Captain Street

 

国内外のストリートブランドを独自の視点でセレクトし岐阜から発信し続けるショップ、Captain Street。オリジナルブランド「Captain Street」をはじめ、様々なカルチャーがクロスオーバーしたセレクトで人気を博している同ショップ。オーナーであるRYU氏の拘りと愛情が詰め込まれたお店にはジャンルを問わないミュージシャンやスケーターが夜な夜な集まってはハングアウトしているという。またCaptain Streetを愛用するバンドマンも多く現場に根付いたRYU氏との関係性もブランドを通して感じることが出来る。今回2YOUでは名古屋在住でありながら岐阜にお店を構え今や岐阜シーンにおいて欠かすことの出来ない存在となったミスターCaptain Street、RYU氏にインタビューを行った。

Q.名古屋在住のRYU君が岐阜でお店を出そうと思ったのは何がきっかけだったのですか?
RYU:元々僕は10代の頃から名古屋でバンドをやっていたんですけど、24歳の頃大須で働き始めてその後に独立しようと思ったのがきっかけで。お店の場所を岐阜にしたのは自分の扱いたいブランドがバッティングするエリアではやりたくなかったので三重か岐阜かなって。ちょうど亀さん(MASTER K:DUB 4 REASON/STAB 4 REASON AND THE STYLES/STAB 4 REASON/柳ヶ瀬ants/SOUND STUDIO PRIME/TWISTED PRODUCTIONS)が柳ヶ瀬にantsを作った1年後くらいですね。

Q.名古屋に住みながら岐阜でお店を出すことは不安ではなかったですか?
RYU:あまり深く考えてなかったですね(笑)。僕、めちゃくちゃポジティブなので(笑)。でも周りのみんなは絶対失敗するって思っていたと思います。結果的に岐阜に出して良いことしかないですけどね。最高の場所でお店をやれてるなって。

Q.RYU君のお店やブランドからは音楽と服が密接にリンクし始めた90年代後半の雰囲気を感じますが服に興味を持ったのは?
RYU:やっぱりバンドの影響が大きいですね。中学の頃にスパイマスターを持ってTWIMに服を買いに行ったり。最初はめちゃくちゃ怖くてお店に入るのにも勇気がいるみたいな(笑)。でもそこで学ぶことは多かったですね。

Q.岐阜のキッズにとってはそういう場がCaptain Streetなんですよね。お店でのRYU君との会話がキッズにとっては物凄く大きな経験になったりすると思うんですよ。
RYU:確かに僕が昔そうだったように、好きなお店の人の一言で人生を変えてしまう可能性はありますからね。でも僕はあまり深く考えてなくていつもくだらない話ばかりしてます(笑)。ただ、うちで服を買ってくれる子達は仲間だと思っているし買って後悔はさせたくないですね。だから相談も受けるし馬鹿な話もする。そういうお店でいたいなって思います。

Q.岐阜でお店を出すにあたって取り扱いたいブランドは決めていたのですか?
RYU:DeviluseとKustomStyleをやりたかったんですよ。Deviluseはライブハウスに顔を出す子だったらみんな知ってると思うし自分も好きで。KustomStyleは音楽ではなく車のカルチャーとリンクしているブランドで。この2ブランドは最初からやってますね。単純に自分が好きで普段から着ているものを売りたかったんですよね。

Q.他にも多数のブランドを取り扱っていますが最近はオリジナルブランドもかなり力を入れていますよね。
RYU:自然とそうなりましたね。戦略も何もなかったんですけど(笑)。これもDeviluseやKustomStyleと同じで自分が着たいものを自分で売りたくて作っていたらどんどん増えていった感じです(笑)。

Q.RYU君はバンドマンとの交流も深いと思うのですが。
RYU:めっちゃ酒を飲むからじゃないですか?(笑)。

Q.あははは。確かにビジネスというよりは好きな仲間と遊んでいる延長にCaptain Streetがある印象がありますね。
RYU:バンドマンに対してそういう営業を僕はおろそかにしがちなので。経営者としては駄目なんでしょうけど(笑)。それでもバンドマン達が着たいって言ってくれるのは本当に有難いですね。

