EVER LONG

EVERLONGが前作『willco』から約1年2ヶ月振りとなる新作『RIN』を完成させた。全7曲収録の今作は今の自分から過去の自分へ宛てたラブレターのような作品となっている。何かに憧れ夢を見ていたあの頃の自分。そんな自分に対して今の自分は何を思うだろうか。そんな自問自答の末に彼らの口から出た言葉は「ありがとう」の言葉だった。あの日あの道を選択したから今に繋がる。自分の隣にずっといる過去の自分をたまには褒めながらEVERLONG『RIN』を受け止めて欲しい。

Q.『willco』はEVERLONGの新たな面も感じさせる作品でしたけど、リリース以降ライブにも変化があったのではないですか?
Yu-ta:曲の振り幅が出来たからセットリストを組むのが大変で。曲によって雰囲気が結構変わりますからね。
Mitsuhiro:そういう新しい面を早く自分達のものにするためにとにかくライブをしまくって。
Yu-ta:曲に合ったやり方を模索しながら調整していくっていう。この1年半でライブもかなり詰め込みました。
KIMU:ワンマンが一気に増えたんですよ。3ヶ月連続企画もあったし。でもそのお陰でバンドがまた成長出来たんじゃないかって思っています。

Q.今作『RIN』の構想はいつ頃から?
Mitsuhiro:9月にリリースしたシングル『near』が元々4曲くらいのボリュームで考えていたんですけど、2000枚限定2曲入りで出すことになったので、そのシングルに入れようと思った曲に何曲か加えてミニアルバムを作ることにしたんですよ。その構想自体はあったんですけどなんだかんだ時間は凄くかかりました(笑)。
Yu-ta:レコーディングにかなり時間をかけたし『RIN』は7曲収録なんですけど、10曲以上は作りましたからね。
Mitsuhiro:それだけボツにした曲は多いんですよ。そういう屍の上に立っている7曲です(笑)。

Q.今回のアルバムは一見どれもラブソングなんですけど、全曲聴き終わったときに、ラブソングではなくて自分自身と向き合った曲なのではと感じました。
Mitsuhiro:おお!!

Q.「near」で歌っている「二人を近くにいさせて 神様どっかに連れて行かないで」というのは子供の頃の自分と今の自分のことなんじゃないかと思ったんですよ。そう思ってアルバム全体を聴くと「君」というのは子供の頃の何かに夢を見ていた自分のことなのではと思ったんです。特に「セロ」の歌詞からそう感じました。
Mitsuhiro:素晴らしいですね。そこまで考えて聴いてもらえて本当に嬉しいです。まさに「near」と「セロ」は繋がっているんですよ。今回のアルバムの曲はどれも命を削って書いた曲ばかりで、歌詞を書いているうちに曲同士がどんどん繋がっていって。自分の想像を超えて曲自体がストーリーを作ってきてくれたというか。作り終えて聴いたら自分でも泣けてきました(笑)。
Yu-ta:これまでは色んな要素を色んな所から持ってきて色んな色を作ろうと思っていたんですけど、今作はアルバムでひとつの曲みたいなイメージもあって。

Q.それぞれどの曲にも主人公がいるんですけど、通して聴いたら主人公が同じ人物だと分かるんですよね。
Mitsuhiro:まさにその通りですね。

Q.過去の自分に会いに行く旅を歌った「セロ」は自分自身と対峙していて。
Mitsuhiro:例えば過去に戻れたとして、そこにいる自分が今の自分を見てどう思うかなって考えることがあって。逆にあの頃自分を今の自分が見てどう思うかとか。そういう自分の物語のレールみたいなものを曲にしたかったんです。

Q.過去の自分が選んだ道があるから今に繋がっている訳で、その選択が間違っていなかったことは「I」で歌われているなと。
Mitsuhiro:そう、そうなんです。「I」に繋がるんですよ。この曲の歌詞は自分でもちょっとくさいかなって思いながら書いたんですよ。「こんなこと言っちゃう?」みたいな。レコーディング中も自信はあるんだけど聴いた人にどう思われるかっていう不安があって。でも吹っ切れた自分もいて、真っ直ぐ歌詞を書いていくうちに書きながら成長していった感じがありますね。

Q.自分自身を優しく肯定する曲ですよね。だから「I」なんだと。
Mitsuhiro:例えば消防士になりたい夢を叶えた人がいたとして、その人が消防士として壁にぶつかったときに自分の選んだ道を信じて頑張って欲しいなって。そうやって自分を奮い立たせることで自分自身というものが出来上がっていくと思うので。

