CIVILIAN

CIVILIANが自身初となるコラボEP『邂逅ノ午前零時』を完成させた。今回のコラボEPが生まれる経緯としては2018年に中田裕二(椿屋四重奏)、酸欠少女さユり、GARNiDELiAを迎えて東名阪で開催されたCIVILIAN主催の対バンイベント「INCIDENT619」でのツーマン企画が大きく関係しているという。同イベントでは招いたゲストのバックバンドをCIVILIAN自身が務めるという新たな試みにトライした3人。他のアーティストとのコラボをするという経験の先にあるのが今作『邂逅ノ午前零時』であることは言うまでもないだろう。面白いのは今作の人選だ。「INCIDENT619」でも対バンしCIVILIANが絶大なリスペクトを送る中田裕二(ex.椿屋四重奏)、結成3年で武道館公演を成功させたアイドルグループであるまねきケチャ、ネットシーンから生まれた女性ヴォーカリストmajiko、という異種格闘技戦のようなラインナップが揃い踏んでいるのだ。このコラボでまた新しい扉を開いたCIVILIANのコヤマヒデカズに話を訊く。

 

Q.今回のコラボEPはどんな経緯で始まったのですか?

コヤマ:最初のきっかけは去年の東名阪ツアーで中田裕二さん、酸欠少女さユりさん、GARNiDELiAとツーマンをしたときに各公演でCIVILIANが各ゲストの演奏をさせてもらったことから始まっていて。他のアーティストの楽曲を演奏することで音楽的な面で気付くことが多かったんです。だからこそあのツアーだけで終わってしまうのが勿体なくて、一連の共同作業を形に残したいなって。

 

Q.名古屋公演でさユりさんとのコラボを観させて頂いたのですが、「こんな対バンの仕方があるんだ」って思いました。

コヤマ:ありがとうございます。ライブでのコラボもですし、例えば曲を作ることでも、自分達だけで作ることだけが正解じゃないと思うんです。勿論ひとりで作ることは尊いですけど、そこに拘るあまり、本来在り得た可能性を自ら潰しているんじゃないかと思うんです。あの東名阪でCIVILIANとはタイプの違う楽曲を他のアーティストと一緒に演奏したことでそれは余計に感じるようになりました。

 

Q.最終的に楽曲が素晴らしいものであれば、極端な話、楽器を弾かなくてもバンドとして成立する可能性がある訳で。

コヤマ:まさにそうで、出来上がったものが素晴らしければずっと聴いてくれている人にも理解してもらえると思うし、新しい人に届く可能性もあると思うんですよね。僕らがバンド名を変えたのも、自分で勝手に作っていた枠を壊したかったからでしたし。

 

Q.中田さんのプロデュースはメンバーも念願だったのではないですか?

コヤマ:僕は椿屋四重奏の大ファンだったので嬉しかったです。ツーマンをした際に中田さんから「今度プロデュースさせてよ!」って言って頂いて。

 

Q.まねきケチャ、majikoさんとのコラボはどのように決まったのですか?

コヤマ:僕はアイドルに疎かったんですけど、まねきケチャの武道館のライブを観させて頂いて正直凄いなって驚いたんですよ。ライブもですけど、気持ち的な部分で熱いものを凄く感じまして。今回のコラボEPを作る中で出来上がりが全く想像出来ない人ともやりたいと思っていたので直感でオファーしました。majikoさんはニコニコ動画で僕がボカロPをやっていた頃から知っていたんですけど、majikoさんもCIVILIANのことを好きでいてくれて。歌の存在感が素晴らしい人ですし、所謂バンド界隈ではないところで繋がったmajikoさんとコラボするのは楽しみだなと。結果的に御三方とも快諾して頂けて嬉しかったです。

 

Q.まねきケチャとのコラボ曲「I feat.」はピアノと女の子Voというのが斬新でした。

コヤマ:個人的にやってみたかった表現のひとつなんですよ。きっと昔だったらどう思われるかを気にしてしまい出来なかったと思います。そういう変な意識が邪魔をして自由じゃなくなっていたんですよね。でも今ならやれるということを自分に証明出来た曲だと思っています。

 

Q.「僕ラノ承認戦争」はCIVILIANとmajikoさんがバトルしているような激しさがありますよね。

コヤマ:戦ってますよね(笑)。今回のEPの中で一番これまでのCIVILIANを踏襲している曲になったと思うんですけど、majikoさんは歌声も力強いしハイトーンも気持ち良いのでバンドが無茶苦茶やってもぶつかってきてくれるだろうなって。そしたらやっぱり誰も譲らない、とても激しい楽曲になりました。

 

Q.「campanula」は中田さんによるプロデュースですが。

コヤマ:中田さんにデモを送ったら「凄く良い曲だからあとは任せてくれ」と仰ってくれて。それで音作りもアレンジも中田さんに任せることにしたんです。僕らもLyu:Lyuの頃から長くバンドをやってきているので経験がある分、頭でっかちになっている部分があって。例えば普段のレコーディングだったら当日までに全て作り込んできてレコーディング時は弾くだけの状態までもっていくんですけど、中田さんはセッションするみたいに録る方なので、僕らの凝り固まったものを柔らかく溶かしてくれたんです。「君たちは上手だからそこまで考えこまず、その場の思い付きで遊び心でやろう」って言ってくれて。僕らにとってはそういうこと自体が久し振りだったしガチガチにやっていた分、いい意味での現場のノリでもやれるんだなって。それが出来るだけの技術が今の僕らにあることも気付かせてくれたので本当に感謝していますね。中田さんを介して気付くことが本当に沢山ありました。

 

Q.その現場のノリというか、バンドらしさみたいなものはインスト曲である「邂逅ノ午前零時」に早速表れている気がするのですが。

コヤマ:確かに(笑)。ここ数年は僕がデモの段階から曲の設計図も書くのが殆どだったんですけど、「邂逅ノ午前零時」は久し振りにゼロの状態から3人で作れたので楽しかったです。あまり自分の作品を聴き返すことがないタイプなんですけど、今回のEPはサウンド面でもそれぞれやりたいことがしっかり出来ているし、自分で聴いていても飽きないんですよね。この感覚は自分にとっても斬新なことだなって。

 

Q.今回のコラボでの経験はまたCIVILIANの大きく作用しそうですね。

コヤマ:まさに新しい扉が開いたなと思っています。きっとここからまた何か始まると思うので、今回得たものをどうバンドにフィードバック出来るか、自分でも楽しみです。やりたいと思ったものを自由にやっていきたいですね。

 

 

タイトル:邂逅ノ午前零時
2019年3月13日発売
SRCL-9994X
1500円(税込)

http://civi-l-ian.com/