Q.毎日更新されるインスタグラムでのスタッフさんのスナップも密かな楽しみなんですよ。
RYU:嬉しいです。ああいうスナップをバンドマンに頼っちゃうとそこ頼りになっちゃうじゃないですか。というより、まだ僕達はその段階にいけてないと思っているので。バンドマンに頼る前にまずは自力を付けたいんですよね。勿論着てくれるバンドマンや先輩にはめちゃくちゃ感謝してますしSNSでも紹介はしますけど、まずは自分達で宣伝しないとなって。でもいずれは仲のいいバンドマンとかあつめて、みんなで撮影してルックブックみたいのは作ってみたいなって思いもありますけどね。有難いことに僕はスタッフにもお客さんにも恵まれているので、現状ではこのやり方である程度のところまでお店を持っていけたらなって思っています。

Q.岐阜でお店をやりながら岐阜の音楽シーンで感じることはありますか?
RYU:まず名古屋と比べて絶対数は圧倒的に少ないですね。でもだからこその団結力があると思います。岐阜ってジャンルの壁がないんですよね。そこが凄く良いなって。お店に来てくれる人もパンクからヒップホップからレゲエ好きまで来てくれるので。そこはantsの亀さんの存在も大きいとは思います。

Q.Captain Streetの存在も大きそうですね。
RYU:まだまだそこに並べちゃ駄目です(笑)。僕は新参者なので。だからこんな僕を受け入れてくれた岐阜のシーンやお客さんに本当に感謝しています。僕より長く岐阜で服屋をやっている人は沢山いるしゼロから岐阜にお店を出してなんとかやれてる状態なのでまだまだこれからですね。最初に亀さんに挨拶に行ったときとかめちゃくちゃ怖かったですから(笑)。

Q.そのときのことは覚えていますか?
RYU:勿論です。亀さんのことは昔から一方的に知っていたのでantsに挨拶に行ったんですよ。それでantsに着いたらあの地下に降りる階段の下に亀さんが立っていて。恐る恐る声をかけたら「お前か!」って言われて(笑)。「色んな奴から連絡きたぞ!」って言ってくれたんですけど、名古屋の先輩達がみんな亀さんに連絡してくれていたみたいなんですよ。みんな僕に言わないでそういうことをしてくれるから本当に嬉しかったですね。そこから5年経ってこんなにも亀さんと通じ合えるようになるなんて(笑)。

Q.亀さん、Captain Streetの服が似合いますよね。
RYU:最近は「制服や」って言ってくれてます(笑)。潰れそうなときもあったけど5年やってきてようやくここまで来た気がしますね。最初の1、2年がオープンマジックもあってイケイケゴーゴーだったんですよ。それで調子に乗ってしまって気付いたら残高がゼロになってしまって。一時は転職も考えましたけど心を入れ替えて何とか持ち直しました(笑)。

Q.お店が厳しかった時期は何が原因だったのですか?
RYU:当たり前のことを当たり前にしてなかったんですよ。掃除とか接客とか。今思うと、ちょっと殿様商売になっていたんじゃないかなって。そこが本当に良くなかったですね。最低限のことを当たり前にした上でそこから何をプラスさせるかだと思うので。そこを改善したらお店がまた盛り上がってきたんですよ。

Q.ここ数年は名古屋のライブハウスでもCaptain Strretを着たキッズを沢山見ますからね。
RYU:僕もライブハウスに行くとめちゃくちゃ見かけるので「良いTシャツ着てるね」って声かけちゃいます(笑)。そうやってお客さんと話すと分かるんですけど大体みんなインスタを見て着てくれてるんですよ。東海3県だけじゃなくて関東からも来てくれるし先日は沖縄から買いに来てくれた人もいて。みんなこぞって言うのが「インスタ見てます」なんですよね。毎日こつこつやってきたことが正しかったんだなって嬉しく思いますね。

Q.毎日更新されるのでスタッフさんと面識がなくても友達のような感覚があるんですよね。
RYU:お店を出すときに思っていたのは、もはや死語かもしれないけどあのカリスマ店員を作りたかったんです。あの2人にはそうなって欲しいんですよね。僕から見てもあの2人の存在感はどんどん大きくなっていますね。今やCaptain Streetに欠かせない大事なスタッフです。

