ONIGAWARA

ONIGAWARAがライブ会場限定シングル『ONIGAWARAの元気が出るEP』をリリースした。このギリギリなタイトル(実際配信はタイトルNGとのこと…)を冠した今作にはONIGAWARAが結成当初からふたりで築き上げてきたものが凝縮された3曲が収録されており、コンセプトからスタイルまで何ひとつブレないままブラッシュアップされてきたONIGAWARAサウンドが炸裂したEPとなっている。今作より彼らは所属していた事務所を離れ自分達だけでバンドの舵を取っていく。斉藤伸也と竹内サティフォ。少年時代に出会ったふたりが見た目は中年になりながらも少年のように音楽で遊び続けている姿こそがONIGAWARAだ。『ONIGAWARAの元気が出るEP』を手に入れに彼らのGIGに行こう。

 

Q.ONIGAWARAは最近環境の変化があったとのことですが。

斉藤:今日はそこメインの話です。

竹内:いや、そんなに語ることないでしょ(笑)。

 

Q.あははは。事務所を離れるのはいつ頃から考えていたのですか?

竹内:もともとの契約が3年だったんですよ。なので1ミリも揉めずにそこで円満に。それで斉藤と事務所を離れてもONIGAWARAを続けるかどうか話し合って。

 

Q.あ、そんな会話もあったんですね。

竹内:そうなんですよ。これまでのような事務所の支援もなくなるしふたりになるけどそれでもやるかって。斉藤は即答で「やる」って言ってましたけど(笑)。

斉藤:そうね。

竹内:これまでもずっとふたりでセルフプロデュースでやってきたし、斉藤がやりたいなら俺も続けたいなって。

斉藤:他にやることもないしね。

竹内:じゃあ他にやることがあったらやらないの?

斉藤:そんなことはないけどさ。

 

Q.喧嘩しないで(笑)。ちなみに今って結成からどれくらい経ちました?

竹内:結成したのは2011年なので8年ですね。でも最初の頃は結成って言わないか(笑)。まあ、竹内電気の解散が2013年だから、活動としては6年くらいだと思います。

 

Q.これまでONIGAWARAはかなりの作品を発表してきましたが、最初に自主制作でリリースした「ファースト作品集」の頃から何もブレてないのが凄いですよね。もちろんブラッシュアップされているけど根本が何も変わっていない。そんな中で届いた今作『ONIGAWARAの元気が出るEP』ですが、もう最初から最後までONIGAWARAイムズが満載だなと。

斉藤:やったぜ!

 

Q.「バカになるほど恋したい」は新たなスタートを切ったONIGAWARAの決意表明のような曲でもありますよね。

竹内:そうですね。事務所を離れて次どうしようかってときに、とにかくすぐに音源を出そうって話になって。でもその時点で曲のストックがなかったので中々苦戦したんですけど去年の12月にポンとサビの歌詞が出て来て。それから一気に書き上げたら自分達の心境がそのまま詰め込まれたものが出来たんです。

斉藤:素直だよね、凄く。

 

Q.ONIGAWARAの歌詞の主役って一人称が「僕」だけどこの曲は「俺」なのもめちゃくちゃリアルだなと。

竹内:普段の自分を出したいなって。歌詞ではいつも「僕」って書いてますけど、普段は言わないですからね。なのでそこは狙って「俺」にしました。でもメロディや曲がONIGAWARAでしかないので結局そこまで印象は変わらないというか、それこそブレないだろうなって。

斉藤:芯は全然ブレてないからね。

竹内:ずっと書きたい曲を書いてるだけなので。

 

Q.今作も期待通りのオマージュの嵐でしたが、そこも含めてもはやONIGAWARAのオリジナルになっていますよね。個人的な感想として、以前は「誰々のオマージュ」というのが先に来てたんですけど今はもうONIGAWARAでしかないなと。

竹内:俺も斉藤に「誰々っぽくして」ってオーダーしなくなりましたからね。前は「accessっぽく」とか「ここは岡村ちゃん(岡村靖幸)で!」とか言ってましたけど、もう何も言わないですから。

斉藤:ここ2年くらいは言われないね。なので勝手にぶっ込んでいます(笑)。「バカになるほど恋したい」の落ちサビなんて嵐の「Love so sweet」というとんでもない大ネタをぶっ込んでますから(笑)。

