OLEDICKFOGGY

OLEDICKFOGGYが約2年振りとなる通算6枚目のフル・アルバム「Gerato」を完成させた。アルバムを重ねる毎に進化を遂げてきたOLEDICKFOGGYであるが今作はバンド史上最もバラエティーに富んだ全12曲が収録されており、今まで聴いたことのない新しいOLEDICKFOGGYの顔を覗くことが出来る作品となっている。このアルバムを引っ提げ「Gerato TOUR 2018」を全国各地で行う彼ら。ツアーファイナルは10月28日(日)に日比谷公園野外大音楽堂でのワンマン。ひとつずつ積み重ねてきたものが血となり肉となりOLEDICKFOGGYとなる。アルバムは勿論、野音でのライブをその目で確かめて欲しい。伝説なんていう言葉よりももっと伝説の1日になるだろう。アルバムを完成させたばかりの伊藤雄和、スージー、四條未来、大川順堂に話を訊く。

Q.アルバムはいつ頃から制作していたのですか?
順堂:去年の8月くらいからだっけ?
伊藤:覚えてない(笑)。
順堂:ベスト盤のツアーが3月から6月まであって、そこから曲作りに入ったと思う。

Q.今回のアルバムはスージーさんの曲が多いですよね。
伊藤:特にそういうアルバムにするつもりもなかったんだけど、なんかスージーが毎週曲を持ってきて(笑)。
順堂:すげー作るなって(笑)。
伊藤:今日は遅刻してまだ来てないのに。(一同笑)

Q.今作はこれまで聴いたことのないOLEDICKFOGGYの顔も覗かせているように感じました。
伊藤:そこはやっぱりスージーの曲が多いからですかね。スージーの曲って難しいから歌うのが大変なんですよ。そのストレスもありましたけど、曲自体が凄く計算して作られているなって思いました。

Q.スージーさんの曲に歌詞を乗せるのは自身で曲を書くのとは違いました?
伊藤:詞を書くこと自体は一緒なんですけど、メロディの乗せ方が違いましたね。
順堂:コードの回しとか伊藤の曲とはやっぱり違うもんね。

Q.今作は未来さんも曲を書いていますが「flexible」はOLEDICKFOGGY史上一番明るい曲ですよね。
伊藤:これも難しかったですね。どう歌を入れたらいいか分からないし、歌ってみて「こうじゃないんだよね」って言われたら面倒臭いから(笑)。
未来:あははは。OLEDICKFOGGYの曲はどちらかといえば暗い曲が多いから思いっきり明るい曲に哀しい歌詞が乗ったらどんなのが出来るかやってみたかったんですよ。

Q.どんな曲でもOLEDICKFOGGYがやればOLEDICKFOGGYになりますからね。「KUNG FU VACATION」だって一歩間違えればギャグだけどめちゃくちゃかっこいい。
順堂:ギャグですけどね(笑)。
伊藤:ミュージックビデオでダンスを取り入れてるんですけど、あれも踊って歌うJ-POPをちょっとギャグっぽい解釈でやったんですよ。でもやってるうちにみんな本気になるっていう(笑)。
未来:ちゃんとやりたくなっちゃったんです(笑)。
伊藤:動きが揃うと気持ち良いからね。ダンスのレッスンまで行きましたから(笑)。

Q.こういうチャイナ感はこれまでも要素としてありましたけど、シングルになったり「マネー」のようにアルバムの前に出てくるようになったのは?
未来:アルバムに1曲くらいこういう曲をやってきたけど、思ったほどウケないからムキになってるんじゃないですかね(笑)。
伊藤:「KUNG FU VACATION」は元々Suchmosを意識して作ったんですけどね、出来上がったらこうなりました。

Q.そもそもバンドでチャイナ曲を作ろうと思ったのは何の影響だったのですか?
伊藤:何の影響も受けてないと思いますよ。そんなに所縁もないですし。たぶんジャッキー・チェンが好きだからじゃないですかね。香港映画とか。スージーもジャッキー好きだし。

Q.ジャッキー・チェンの映画で何が好きですか?
伊藤:ゴールデン・ハーベストになってからも好きだし、その前も好きだし、ハリウッド時代も好きなんですけど、やっぱり一番好きなのは「プロジェクトA」ですかね。初期のカンフー物なら「クレージーモンキー笑拳」とか。あと「WHO AM I?」も好きですね。