Q.「イサナ」も良いですね。この曲を聴いて自分の大切にしていたものに触れたくなって実家で眠っていたスーパーマリオの絵が書いてある黄色い箱を開けたんですよ。
Mitsuhiro:うわあ。いいなあ。

Q.その中にはザ・ビートルズの『Rubber Soul』の缶が入っていて、ドキドキしながら開けたら何故か爪切りが入っていて。
Mitsuhiro:あははは。でもそういうもんですよね。子供の頃の気持ちをそういいうことをきっかけに思い出して欲しいなって思います。

Q.この曲のイントロはEVERLONG史上最もエモーショナルですよね。
Mitsuhiro:あのイントロはYu-taが考えたんですよ。
Yu-ta:余計なことは一切しないでストレートなかっこよさを突き詰めたくて。それでシンプルなものを意識したんです。だからこそ歌詞も真っ直ぐなものが乗ったと思います。

Q.歌詞はどんどんストレートになっていきますよね。
Mitsuhiro:周りの人にも言われたんですけど歌っていることが中々伝わらないのが悔しくて。開き直りのストレートです(笑)。

Q.さっきYu-ta君がシンプルなものを意識したと言っていましたが、逆に「ペイン」はギターを弾きまくっていますよね。
Yu-ta:あははは。でもあれも俺の考えるストレートなんですよ(笑)。

Q.曲の導入部分を聴いてボーナストラックっぽい曲だと思ったらいきなり展開して弾きまくるという(笑)。
Yu-ta:あ、でも最初はボーナストラック的な曲にしようと思っていたんですよ。ENTHがアルバムの最後でふざけているみたいな(笑)。でも曲を作っているうちに意外と良いメロディが出来て(笑)。そのメロディの雰囲気が良い意味で田舎っぽかったので俺が思うカントリーっぽいギターを弾きまくったんです。
Mitsuhiro:アルバムの最後の曲だけど前菜のような曲なんですよね。

Q.「ペイン」は「オモイビト」「卒業探し」のエモさに対する照れ隠しなのかも(笑)。
Mitsuhiro:あははは。照れ隠し(笑)。
Yu-ta:でも熱くてエモいまま終わりたくなかったのはあるかも。最後にふざけたかったというか。何もないまま終わるのはEVERLONGらしくないかなと(笑)。

Q.「オモイビト」は今作の中でもアレンジがこれまでのEVERLONGらしい曲だと思いました。
Yu-ta:確かに割と初期のEVERLONGのエッセンスを入れていますね。『Lovers』の頃の感じというか。

Q.この曲の「君が描いた未来に僕がいなくとも」という一節が刺さり過ぎました。なりたかった自分になれてるかなって。
Yu-ta:分かります。俺も初めて歌詞を読んだときは泣きそうになりましたから。

Q.「大切をくれたあなたへ」って歌詞にも表れていますけど、子供の頃に何かを夢見た自分に対するラブソングだと思うんですよね。僕も小学生の頃にジョン・レノンに憧れた自分にお礼を言いに行きたいですもん。
Mitsuhiro:ドラえもんの世界だ(笑)。

Q.タイムマシーンがあったらなって。
Mitsuhiro:それはめちゃくちゃ分かります。僕は歴史が大好きで大学でも歴史の勉強をしていたので、頭の中はいつもタイムマシーンのことでいっぱいですから(笑)。

Q.バンドとしても何かを振り返るタイミングだったとか?
Mitsuhiro:それもあるかも。色んな経験をしてきたから出来たアルバムだと思うし、成長していなかったら作れなかったと思うんですよね。だからこそやってきたことを少し振り返るのもありかなと。

Q.この作品に『RIN』と名付けたのは?
Mitsuhiro:隣の『RIN』なんですよ。僕の中で常に隣にいて欲しいアルバムになったなと。

Q.過去の自分も隣にいますしね。
Mitsuhiro:上手い(笑)。でもそうですね、そういうアルバムです。

EVERLONG
タイトル:RIN
2017/12/6 Release
¥1800(+税)
RCTR-1063

Mitsuhiro(Vo&Ba)
Yu-ta(Vo&Gt)
KIMU(Dr&Cho)

LIVE
EVERLONG”あなたの隣で歌いたいツアー”
2017年12月17日(日)千葉県 千葉LOOK
2018年1月11日(木)京都府 KYOTO MUSE
2018年1月24日(水)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2018年1月28日(日)東京都 TSUTAYA O-Crest
2018年2月13日(火)広島県 CAVE-BE
2018年2月17日(土)大阪府 LIVE SQUARE 2nd LINE
2018年2月24日(土)愛知県 ElectricLadyLand

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