MELiSSA


アイドルカレッジがグループ内にMELiSSA、HOP-PASというコンセプトの異なる2組の新チームを始動させた。その内、ロック色の強いユニットMELiSSAを手掛けるのが元音楽ナタリー編集部の古川朋久氏だ。ナタリー在籍時より鈴木友梨耶(ROSE A REAL、ex. Cheeky Parade)、セントチヒロ・チッチ(BiSH)、MAINA(大阪☆春夏秋冬)、湊あかね(predia)が所属するARC∀DIA(ex. NATASHA)をプロデュースしてきた古川氏。彼がナタリー退社後に設立したFIFTY-FIFTY inc.がARC∀DIAの活動凍結を経て立ち上げたFIFTY-FIFTY RecordsよりデビューするのがPARU(佐藤春奈)、BAYASHi(若林春来)、AYU(鈴木あゆ)、MUTSUMi(三好夢摘)、HANAMi(川邊花実)の5人からなるMELiSSAだ。彼女たちの第1弾シングル「MELiSSA / DEAD HEAT DRiVE」は松隈ケンタ氏率いるSCRAMBLESが楽曲制作を担当しており、アイドルシーンの新たな台風の目になること必至だ。今回2YOUでは古川氏を交えメンバーに初のインタビューを決行した。ここから始まるストーリーに期待が高まる。

 

 

Q.まずは古川さんがFIFTY-FIFTYを立ち上げた経緯から伺いたいのですが。

古川:僕がナタリーにいた頃にNATASHAというユニットをやっていたんですけど、ナタリーを辞めることになってNATASHAをプロジェクトごと引き受けることになったんですよ。それで2018年の1月にNATASHAからARC∀DIAに改名して、僕もARC∀DIAの活動をちゃんとやるためにまずは会社を作ろうと思ったのがFIFTY-FIFTY inc.設立のきっかけのひとつです。でもNATASHAが始まった頃とはメンバーの状況が全く違って、とにかくメンバーのスケジュールを合わすことすら困難で。実際に松隈さん(松隈ケンタ:SCRAMBLES)に曲を作ってもらっていたり、渡辺さん(渡辺淳之介:WACK)にも色々相談していたんですけど、どうにも折り合いが付かなくて。それでARC∀DIAのプロジェクトを凍結することにしたんです。

 

Q.会社を設立したばかりでのARC∀DIA凍結は中々の決断ですよね。

古川:そうですね。ARC∀DIAをやる為に会社を作ったので(笑)。でもせっかく会社を作ったし何か新しいプロジェクトを始めようと考えている中で、元々アイカレさん(アイドルカレッジ)はナタリーの時代から取材してきたり僕個人としてもずっと押していて、ナタリーを辞めるタイミングで「古川さんに色々やって欲しいです」と事務所の方に言って頂いたのでプロジェクトに関わることになったんです。

 

Q.今回FIFTY-FIFTY recordsよりデビューするMELiSSAはアイドルカレッジから選出されたメンバーによるユニットなんですよね。

古川:はい。元々アイカレはグループ内に4チームの編成があったんですけど、それを解体して2組の新チームを始動することになったんです。そのひとつがMELiSSAですね。

 

Q.元々のチームを解体しようと思ったのは?

PARU:前のチームは「アイドルカレッジの〇〇」みたいにアイドルカレッジの名前がまずあった上での話だったんですよ。それが前提だったので基本的に全グループがアイカレ路線のかわいい感じで。

古川:だからお客さんも基本的にアイカレのお客さんなんですよね。なのでそこからの広がりがあまりなかったんです。その反省を踏まえて、今回のチームはコンセプトをしっかり掲げて、アイカレのお客さんにも勿論届けたいけど、それ以外のお客さんも掴むという意味でもっと極端にチーム分けをしようと思ったんです。

 

Q.チーム分けはどのように行ったのですか?

