yoko、keme、akkoの3人による最強ガールズバンド、PIGGY BANKS。2014年の結成以来全国各地でライブを重ね、本格始動となった2015年には「FUJI ROCK FESTIVAL 2015」「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015」「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2015」などのフェスにも出演、2016年には満を持してフルアルバム『タイムスリラー』をリリースするなど積極的な活動を重ねてきた彼女達。昨年8月よりakkoが産休に入り、サポートメンバーを加えての活動の中で生まれた新作『ドゥ シュビドゥバイン』はロックンロールを基盤にしつつもモータウン、ソウル、ファンクなどを取り入れた進化型PIGGY BANKSが炸裂した1枚となっている。新たなフェーズに突入したPIGGY BANKSに迫るべくyokoにインタビューを決行した。
Q.PIGGY BANKSはどのように始まったのですか?
yoko:ギターのkemeちゃんとは元々仲の良い飲み友達だったんですけど、バンドの仲間や先輩から「バンドやってみたら?」って言われることが多くてkemeちゃんに相談したら「ギター弾くよ」って言ってくれて。それで「お試しでパーティーバンドやろうか」ってノリで、たまたま東京に来ていたakkoちゃんに声をかけたんです。それでどうせだったらドラムも女性がいいなってチャットモンチーのあっこびん(福岡晃子)も誘って初ライブをしたんですよ。最初はその日限りのつもりだったんですけどライブは思った以上に楽しかったので2回目もやることになって。そのときはあっこびんがチャットモンチーのライブで参加出来なかったのでシシドカフカちゃんにお願いして。
Q.凄く豪華ですね。
yoko:みんな飲み友達です(笑)。そういう流れで遊びで始めたバンドが3回、4回とライブをすることになって、ライブ活動をしていくならってCDも作りたいねって。それで正式にPIGGY BANKSとして活動することになったんです。
Q.ソロや矢沢洋子& THE PLASMARSとして活動していた頃とは何か違いを感じることってありましたか?
yoko:ソロもTHE PLASMARSもメンバーが男性だったので女性が集まってバンドをやるってだけでまずテンションが違いますね。みんなうるさいですし(笑)。
Q.1stアルバム『タイムスリラー』の感触はどうでした?
yoko:結成してすぐにアルバムを作れた訳じゃなくて1年半くらいライブ活動と平行して曲を作ってその合間にレコーディングしていたのでアルバムが完成したときはようやく世に出せることがまず嬉しかったですね。ツアーも10本くらい回ったんですけど色んなところに行けたし大型フェスにも沢山出させてもらったので自分達には手応えはありましたね。
Q.今作に取り掛かったのはいつ頃からなのですか?
yoko:アルバムに取り掛かる前に、前作のツアーファイナル直後にakkoちゃんの妊娠が発覚して、身体が第一だし活動をどうするかって話になって。決まっているライブをどうするかとか。でもバンドを止めるっていう考えは私もakkoちゃんもなかったので、ライブは出来ないけど曲を作ろうって思ったんです。それが去年の夏前くらいで。その頃から今作の青写真はあったんですけど、akkoちゃんは九州に住んでいるし妊婦が飛行機で東京にバンドをやりにくるのは無理だと判断して産休を取ってもらうことにしたんです。なのでakkoちゃんのいない中でどういう形でリリース出来るかは試行錯誤しましたね。
Q.akkoさんのいない中で曲作りはどう行ったのですか?