Q.いいですね。やはりジャッキー・チェンの存在は大きいですね。戦いながらチョケる感じとかはドラゴンボールの孫悟空にも影響を与えていると思いますし。
伊藤:そこはブルース・リーにはないとこですよね。ジャッキーって痛い顔も面白いじゃないですか。見ていて痛そうだなって思うから。その流れは「ビー・バップ・ハイスクール」にも繋がってると思いますけど。(一同笑)

Q.映画っぽさはOLEDICKFOGGYの曲からも感じます。アルバム冒頭の「Gerato」も映画の始まる感じがありますし。
伊藤:アルバムのタイトル曲だから始まる感じを出そうと思いました。こういう曲は俺じゃかけないですね。スージー伝説の始まりを感じてもらえるんじゃないでしょうか。

Q.伊藤さんの歌も新しいと思いました。「サイレンが鳴り響く」の部分とか、伊藤さんの声がめちゃくちゃ優しいなと。
伊藤:優しさが出ちゃってますよね(笑)。この歌はとにかくキーが高いから丁寧に歌ってます。録りもきつかったからライブで歌えるか不安ですけど。だからライブでちゃんと聴きたい人はツアー初日がお勧めです。そこが一番コンディションが良いはずなので(笑)。

(スージー着)
スージー:おはようございます。

Q.スージーさん、宜しくお願いします。早速ですが今作はスージーさんの曲が多いですけどどのようなモチベーションだったのですか?
スージー:ここ最近、今まで聴いたことのないような音楽を沢山聴いていて。それこそJ-POPとか。そういうところから色々パクってみたら面白いんじゃないかって。○○っぽさみたいなことを意識して作っていたらどんどん曲が出来ていった感じですね。

Q.「汚れた詩情」のメタル感とか最高ですよね。間奏とかX JAPANかと思いましたから。
スージー:あれはアイアン・メイデンですね(笑)。だけどコード進行はコブクロみたいなJ-POPっぽいっていう。そういう真逆なものを1曲に取り入れてみた曲です。

Q.伊藤さん作曲の「ベターエンド」もJ-POP要素がありますよね。
伊藤:そうかもしれないですね。やっぱりJ-POPは自然と聴こえてくるし入ってきますからどこかしら影響は受けていると思います。でも中国っぽい音楽は自然と入ってこないのに影響を受けているのは不思議ですね。
スージー:ジャッキー・チェンの影響じゃない?(一同笑)
未来:さっきその話してたんだよ(笑)。
スージー:そうなの?(笑)。

Q.スージーさんはジャッキー映画で何が好きですか?
未来:あははは。巻き戻った(笑)。
スージー:ジャッキーは中期が好きですね。「奇跡/ミラクル」とか。

Q.ジャッキーは偉大ですね。そして「昔日」ですがイントロのギターのバンドブームっぽい音色が最高です。
スージー:あれ、良いですよね。90年代初頭のバンドのギターっぽさを出したかったんですよ。

Q.この曲で伊藤さんが歌っている「押さえつけられていた頃はもっと自由でいられた気がする」という歌詞は「いなくなったのは俺の方だったんだ」と同じ手法だと思いました。逆説的に物事を訴えるというか。
伊藤:ああ、なるほど。確かに「いなくなったのは俺の方だったんだ」っぽいかもしれない。押さえつけられていた頃はもっと自由でいられた気がしたんですよね。
順堂:それ、歌詞をそのまま言っただけじゃん(笑)。
伊藤:あははは。でもバンドって押さえつけられていないとやらないんじゃないですか。
スージー:尾崎豊だ。
伊藤:そうそう。だからバンドを選択したっていう。でも確かに逆説ですね。

Q.歌詞の中にもありますが何か引っ掛かっている過去の思い出ってあったりしますか?
伊藤:そんなにないですね。僕はあまり歌詞に自分の経験談を書くタイプじゃないんですよ。だからって嘘を書いてる訳でもないですけど。自分の経験は薄く反映させてるくらいなので。

Q.ある程度のフィクションだからこそ重い歌詞もポップに表現出来ているのかもしれないですね。
伊藤:凄く重いことをポップに歌いたいっていうのは最初からありますね。だからどんな曲が出来ても歌詞のテーマは一緒なんです。未来が書いた明るい曲も明るい歌詞じゃないし。

Q.「さよならが言えなくて」は刺さりましたね。個人的な話になりますが母親の最後をあまり良い形で見送れなかったので、この曲はグッときました。
未来:ああ、そういう捉え方も出来ますよね。
伊藤:男女の別れだけじゃなくて、家族もだし、新しい生活もだし、会社を辞めるでも何でも、聴いてくれた人が自分に置き換える余白があるから色んな解釈をしてくれたらと思います。