古川:事務所のBLUE ROSEと僕でチーム分け会議をしまして(笑)。僕は分かり易くロックがやりたかったので、ロックが合いそうな子を選びました。「ズルい」って言われるかもしれませんが好いとこ取りしました(笑)。

 

Q.みなさん、好いとこ取りと言われていますよ。

HANAMi:やったー!

PARU:好いとこ取り!でも、これまで全然ロックに触れたことがないからゼロからやっていくつもりです!

 

Q.今後はアイドルカレッジと並行してMELiSSAの活動をしていくんですよね?

BAYASHi:はい。これからはふたつのグループを同時進行で進めていくので、アイカレにいるときの自分とMELiSSAにいるときの自分で全く違う自分を表現していこうと思っています。アイカレとは曲調も全然違うし、レコーディングのやり方も全く違ったので今は全部が新鮮です。

 

Q.SCRAMBLESとのレコーディングはどうでした?

PARU:これまでと全然違いました(笑)。

MUTSUMi:私は布袋さん(布袋寅泰)の動画を観せてもらって「布袋さんになって歌って」と言われました(笑)。でもそのお蔭で新しい自分を開拓出来たなって思います。

古川:SCRAMBLESの田仲圭太さんに入ってもらったんですけどメンバーの個性をどう引き立たせるか考えながらのレコーディングだったのでMUTSUMiには布袋さんっぽく歌ってもらって、あとBAYASHiは?

BAYASHi:チバユウスケさんです(笑)。ギターを構えた振りをしながらレコーディングしたんですよ(笑)。

PARU:シュールだったよね(笑)。

BAYASHi:「ギターの位置が高い!」とか言われて(笑)。でもそのエアギターの部分が歌割で採用されていたので嬉しかったです(笑)。

 

Q.他のメンバーも何かそういうフリはあったのですか?

PARU:私は「エロく歌って」と言われました(笑)。「あなたは艶めかしい声をしているから」って(笑)。アイカレでは絶対にないことなので初めての領域でしたね。

古川:エロスを出したら自分を解放してくれるかなって(笑)。

AYU:逆に私は何も言われなかったんですけど(笑)。

古川:AYUの場合はメンバーの中で最初に歌録りをしたのもあるし、以前からロックが合う気がしていたのでトップバターでレコーディングして彼女を基準に色々作っていこうと思っていたんです。その結果、チバさんや布袋さんが出てきたという(笑)。

 

Q.HANAMiさんは何かありました?

HANAMi:私はなんだったのですか?

古川:彼女はまだまだ潜在能力があると思っていて。アイカレでもまだパートを沢山もらってる訳じゃないんですけど、隠し持っているものが凄いと思うのでここから活かせていければと思っていますね。

 

Q.ドラゴンボールで言う孫悟飯枠ですね。

古川:まさしくですね。BiSHに例えるのもアレですけど、後から入ったアユニ・Dのような成長が見れるんじゃないかと僕は思っています。

 

Q.個性の強いメンバーですが、歌割にユニゾンが殆どないことでより個々が際立ちますよね。

PARU:アイカレは殆どユニゾンなので歌割をもらってびっくりしました。全部ソロパートなのでパフォーマンスの見せ方も変わってくると思うし勉強しなきゃなと。

BAYASHi:人数が少ない分ひとりひとりの責任も大きいし、その中でどう自分を出していくか楽しみな面と不安な面がありますね。

古川:僕がアイカレを観て感じていたのはメンバーが本来持ってる個性を全部そのままアイカレで出すのは難しいと思ったんです。例えばBAYASHiのちょっとヤンキーっぽいキャラとか、アイカレではきっと出せないんですよ。でも彼女のキャラを活かす意味で書いたのが「DEAD HEAT DRiVE」の歌詞でもあったりして。裏話をするとPARUNAとBAYASHiはこのグループにおけるパフォーマー的な位置で実はポジショニングを考えていたんです。でもレコーディングを経て5人ともフラットに考えてみようと思って。その結果、やっぱり5人とも全員個性がめちゃくちゃ出てるんですよね。

 

