ザ・モアイズユー

大阪発、センチメンタルロックバンド、ザ・モアイズユーが結成から8年、満を持して初の全国流通となるミニアルバムを完成させた。Vo&Gt 本多真央、Ba&cho 以登田豪、Dr オザキリョウ の3人からなる彼ら。2nd Demo Single「花火」のMVがインディーズながら18万回再生を突破、2017年にはイナズマロックフェスへの出場権をかけたイナズマゲートでグランプリを獲得、さらに2018年にはback numberが所属するイドエンターテインメントのオーディション「SUPEREGO」にてグランプリを獲得するなどその名を着実に広めてきた。そして2019年4月、待望の1st Mini Album『想い出にメロディーを』のリリースとなったのだ。自分達の信じた音楽を真っ直ぐに鳴らすことで勝ち取ってきたものを形にしたザ・モアイズユーに話を訊く。

 

Q.ザ・モアイズユーの結成は高校生の頃だったんですよね。

本多:そうなんですよ。高校2年の頃に僕といとちゃん(以登田)で銀杏BOYZのコピーバンドをやろうぜって始めたのがザ・モアイズユーの始まりです。その頃は僕がギターでいとちゃんがベースで他にボーカルとドラムがいたんですけど高校を卒業するタイミングで就職や進学でバンドを脱退しまして。それで僕がギターボーカルになって新しいドラムを入れてスリーピースになったんです。

 

Q.スリーピースになってから今のような音楽性に変わっていったんですか?

本多:最初の頃はパンク要素の強い楽曲をやっていましたね。ライブパフォーマンスもパンキッシュな感じで。

 

Q.そこから今のザ・モアイズユーの音楽性に辿り着いたのはどういう経緯で?

本多:きっかけは今回のミニアルバムにも入っている「トーキョー・トレイン」が出来たことが大きい気がしていて。この曲は2016年に作ったんですけど、この辺りから徐々に歌を伝えることを意識するようになっていったんですよ。でもそれでスパッと音楽性を変えたっていうより自然と今のスタイルに変わっていった気がします。あと歌っている根本的なテーマは変わってないんですよね。表現の仕方は伝え方が少しずつ進化していったんだと思います。

 

Q.バンドの進化の過程の中でオザキさんの加入も大きいと思うのですが、出会ったきっかけは?

オザキ:最初はお世話になっている心斎橋のライブハウスの方に紹介してもらったことがきっかけですね。僕は前にやっていたバンドを辞めてどうしようかって時期だったんですけど、去年の秋に初めてスタジオに入ってまずはサポートとして加わりました。

本多:初めて音を合わせた瞬間に「これは絶対に一緒にやるしかない」って思ったんですよ。最初に演奏した曲は「花火」だったんですけど、オザキくんのやっていたバンドとはスタイルが違うからどう混ざり合うかなって思っていたら凄く相性が良くて。その瞬間にこの3人でやることを決めましたね。半年くらいサポート期間がありましたけど僕ら的には最初からメンバーだと思っていました。

 

Q.オザキさんは当時どのようなバンドをしていたのですか?

オザキ:悪ガキっぽさのある荒々しいバンドをやっていました。グランジっぽい感じとか。なのでザ・モアイズユーとは全然音楽性は違いますね。

 

Q.そのバックボーンがありながら「桜の花びら」のようなバラードをあそこまで感情的に叩けるのは流石ですね。「雪の降る街」のドラムの表情とか凄いなと。

オザキ:それは嬉しいです。自分で言うのもおかしいんですけど、自分は感受性が豊かな方だと思っていて。なので感情を表現すること自体は特に難しいことではないんですよ。と思いつつ「桜の花びら」は難しかったですけど(笑)。

本多:リョウくん(オザキ)が入ってくれたことで最後のピースがハマった感じが凄くあるんですよね。だから初の全国流通も今なんだろうなって。

 

 

Q.結成から8年目にして初の全国流通ですからね。

本多:このミニアルバムを出すまでにメンバーチェンジもあったし色んなことを経てやっと完成した作品なので気持ち的には今までのザ・モアイズユーとこれからのザ・モアイズユーを両方詰め込んだ現時点での集大成であり未来の見えるミニアルバムが出来たと思います。

 

Q.「光の先には」は過去曲の再録ですけど、まるでこのタイミングで歌われることを待っていたかのような曲ですよね。この曲で今作が始まることにも意味があるような気がします。

本多:「光の先には」は2016年に作った曲なんですけど、その当時バンドがあまり上手くいってなかったり自分達が思うような活動が出来ていない状況だったんです。その現状を変えたくて、だけど弱い自分達を受け入れたそのままの姿で進んでいきたくて書いた曲なんですよ。今回、初の全国流通作品を作るにあたって再録とか新曲とか全部抜きにして机に曲を並べたときに今のバンドの意思が明確に出せるのは「光の先には」だなって。それでアルバムの1曲目にしたんです。

 

Q.「何度でも」もバンドの心情がそのまま歌われていますよね。

本多:まだまだ現状に満足している訳じゃないんですけど、ただの真っ直ぐな道を遠回りしてきた中で何度も迷いながらここまで来て、何故それが出来たかって周りにいてくれる人のお陰なんですよね。間違った選択をしてきたかもしれないけど、そのお蔭で出会えた人も沢山いるし、間違えてきたことすら肯定したいなって思っているんです。そういう感謝の気持ちを歌ったのが「何度でも」です。