Q.「さよならが言えなくて」でこれだけ泣かされた後に間髪容れず「KUNG FU VACATION」がくるから涙が一瞬で引っ込みました(笑)。
未来:あははは。
順堂:感動のあとにくる「KUNG FU VACATION」はやばいね(笑)。

Q.今作は曲ごとに表情が違って聴こえるんですよね。ドラムの鳴り方とか。
未来:今回、ドラムのチューニングを曲ごとに変えているんですよ。
順堂:初めてドラムテックを入れたんです。曲単位でスネアも変えたしチューニングも変えたんですよ。それで1曲1曲の表情が変わったんだと思う。やっぱり全然違いますね。

Q.「mud puppets me」や「アステマ」のコーラスも良いですね。
伊藤:あれはスージーと未来ですね。
未来:結構拘ったよね。
伊藤:拘ってふざけてる。

Q.「mud puppets me」が醸しだすエロさを助長しているなと。
伊藤:エロい歌詞を書こうと思って書いている訳じゃないんですけどね。自然と出ちゃうみたいで。米米CLUBとかサザンオールスターズもそうじゃないですか。それの影響ではないですけど、多分みんな根がエロいんでしょうね。

Q.「アステマ」はとにかくギターのリフが印象的でした。
スージー:ずっと同じリフばっかり弾いてますからね(笑)。

Q.そのリフが頭に残っていて、アルバムを聴いていくと最後の「ベターエンド」で一瞬だけ同じリフが出てきて興奮しました。
スージー:おお!
未来:聴いてくれてますねえ。そうなんですよ。
伊藤:そこに気付いたの凄いですね。実はベターエンドが先に出来ていて、あのリフを使ってもう1曲作ろうってなったんですよ。
スージー:そこをちゃんと説明しないと俺が楽してるみたいだからね(笑)。

Q.でも曲としてリンクしている訳じゃないですよね。
伊藤:そうですね。歌詞や曲は関係ないです。
未来:同じリフで2曲作っただけの話ですね。気付いてもらえたのは嬉しい。

Q.そして「矛盾 / 葛藤 / 憎悪 / 滑稽」ですが、タイトル通りのハードコアですね。
伊藤:これは矛盾、葛藤、憎悪、滑稽を歌っています。
順堂:またそのまま言った(笑)。
伊藤:何もやっていないのにうるさい人っているじゃないですか。そういう人に向けて書きました。やってから文句言えっていう。まあ、殆どの人に言いたいことですけど(笑)。

Q.伊藤さんの歌詞は死生観を感じることが多いのですがアルバム最後の「ベターエンド」からもやはり死や終わりを連想しました。
伊藤:死についてはたまに考えますね。葬式は1000人来て欲しいとか死んだ後に集めてるおもちゃを捨てられたら嫌だなとか(笑)。まあ、僕らはバッドエンドがお似合いだと思います。バンドをやってきてずっと上手くいかなかったけどやっと形になってきて、でも最後はバッドエンドを迎えるのが俺達なんだろうなって思っています。あとこの曲では初めて「酒」って言葉を使いました。ラスティックバンドのお決まりってあると思うんですけど、酒もそのひとつで。

Q.それを敢えて使ってこなかったと。では今使ったのは?
伊藤:ラスティックバンドというよりOLEDICKFOGGYというバンドになったからだと思います。ラスティックだから酒を使ったって思われない自信が今はありますから。

Q.なるほど。お決まりで使っている訳ではなく、自分達が確立したからこそ何を歌っても自分達だと言えると。
伊藤:そうですね。だからSuchmosをやろうとしてもOLEDICKFOGGYになっちゃう訳で。何かに縛られていたり捕らわれていたら出来ないですよね。それがオリジナルだと思います。でも確立したとか言って、中々俺達に続くバンドが出てこないのは何故でしょうね。
順堂:やりたいとは思わないんじゃない?
未来:だからライブに来てくれるんじゃないかな。珍しいものを観たいっていう。
伊藤:ああ、見世物小屋的な感じか(笑)。