Q.ちなみにCaptain Strretという名前にはどんな意味があるのですか?
RYU:全然深い意味はないんですけど、お店を出すなら路面店が良かったので「ストリートかな」って何となく思っていて。あと僕の好きなお酒でキャプテンモルガンっていうバーボンがあるんですよ。それで「キャプテン、ストリート、CS、かっこいいじゃん!」みたいなノリで決めました。ロゴに3本線が入っているのはロゴのデザインをしているときに流していたKoЯnの映像を観てジョナサン・デイヴィスがアディダスのジャージを着ていたからです(笑)。そういうノリって深い意味がなくても後々話すときに面白いんですよね。それで人となりが分かるじゃないですか。

Q.確かにCaptain Streetに行けばRYU君がどんな音楽が好きでどんなカルチャーに触れてきたか分かりますもんね。
RYU:そうなんですよ。レコードやカセット、Tシャツが飾ってあったりお店で流している音楽だったり、僕のルーツはお店に来たらすぐ分かると思います。そこで会話が盛り上がって仲良くなることも沢山あるし。

Q.Captain Streetからは西海岸の要素を強く感じますがRYU君が好きなファッションはどんなものですか?
RYU:やっぱり西海岸のスタイルはずっと好きですね。サイズ感は大きめで。だから今作ってる服も昔の自分が着たかったものや憧れてきたものばかりなんですよね。でもお客さんにはどうやって着てもらってもOKです。袖を切っても良いし崩して着ても良い。それがかっこ良ければ何でも良いです。コレクションをやるようなブランドでもないし、好きに着てもらえたら嬉しいです。買った日にスケボーで転んでTシャツが血だらけになっちゃってすぐお店に戻ってくるような、そういう奴が大好きですね(笑)。

Q.Captain Streetを5年やってきて、今後の目標は何かありますか?
RYU:よく「大きい夢と小さい夢を持て」って言いますけど、全然ないんですよ。今を生きることで精一杯なので目標とかも特になくて。だから夢って言われると…。あ、漫画喫茶のオーナーになりたいですね。

Q.予想の斜め上からきましたね(笑)。
RYU:僕、漫画が大好きなんですよ。僕を形成する円グラフを作ったら40%くりは漫画が占めていると思います。漫画はなんでも好きですけど特に「クローズ」が好きですね。うちの子供の名前も武田好誠から取ってますから。

Q.武装戦線だ!
RYU:そう、五代目武装戦線です。僕、クローズみたいな人生を送りたいんですよ。誰からもかっこ良いと思われる男になりたいんです。勿論ああいうのが駄目な人もいると思うけどそういう人は対象外なので。そもそも万人ウケしようと思ってはいないので(笑)。かと言って分かる人にだけ分かってもらえれば良いって訳でもないんですよね。そこが難しいです(笑)。

Q.クローズとは真逆のファッションなのも面白いですね。
RYU:それは僕が似合わないからです(笑)。タイトな服が着れないので。勿論憧れはありますよ。でも着れないんです(笑)。

Q.クローズって喧嘩だけじゃなくて、ファッションも音楽もバイクもかっこいいカルチャーが詰め込まれていますよね。
RYU:そうなんですよね。クローズに憧れてセブンスターを吸ったり(笑)。

Q.分かります。こういう話をしにお店に行くのも楽しいですよね。
RYU:うちは閉店が20時なんですけど、閉店後にビールもって遊びにくる奴もいますからね。でもそれが楽しいんですよ。そこで初めて会った奴同士が意気投合して飲みに行ったり。お店から生まれる何かがあるのはこういうお店をやっていて凄く嬉しいです。

Q.その輪が岐阜から名古屋にも全国にも広がってきているのが凄いなと。
RYU:それは着てくれるみんなのお陰ですね。よく「凄いね」って言われますけど僕が凄いんじゃなくて着てくれる人がかっこ良いからCaptain Streetの名前も広がったと思っているので。うちのTシャツを着てモッシュピットに入っていく奴やスケボーで技をキメてる奴が誰よりもかっこ良いですよ。そういう目撃情報が誰かを伝って耳に入ったり口コミでキッズがお店に着てくれたりするのが本当に嬉しいんですよ。目で見て耳で聞いたものの伝達力って半端ないし、僕はその力を信じているし、それでお店に来てくれる人のことはマジで仲間だと思っています。それがストリートだなって思っているので。

Captain Street 住所:岐阜県岐阜市玉宮町2-6-3 TEL:058-265-8772 OPEN:12時CLOSE:20時 定休日:不定休
WEB SHOP
http://www.captainstreet.com
WEB SHOP(Yahoo!店)
http://store.shopping.yahoo.co.jp/captainst/