yoko:これまでは3人で集まって誰かのアイディアにみんなで肉付けして作っていたんですけど今回はプロデューサーのテツヤさん(ヤマサキテツヤ)の家に私が行って作り上げたので制作はこれまでとは違いましたね。自分達だけの力だとアイディアが狭まると思うんですけど、そこをテツヤさんが拡げてくれたのは大きかったですね、
Q.今作はロックンロールが基盤にありながらソウルやファンクやモータウンの要素も盛り込まれていますよね。「アナボリック リアクション!?」とかファンクだなって。
yoko:はい。私自身、ファンクを聴くことはあっても実際歌ったことはなかったので難しかったんですけど、結果的に凄く楽しんで歌えました。ただ本当に難しいのでライブで上手く表現出来るように頑張ってアレンジしなきゃなって思っています(笑)。
Q.モータウン色の強い「PVPHS」がライブでどうなるかも楽しみです。この曲は歌詞の世界観も良いですよね。
yoko:自分でもライブでやるのが楽しみな曲ですね。「PVPHS」は子供の頃から好きな映画をテーマに歌詞を書きました。ジョン・トラボルタとオリヴィア・ニュートン・ジョンの「グリース」って映画のハイスクールなイメージを無理矢理自分の学生時代とリンクさせて書いた歌詞なんですよ。
Q.「PVPHS」の歌詞の舞台は間違いなく海外ですよね。日本の高校生じゃないなって(笑)。
yoko:確かにそうかもしれない(笑)。例えば「6月の景色」っていっても日本と海外では違うし、国内でも北海道と沖縄じゃイメージする景色が違うと思うんですよ。なので10代の頃に海外に住んでいたことは歌詞の世界観に出ているんだと思います。
Q.ロサンゼルスではどのような高校生活を送っていたのですか?
yoko:ロサンゼルスって日本の企業が多いから日本人も沢山いるんですよ。学校も全校生徒が4000人いるマンモス校だったんですけど、その中に日本人の同級生も結構いて。その学校は日本みたいにひとつの建物の中に何個か教室がある訳じゃなくて小さい建物がポコポコあったのでカリフォルニアのカラッとした空を感じながら授業を受けたりしていました。
Q.「PVPHS」とは対照的に「シュビドゥバイン」の舞台はめちゃくちゃ日本ですよね。
yoko:あははは。「シュビドゥバイン」は今回のアルバムの中でも一番歌詞に苦労した曲なんですよ。でも結果的に歌詞で思いっきり遊べたかなって思います。面白可笑しく書けたので気に入ってます。
Q.「パパのタオル投げて」はyokoさんにしか歌えないパンチラインですよね。
yoko:これは私にしかハマらない歌詞ですよね(笑)。こういう遊び方って今までやってこなかったけど、ネタとして発信しても良いんじゃないかって思うようになってきたんです。
Q.僕はここまでパンチのあるウェディングソングを他に知りません(笑)。
yoko:あははは。ウェディングソングって基本的にはハッピーでキラキラしてるじゃないですか。そこにちょっと風変わりなエッセンスを入れてみたらこうなりました(笑)。
Q.「Sweet Dreams」は一転して切ないラブソングとなっていますが。
yoko:「Sweet Dreams」は歌が本当に難しかったです。PIGGY BANKSの曲ってアップテンポの曲が多いじゃないですか。元々私の声もがなる方が合っている声なので勢いでいく方が楽で。だからこういうシンプルでストレートなラブソングを歌うのってめちゃくちゃ難しいんです。そもそもラブソング自体気恥ずかしくて書けないので。それに楽曲がシンプルな分、ヴォーカル力が試されるなって。本当に苦戦しましたね(笑)。
Q.前作にも「Oct.」というバラードがありましたけど「Sweet Dreams」は「Oct.」とはまた違うタイプのバラードですよね。
yoko:そうですね。「Oct.」はバラードはバラードでもシンディ・ローパーのような曲だったので「Sweet Dreams」はまた世界観が違うと思います。
Q.今作のラストを飾る「DASH」はPIGGY BANKSらしさが炸裂していますよね。