Q.もはやアイドルカレッジとは全く別物ですよね。

古川:そこは狙っていますね。アイカレの殻を破るのがテーマでもあったので。

PARU:「乱れたい」とかアイカレじゃ絶対にNGですから(笑)。

古川:でしょ?でも、そういうことを歌っていくことでどんどん殻が破れていくんですよ。息抜きじゃないけど、溜まってくるものを出せる場所も必要じゃないですか。

PARU:アイカレは王道アイドルなのでルールもちゃんとしているので。

古川:髪の色を染めちゃいけないとか、派手なネイルをしちゃいけないとかね。そういう、割とこの時代に珍しいルールをしっかり守っているのがアイカレなので、ファンの人達からするとMELiSSAでは全然違うヴィジュアルの彼女達を見ることが出来るのは面白いんじゃないかなって。

PARU:アイカレのファンの人達もロックが好きな人が意外と多いんですよ。そういう人に面白がってもらえたら嬉しいですね。あとは逆に王道アイドルに興味がないロックファンにも届けたいと思っています。なので中途半端なことは出来ないですね。

HANAMi:やるからにはロックを極めたいです。

PARU:ロックに触れてこなかった分、本当に頑張らないとね。

 

Q.ちなみにみなさんはどんな音楽が好きなのですか?

PARU:私は48グループから入って、最近はあいみょんさんとかよく聴いています。ロックは全然分からないので勉強中です。

AYU:私はハロプロ(ハロー!プロジェクト)のこぶしファクトリーさんが好きです。

HANAMi:私は韓国の音楽が好きで聴いています。

MUTSUMi:私はMY FIRST STORYが大好きでライブにも行ってるんですけど、そういうロックな部分をMELiSSAに反映出来たらなって思っています。

BAYASHi:私はザ50回転ズが好きなんですよ。だから私服もバンドTシャツにライダースとかなんですけど、MELiSSAが始まって本来の自分に戻ってきた感じがありますね。

 

Q.見事にバラバラですね。でもそんな5人がMELiSSAとしてどんなロックなアイドルを作り上げていくのか楽しみです。気付いたら全員ライダースを着るようになっていたり(笑)。

古川:ちなみに衣装は全部PARUNAが作るんですよ。

PARU:衣装アイドルなので(笑)。アイカレは基本的にお揃いの衣装なんですけど、MELiSSAではメンバーひとりひとりの個性にスポットを当てた衣装を作ろうと思っています。レコーディングでもメンバーの個性が光る録り方をしてくれたので可能性がまだまだあるなって思いました。

古川:そこは本当に上手にSCRAMBLESさんが引き出してくれるんですよ。

PARU:録りながら「趣味は?」とか「ギターの真似して」とか話してくれるのでどんどん素の自分になっていくんですよ。

古川:それを見ながらこっちで大爆笑するっていう(笑)。そういう雰囲気でレコーディングも出来たのでメンバーもリラックスしていましたね。HANAMiには「リンキン・パークみたいに歌って!」とか言ったり(笑)。

HANAMi:リンキン・パークは難しかったです。(一同笑)

 

Q.あははは。ここからMELiSSAがどう進化していくか楽しみですね。

PARU:ありがとうございます。ロックなのでいつか生バンドでライブがしてみたいですね。スピーカーに足を乗せて歌いたいです(笑)。

HANAMi:ワンマンもしたいですね。

BAYASHi:生バンドでワンマンが出来たら嬉しいです。

古川:ワンマンをやる為にも曲を増やしたいですね。BiSHもでしたけど、最初にアルバムを出すことで曲のパターンが増えるじゃないですか。そうすると選択肢も増えるので色んなライブが出来ると思うんです。MELiSSAは7月にシングルをリリースするんですけど、もしかしたらその頃までに新曲もどんどん出来るかもしれないですね。楽しみにしていてください!

 

 

リリース情報
MELiSSA
タイトル:MELiSSA / DEAD HEAT DRiVE
2019年7月2日(火)リリース
価格:各1200円(税込)
TypeA~Eの全5形態(収録内容は同じ)