 

Q.あのピアノが鳴った瞬間恋が始まるかと思いました(笑)。

斉藤:あははは。嵐、最高ですよね。

 

Q.「人生イージーモード」の歌詞にも元気付けられました。人生って難しいけど、肩の力を抜いて気軽に考えても良いんだなって。

斉藤:かなり無責任なポジションから言ってますけどね(笑)。こういう抜くとこは抜いて気軽にいこうぜっていうモチーフはユニコーンの影響が大きいんだと思います。ユニコーンの曲って結構サラリーマンモチーフの曲があったりするじゃないですか。あの感じを出したかったんですよね。「人生は上々だ」みたいな。

竹内:あそこまでふざけてないですけどね(笑)。でも聴いて誰も傷つかない感じが気に入ってます(笑)。

斉藤:軽くて良いよね。

Q.「peek-a-boo」は世のお父さんお母さんに聴いて欲しいです。子育て応援ソングとして癒しになると思います。

竹内:そんなに役に立つかな(笑)。でもこの年になって人の子供を見て可愛いと思える感情がようやく俺にも出て来て(笑)。それまで子供は好きじゃなかったし可愛いなんて思わなかったんですよ。でも寄ってきてくれる子供が純粋に可愛いなって思うようになったんです。前にONIGAWARAでDJをしてくれたことのある野垣内(Synchronized Rockers)の子供がよくGIGに来てくれるんですけど、めちゃくちゃ可愛くて。その子からインスパイアを受けて出来た曲でもあるので間奏で野垣内の子供に台詞を言ってもらっているんですよ。

 

Q.あの台詞は野垣内くんのお子さんだったんですね。

斉藤:そうそう。だけど最初にデモが送られてきたときは聡(竹内)の声であの台詞が入っていたから「マジか」って思いました。でもアイデアとしてはありだなと。

竹内:自分であの台詞を言うより子供に頼んだ方が良いなって。

斉藤:お願いして本当に良かったよ。子供は偉大です。俺も30過ぎてからやっと分かった気がする。。

竹内:あとこの曲は歌詞で赤ちゃん言葉を使いたかったのもあって。

斉藤:実験的だよね。超エクスペリメンタル。

竹内:サビは中尾ミエさんの「可愛いベイビー」のオマージュです。

 

Q.しかし3曲でアルバムを聴いたような満足度があるEPですね。凄く濃いです。

竹内:俺達の音源って作品として中々まとまらないんだけど今回はそこが上手くいった気がしますね。偶然ですけど。

 

Q.事務所を離れる発表があって割とすぐにツアーや音源の発表があってワクワクしたんですけど、今ONIGAWARAとしてはどんな心境ですか?

斉藤:俺は事務的なことを聡に任せちゃってるので申し訳ないなと思っています。何も出来ないので。

竹内:本当に大変ですよ(笑)。でも人と顔を見てやれるのは凄く楽というか、自分達の責任で自分達のやりたいことが出来るのは良いことだなと。こうやって2YOUの柴山さんにインタビューをお願いすることだって、写真をカメラマンのヤオタケシくんにお願いするのも、誰かを通さないで自分で連絡してやれるのは良い意味で楽なので。

斉藤:まあ、昔に戻っただけなんだけどね。

竹内:事務所にいた頃は考える頭が自分達以外にも沢山あるのでアイデアは沢山出てくるんですけど、自分達だけで考えると良くも悪くも自分達らしさがそのまま出るから客観視出来なくなるんです。でも今はそのモードでいいかなって思っています。ONIGAWARAでもっと遊びたいので。

斉藤:そうだね、遊びたいね。

竹内:結局バカがふたり残ったんですよ(笑)。でもバカって悪口とかじゃなくて凄くポップでキャッチーな言葉だと思っていて。女の子に言われるとキュンとするし(笑)。

斉藤:良い言葉だよね。

竹内:2019年、俺達まだまだバカやりたいですから。

斉藤:さっきも言ったけどやりたいことこれしかないんだよね。他に何かやりたいかって言われたら特にそんなにグッとくることが俺にはないので。

竹内:ミートゥー。

 