yoko:今回のアルバムの中で一番PIGGY BANKSっぽい曲ですよね。「アナボリック リアクション!?」とか打ち込み要素が強いからいつもライブに来てくれている人はもしかしたら「ピギバン、大丈夫かな?」って思う人がいるかもしれないけど、そういう人を安心させてあげれる曲が「DASH」かなって。この曲はレコーディングも早かったですね。
Q.「イーニーミーニーマイニーモー」という数え歌からインスパイアされた歌詞も面白いです。
yoko:元々はアメリカの数え歌なんですけど、そういうのって何処の国にもあるじゃないですか。今回の制作以前の話なんですけど、歌詞のヒントを探そうとネットを見ていたら「イーニーミーニーマイニーモー」っていう数え歌に辿りついて、しかも虎のヴァージョンと豚のヴァージョンがあることを知ったんです。豚ならPIGGY BANKSにもちょうど良いし歌詞に使いたかったんですけど、そのときは合う曲がなくて寝かしていたんです。
Q.それが「DASH」にハマッたと。
yoko:元々「DASH」はライブのSE的な感じで使えたらいいなって思っていたんですけど、忘れかけていた数え歌がぴったりハマッたんですよね。こういう遊びが出来たのも面白かったですね。
Q.今作はアーティスト写真やCDのジャケットでの世界観の提示の仕方にも拘りを感じました。女性の強さと美しさが表現されているなって。
yoko:例えばソロのときは絶対に革ジャンを着てないと嫌だったりメイクはきつめにしたり、そういう拘りがずっとあったんですけど、PIGGY BANKSを組んでからはそこが少し落ち着いていて。今回はakkoちゃんの産休もあったので久しぶりにひとりでアー写を撮ることになって、衣装や髪形やコンセプトをディレクターに任せてみたんです。これまでフェミニンな衣装ってなかったじゃないですか。でも今回は黒のドレスだったりカラフルな衣装だったり、これまで着たことのない衣装にも挑戦したので面白い仕上がりになったと思います。CDのジャケットも宇野亞喜良さんに描いてもらいたかったので事務所まで直談判しに行ってお願いしたんです。
Q.宇野亞喜良さんの絵は妖艶さとポップさがあると思うのですが見事にPIGGY BANKSに合っていますよね。
yoko:嬉しいです。日本人だったら何処かで宇野さんの絵を見たことがあると思うし目に止まると思うんですよ。凄くポップだけどダークな世界観に凄く惹かれるんですよね。私は学生時代にドイツ文学を専攻していたんですけど、グリム「変身」とか、宇野さんのイラストがハマリそうだなって思っていて。kemeも宇野さんの絵が好きだったみたいでふたりでそういう話をしたことがあるんですけど、CDのジャケットをどうするか話してるときに「宇野さんに描いてもらえたら凄いよね」って話をしていて。「実現したらやばいね」って。
Q.それが実現したと。
yoko:はい。今回ジャケットを描いてもらったことで宇野さんのイラストでPIGGY BANKSのグッズも作ろうと思っているんですけど、それも凄く嬉しくて。個人的にも欲しいので色々作ろうと思っています(笑)。
Q.今回のツアーはどんなものになりそうですか?
yoko:今回のツアーはakkoちゃんがいないんですけど鹿児島には来てくれるみたいなので色んな話が出来たら嬉しいですね。あとは普段中々行けない所にも行けるのが楽しみです。各地で対バンのみんなと仲を深めながら良いツアーにしたいですね。
アーティスト:PIGGY BANKS
タイトル:ドゥ シュビドゥバイン
GRRC-70002
¥1,852(+税)
2017/6/28発売
LIVE
シュビドゥバインツアー
7/09(日) 仙台BAR TAKE
7/15(土) 名古屋CLUB ROCK’N’ROLL
7/16(日) アメリカ村CLAPPER
8/04(金) 福岡the voodoo lounge
8/05(土) 熊本ONE DROP Dining Studio
8/06(日) 鹿児島SR HALL
8/18(金) 札幌Crazy Monkey
8/19(土) 札幌Crazy Monkey
8/20(日) 小樽CRU-Z
8/25(金) Shibuya Milkyway
メンバー
yoko(Vo)
keme(Gt)
akko(Ba)