 

Q.「トーキョー・トレイン」は夢を追って上京する人を見送る側の曲ですが、「上京物語」として視点が面白いですよね。

本多:実際に仲の良かった人が上京するときの気持ちを書いた歌なんですけど、上京する側じゃなく上京を見送る側の曲を歌いたかったんです。自分にとって友人の上京が凄く印象に残っている出来事で、あの感情をミュージシャンとして歌に残しておきたいと思ったんです。お互い別の場所で夢を追っていれば離れ離れになってもいつかクロスオーバーするときがくるんじゃないかなって。それまで別の場所で頑張ろうぜっていうメッセージも込めています。

 

 

Q.離れ離れと言えば「花火」も別れの曲だと思いますが、中々の生々しさだなと。これ、絶対に実体験ですよね。

本多:ゴリゴリの実体験です(笑)。僕、4年半付き合っていた彼女がいたんですけど、それだけ長い時間一緒にいた彼女と疎遠になってしまったことが本当に悲しくて。だけど、その悲しんでいる自分とミュージシャンとしての自分がいて、ミュージシャンとしての自分は「その悲しみを歌にしないとな」って考えるんですよね。こんなに悲しいことを歌にしないなんて自分は何のために歌を歌っているんだって。それであの悲しみをより生々しく歌にしたんです。

 

Q.「4度目の夏」って言葉がリアルなんですよ。「何度目かの夏」じゃなくて「4度目の夏」って物凄くパーソナルなことじゃないですか。そこが生々しいんですよね。

本多:その子が聴いたときに「これ私のことだ」ってすぐ分かりますからね。みんなが感じるであろうことを広く歌うのも好きなんですけど、フォーカスを小さく当てた曲もあっていいと思っていて。

 

Q.その彼女には「花火」を聴かせたのですか?

本多:風の噂では応援してくれているみたいなので聴いてくれたんじゃないですかね。もうずっと連絡を取っていないので「聴いてくれ」とは言ってないけど、何処かで聴いてくれていたら嬉しいです。

 

 

Q.「雪の降る街」は今作で唯一、以登田さんが書いていますね。

以登田:結成当初は僕も曲を書いていたんですけど、3年前くらいから作る機会がなくて、今回のアルバムのタイミングでバンドの状況が少しずつ変わってきて、道が見えたことでもう一度やってみようって思えるようになったんです。

 

Q.まさに光の先を実感出来たから前に進めた訳ですね。本多さんは以登田さんの書いた歌詞を歌うの自身で書くときと違ったりしますか?

本多:全然違いますね。難しいの極みです(笑)。やっぱり書く言葉のチョイスが違うし、いとちゃんの世界観を崩さないまま如何に自分に落とし込むかは本当に難しいです。いとちゃんの歌詞って凄くピュアなんですよ。そこを表現するのは中々の課題ですね。

 

Q.表現が綺麗ですよね。「雪の降る街」も「街は静かすぎて」で始まるじゃないですか。対して「トーキョー・トレイン」は「狂おしく鳴り響く」ですからね。言葉のチョイスが真逆だなと。

本多:あははは。確かに(笑)。

 

Q.でもどっちもザ・モアイズユーなんですよね。

本多:そうなんですよね。こうやって振り幅が広がったことは今の僕らの強みだなって思います。

 

Q.振り幅でいえば「fake」のような曲は新鮮でした。

本多:このバンドを8年やってきてこういうリフ押しの曲は初めて作りました。これはきっとリョウくんがバンドに加わったことが作用している気がしますね。以前もやろうとしたけど当時の僕らには出来なかったんですよ。でもリョウくんが加入したことで、さっきも言ったように最後のピースがハマって完成出来た曲だと思います。

オザキ:自分ではそこまで分からないんですけど、メンバーがそう言ってくれるので、僕のバックボーンが要素として加わっているのかもなって思います。

 

Q.初の流通音源がリリースされてバンドは更に前に進んでいくと思うのですが、ザ・モアイズユーとしてどんなバンドになっていきたいですか?

オザキ:誰かに共感してもらうというより誰かを後押し出来るバンドになりたいですね。ザ・モアイズユーを聴いて「バンドを始めよう」とか、音楽じゃなくても良いから学校や仕事に対するモチベーションにしてくれたり、そういう存在になれたら嬉しいです。

本多:フェスに出ることや大きな会場でライブをすることはバンドの目標のひとつではあるけど、それよりも聴いてくれた人の中に残る音楽を作ることが第一の目標ですね。時間が経っても消えないような、こびりつく音楽をザ・モアイズユーで作りたいです。

以登田:僕達は銀杏BOYZに心を揺さぶられて音楽を始めたので、僕らも誰かの感情を揺さぶるような音楽を作っていきたいと思っています。

 

想い出にメロディーを

NOW ON SALE

EGGS039 ¥1,800(+税)

 

■ザ・モアイズユー「想い出にメロディーを」TOUR
■5月12日(日)【愛知】R.A.D
■6月16日(日)【福岡】Queblick
■6月28日(金)【広島】CAVE-BE
■7月12日(金)【愛媛】Double-u Studio
■7月14日(日)【新潟】GOLDEN PIGS BLACK
■7月15日(月・祝)【宮城】enn 3rd
■7月27日(土)【東京】O-Crest
■7月28日(日)【大阪】Pangea

 

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