OLEDICKFOGGY
タイトル:Gerato
2018年3月7日発売
3000円(+税)
DIWPHALANX / PX333

OLEDICKFOGGY「Gerato TOUR 2018」
03月18日(日)東京 新宿LOFT(ワンマン)
03月23日(金)秋田 LIVE SPOT 2000
03月24日(土)岩手 盛岡CLUB CHANGE
03月25日(日)栃木 宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ-2
03月31日(土)岡山 津山K2
04月01日(日)和歌山 CLUB GATE
04月06日(金)青森 弘前MAG-NET
04月07日(土)福島 OUT LINE(ワンマン)
04月08日(日)埼玉 熊谷HEAVEN’S ROCK VJ-1
04月14日(土)徳島 CLUB GRINDHOUSE
04月15日(日)奈良 NEVER LAND
04月21日(土)高知 CARAVAN SARY
04月22日(日)兵庫 姫路FAB-SPACE
04月27日(金)愛知 豊橋CLUB KNOT
04月28日(土)静岡 沼津POCO(ワンマン)
04月29日(日)大阪 心斎橋CONPASS
05月03日(祝)東京 下北沢BASEMENT BAR AND THREE
05月04日(金)岐阜 柳ケ瀬ANTS
05月05日(土)三重 鈴鹿ANSWER
05月11日(金)山口 湯田ORGAN’S MELODY
05月12日(土)島根 出雲APOLLO
05月13日(日)鳥取 米子MOON&SPOON
05月18日(金)滋賀 大津B-FLAT
05月19日(土)兵庫 神戸太陽と虎(ワンマン)
05月20日(日)静岡 磐田FM STAGE
05月26日(土)群馬 高崎CLUB FLEEZ(ワンマン)
05月27日(日)千葉 LOOK
06月02日(土)宮崎 SR BOX
06月03日(日)鹿児島 SR HALL
06月08日(金)福岡 小倉FUSE
06月09日(土)福岡 博多QUEBLICK
06月10日(日)福岡 久留米GEILS
06月16日(土)愛媛 松山DOUBLE-U STUDIO
06月17日(日)香川 高松DIME
06月23日(土)京都 MUSE
06月24日(日)三重 四日市CLUB CHAOS(ワンマン)
06月29日(金)山形 米沢LIVE ARB
06月30日(土)新潟 GOLDEN PIGS BLACK(ワンマン)
07月01日(日)福島 いわきCLUB SONIC
07月07日(土)福井 HALL BEE
07月08日(日)長野 THE VENUE
07月13日(金)熊本 DJANGO
07月14日(土)佐賀 GEILS
07月15日(日)長崎 STUDIO DO!
07月16日(祝)大分 CLUB SPOT
07月20日(金)神奈川 横浜F.A.D
07月21日(土)宮城 仙台ENN 2ND
07月22日(日)茨城 水戸LIGHT HOUSE
08月04日(土)三重 松坂M’AXA
08月05日(日)島根 松江B1
08月06日(月)広島 TO FUTURE
08月10日(金)岩手 宮古KLUB COUNTER ACTION
08月11日(土)岩手 大船渡KESEN ROCK FREAKS
08月12日(日)宮城 石巻BLUE RESISTANCE
08月18日(土)愛媛 新居浜JEANDORE
08月19日(日)岡山 PEPPERLAND
08月24日(金)京都 福知山STUDIO FARM
08月25日(土)静岡 UMBER
08月26日(日)静岡 浜松G-SIDE
09月01日(土)愛知 名古屋CLUB QUATTRO(ワンマン)
09月08日(土)福岡 博多QUEBLICK(ワンマン)
09月09日(日)広島 福山MUSIC FACTORY
09月14日(金)福島 会津若松KARAN堂
09月15日(土)新潟 小千谷市山本山高原山頂広場
09月16日(日)富山 CLUB MAIRO
09月17日(祝)石川 金沢VANVAN V4
09月21日(金)北海道 旭川MOSQUITO
09月22日(土)北海道 帯広REST
09月23日(日)北海道 北見夕焼けまつり
09月24日(祝)北海道 札幌KLUB COUNTER ACTION
09月29日(土)大阪 梅田CLUB QUATTRO(ワンマン)
10月05日(金)沖縄 那覇OUTPUT
10月06日(土)沖縄 宮古島YUM YUM
10月12日(金)山梨 甲府KAZOO HALL
10月13日(土)福島 郡山PEAK ACTION
10月14日(日)栃木 足利 CLUB SOUTH BBC
10月20日(土)山形 酒田HOPE
10月21日(日)宮城 仙台MACANA(ワンマン)
10月28日(日)東京 日比谷公園 野外大音楽堂
(TOUR FINAL / ワンマン)

http://www.oledickfoggy.com/