Q.バカになるほど夢中になれるものがあるって最高ですよね。狙ってバカになるんじゃなくて奇をてらっていないバカだからこその面白さがONIGAWARAからはずっと感じているので。

竹内:素でやってますからね。何も狙っていない。

斉藤:最近のバカに見える人って実は頭が良かったりするじゃないですか。でも俺達は無計画にバカなので。

竹内:そうそう、本物のバカ。

斉藤:マジモンの社会不適合者だからね(笑)。

Q.ONIGAWARAのやっていることや打ち出し方が色んなメディアを通してクレバーに発信された時期があったと思うんですよ。

竹内:ありましたね。難しく考えられたり。

斉藤:ああ、メタ的な感じで。

 

Q.その時期はどう思っていました?

竹内:計算してやってると思っているならラッキーだなって(笑)。

斉藤:俺達バカだから「じゃあそういうことにしておこう」くらいでしたね。頭良く見られているなら別に良いんじゃないかなって。でも実際はそうじゃないものってボロが出るんですよ。やっぱりバカなので(笑)。

 

Q.でもこれで事務所も離れいよいよ本物のバカふたりが残ったわけで。

斉藤:他のインタビュアーだったら殴ってます(笑)。

 

Q.あははは。でもそんなバカふたりがクソ真面目に音楽をしているのが最大の魅力だと思っています。ずっと。

竹内:ありがとうございます。これからもバカなことをふたりでやっていきたいですね。あ、でも音楽の仕事は欲しいです(笑)。楽曲制作とか、真面目にやりますので!

斉藤:ちゃんと企画書通りに作れますので!直しにも不貞腐れないで対応致します!

竹内:是非!仕事を!待ってます!

 

Q.何ですか、そのいきなり仕事モード(笑)。

斉藤:単純に曲を作ることや編曲をするのが好きなんですよ。だから仕事が欲しいんです。良い仕事しますよ!

竹内:斉藤の書く曲がこれまた良いんですよ。

斉藤:提供用の曲を自分で聴いてあげなきゃ良かったってたまに思いますからね。勿体なかったなって(笑)。

竹内:でもそれをONIGAWARAでやったらきっとまた違う曲になるんだろうね。音楽って面白いよね。

 

Q.提供曲のセルフカバーアルバムとか聴きたいですね。

斉藤:それ面白そうですね。やってみたいことは色々あるんですよ。ふたりでソロアルバムのスプリットを出すとか。

 

Q.PUFFYの「solosolo」みたいな。

斉藤:そうそう。実現するかは分からないけどそういう構想だけはありますね。

竹内:俺の曲はそんなに変わらないと思うんですけど、斉藤がひとりで作る曲には凄く興味がありますね。

斉藤:超ダウナーだと思うよ(笑)。

 

Q.でもふたりが音楽を作ることを楽しんでいるのは楽曲に凄く出ていますよね。

竹内:なんでしがみついているか分からないんですけど、きっと楽しいんでしょうね。

斉藤:俺は曲を書くの好きだし出来たときは嬉しいからね。あの気持ち良さを知っているから辞めたくないんだと思う。

竹内:斉藤のアレンジは本当にやばいからね。

マジで天才。俺が大富豪だったら2億円あげたいもん。

でも残念ながら俺は大富豪じゃないんだよね。

斉藤:大富豪になったらでいいぜ。

竹内:じゃあ3億円あげる。それくらいの価値があるから、斉藤のアレンジは。

斉藤:ミックスもマスタリングも初期衝動丸出しでやってるから音とかグチャグチャだけどね。だけどその分エナジーめいたものは感じてもらえる気がしてる。色々経て、またそういう初期衝動的なものに近寄ってきたのかもしれない。だからこそバカで良いと思っているし、俺達のようなバカを見て「あいつらがバカやってるから俺達もバカで良いんだ」って思ってもらえたら嬉しいですね。自虐とかじゃなくて、どこまでバカ出来るかだと思っているので。

 

Q.ふたりとも最高のバカですよ。今も昔もこれからも。

竹内:それを女の子に言われたいです。「もうバカ!」って(笑)。

 

タイトル:ONIGAWARAの元気が出るEP
会場限定シングル
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