自分のバンドにも自然とそこは落とし込めている気がします。

 

Q.今作はアルバム全体通してキヌガサ君と音楽の距離だったり向き合い方が歌われているように感じました。

キヌガサ:その通りですね。ずっと思っているんですけど、音楽をやることって僕にとっては特別じゃないんですよ。音楽をやることを難しく考えたくないんです。よく「働きながらバンドをやって大変だね」って言われたりするんですけど、平日仕事の後にスタジオに入るのって、僕にとっては映画を観に行くのと一緒なんですよ。好きなことをやっているだけなので全然大変じゃないんです。個人的にはバンドは気負ってやるものじゃないと思っているので、これからも働きながら自分達のペースで曲を作っていけたらなって思っています。そういう距離感は歌詞に出ている気がしますね。

 

Q.音楽との距離感という意味で面白いと思ったのは「僕のミュージックマシーン」では「いつまでも歌ってほしい」と歌っていて「アンサー」では「いつまでも歌ったりしていられない」と歌っていますよね。

キヌガサ:就職や結婚でバンドを辞めてしまうバンドに対してはいつまでも歌ってほしいと思っていて。辞めることないのになって。一方、「とは言ってもそうはいかないよね」っ気持ちもある。やりたいだけじゃやれないことも分かっているので。仕事や家族で音楽を辞めないでほしいけど、だからって音楽をやるべきって言い切ることも出来ない。そういう相反する両方の気持ちを持っていますね。

 

Q.「なにかしたい」はキヌガサ君が自分自身の背中を押している曲だと思ったのですが、音楽に救われたり動かされることはありますか?

キヌガサ:実は音楽に救われたことは殆どないんですよ。勿論THE BLUE HEARTSから貰ったメッセージのパワーは物凄かったんですけど、多感な時期にTHE BLUE HEARTSを聴いたことで世界観が変わったことは精神面ではなく創作活動においての変化だったりするんです。なので救われたって感覚はあまりないですね。でもそういう意味での人の人生を変えるような音楽を作りたい欲求はありますね。「なにかしたい」についてはアルバム全体的に言えることなんですけど、どんな人に聴いてほしいかって僕自身に聴かせたくて。my letterを知らない僕自身がmy letterを聴いたときにきっと僕の人生の何かが変わると思うんです。そういうレコードが作りたいなと。

 

Q.それはキヌガサ君が音楽との出会いで変わったことがある人だから感じる感覚ですよね。

キヌガサ:そうですね。Hi-STANDARDやSNAIL RUMPとの出会いもだし、INUや村八分やTHE BKUE HEARTSが叩きつけてくれたメッセージもですし、そういう体験が沢山あったので僕らの音楽も誰かにとってのそういう存在になれたら良いなって思っています。

 

Q.もし何らかの事情で音楽を辞めることを考えている人がいたら「僕のミュージックマシーン」を聴いてほしいなって思いました。

キヌガサ:僕らが恵まれているのはレーベルからCDを出させて頂いて色んな人に聴いてもらえて、さらに今回2作目まで出させてもらう今の環境があることだと思っていて。一方、僕らぐらいの現状では満足出来ないで「こんなもんじゃない」ってもがいているバンドも沢山いて。そういうバンドに対しておこがましいかもしれないけど、負けないでほしいって思っているんです。辞めなければ可能性はあると思うので。諦めないで音楽を続けてほしい。本当におこがましいですけど、そう思っています。

 

Q.だからこそ音楽をやることが特別過ぎないほうが良いのかもしれないですよね。

キヌガサ:そうなんです。音楽をやることをもっと軽く捉えられたら辞めないで済んだバンドっていると思いますからね。音楽をやることって特別だけど特別じゃないので。

 

Q.ちなみに「僕のミュージックマシーン」はザ・ミュージック・マシーンからですか?

キヌガサ:はい。僕、ザ・ミュージック・マシーンが大好きなんですけど、あのバンドって1stを出した直後にメンバーがヴォーカル以外全員抜けてサジタリアスに入るんですけど、そこで揉めて名前が使えなくなるんですよ。それで改名して2ndを作るんですけどそこがまずかっこ良い。その後、2007年くらいに再結成ライブをしたときもヴォーカルが若いメンバーを引き連れてライブをしたんですけどそこもかっこ良い。そういうのってともすればみっともなく見えるかもしれないけど、僕にとっては凄くかっこ良く見えるんですよね。続けることに意味があるというか。僕はそれをザ・ミュージック・マシーンから感じたのでそういう感覚でバンドをやっていきたいし、その気持ちはアルバムにも封じ込めました。

 

Q.誰かにとってのそういう存在がmy letterかもしれないですし。

キヌガサ:そうなったら嬉しいですよね。メンバーの住んでいる場所もバラバラだけど、こうやってアルバムを作って色んな人に聴いてもらうことが出来るので、続けないと勿体無いですよ。続けていればもっと新しい音楽が生まれるかもしれないし、曲が出来るのは嬉しいですからね。そうやって音楽を続けていきたいです。

 

アーティスト名:my letter

タイトル:僕のミュージックマシーン

2017年4月5日発売

SONIC-018

¥2,300 (+税)

 

メンバー

キヌガサ(Vo、Gt)

おざわさよこ(Ba)

まつもと(Gt)

 

LIVE

my letter 2nd album 「僕のミュージックマシーン」release tour in 名古屋

5月14日(日)@名古屋spazio rita

my letter

CARD

ログメン

eito

open/start 18:30/19:00

adv/door 2500(1d込み)/3000(1d込み)

 

 

https://myletterkyoto.tumblr.com/

 

 

2YOU MAGAZINE編集部

〒453-0837 愛知県名古屋市中村区二瀬町153 ニルヴァーナ101号室

Tel: 052-485-5993

e-mail:info@2youmag.com

Copyright(C) 2015 2YOU MAGAZINE All rights reserved
>