ドクターソウルが前作『絶叫のラブソング』より1年振りとなるミニアルバム『あの世もこの世もすべて未完成だ』を完成させた。メンバー脱退やRAD CREATION内新設レーベルTricycle Recordsへの移籍などこの数年で環境や状況が変化したドクターソウル。元よりジャンルやシーンに囚われない活動をしてきた彼らが、よりその幅を広げたことで自由度が増した今のドクターソウルが作り上げた今作は未完成だからこその可能性や真っ直ぐ生きることを力強く歌った入魂の全6曲。鳴り止まない情熱ロックンロールが炸裂したミニアルバムを完成させたYOKOI、SUGIに話を訊く。
Q.『絶叫のラブソング』リリースからちょうど1年ですがレーベルを移籍したことでバンドの環境も随分変わったのでないですか?
YOKOI:この1年の変化は大きいですね。まずライブをする環境がガラッと変わったから一緒にやるバンドも若いバンドがめちゃくちゃ増えた。彼らから受ける刺激が沢山あるので面白いですね。最初は戸惑いましたけど(笑)。
SUGI:あまりにもこれまでと違うシーンに飛び込んだからね。どうしたらいいんだろうって。
Q.葛藤があったと。
YOKOI:まず単純に見た目で怖がられるんですよ。だからこのスタイルを辞めたほうがいいんじゃないかって試行錯誤もして。例えばモヒカンを辞めようかなとか。だけど1年活動してきて、自分のスタイルを曲げなくてもかっこいい音楽をやっていればちゃんと伝わることが分かったので、髪の毛があるうちはモヒカンは辞めません(笑)。
SUGI:ちょっとサイドは伸ばしてるけどね(笑)。
YOKOI:あははは。そもそもモヒカンだって別に威嚇したい訳じゃないし怖がられたい訳じゃないからね。とはいえシーンが変わるとこの見た目で怖がられることはリアルに感じたので、その中でどんなライブをしたら分かってもらえるかは意識していますね。
Q.ライブを観たら一発で分かると思いますけどね。だからこそ色んな層のバンドと一緒にライブをする機会が増えたこの1年がドクターソウルの幅を広げたんだと思います。
YOKOI:年が離れていてもTHE SKIPPERSのように近いシーンを観てきたバンドとはすぐに繋がれるんですけど、そうじゃないバンドと色んなものを飛び越えて分かり合う為にはライブを一緒にやって打ち上げで話すことが大事で。
SUGI:何もかもが違うからお互い戸惑いはあるしね。
YOKOI:大きく違うのは僕達が思うパンクと若いバンドの思うパンクが明らかに違うことだと思う。やっぱり何処かで今の世代のパンクを否定していた自分がいたんですよ。「それはパンクなのか?」って。だけど掘り下げていけば表現の仕方が違うだけで根本は一緒なんだって思うようになった。それがこの1年の大きな変化だと思います。
Q.その変化は楽曲にも表れていますよね。前作でも感じたのですがYOKOI君の歌詞が確実に変わってきているなと。
YOKOI:めちゃくちゃ変わりましたね。
Q.以前のYOKOI君の歌詞は「出直してこい」「ナメんな」「男とは」みたいなイメージが強くて。勿論、根底にあるスタンスは何も変わってないと思うんですよ。だけど今作の「ひまわり」や「虹」はこれまでとはまた違う角度の曲だと思います。
YOKOI:うん。1stアルバムの頃と比べたら本当に自分が書いた歌詞かって思うくらい変わったと思います。でもそれは環境の変化が知らず知らずに作用しているんだと思うしドラムが抜けて曲の作り方も変わったから、そういう色んな変化が歌詞にも表れているんじゃないかな。「ひまわり」も「虹」も聴いた人が真っ直ぐ上に伸びるような、とにかく上を向ける曲にしたくて。スピード感もあるから分かり易く伝わるんじゃないかなって思いますね。
Q.SUGI君の歌詞も良いですね。生きる意味、歌う意味と向き合った「SOULFUL」からは希望を感じました。
SUGI:「こうなりたい、こうだったらいいな」っていう希望はありますね。
Q.「残酷な時代」ではバンドを続ける中で感じる葛藤と希望が両方歌われていて。
SUGI:バンドに対して残酷な時代だなって思うことが多いんですよ。みんなすぐにバンドを辞めちゃうし。だからそういう人達がバンドを続けられる為にも売れてるバンドが道を示して欲しいし自分も音楽の楽しさを忘れたくないなって思いますね。
Q.ドクターソウルの音楽って始めて楽器を持ったときの衝動がずっと続いている気がするんですよ。だから聴くとバンドをやりたくなるんです。
YOKOI:今って真似出来ない音楽が多いじゃないですか。でも僕らが若い頃に聴いたラモーンズとかブルーハーツって自分でもやれるんじゃないかって思えたんですよ。そうやってバンドを身近に感じることが出来たらみんなバンドをやりたくなると思う。
Q.3コード、8ビートの魅力ですよね。
YOKOI:そうそう、心地良いのはやっぱり3コードで8ビートなんですよ。
SUGI:しっくりくるよね。
YOKOI:だけど今の音楽を否定したくはないし自分達なりの何かが生まれるかもしれないから4つ打ちにも挑戦はしてみたんですよ。結果的にしっくりこなかったんですけど(笑)。でもそういう可能性は捨てたくない。
Q.「あの世もこの世もすべて未完成だ」で歌われているのはその可能性ですよね。未完成だからこそ可能性はまだまだあると。
YOKOI:完成されていないってことはその分可能性があるってことだと思う。僕達は未完成だからこそ自由に何でもやれるんです。例えばイベントとかももっと自由にやったらいいのになって思うんですよ。みんな常にシーンを追いかけすぎなんじゃないかって。イベント名が違うだけで連なってる名前が一緒みたいな。「なんだこいつら!?」がない気がして。
Q.そういう意味ではRAD CREATIONにドクターソウルがいるのは面白いですよ。なんだこいつら枠だと思いますから。ラーメン屋のカレーみたいな。
YOKOI:あははは。でもそれが理想ですよね。RAD CREATIONのおかげで自分達では辿り付けない出会いも沢山あるし、そこで何がやれるかだと思うので自分達らしさを貫いていこうと思っています。
YOKOI(Vo、Gt)
SUGI(Vo、Ba)
あの世もこの世もすべて未完成だ
2018年2月7日発売
1500円(+税)
RCTC-1002
LIVE
2/16(金)名古屋RAD HALL
-GRPC PRESENTS-☆CONVERGING ROCK PARTY ☆
ドクターソウル/KiNGONS/流血ブリザード
-Selector-
GANG¥RICKY(GRPC)/MINORU(GRPC)
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